【感想・ネタバレ】河童・或阿呆の一生(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

芥川最晩年の諸作は死を覚悟し、予感しつつ書かれた病的な精神の風景画であり、芸術的完成への欲求と人を戦慄させる鬼気が漲っている。出産、恋愛、芸術、宗教など、自らの最も痛切な問題を珍しく饒舌に語る「河童」、自己の生涯の事件と心情を印象的に綴る「或阿呆の一生」、人生の暗澹さを描いて憂鬱な気魄に満ちた「玄鶴山房」、激しい強迫観念と神経の戦慄に満ちた「歯車」など6編。(解説・吉田精一)

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ネタバレ

芥川は「河童の世界」を通じて痛烈に日本のありさまを問うてきます。

ひとりひとり(一匹一匹?)の河童がなんと個性的でユーモラスなことか。そして、なんと不気味なことか・・・。

これが芥川龍之介の決死の抗議、人生最後の警告の意味も込めての作品だったかと思うとぞっとします。彼はこの作品の発表後一年も経たずして自殺してしまいます。

芥川龍之介の死から間もなく100年になります。ですが100年経っても芥川の作品は決して色あせません。文学の力は連綿と今を生きる私たちに受け継がれています。

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2024年08月28日

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「大導寺信輔の半生」(だいどうじしんすけ)
大正十四 年一月
芥川の自書自伝ということ
とても、とても興味深いです
本所、牛乳、貧困、学校、本、友だち、、

「玄鶴山房」(げんかくさんぼう)
昭和二年 一、二月
読み進めるうちにぞわぞわぞくぞく、、山房内の物理的には狭い空間での出来事。しかし内部の人間の仄暗い思いがどこまでも這うように広がっていくかんじがする。
解説によると、これは“念には念を入れた、まったく用意周到な、細工のこまかい、小説である”と。

「蜃気楼」
昭和二年 三月
文庫解説より“芥川がもっとも自信をもった作品であり、(中略)全篇無気味な美しさから成立っている。”

「河童」
昭和二年 三月
kappa memo
医者 チャック
漁師 バッグ 最初に見かけた
硝子会社の社長 ゲエル 資本家
学生 ラップ
詩人 トック 超人倶楽部
哲学者 マッグ 超人倶楽部
作曲家 クラバック 超人倶楽部
裁判官 ペップ
政治家 ロッペ クオラックス党
新聞社社長 クイクイ プウ・フウ新聞
音楽家 ロック
元郵便配達員 グルック 万年筆を盗んだ
長老

これは何度読んでも傑作。大好き

「或阿呆の一生」
昭和二年 十月(死後発表)
ほぼ遺書なんだろうけどもう死の淵にもう両足を突っ込んでいるであろう闇

「歯車」
昭和二年 十月(死後発表)
未読、、、また別の機会に読む

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2024年03月31日

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書物には良薬と劇薬があるというけれど、これは後者である。「羅生門」の文体を想定して読み進めたら痛い目を見た。
個人的には、最晩年の作品はかなり好み。理知の枠から漏れ出す激情と不安が作品全体を包む。故に小説は小説の形を保っておらず、むしろ詩に近い印象を抱かせる。
一度読んだくらいでは味わいきれないくらい深い作品。

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2023年04月08日

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怖くて怖くて悪寒を感じながら読んだ
私が今まで知っていた作者とは違う
それでも惹きつけられる世界観に
次々とページをめくってしまう
心が軋む音が聴えそうな1冊

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2023年07月15日

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ネタバレ

「ある若い狂人の話」だと思って読み進めると、あまりの描写の緻密さと精巧さに「この人は本当に狂人なんだろうか」と疑問を持ち、最後には何が虚構か真実か分からなくなりました。流石としか言いようがない。藪の中と少し似た読後感でした。

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2021年05月06日

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表題作と「大導寺信輔の半生」が良かったです。芥川は教科書以来触れるのは初めてでしたが、とても面白かった。

