【感想・ネタバレ】羅生門・鼻のレビュー

あらすじ

京の都が、天災や飢饉でさびれすさんでいた頃。荒れはてた羅生門に運びこまれた死人の髪の毛を、一本一本とひき抜いている老婆を目撃した男が、生きのびる道をみつける『羅生門』。あごの下までぶらさがる、見苦しいほど立派な鼻をもつ僧侶が、何とか短くしようと悪戦苦闘する姿をユーモラスに描いて夏目漱石に絶賛された『鼻』。ほかに『芋粥』『好色』など“王朝もの”全8編を収録する。

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感想

芥川龍之介の本を読むのは、同じく新潮文庫の『蜘蛛の糸・杜子春』に続いて2冊目。

こちらの方は今昔物語などの古典がもとになっている話が多くて、芥川龍之介風に古典を解釈したら、というもの。

有名な『羅生門』『鼻』『芋粥』は、国語で習ってぼんやりと覚えていたものの、改めて読むと面白い。

どれも童話的な雰囲気で、その中に「人間って、こんなことするよなあ」というエピソードが含められている。

こういうところが、長く読みつがれている所以なんだろう。

特に私は『羅生門』が好きだった。

不気味な雰囲気、細かい描き込み、人間の我欲。

「悪を働いた人には、何をしてもいいのか?」ということを思い、今のSNS内で繰り広げられるドロドロした争いにも通ずるものがあると感じた。

誰しも自分が可愛いものだ。

極限の状態にあったら、人は他人を蹴落とすのかもしれない。

しかしSNS内で行われている「弱者への石投げ」は、極限状態ではないところが違って、そこが恐ろしい。

匿名でバレないからということを盾に、弱っている人に石を投げる。

人間って怖いと、いつも思う。

そんな争いに巻き込まれないように、平然と生きていきたいものだと思っている。

メモ

羅生門

下人の行方は、誰も知らない。(p18)

国語の授業で習うが、当時はどう考えればいいのかまるで分からず、ただただ不気味で、暗い話だなあと思っていた『羅生門』。

老婆は生前に罪を犯した女性の死骸から髪の毛をむしり取り、下人は老婆から着物を剥ぎ取る。

まとめてしまえばそれだけの話ではある。

ただ、大人になった今、読みながら思うことは、「罪を犯した人間には何をしても許されるのか?」だった。

SNSで炎上する人がいたら、その人に対して何の所縁もない人が石を投げ、酷ければ自殺に追い込むことさえある。

人間は案外残酷なことをできるもので、特にそれが匿名となると、本当にむごい。

羅生門でも、下人は見ず知らずの老婆を相手に素性を明かさないまま、「お前は罪を犯した女性の死骸から髪を取るという罪を犯しているんだから、何されてもいいよな?」と言わんばかりに酷いことをする。

「飢え死にしないために」と老婆も下人も言うが、そんな極限の状況にあったら人は他人を陥れてでも生き延びようとするという、人間の恐ろしい性根が見える。

自分はどんな状況にあっても高潔でいられるかなと怖くなった。



内供は、いつものように、鼻などは気にかけないと云う風をして、わざとその法もすぐにやって見ようとは云わずにいた。そうして一方では、気軽な口調で、食事の魅年に、弟子の手数をかけるのが、心苦しいと云うような事を云った。(p23)

15〜18cmほどの長い鼻がコンプレックスである禅智内供。

お弟子さんが「都で鼻を短くする方法を聞いてきました!」と言っても、「マジか!すぐやろう!」となるのではなく、「ふーん、そうなんだ。まあ、いつも君に食事の時に鼻を持ち上げてもらうのも申し訳ないし、やろうかな」くらいの感じで言い返す内供が、人間味があって好き。

何となくこういう会話って今もあるよなあと思う。

こうなれば、もう誰も晒うものはないにちがいない。 内供は心の中でこう自分に囁いた。長い鼻をあけ方の秋風にぶらつかせながら。(p30)

