芥川龍之介のレビュー一覧
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ショートショートを集めた短編集のよう。個人的に印象に残ったのが「三十一 大地震」。酸鼻という感覚を詳細に文字に起こすとこうなるのかという発見があり迫真。
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『蜜柑』
この短編は学生時代にも授業で取り上げられていたし、大人になってからも何度か読み直す機会があったのですが、歳を重ねるにつれ、娘が投げた蜜柑の色鮮やかさに切ないものがこみ上げてきます。
疲労と倦怠、退屈な人生に辟易している「私」の目に飛び込んできた、心が踊るような暖かな色。走り去る汽車で起きた一瞬の出来事。娘の優しく美しい心に、忘れてしまった歓びがよみがえる。しかしそれも汽車が走り去るように、すぐに消えてしまうのでしょうけど…
さすが芥川。文章だけなのに、蜜柑が落ちる様子から汽車の速度まで情景が浮かび、読後、一枚の写真のように心に残ります。
ところで、こんな画集があるとは知りませんで -
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大正文学の頂点です。
明治文学には見られないテンポの筆致で、驚くほど急速に物語が展開し一気に結末迄読者は連れていかれます。大正文学の頂点と言える作品であり、現代でも全く色褪せません。
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Posted by ブクログ
ネタバレわたしが一番好きな本。
とりわけ、『袈裟と盛遠』『藪の中』が好き。
その作中の女性が好き。
女性は男性に対して唐突に、大胆な事をする。ある種の凄みをもって。
男性はそれを受け入れるしか術はない。
『袈裟と盛遠』は、「盛遠という男性が袈裟という女性の亭主(渡)を殺害する前夜」の話である。
袈裟と盛遠は互いに憎しみあいながらも関係してしまっている。
盛遠は袈裟に言う。
「渡を殺そうではないか」
袈裟はそれを、なんと承諾する。
その時の「いきいきとした」表情に盛遠は困惑するが、この誓いを全うする事を心に決めざるを得ない。
それは何故か??
『藪の中』に登場する女性も同様の突飛 -
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読みやすい今昔物語の一話
芥川龍之介の代表作のひとつときいたことがあっても、今回初めて読みました。
流れるようなお話の展開に引き込まれ、とってもおもしろかったです。
ダンテの神曲やいろいろな教養から書かれた作品のように感じました。 -
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本能
初めて読んだのは,高校一年生のときだっただろうか。
衝撃的なシーンが目に浮かび,絵の具で羅生門の絵を描いたほどだった。
大人になった今では,そこまでのショックは受けない。
あきらめと,少しの同情。
どうしようもないことを,どうにかしようとするこころ。
それはやがて,醜い本能となる。
生きるとは,何かを奪い続けること。
生きてることこそ,異常事態だ。 -
Posted by ブクログ
芥川さんてこんな作品を書く方だったんだ…と衝撃がすごい(x_x)グワーングワーン
『走れメロス』も『羅生門』も正直あまり細かいとこまで覚えていないし、況んやそれについて自分がどう感じたなんてことをば(日本語真似したいけど下手)
『蜘蛛の糸』とか『犬と笛』とかは私が持っていた芥さん(芥川さんより芥さんと呼びたい)の割りとイメージ通りだったけど、『蜜柑』とか『トロッコ』はこんなにも鮮やかな言葉で心象風景を描けるなんて…と感動した。この二編特に好き。人生で蜜柑みたいな瞬間、ずっと待ってるというかそんな瞬間があるから何とか生きてる、な自分。
『猿かに合戦』の「きみ達も大抵蟹なんですよ」良いで