あらすじ
人間らしさを問う「杜子春」、梅毒に冒された15歳の南京の娼婦を描く「南京の基督」他、姉妹と従兄の三角関係を叙情とともに描く「秋」など、大正9年の作品計17編を収録。
(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
※本作品は電子書籍化にあたり、紙本に含まれていた次の要素を削除しております。
〈作品解説 三好 行雄〉
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
食べるものも住む所もない杜子春は、[何を考えているんだ]とおじいさんに問われる。お金がなく困っている杜子春に、おじいさんはお金のありかを教える。主人公はお金を得たが!満たされず、幸せとは何なのかと葛藤する。
人間にとって大切な物は何か、人間らしく生きていくとは何なのかと考えらさせれる良作である。
Posted by ブクログ
貧乏か裕福かの物差しで語られる序盤から、次第に「人間にとって大切なものとは何か」を問う内容へ変化していきました。仏教的な要素も感じられるほか、登場人物たちのキャラクターも面白みがあり、芥川作品の中でもお気に入りの1つとなりました。
Posted by ブクログ
杜子春
お金がなくなれば離れていってしまう人たち。そんな虚しさはいつの時代でもあると思います。
大切なものに気付いた杜子春の最後の決断、すごく良かったです。
Posted by ブクログ
杜子春 芥川龍之介 角川文庫
久々の杜子春
きれいな日本語にホッとしながら
さっぱりとした物語に
いっとき素の自分になれたように
世間のシガラミを忘れることができた
改めて考えれば
素に嘘なく暮らすことができれば
何よりだということを想うが
それこそが永遠にありえない道のりだとも知る
芥川龍之介ですら夢の又夢でしかなかった
目標だったのだろうから
Posted by ブクログ
お金=幸せだと思っていた主人公の杜子春が、貧乏になったことで人の薄情さを知り、仙人との出会いを通して母親の愛情を知る話。
短い文章の中で杜子春の成長する姿が伝わってきて読んで良かったです。
Posted by ブクログ
表題作「杜子春」は幼い頃に読んだ記憶はありますが、今読むとより胸にくるものがありました。子供のころより、両親の死を近く感じるからかもしれません。
他の話で印象的だったのは「南京の基督」と「影」。あとは随筆も楽しく読みました。
「南京の基督」は娼婦、娼館が題材なわりにさすが芥川!と言わざるを得ない美しい文章で感嘆しました。夢物語のようで背景には暗澹たる現実が広がっている、でもそれに娼婦は気づくことなく朗らかに笑っているその対比がよかったです。
「影」が印象に残ったのは、私自身が乱歩が好きで、ミステリ小説に惹かれたからです。
ミステリとしては、あまり出来がいいとは言えないかもしれませんが…芥川が書くミステリという新鮮さがよかったです。
Posted by ブクログ
この短編集で印象に残った作品は、2つある。「秋」と「杜子春」だ。
「秋」
芥川龍之介の作品としては、珍しいストーリーであった。愛人を妹に譲り、自分は文学の才能を犠牲にする。自己犠牲は、読者を辛い気持ちにさせる。しかし、この手の話はドラマチックなところもあり、何となく共感できてしまうところに惹かれてしまった。
「杜子春」
「蜘蛛の糸」と共に名作と言われる作品である。小学生以来に読んだが、新たな気持ちで読むことができた。人は薄情だと言う杜子春の気持ちは、痛いほど分かってしまった。人より優れたものを持っている時は人気者になれるし、それが失くなれば離れていく…上辺だけの付き合いではなく本当の友達を見つける時、そういうやり方で見つけたりするものだ。人間らしく正直な暮らしをしたいと願った杜子春に、一軒の家と畑という最後で最高の贈り物を渡した鉄冠子は素敵な仙人だと思った。
Posted by ブクログ
電車時間の読み物
芥川2冊目
『秋』再読した、めっちゃ好き。文章綺麗すぎる。
『南京のキリスト』も好きだな、『お律と子らは』はちょいど最近観た小津監督の『東京物語』を思い出した。
文学の話はそんなに詳しくないけど、芥川って思ったより寓話みたいな、なんかそういう感じだった。調べた感じ確かにそういうのが得意らしく、なんか全然関係ない物語の奥深くに潜む達観した感じ?暗い感じ、葛藤(いや、葛藤はそこまで感じとれなかったかも)がメッセージとして読み取れるみたいな。秋はそっち系じゃないけど、なんかうつくし過ぎたんだよな
Posted by ブクログ
収録作品は、『秋』『黒衣聖母』『或敵討の話』『女』『素戔嗚命』『老いたる素戔嗚命』『南京の基督』『杜子春』『捨児』『影』『お律と子等と』『沼』『寒山拾得』『東洋の秋』『一つの作が出来上るまで』『文章と言葉と』『漢文漢詩の面白味』
また最後には同時代人の批評も載っている。
『素戔嗚命』は長いせいか、よく覚えている。正直、素戔嗚命に感情移入はできなかった。というか性格が悪いと思った。特に娘と娘の彼氏に対して。
『南京の基督』では、名状しがたい気持ち悪さを感じた。良さが分からなかった。
『杜子春』はある程度話は知っていたが、読んでみても面白かった。人間の真理をついているように感じた。