茹でた鼻を踏ませて、出た油を取るというまさかの方法で鼻が短くなった内供。

しかし短くなって普通サイズになった鼻のある内供を見て周りの人が笑い出す。

「他人の不幸を同情しつつも面白がる『傍観者の利己主義』とも言える感情が人間にはある」と芥川は言う。

そして最後、また長い鼻に戻った内供は「これで笑われない」と安心する。

結局、鼻の長さがどうというより、「他人からどう見えるか」「浮いてないか」が大事なのであって、内供のようなお坊さんでもそんな気持ちになるんだなあと思う。

芋粥

栄養の不足した、血色の悪い、間のぬけた五位の顔にも、世間の迫害にべそを掻いた、「人間」が覗いているからである。(p35)

いじめられる五位を見た一人の青年の侍が、五位の顔を見て感じたのは、同情か、憐れみか、そんなものかもしれない。

「いじめられる側にも問題はある」のような言い分は昔からよく聞く。

それは「いじめても良い理由」にはならないし、本質的な話じゃないなと個人的には思う。

誰しも一生懸命生きているのだ。

第一、時間のたって行くのが、待遠い。 しかもそれと同時に、夜の明けると云う事が、芋粥を食う時になると云う事が、そう早く、来てはならないような心もちがする。(p53)

主人公の下級官人である五位は、皆からいじめられている役人だったが、一つの夢があった。 「芋粥をお腹いっぱい食べたい」というものだ。 当時、芋粥は高価なもので、滅多に食べられるものではなかった。 ある日、利仁という武将の家のある敦賀へ招かれ、芋粥をお腹いっぱい食べられるチャンスを得る。 しかしその少し前から、五位に「芋粥を食べたくないなあ」という気持ちが芽生える。 私は、「これを食べてしまったら夢が終わってしまう」という不安に襲われているのだと思った。 夢が叶う目前にいる。 楽しみなような、しかしこれが叶ったら後はどうなるんだ? という不安。

手に入れる前は強く欲するけど、いざ手に入れたら興味を失う。 現代では「お金がいっぱいほしい」とも言い換えられるかもしれない。 実際に大金を手にしていわゆる『FIRE』を達成したのに、なぜかやりきれない、という話をよく聞く。 人間は夢を追っている時の方が、辛いけど、幸せなのかもしれないな、ということをこの『芋粥』から感じた。



生活に困った女性が観音様に願掛けをする。

その後、お坊さんから「あなたに言い寄ってくる男の人が現れる。断ってはならない」と告げられ、お告げ通りに男性は現れるが、夜道で襲われ、結婚を迫られる。

お告げに従い結婚を承諾すると、男から高価な品をたくさんもらう。

男のいないときに根城の中を見て回ると、そこには高価な物だらけ。

「泥棒だ!」と思い逃げ出した後、男が捕まって連れて行かれるのを目撃し、涙を流す。

その後、男からもらったものを売って幸せに暮らしました、という話。

女性は被害者なのだが、何で最後に男が捕まったとに涙を流したのかが気になった。

「自分で自分がいじらしくなって」とあり、もしかしたら、悪人に捕まり、施しを受け、それで生き延びていくしかない自分が哀れになったのかもしれない。

人間、本当に困っていたら神頼みもするし、もしかしたら悪行にすがってでも生き延びようとする欲が出てしまうのかもしれない。

袈裟と盛遠

なんだかドロドロした話。

武士の盛遠、美しい女性の袈裟、袈裟の夫の渡の三角関係。

盛遠と袈裟のそれぞれの独白で構成されている短編。

盛遠の袈裟に対する愛し方はかなり過激で、本人に言わせても愛しているか分からないというほど。

袈裟も袈裟で、「渡を殺してやる」という盛遠に対して承諾したりと、正直何を考えているか理解できなかった。

DV男と、ダメ男に惹かれてしまう女性的な感じか?

最終的には、盛遠に殺されかける渡を庇って、袈裟は殺されてしまう。

何だか今もありそうなドロドロした恋愛ドラマみたいだ。

邪宗門

まさかの未完作品。

急なお坊さんの法力バトル展開にはびっくり。

摩利信乃法師はキリスト教だと思うけど、この作品の舞台になった当時、キリスト教は日本で知られていたのだろうか?

