あらすじ
地獄に落ちた男が、やっとのことでつかんだ一条の救いの糸。ところが自分だけが助かりたいというエゴイズムのために、またもや地獄に落っこちる『蜘蛛の糸』。大金持ちになることに愛想がつき、平凡な人間として自然のなかで生きる幸福をみつけた『杜子春』。魔法使いが悪魔の裁きを受ける神秘的な『アグニの神』。健康で明るく、人間性豊かな作品集。
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Posted by ブクログ
『蜘蛛の糸』は芥川龍之介が初めて書いた児童向け文学で、仏教説話としても有名な名作短編です。私も僧侶という仕事柄、この『蜘蛛の糸』のお話を法話や仏教書で見聞きすることは数多くありますが、このお話はお寺関係という枠を超えて日本人全体に親しまれてきた作品ではないでしょうか。
そして本書巻末解説では『蜘蛛の糸』制作についての詳しい解説が説かれていたのですが、これが私にとってかなりの驚きでした。簡単に要点をまとめると、⑴『蜘蛛の糸』が元々仏教由来なのかどうかはわからないということ、⑵この作品がドストエフスキーやトルストイとも関係があるという2点があげられます。
これは興味深かったです。
Posted by ブクログ
短い絵本むきの話がたくさん載っており、起承転結がくっきりしていて読みやすい。芥川龍之介の文章は本当に読みやすい。
「蜘蛛の糸」あまりにも有名な話なので、芥川の作品とは知らなかった(仏典やロシア版もあるようだけど)。
「杜子春」別の話と勘違いしていた。仙人になるための試練の話だけど、「封神演義」を彷彿とさせた。
「猿蟹合戦」童話の後、裁判になったらどうなるか、という話。「昔話法廷」と同じ形式。
「白」主人公の犬自体は不幸だけど、人助けをする伝説の犬みたいになってる!
巻末に芥川の人生の概要が載っている。子供の頃から読書が好きで本当に利発なようだけど、母親も義兄もそして芥川も精神を病んでいる様子から、遺伝的素養があるのかも、と感じた。