あらすじ
地獄に落ちた男が、やっとのことでつかんだ一条の救いの糸。ところが自分だけが助かりたいというエゴイズムのために、またもや地獄に落っこちる『蜘蛛の糸』。大金持ちになることに愛想がつき、平凡な人間として自然のなかで生きる幸福をみつけた『杜子春』。魔法使いが悪魔の裁きを受ける神秘的な『アグニの神』。健康で明るく、人間性豊かな作品集。
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教科書で初めて読んだ芥川龍之介は『蜘蛛の糸』だったと思う。とても、胸に刻まれたから。
自分の事だけ考えて他人を貶めるような人は結局地獄行きなんだ…みたいな強烈な印象が残り、私は子供時代イジメに加担させられるくらいなら1人になったっていいんだと転校する先で度々一人ぼっちになりながらも、逞しくしていたら、最終的には周りの方々に別れを惜しんで頂ける人生を送られていると思うと本作には感謝しかない。
そんな蜘蛛の糸の他、実は未読だった杜子春も改めて読むと、これも最終的に自分だけ良ければいいという考えを改めたくなる話で他にも、そう言ったニュアンスを感じる作品が多いなと実感。
本作は、年少文学を集めているので、教訓が滲む話ばかりで、懐かしい気持ちになる。
そして、巻末の解説は2人の方が書かれていて、それぞれの見解は面白い、御丁寧に年表まであるので、芥川龍之介好きには宝物になる本でした。
東京都北区の田畑文士村記念館では、来年(令和7年1月)までクラウドファンディングで芥川龍之介記念館の建築を計画されてるので、ご興味のある方は北区のホームページを覗いてみてくださいませ。
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最高におもろい!洗練されすぎている
なんで昔の話なのにこんなに今面白いんだろうと思うけど、結構その時代の話ってよりファンタジー要素みたいな創作の部分がでかいからなのかもしれん
Posted by ブクログ
『蜘蛛の糸』は芥川龍之介が初めて書いた児童向け文学で、仏教説話としても有名な名作短編です。私も僧侶という仕事柄、この『蜘蛛の糸』のお話を法話や仏教書で見聞きすることは数多くありますが、このお話はお寺関係という枠を超えて日本人全体に親しまれてきた作品ではないでしょうか。
そして本書巻末解説では『蜘蛛の糸』制作についての詳しい解説が説かれていたのですが、これが私にとってかなりの驚きでした。簡単に要点をまとめると、⑴『蜘蛛の糸』が元々仏教由来なのかどうかはわからないということ、⑵この作品がドストエフスキーやトルストイとも関係があるという2点があげられます。
これは興味深かったです。
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学生時代に読みましたが、大人になって改めて読むと学びがあるのだと実感しました。
杜子春が好きですね。人としてどうあるべきかを
ストレートに伝えてくれるお話の数々。
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再読に次ぐ再読。
大好きな作品集。
何度読んでも、面白さは変わらない。
トロッコが特に好き。少年の心細さを体感してしまう。
この時代の作家は凄いですね。
Posted by ブクログ
「蜘蛛の糸」
「犬と笛」これぞ龍之介の短編!!ってかんじがして大好き
「蜜柑」
「魔術」谷崎潤一郎の『ハッサン・カンの妖術』のマテイラム・ミスラを巧妙に利用して試みた二重虚構。粋。
「杜子春」
「アグニの神」
「トロッコ」帰り道のあの泣きたくなるような不安感が分かりみすぎる…
「仙人」
「猿蟹合戦」最後の一文、“君たちも大抵蟹なんですよ。”……!!??恐怖!!そもそもこれはEテレの昔話法廷そのものでは?
「白」
Posted by ブクログ
ああ、思い込みって勿体無い。
羅生門、地獄変、蜘蛛の糸あたりを子供の頃に読んだせいか、芥川龍之介=仄暗い怖い話を書く作家、と思い込み、あまり読んだ事がなかった。
こんなに素敵な作家の作品を今まで読まなかったなんて、私のバカ!
Posted by ブクログ
短い絵本むきの話がたくさん載っており、起承転結がくっきりしていて読みやすい。芥川龍之介の文章は本当に読みやすい。
「蜘蛛の糸」あまりにも有名な話なので、芥川の作品とは知らなかった(仏典やロシア版もあるようだけど)。
「杜子春」別の話と勘違いしていた。仙人になるための試練の話だけど、「封神演義」を彷彿とさせた。
「猿蟹合戦」童話の後、裁判になったらどうなるか、という話。「昔話法廷」と同じ形式。
「白」主人公の犬自体は不幸だけど、人助けをする伝説の犬みたいになってる!