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2021年03月29日

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芥川龍之介の命日「河童忌」はこの作品のタイトルにちなんでいるとか、芥川は河童の絵を描くのが大好きだったとか、この作品のあとに「将来に対する唯ぼんやりとした不安」と遺書を残して自殺した、など聞き、気になっていたものの、ン十年も心の中で積ん読になっていました

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2019年12月12日

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4.0/5.0

世の中を見つめる冷めた視線や皮肉っぽい視点が全編に貫かれているように感じた。
生きることに対する絶望や、恐怖、やるせなさ等々晩年に芥川が抱えていた苦痛がひしひしと伝わってくる。
明らかに死を意識して書かれたであろう『或阿呆の一生』や『歯車』、当時の日本社会に対する皮肉や捩れを異世界を通して描いた『河童』
自らに対する嫌悪感や劣等感の捌け口として文学に頼っていたことが伺える箇所が多く、勝手に親近感を感じたりもした。

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2025年06月01日

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河童の出産のシーンが最高でした。
カワウソとの戦争はアニメーションで見てみたい。
きっと可愛いから。

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2025年02月02日

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最晩年の短編集。幻覚を見、狂気の中に書かれたと思われる「歯車」では、発狂寸前の内面の描写と、ギリギリのところで社会と接している「彼」の描写とが、明確な境界を持たずに迫ってくる。まるで、自分の狂気を原稿に絞り出す様子のパラレルを思わせる。そして、ギリギリで保たれていた正気が力尽きていく最後は、理由は分からないが引き込まれるものがある。

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2024年01月30日

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タイトル作「河童」

芥川晩年の作品。生活やお金、宗教、芸術などに関する芥川の考えが記されているような作品。河童の設定が絶妙に近未来的でとてもSFチック。職工屠殺法の部分が衝撃で印象的。

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2024年01月17日

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全体的に暗いがどこか共感できてしまう静寂感に包まれた本。
遺作になることを分かっていたんだろうなと思う。

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2022年11月25日

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 芥川龍之介、最晩年の作品集。
 「大導寺信輔の半生」という、冒頭の小説の書出しが好きだ。自叙伝的なものだと思うのだが、「大導寺信輔の生まれたのは本所の回向院の近所だった。彼の記憶に残っているものに美しい町は一つもなかった。…」で始まり、生まれた辺りには、穴蔵大工や古道具屋や泥濘や大溝ばかりで美しいものが何もなかったにもかかわらず、信輔は物心ついた時からその町を愛していたこと、毎朝、父親と家の近所へ散歩に行ったことが幸福だったことが書かれている。
 美しくないと断言しているのに、幼い時から愛着を持った町は、回想することが美しい。映画の回想シーンのように、淡い光に包まれている感じがする。
 標題作の一つ、「河童」は登山中に河童を発見し、追いかけた所、河童の国に迷い混んだ男の話。目が覚めると河童の医者が彼を診察しており、以外にも彼は河童の国で好待遇で歓迎される。河童の国にも医者も社長も技術者や詩人も音楽家も哲学者もいる。人間の暮らしと殆ど変わらないのだが、河童の国では、雌が気にいった雄を見るとなりふり構わず、追いかけて飛びつくことなど、人間と異なる部分もある。
人間より技術が進んでいるので、次々新しい機械が発明され、工場の生産が上がると要らなくなった労働者は解雇されるどころか、殺され、食肉にされてしまうなど、残酷だが河童からすると「合理的」らしい面もある。解説にスウィフトの「ガリバー旅行記」のようなジャンルに属する作品らしいが、なるほど、異世界から人間界を風刺、批判しているような作品である。芥川龍之介という人はこういう作品も書いていたのだ。面白かった。
 「或阿呆の一生」は多分死を決意し、作品を友人の久米正雄氏に託している。自叙伝みたいなものらしいが、詩的で私には分かりにくかった。
 短い生涯だったが、年代によって作品の色が随分変わったいるのだろう。今度は若い時の作品を読もう。
 

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2021年04月13日

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河童という架空生き物がおりなす社会設定がこまかく、おもしろい。読みやすい。最後に語り手が「統合失調病」であることから、すべての物語が彼の狂気からつくられたものなのか、と理解したときには予想はしていたけど鳥肌が立った。とてもうまくできたアイロニー小説。