横川の偉いお坊さんが皆を代表して出てきて戦いを挑み、惨敗するところはかなり可哀想。

好色

「平中、最低なやつだな」

読みながら素直にそう思う。

平中は根っからのプレイボーイで、友人からも「その分野においては天才」と言わしめるほどモテモテだったが、どうしても落とせない女性がいた。

ある日その女性がようやく会ってくれそうになるが、長い経験をさせられ、未練と失意の中でこう考える。

「そうだ、あの女性の嫌なところを見たら忘れられる」

そこへ女性の『う◯ち』が入った箱を持ったお付きの女の子が通りかかる(この文化にもびっくりした)。

その箱をひったくり、「う◯ちを見れば、あの女性を忘れて、俺は俺の命を生きられる」と無茶苦茶なことを考えて箱を開けるも、中にあったのは良い香りの上等な香木。

まさかだが、企みはバレていた。

めちゃくちゃだが素直に面白かった。

俊寛

島流しされた俊寛を訪ねた有王。

都に流れる俊寛さんの噂は尾ひれがついたもので、実際は俊寛さんは島の暮らしに馴染んでいた。

人の噂話とは当てにならないものだ。

何が正しいかは、自分の目で見たものを当てにする方が良い。

また、「何を美しいと感じるかは違う」ということが語られている。

国、文化、時代によって、何を美とするかは変わる。

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2025年10月05日

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学生時代に読んだことがありますが、久しぶりに読みました。羅生門は、とにかく不気味で今読んでも怖かったです。鼻は面白かったです。またいつか再読しようかと思います。

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2025年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

羅生門感想
時代背景的に京の街自体が衰退し、寂寥感があるような情景描写が多かった。情景的に今の平和な時代とは真逆の物々しい感じもあった。

この本を読んで、人間の悪の部分について考えさせられた。老婆や最後の下人のように、人間は何かと理由をつけて、悪を正当化する部分がある醜い生き物なのだと。だが、悪を正当化しつつも、その悪を潔しとしない正義感が悪を食い止めようとして、天使と悪魔のささやきのように二項対立してしまうこともあるのも非常に共感できた。ニキビを触る様子を引き合いに出して、悩む様子を描いたのはとても興味深かった。自分で言うのも烏滸がましいが、私は正義感が強いので、このような場面に遭遇したことが何度もある。

だが、下人のように悪が勝ってしまい、背徳的な行為をしてしまうのもいかにも人間らしいではないか。私もそういう経験があるので、人間のことを憎めない点でもある。人生万事塞翁が馬という言葉が脳裏を少しよぎった。人間は達観して将来を見通して行動するのではなく、その時時の感情で善悪を顧みず、行動することもあるのだと。

老婆や下人が悪いことした人には悪いことをしてもいいと言う正当化は、因果応報や身から出た錆という言葉を思い出させてくれた。この人には悪いことをしてもいいと思われないように、悪事などはせず、真っ当に生きようと改めて心に決めるのだった。

最後になるが、この話はすごく短いながらもメッセージ性を感じた。これほどまでに短い話に、ここまで人間の醜さをつめることができた芥川の才能に脱帽する。下人の行方を想像してみるのも面白そうだ

鼻の感想
人間は誰しも多かれ少なかれコンプレックスを持っている。そのコンプレックスに対する考えをメインに書いた本のようであった。私もこの僧のように、周りにはコンプレックスがないかのような強がりを見せ、心の内奥から沸々と泉のように湧き上がるコンプレックスにどう対処していいか困りあぐねるので、この僧には同情の念を抱いた。模範的な人物像というイメージがある僧でもこれなのだから、人間は多かれ少なかれ自分に対して完璧を求めているところがあるのかもしれない。

私はコンプレックスを解消した経験に乏しい。なので、自分の不幸が消えた後で笑われたが故の、僧の昔のコンプレックスへの懐古の念には新たな発見があった。人はないものねだりなんだろうにと改めて痛感したのと同時に、人は他人の不幸を切に願う忌み嫌われるべき生き物なのだと思った。いくら人に笑われたからといっても、コンプレックスを懐かしむなんてなんと贅沢なことだという私の反感を買ったが、それと同時に自分もその境地に至ってみたいとその僧に対して羨望の念を抱くのであった。また人の不幸をつい探してしまう私もこの笑った人たちと同罪なのだと深く内省するのであった。

枝葉末節さがある感想だが、僧が鼻を整形する際に、自分の鼻を踏んだ僧に対して、利己的だと評していたが、僧の自分の鼻というコンプレックスを解消したいという思いも利己的なものではないか?と疑問を呈してみたりもした。人は自分が利己的な考えに至っているのに気づかないものなのかとふとその考えが頭に浮かんだ。自分も気づかぬうちに利己的になってるんだろうなとふと自省した。