巻末に芥川の人生の概要が載っている。子供の頃から読書が好きで本当に利発なようだけど、母親も義兄もそして芥川も精神を病んでいる様子から、遺伝的素養があるのかも、と感じた。
Posted by ブクログ
どれも面白くて楽しく読めた。
芥川ってこんなに読みやすかったんだ。
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地獄に落ちた男が、やっとのことでつかんだ一条の救いの糸。ところが自分だけが助かりたいというエゴイズムのために、またもや地獄に落ちる「蜘蛛の糸」。
大金持ちになることに愛想がつき、平凡な人間として自然のなかで生きる幸福をみつけた「杜子春」。
魔法使いが神の裁きを受ける神秘的な「アグニの神」。
少年少女のために書かれた、健康で明るく、人間性豊かな作品集。
Posted by ブクログ
「蜜柑」を以前電子で読んでものすごく感銘を受けたので紙の本も欲しいなあと。
びっくりしたのが、わたくし杜子春のストーリーの前半部分(金持ちになってそのあとまた貧乏になって〜のくだり)すっかり忘れていた←
そこまあまあ重要だろw
「猿蟹合戦」が強く印象に残った。
さらっと読める短編だけど、よくよく考えると結構怖いことだよね。現実世界でも、どっちにも転ぶ可能性があるよってことを肝に銘じておかないと…
その時代の価値観なんて一瞬でひっくり返ることを、私たちは例の感染症で身をもって知っている訳だし。
「白」も良かった。白がみずからの弱さと向き合って、打ち勝って、幸せを取り戻して。
温かいラストが良かった。
Posted by ブクログ
蜘蛛の糸
地獄にいる人を再び地獄に突き落とす。とてもむごい話だと思いました。お釈迦様は決して善人ではないと思いました。
杜子春
求めれば上限のない欲について書かれた本でした。
本当に大切なものは欲とは関係のないところにある。そう思う話でした。
お金よりも心を大切にしたいと思う話でした。
Posted by ブクログ
どれも捨てがたいが、個人的には「蜜柑」と「白」がとりわけ印象に残った。
蜜柑を読むと、鬱屈とした苛立ちがもやもやと吹き溜まっていたところから一転、びゅうっと爽やかな風が心に吹き抜けていく感じがする。
白は、あの時ああしておけばという取り返しようのない悔やみを抱えても、その先の生き様によっては救いはあるのではないか?という希望を見出させてくれるような優しさがある。
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芥川龍之介の入門編。とても読みやすい。「蜜柑」はいつ読んでも目の前に鮮やかな映像が思い浮かぶ。美しい文章。「犬と笛」「白」が好み。「トロッコ」は少年の冒険心と傷つきやすい心をノスタルジックに描く。「仙人」は権助、してやったり!