ポイント
・皮肉ー人間の愚かさを河童社会という架空の世界に例えて書く
・自殺という概念
・生まれてくる前に生死の選別が子に与えられるという発想

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2021年02月21日

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現実的な生々しい小説を読んでいて、目を背けたいぐらい頭が混乱していたので、河童のようなある意味、設定が人間世界と逆の話を読むと、風刺とは思えないぐらいホッとした気分だった。勿論意味を全てわかって読んでいたわけではないが、河童と言う、人間世界に似ても似つかない、不合理な世界が日本でも何となく起こっていたことが垣間見えた。河童の世界でも、色んな小説家や哲学者が頻用されていたのが面白い。

或る阿呆の一生、歯車と3作品全て読んだ。
河童を読むと、そこまで辛い描写は出てこなくて、児童が読んでも飲み込めるような作品だと思う、

或る阿呆の一生から自伝的要素が強くなっていき、
歯車では最後のシーンで下界から夭折してしまいたい、というような彼の思いがヒシヒシと伝わってきて、幻覚や妄想が多く出てくる。
彼の義理の兄が自殺したことがかなり尾を引いている気がする。何もかも全てを背負い込んで作ったような。 

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2020年08月23日

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 芥川龍之介最晩年の作品集。「河童」を除けば全体的に陰鬱で鬼気迫る短篇が多く、気分が沈んでいる時に読んだら危険かもしれないと思うほどに、負の引力が物凄かった。

 一番印象に残っているのは、「歯車」。世の中の様々なものに対し語り手は不吉な予感を抱いてしまい、どんどん追い詰められてゆく。自分の中の無意識が自己を破滅させようとする極限の精神状態が描かれている(気がする)。
「或阿呆の一生」と共に、何かに絡め取られている感は、絶望している時に強く感じるもの。かなり危険な物語だけど、好みでもある。

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2020年04月13日

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「或阿呆の一生」は話がブツブツ切れて、よくわからなかった。
「歯車」は死ぬ間際で、精神が疲労してるのが滲んだ作品だと感じた,

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2025年09月15日

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表題作『河童』が面白かった。
人間社会への風刺が痛快だ。

久しぶりに文豪に位置付けされている作品を読んだが、ハウツー本ばかり読んでいたせいか、読むのに難儀した。
古典は咀嚼するのに苦労するが、噛むほどに味わいが出て来る料理のような感覚だった。
この夏は積読になっている太宰作品を読みたい。

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2025年07月24日

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河童の国に迷い込んだ主人公が、
河童の世界を語りながら、
人間社会を風刺しているのかと
思って読んでいたが、読むにつれ、
芥川が、晩年、精神が病んでいく中で、
世に発表する小説として
河童の世界に託し、
寓意的に描かねば、自分の考えを
吐き出せなかったのだろうと思った。

河童の世界では、
産まれてくる子供が、自分の意思で
産まれたくないと言えば中絶される。
胎児の意思が尊重されるお産に、
芥川の発狂した母親の存在の影響を思う。
他にも芥川の心象が書かれているのだが、
芸術、政治、経済、資本、無神論など。
大正末期、若しくは昭和初めの作品だが、
現在、私達が抱えている
社会問題に通じる内容で考えさせられる。

ある河童のセリフ
『余りに憂鬱ですから、
逆さまに世の中を眺めて見たのです、
けれどもやはり同じことですね。』

「河童」の舞台にもなった上高地の河童橋、
訪れてみたい。

「歯車」は、陰鬱で常に
イライラ不安に襲われていて、
読み手側の私も、何やら心臓がドキドキ
引きずり込まれそうで、途中で読むのを
やめてしまった。

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2024年09月15日

Posted by ブクログ

「玄鶴山房」はよかった。

僕が数えただけで22ページで10人の登場人物が出てくる。これだけ登場人物の人間関係をこの少ないページで無駄なくそしてわかりやすくかけるって技量のせいかとも思うが、そこにうまさを感じない不思議さが残る。
丸太の中に仏像の姿が見えるかのように、題材を前にどんどん彫ってイメージに近づけてるような印象もある。