最後になるが、この本にもいろいろ学びや感想があって面白かった。文体や文の難易度的にも、非常に読みやすく、芥川を代表する作品の一つでもあろう。自分のコンプレックスを解消した後、また読んてみたい作品でもあった。

芋粥感想
全体を通しての感想は、人間は欲深く強欲な生き物であると同時に、自分がいろんな人に愚弄され、たとえそれが欲望を叶えてくれるための厚意であろうと種々の不安を感じてしまう疑い深い生き物であると感じた。いざ欲望が叶えることができると、お腹いっぱいになって、これ以上その欲望を叶えるのを拒む面もあるのかなと思った。

ネタバレ含む感想になるが、主人公である五位の義侠心(ぎきょうしん)には感銘を受けた。弱き者を守ってあげるのは人間の鑑であると称賛の声を上げるのと同時に、彼の欲深さには私も貪欲な面はあるよなと人の振り見て我が振りなおせといった感じに、自分の煩悩の多さを振り返るばかりであった。このような人間性の面で内省を促してくれる作品を書いてくれた芥川には、感謝してもしきれないところもある。

最後になるが、私たち人間は恒久に欲深く、こればかりは治らないと思う。自分の貪欲さが鏡のように写っている作品だと思うので、自分は強欲だなと言う考えに至ったときはまたこの本を読んで、反省すべきであると思った。

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2024年12月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ま~それにしても芥川龍之介の短編技術の見事なこと!羅生門を上り、夜の闇に現れる不気味な気配。そこに何がいるのかと大人になっても変わらず夢中になって読んでしまいます。まるで映画的な手法と言いますか、臨場感がとてつもないです。

この作品である一人の男が悪の道へと踏み出すその瞬間を決定的に捉えた芥川。その微妙な心理状態を絶妙にえぐり出したラストは絶品です。

『羅生門』は厳しい。厳しい厳しい世の有り様をこれでもかと見せつけます。悪の道へ踏み出すというのはどういうことなのか、まさにそこへと通じていきます。実に素晴らしい作品です。

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2024年08月28日

Posted by ブクログ

日本人の国民的図書である。大正を代表する小説家である芥川龍之介の短編集だ。その中でも最もポピュラーな「羅生門・鼻」を読んだ。この本には「羅生門」「鼻」「芋粥」「好色」「邪宗門」「俊寛」などが載っている。数ある短編集の中でも、有名どころをまとめた作品だ。まあ邪宗門と俊寛はちゃんと読んだわけじゃないのだが、別にいいだろう。今昔物語という作品がベースになっている作品ばかりなので、そっちを知らないと楽しめないかと思ったのだが、別にそんなことはなかった。タイトルにもなっている羅生門と鼻は本当に皮肉が効いていて面白い。ただ流石大正の作品というだけあって、言葉遣いが今と若干違うが、かといって読みづらいようなことはなかった。文章のつなぎ方や作品ごとの語り口が巧みで、見事なものだった。まったくの素人である俺でも、語り口が別人すぎて驚いた。別ジャンルなのだろうが、語り口が変わる作品で西尾維新の物語シリーズがある。これも結構変わりはするのだが、著者が描きやすいようにキャラクター性が強くなっている。本作はそんな癖はどこにもないが、しかし別人なのだ。そのあたりは技量を感じた。これについてはすべての作家に共通して言えることかもしれないが、一つ一つの作品に込めた思いが強いので、後味もしっかりしている。むしろ後味が強すぎて他が入ってこない。最後の数行で事態が一変する構造は、見ていておもしろかった。やはりこの代表作には一度目を通しておいた方がいい。

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2023年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『羅生門』『鼻』『芋粥』『運』『袈裟と盛遠』『邪宗門』『好色』『俊寛』 今回ら『俊寛』が良かった。

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2025年11月25日

Posted by ブクログ

陰鬱で不気味な羅生門。人生に詰んだ下人の心が行ったり来たりする。生きていくために盗人になろうか、どうしようか。(若いんだから、真っ当に働けよ、と思ったのは私だけではないはず)
羅生門の二階で罪深い老婆の悪行を見て、人の心を取り戻し正義を守ろうとする。
が、その老婆の言い訳を聞いて反転する。
コロコロ心変わりをしていくさまに、読んでる私も右往左往してしまう。
気持ちがひっくり返るのが面白い。そして最後は…。

