芥川龍之介のレビュー一覧
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青年期には一度はアフォリズムにかぶれるべきだ。皮肉や諧謔、矛盾と撞着、ウィットやユーモアを学ぶ機会を大人は与えてくれないからだ。それなのに、大学入試ではそれらを解するかどうかを試してくる。
2006年 京都大学の評論「『曖昧さ』の芸術」(茂木健一郎)で、科学的でない言葉を批判する意味で「そんなものは『お話』であって、意味がない」の「お話」はどういうことか、という設問があるが、これなどは「お話」の「お」に込められた揶揄のニュアンスがわかるかどうかがポイントなのだから、気づけなければ厳しい。難関大に合格できるかどうかは、実はこんな能力の有無が大きく関係する。皮肉を解する力は、読解力としては高度な -
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タイトルにひかれて
主人公が店先の女性を観察した話。タイトルはセリフだった。
赤子を抱え母親になった女性を見て話が終わる。
短いので読みやすい。
輸入品のココアの缶はどんな味だったんだろう… -
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罪と罰を被っても隠したい恥
平安時代。
藪の中で発見された死体を巡って調査にあたる検非違使による、関係者への証言記録の形を取った短編。
死体の男の霊も含めた関係者は各々食い違う証言をして真相は見えてこない。
藪の中で繰り広げられた背徳、人間の尊厳の毀損。
当事者は各々その時抱いた倫理に反する心情や恥辱の暴露を恐れて、殺人の罪を背負ってでも、包み隠そうとする。
真実とは事実を体験した各人の心が決める物。
全員が真実を主張せんと、事実を知られまいとすれば事実は永久に葬られる。
人間心理の闇の深さを思い知らせたという点で事実が確定しないラストもモヤモヤするが納得。
因みに真相は“藪の中” -
Posted by ブクログ
羅生門
『生きる』という人間の本能について書かれた作品。下人は盗人となってしまったが、その行動は否定も肯定もできない。寧ろ自分が下人であれば同じ行動を取ったのではなかろうか。窮地に陥ると人間はどのような行動を取るのか人間の本能や欲望が垣間見えた作品だ。
鼻
人は妬み羨む生き物であると感じた。人はどうしても他者と比べたがる。下を見て安心するのではなく、また他人からの目を気にせず、自分らしく自分がどう生きるのかが大切だと感じた作品。
芋粥
皆似たような経験があるのではないか。例えば、長期休暇に入る前はそれを目標に仕事をがんばるが、休暇に入ってしまうと『すぐに休暇が終わってしまう』と悲しい気持ち -
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読み進めているときは赤帽が不気味な印象なのだが、不倫をやめさせた良い奴ともいえそう。実は聞き手(語り手)の「私」が…というラストが気に入った。
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物語を終わりに向かわせるために新しい登場人物が出る、という構成と言えばこれが走りと感じています。
学校で習って読み解いた作品ではありますが、改めて読んでみようと思う作品です。 -
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本作は死のモチーフなど不穏な要素も多いが、妻が笑い飛ばす場面や、最後の場面が日常(生)への帰還と考えると、暗い作品にはなっていないように思われる。