「蜃気楼」
幻覚に戸惑う自分を、確かめるように題材としてしてみることで戸惑いを断ち切ろうとするのか、対峙しようとしているのか、結局この作品の中で幻覚や幻聴は(まだ)ない。
小さい出来事は微かな彩りを持つが絵画的とは言えない感じもする。より詩的であるが故に最後の現実味のある会話に僕はほっとした。

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2023年09月22日

Posted by ブクログ

「河童」は一種のユートピア作品のように思われる。多くのユートピア作品では現実世界とは真逆、もしくは価値観を変えさせるような習慣を持っているという設定が多い(例『ユートピア』『ガリバー旅行記』)。河童の言葉が若干ラテン語系の言語になっていたり、芸術家たちのことを「超人」(超人といえばニーチェ)と称したりしていることで、芥川の好みが窺える。

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2023年07月17日

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「我々の運命を定めるものは信仰と境遇と偶然だけです。」

人間界とは似て非なる河童の世界
特に母親のお腹の中にいる子供にも、この世に産まれるか、否かの選択を与えられるというのは考えさせられる

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2023年03月16日

Posted by ブクログ

暗い
芥川が自殺の直前に書いた物語たちであるのでそれが自然だったりはするのだが

芥川の「唯ぼんやりとした不安」を書いていると言われている河童は特にそれがすごく読み取れるような気がする
芥川は周囲と価値観が合わなかったのかもしれない
だから、周りの人物を河童に見立てることで小説という形を取った彼なりのSOSを発していたのかもしれない
こんなことを言えるのも、芥川が自殺したという帰結を知っている今だから言えるのかもしれないけれど…
リアルタイムでこれを読んだ時、もし、芥川と知り合いだったら自分は彼に何と声をかけるだろうか
そんなことを考えていた

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2022年09月04日

Posted by ブクログ

意識のステージ高すぎて詩読んでるみたいで難しかった

『歯車』は書いてた時しんどかったんだろうなって浅はかながら感じた

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2022年04月27日

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ネタバレ

高校生のときに読んだ本。
芥川、最後の作品ではないだろうか?
当時はなぜ彼は死を選んだのか?手がかりがあるような気がしたが、作風は彼らしく物語調にまとめられていた記憶

”ぼんやりとした不安”のフレーズが頭に残っていて、
自死を選ぶ人にも明確な理由がないことも多いのかもしれない。逆に生を選ぶ人にも明確な意義を確信しているのは少数派な気もする。

彼ほどに頭のキレるひとでも、劣等感や不安感がつきまとうのは、いかにも人間感あふれる作品であった

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2022年03月10日

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ネタバレ

芥川龍之介最晩年の苦悶の短編集。こちらの気持ちが下降気味だと引きずられてしまう。
何故そこまで死を希望したのか、理由は幾つか読んでみたけれど、本当のところはわからない。ただ、相当な遅筆だった事、スペイン風邪に2度かかり、2回目はかなり重症だった事は、今回知った。
たぶんこの本はもう読まないと思うので覚書です。

「大導寺信輔の半生」

芥川の半自伝的小説と言われている。精神的風景画として6章からなる。未完らしい。
本所 出身地への嫌悪・恨み
牛乳 母乳への憧れから牛乳への嫌悪
   母親は身体が弱く信輔に母乳を与えず
貧困 幼児期の貧困への嫌悪・敵意
学校 中学校での孤独 規則への嫌悪 教師への
   敵意 
本  小学生から本を愛すが、貧困の為欲しい本を         
   手に入れる事に難儀する。物語の中に転身
   する。
友だち 頭の良い人・頭脳のある人を好む。
   社会的階級の差別に壁を感じる。
芥川の作品が高尚であるので、それと決めるには難しいけれど、資金的な悩みは大きなものだったのかもしれない。