「羅生門」は昔、読んだ記憶があるものの今イチ面白さがわからなかった。そして大人になった今、マイ芥川ブームで作品の読み直しを始めて改めて物語の深さに気づいている。どの作品も面白過ぎる。人の心の闇を書くのがうまい。
こんな気持ち、私にもあるなぁ、と思い起こさせてくれる。

「鼻」や「好色」なんかは滑稽な話で声を出して笑ってしまった。ヤバ過ぎる。こんな明るい話も書けるのか。この手の話をもっと読んでみたいと思った。初期、中期の作品をしっかり読んでから、後期に突入するのが良さげかな。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

源平盛衰記や仏教用語など調べないとわからないことが多くあったのでそこは難しかった。ただ、羅生門など教科書に載るような短い話は理解が比較的簡単で面白い。

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2025年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「羅生門」
主人公が、死人の髪を抜いている老婆を見つけた時は、自分の正義のもとに怒りを露わにしながら老婆を捕らえるが、その死人は罪人であり、こうなるのも仕方がないと老婆が説明すると、主人公は老婆の服を剥がして盗み逃げてしまう。正義の揺らぎがすごくわかりやすく描かれている作品だと思いました。
「鼻」
大きな鼻がコンプレックスの主人公がなんとかして鼻を小さくするも、依然として周囲から笑われる。そしてある日突然鼻がまた大きくなると主人公は安堵感を覚える。
人にはコンプレックスが大なり小なりあり、たとえそれが解消されてもコンプレックスは尽きない。と言うことを言いたかったのかなと思いました。

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2024年08月14日

Posted by ブクログ

久々の芥川龍之介の再読。大河ドラマ(光君へ)で関心を集めている平安時代初期の時代背景に注目。近代小説家(自然派と言われた人々)の有名人の一人である芥川龍之介の作品から王朝物文学の傑作を読む。良く勉強しているのにはただただ驚くばかり。

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2024年03月01日

Posted by ブクログ

「心の裏側」

芥川龍之介の「羅生門」を読んだのは先週だった
映画『羅生門』を観て、どうしても気になってしまったから
短編で読みやすいが内容はとても奥深く人は生きるためは何者にもなれるのだと思ったものです。
「鼻」
どんな本なのかと読み進むとこれまた意外
これも短編で読みやすい
読みやすいが深読みするとどこまでも深い
噺家がやればなかなかの笑い話だけども心の動きがよく分かる
漱石さんお墨付きになるわけだ
今度は芥川龍之介の短編集を読んでみたいです。

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2023年06月20日

Posted by ブクログ

引き続き昔の文学を…の流れで、芥川龍之介作品を。
オーディオリスニングにて読める代表作をパラパラ(蜘蛛の糸、蜜柑、羅生門、トロッコ、杜子春、鼻)と…代表して感想をここに記載。

いや…何かエモいやん、芥川龍之介・大先生( ̄∇ ̄)

美しいながらも読みやすい…程よく装飾性のある文章、個人的にはスゴく心地良かったです。

今読むと話自体は決して珍しくはないんですが…
芥川龍之介作品とは、その超絶王道なストーリーを「巧みな筆力」と「偉大なる文豪の肩書き」を命綱にして読む作品なのかなぁと…我ながら、結構なお手前で…( ̄∇ ̄)wwwww

あと、どの作品も最後(あたり)の一文が素晴らしいですね。
羅生門で言うところの「下人の行方は、誰も知らない。」的な(笑)

綺麗なフリオチのストーリーを、最後の圧倒的な美しい文章で仕上げつつ、ピリッとした緊張感を持たせる…コレが「文学」感を出してるんかなぁと。

「ええ感じのオチ書いたやろ」って、ほくそ笑んでる芥川龍之介さんの顔が浮かんできますね…うっすら漫才の最後で言ってんなぁ…「もうええわ」って…したり顔で…(´∀`)


<印象に残った言葉>
・下人の行方は、誰も知らない。(P18)

・ーこうなれば、もうだれも嗤うものはないにちがいない。内供は心の中でこう自分に囁いた。長い鼻をあけ方の秋風にぶらつかせながら。(P29)