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収録短編は蜘蛛の糸(教科書でお馴染み)・犬と笛・蜜柑・魔術・杜子春(教科書でお馴染み)・アグニの神・トロッコ・仙人・猿蟹合戦・白の10。人間のささやかな欲や煩悩は抑えられてもゼロにはできないんだなと子供にも諭させるミスラ君が登場する魔術が好きなんですが、逆に蜜柑は蒸気機関車に載ったことがないのでぴんとこなかった。トロッコは田舎に住んでた自分の子供のときの広い世界に感じる不安に思いを馳せると意外としっくりする。やはり芥川龍之介は寓話を借りた児童文学を書かせると抜群に上手い
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昔話のような、教訓を含んだものが多かった。
今読んでも十分面白い。
子供向けに書かれた話が多いせいか、丁寧な言葉遣いが美しいと思ったが、よく見る写真のイメージとのギャップがあっていい。
特に、「杜子春」や「トロッコ」は国語と授業で習った記憶があり、改めて読んでもやはり好きな話だなと思ったし、「蜜柑」や「白」もよかった。
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『蜘蛛の糸』
生前に一度だけ蜘蛛を助ける善行をした悪人に、お釈迦様が極楽へとつながる蜘蛛の糸をお下ろしになった。
追って糸につかまる悪人どもを蹴落としてひとり助かろうとした男だが、糸は切れて地獄の底へと姿を消して…。
昼前の極楽浄土の些事。
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『羅生門』を授業で習ったので読んだ。
1年ぐらい前に読んだ『こころ』などよりは、この本の方が分かりやすかった。
難しい漢字には振り仮名があって、こんな読み方をするんだという発見になった。
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蜘蛛の糸
改めて読むと「人間ってこんなもんだろ」と思う様になってしまった。
激混みする電車のなかで広告として流したらいいと思います。( ᐛ )و
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芥川龍之介と言えば羅生門を教科書で読み、地獄変、蜘蛛の糸を思いだしたんです。
こちらは少し物語がやさしい、わかりやすい感じでした。
その中でもはじめて読んだ蜜柑にとても惹かれました。
これは…好みのやつだ。
どの時代も、平然たる、日常の、生活での感情の機微は凹凸があるのだと思うが、作品そこにトリップしたような後読感で気持ちよかった。
こういう生活感があって、そこでのちょっとした非日常がすきなのかも。
龍之介目線。
列車でどこぞへ向かうのだが、ほぼ客のない列車内で、発車まで座席でなにを思うでもなく退屈に待つ龍之介。
やっと発車の笛がなる中、一人の娘が乗り込んでくる。
身なりがいかにもいなか者然としている娘。
その娘の存在が龍之介の退屈を払拭してゆくイメージなんですが、龍之介が娘を見る目の変化と、娘の境遇、諸々がわたしにはとても善き。でした。
Posted by ブクログ
こうしてまとめて芥川を読めてようやく教科書の呪縛から逃れられそう。
年少者向けの短編をまとめたものだということで
大人目線のものは『蜜柑』だけ。
でもどれも不思議が当たり前にある世界が楽しい。
Posted by ブクログ
芥川龍之介が残した児童向けの短編童話集。
表題の蜘蛛の糸、杜子春以外にも短くてすぐに読める短編が収められている、
表題の2作はもちろんよかったが、個人的に蜜柑もとても良かった。
ストーリーが面白いだけでなく訓示めいたものもあり、皮肉の効いたユーモアもありでなかなか面白い
Posted by ブクログ
大学時代、文学といふものを改めてやつてみようと思ひたち、試みに手にした一冊。表紙は2017年のプレミアムカバー。多分カバーに惹かれて買ってる。
『魔術』と『杜子春』とはほぼ同じプロットっぽいな。たまたまではあるが『無双OROCHI』を最近やっていてまさか左慈がここで出てくるとは思わなかった。どこで繋がるか本当にわからないもの。
『トロッコ』のようなトラウマは覚えがある。幼い頃、家族で温泉旅行した時のこと。旅館から出発する家族の車に置いていかれるところだったことがある。あの時の恐怖は度々フラッシュバックする。
なんかでも飛び抜けて面白いわけじゃないんだよなと思ってしまう。こういうもんかと思えばそれまでなんだが、賞として名が残るくらいだからと勝手に期待値を上げてしまったのかもしれない。筒井康隆のように出会った時代の問題か?
そういえば今思い出したが『蜘蛛の糸』は幼稚園の絵本で読んだ気がする。
Posted by ブクログ
トルストイの晩年の民話風小話は素朴なキリスト教民間信仰がベース、芥川はニヒリスト。『杜子春』「親子の情愛も抹殺するような共産主義的人間に人生の価値はない」とか「他人を蹴落とし犠牲にすることばかり考えているから地獄なのだ」『蜘蛛の糸』といった教訓話は浅薄に感じる。『仙人』医者が田舎者を仙人になれると二十年こき使って、挙げ句に高い松に登らせて「右手を離せ/次に左も」と指図すると雲が湧いて仙人になってしまった。師匠が理不尽な無茶いう奇人でも弟子が大成するのはよくあること。
『アグニの神』日米戦争を必然とし神託で開戦の時機を探る場面がある。
娘にこの本をくれた創価学会の姉さんは何を伝えたかったのだろう?
Posted by ブクログ
オモコロのみくのしんさんの本を読むにあたり、収録されている「杜子春」を未読だったため先に読んでからみくのしんさんと並走したいと思い購入。
蜘蛛の糸は既読でしたが、最後のセクションがとてもいいなと思いました。