「玄鶴山房」
この家の主人玄鶴は結核で、もう最期は近い。その家族と看護師の平穏を装う生活の中での心理描写。
『家政婦は見た』を何故か思い出しちゃったよ。
その心理戦が、凄く好きでした。
この頃、芥川は義兄の借金をも背負い込み、困窮を友人らに訴えていた。

「蜃気楼」
たぶん芥川本人が、鵠沼の海岸を散歩する。蜃気楼は見えず、水葬の亡骸を見つける。ただ、それだけなのに、全体的に暗鬱な感じ。

「河童」
物語は精神病患者の思い出話として語られる。河童の国に迷い込み、そこでしばらくの間生活する。河童の国は社会が成立していて、そこでの出来事の描写が現実社会への批判になっている。出産や結婚については、なかなかシビア。胎児が産まれたくないと答えればそこまでとなる。同胞を食用にしたりする。人間社会に戻ったその患者は、再び河童の国に行くことを望む。
で、芥川の命日は『河童忌』。

「歯車」
歯車は偏頭痛が始まるサインのように「僕」の視界で回り始める。これはちょっとわかる。頭痛が始まるサインって人それぞれだけど、私は首の辺りで音がする感じ。
物語の始まりにホテルが出てくる。そのホテルに幽霊が出るという。その辺りの描写は、村上春樹の『ダンスダンスダンス』と重なった。
結局、幻想とか妄想が語られていて小説ではない感じ。何かを誰かにわかって欲しかったのかしらね。

「或る阿呆の一生」
自殺後見つかった51の項目からなる作品。
自身に関係した物事について、端的に回想している。ラストは敗北。
こんなに冷静な文章を書けていたのに、何故、死を選んだのか。もう作家として文壇で認められていたのに。書けば、売れる。が、かなり推敲するタイプだったので沢山書けない。収入は増えない。家族は増える。女性にモテてしまう。
もう少し、中期のような作品を書いて欲しかった。

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2022年01月09日

Posted by ブクログ

久しぶりに芥川の作品に触れたいと思い本作を読むことにした。
今まで読んだ芥川の作品は、羅生門や地獄変のように箴言的なものを感じたり、蜜柑のように描写がきれいなものが多いと思っていた。
本作は、晩年に作られた作品を集めたものらしく、今まで読んできた芥川の作品とは違ったものだった。

特に、死後に出版された「或阿呆の一生」と「歯車」は中身ががちゃがちゃしており、これを解説を見ないで、いろいろと理解できる人がいたらすごいと思った。
ただ、理解しにくい内容でも、何となく不安感や厭世感は見えているので、そのあたりの空気感を楽しむのには良いのかもしれない。

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2021年08月01日

Posted by ブクログ

全編を通してどうしても自死狂死に惹かれているのが解る。お金についてかなり悩んでいるのに、身を切り売りするような文章を作っているので苦しそうに感じる。

「蜃気楼」
蜃気楼と真っ暗な海岸でマッチをつけること。夢の中で全く意識していない人が出てくること。意識の閾の外の見えない部分を表現しているんだなあ。

「河童」
河童はファンタジー世界を作っていておもしろい。でも現実の思想、作家、音楽などが浸食している。

「歯車」
私も偏頭痛の閃輝暗点を感じることがあるから、解るぞこの感じ!と思った。歯車とは言い得て妙で動くチカチカするものが終わってくると頭痛が酷くなる。

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2020年10月06日

Posted by ブクログ

歯車、ある阿呆の…、大導時しんすけ、どれも自分のことを題材にしてるのかな、と思った。
生きていくのってそうそう楽しくはないよね、むしろ重苦しいよね、と言われているような。
前向きに、とか夢に向かって、向上心を持って、なんてことに疲れている時はむしろ救われる?

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2020年03月08日

Posted by ブクログ

‪全体的に漂う不気味な美しさを味わえた。蜃気楼、海、漂流物といったモチーフとその情景が印象的な『蜃気楼』、価値観が反転した河童の世界を体感する、ファンタジー満載かつ強いメッセージ性を感じる『河童』が好き。‬

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2020年01月15日

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