・しかし極楽の蓮池の蓮は、少しもそんなことには頓着致しません。その玉のような白い花は、お釈迦様の御足のまわりに、ゆらゆら蕚を動かして、そのまん中にある金色の蕊からは、なんとも言えないよい匂いが、絶え間なくあたりへ溢れております。極楽ももう午に近くなったのでございましょう。(P70)

・暮色を帯びた町はずれの踏切と、小鳥のように声を挙げた三人の子供たちと、そうしてその上に乱落する鮮やかな蜜柑の色とーすべては汽車の窓の外に、瞬く暇もなく通り過ぎた。が、私の心の上には、切ないほどはっきりと、この光景が焼きつけられた。そうしてそこから、ある得体の知れない朗らかな心もちが湧き上がってくるのを意識した。(P152)

・塵労に疲れた彼の前には今でもやはりその時のように、薄暗い藪や坂のある路が、細々と一すじ断続している。……(P236)


<内容(「BOOK」データベースより)>
この天才を越えた者がいただろうか? 近代知性の極に荒野を見た作家の珠玉作品集。
小説家の登龍門である「芥川賞」に、その名をとどめる芥川龍之介は、深刻な人生の悩みに耐えながら、機智と諧謔と博識を駆使し、みごとな短篇小説を書き残した。
平安時代、荒廃した都で途方に暮れていた下人は、若い女の遺体から髪を引き抜く老婆に怒りを燃やす……「羅生門」。
蜘蛛の糸につかまって自分だけ助かろうとした男のエゴイズムの果てを描く「蜘蛛の糸」。
贅沢と転落を繰り返し、人間に愛想をつかした若者が仙人になりたいと望んで……「杜子春」。
新鮮な抒情、傑出した虚構、そして明晰な文章で、今なお人々を魅了してやまない不世出の天才の代表的作品を、一冊に収めた21世紀への日本の遺産。

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2023年06月17日

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各短編小説は、小説毎にいろんなスタイルを用いていて面白い。古典からくる物語だけではなく、近代的な文学小説の形態もあり表現の幅が広い。人間のエゴイズムを表現した羅生門だが、他の作品でも人間の本質的に持っている暗い部分が見られる。ただ、単純にその本質を伝えたいだけの作品ではないような気がしてならない。同時に人間関係の複雑さなど、現代でも見られるいじめの本質なども描かれているし、何度か読んでようやく全体の深さや枠を捉えられそうな作品ばかりである。これを短編の中に入れ込んでいる芥川龍之介の技巧が計り知れず、一読では何も感想が書けないのが正直なところでした。

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2023年03月26日

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短編歴史物語です。
羅生門、芋粥、鼻など短くてもとても面白かったです。
何だか滑稽だけどとてもユーモラスでもありました。
邪宗門は、ここからというところで終わっていて不完全燃焼でモヤモヤで一杯です。

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2023年03月13日

Posted by ブクログ

あの太宰治が偏愛していたという芥川龍之介の代表作。学生のときに教科書で初めて読んだ羅生門に加え、名作の数々をゆっくりじっくり読んだ。
今昔物語を題材として書かれたものが多いとのことだったが、特に印象に残ったのは「芋粥」と「俊寛」。あとがきにもあったが、芋粥は「理想や欲望は達せられないうちに価値があるので、達せられれば幻滅するのみ」というテーマに共感した。「俊寛」は、作中の俊寛様の台詞が胸に響く。大事にしまっておいて、つらいことがあったとき、取り出して眺めてみようと思う。
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人間は、時として、充されるか、充されないか、わからない欲望の為に、一生を捧げてしまう。その愚を哂う者は、畢竟、人生に対する路傍の人に過ぎない。

一体我我人間は、如何なる因果か知らないが、互に傷け合わないでは、一刻も生きてはいられないものだよ。

「しかし会えぬものならば、──泣くな。有王。いや、泣きたければ泣いても好い。しかしこの娑婆世界には、一々泣いては泣き尽くせぬ程、悲しい事が沢山あるぞ」

「女房も死ぬ。若も死ぬ。姫には一生会えぬかも知れぬ。屋形や山荘もおれの物ではない。おれは独り離れ島に老の来るのを待っている。──これがおれの今のさまじゃ。が、この苦艱を受けているのは、何もおれ一人に限った事ではない。おれ一人衆苦の大海に、没在していると考えるのは、仏弟子にも似合わぬ増長慢じゃ。『増長驕慢、尚非世俗白衣所宜』艱難の多いのに誇る心も、やはり邪業には違いあるまい。その心さえ除いてしまえば、この粟散辺土の中にも、おれ程の苦を受けているものは、恒河沙の数より多いかもしれぬ。いや、人界に生れ出たものは、たといこの島に流されずとも、皆おれと同じように、孤独の歎を洩らしているのじゃ」

「有王。三界一心と知った上は、何よりもまず笑う事を学べ。笑う事を学ぶ為には、まず増長慢を捨てねばならぬ。世尊の御出世は我々衆生に、笑う事を教えに来られたのじゃ。大般涅槃の御時にさえ、摩訶伽葉は笑ったではないか?」

「〈彼は人生を知る為に街頭の行人を眺めなかつた。寧ろ行人を眺める為に本の中の人生を知らうとした〉」

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2025年09月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

羅生門と鼻をそれぞれ青空文庫のPDFをダウンロードして、分からない単語をメモしながら読んだ。
羅生門
高校の頃授業で読んだ時、「右頬のニキビ」を繰り返し書いてある意味がよく分からなかったのを思い出した。思い出したタイミングでどういう意味なのか検索して「ニキビは若さの象徴」であることや、「最後にニキビから手を離す事で盗みをはたらく躊躇いを払拭した暗喩」という解釈を読み、これは自分で自分なりに見つけたかったなぁと検索した事を後悔した。まだまだ読書初心者なので、今後自分なりの解釈が持てるようにしていきたいと思わされる作品だった。個人的には遭遇した男もニキビ面とあったので、不衛生な環境を表現したのかなと感じた。
老婆はあの後、死体から着物を剥ぎ取って着るのかもなぁと想像。


読んだことがあるか覚えていなかったが、何となく覚えのある話だった。これも授業でやったのだろう。
内供が健気で愛おしい。
鼻が短くなって何故笑うのか?と疑問だったが、人の心の矛盾には私も常々感じていたので納得した。他人の容姿を噂話や笑いのネタにする様が、SNSなどで好き勝手他者に干渉する現代を思い浮かべ、やはりあまり他人と関わらないのが平穏への道なのではと思った。しかし内供も可哀想ではあるが、あそこで不機嫌になるのは僧侶として修行が足りないのではとも思った。
それにしても、鼻って長すぎると痛覚無くなるもんなのか?毛抜きで抜くシーンを肉まんを食べながら読んでいたので少し気持ち悪くなった。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生き抜くために犯す罪。混沌とした時代において倫理観は後回しになるのだろう。最後、着物を盗んだ後の彼の人生はどうなったんだろう

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

【2025年84冊目】
下人と老婆の一幕を描いた「羅生門」、鼻の大きさに悩む和尚の「鼻」、芋粥を欲するあまり忌避することになる「芋粥」、御仏に従って財を手に入れた女「運」、愛と肉欲に悩む「袈裟と盛遠」、未完の異作「邪宗門」、恋焦がれた女を諦めるために奇行に走る「好色」、島流しにあった男が語る真実「俊寛」――表題作を含めた8作の短編集。

羅生門を読みたくて手に取りました。何度読んでも好きすぎる。文体も比較的読みやすい作品だと思います。鼻は以前読んだことがあったのですが、忘れてたので新鮮に楽しめました。邪宗門は長い割にイマイチ物語の輪郭を捉えきれないままに終わっちゃいました。好色がある意味一番怖かったかも…思いもよらぬ展開に「恋は盲目どころちゃうやろ」と戦きました。

読みにくい物もありましたが、羅生門だけで価値がある一作といえば、作者に怒られるかもしれませんね。でも羅生門はやっぱり何度でも読み返したいなと思ってしまいます。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

 自分が自分でいることを、世間が許してくれない。
 自分と同じコンプレックスを持つ人を探して安心しようとするなんて、自分が嫌ってる人間の価値観と同じ目線で他人を見てるってことなのにね。

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2025年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

教養がもう少しあれば理解できたかも。
注解がなければもっと分からなかったかも。
正直、「羅生門」と「鼻」はだから?って感じでた。
「芋粥」はいや、食べれるんだから嬉しくない?と思ったんですが、よくよく考えると芋粥くれるって言った人馬鹿にしてるのか?と思いました。このあたりも文章ちゃんと理解できてないから心情が伝わってこないんだなと思いました。
「邪宗門」はあっちこっち話飛ぶな、摩利信乃法師腹立つなと思ってやっと若様懲らしめてくれるのかと思った未完って…。解説読んでずっこけました。
「好色」はお昼休憩に読んではいけない。
唯一、「俊寛」だけは面白かったです。多分すでに知ってた話だったからかなと、理解がしやすかった。
ただ、わたしどこで俊寛知ったのか覚えてないんですよね…。鎌倉殿の13人か以前読んだ平家物語か??なんか映像浮かぶから鎌倉~の方かと思ったんですが、調べてもそれらしいのが出て来ない…
こっちの俊寛の方が私は好きです。というか、知った当時も普通現地の人と交流持ったりしないか?思った記憶…

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2025年06月05日

Posted by ブクログ

羅生門を高校ぶりに読んで、授業とかテストに出た箇所を思い出した。
後半3つは読解能力不足で楽しめなかった。

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2025年04月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芥川龍之介の鼻を読んだ感想です。
短編集なので終始読みやすかったです。
内供が自分の長い鼻についての想いの移り変わりが描かれたコメディの作品で楽しく読めました。

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2024年12月17日

Posted by ブクログ

羅生門・鼻・芋粥あたりは読みやすく内容も理解できたが、それ以降の作品はある程度古典の素養がないと読みにくい。とは言え、さすがは芥川龍之介。古臭さを感じない面白みがあった

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2024年12月03日

Posted by ブクログ

どうやらこれが名作らしい。「確かに!」とまでは行ってないが…の本。

名作なので改めて読んでみた。普段読んでいる本より、スピード感は出ない。と、言うのも、普段はノッてくると、カタマリ単位でスッと理解して読み進めることが多いのだが、この物語は一文字たりとも流してしまうと理解が追いつかなくなってしまう感じがしたので、一歩一歩読み進めるようにしなくてはいけない。一文字もこぼしちゃいけない感じが、一瞬ストレスに感じた。動画世代だから?(笑)

鼻は初めてマトモに読んだが、終始「これ、コントやん」って思いながら読んでいた。芥川龍之介もニヤニヤしながら作ってたことだろう。オチは少しドキッとさせられた。元通りの変な状態になることで落ち着くと言う、何とも凝ったオチ。

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2024年10月27日

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全8編の短編集。去年、新潮文庫の豆本のガチャガチャを引いたときに出てきた本。ずっと積んでたのをようやく読んだ。

テーマは分かりやすいが、オチがふわ〜っとした感じの話が多い印象だった。
本書の中で一番長い話は「邪宗門」。面白かったけれど急に異能力バトルが始まったと思ったら未完……! 解説によれば「新聞連載で風呂敷を広げすぎて畳めなくなったのだろう(要約)」とのこと。芥川龍之介でもそういうことがあるなら、私もそういうことがあってもいいか……と、謎の勇気をもらったりもした。
個人的には最後の「俊寛」が明るくていい話だなと思った(元ネタを知らないでそう感じることに若干引け目はあるが)。同じ題材を取った他作家の作品を意識して書いたということろも、なんだか芥川の人間らしい部分が垣間見えて面白いなと思った。

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2024年10月16日

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羅生門、邪宗門が個人的には面白かった。人間の本能、卑しさがむき出しで描かれているストーリー構成に引き込まれた。基本的には会話で物語が進行され、昔の用語(注釈あり)が多くいため、ストーリーを追うのが大変で難しかった。スラスラ読めたらもっと楽しめたと思う。

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2024年05月12日

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ネタバレ

「羅生門」
恐らく2回読んでいます
感想としてはこの下人と老婆の二人しか登場人物っていなかったっけ?と思いました
一応再読なんですけど全く前回読んだ時の感想を覚えていません
ですが恐らくは似たような感想ではないと思います
確か去年?に読んで今日読みましたが去年の間に色々な本を読んだので違うと思います
感想ではなくなりましたが話を戻して感想は当時は戦いというものがなく多分時代は平安時代なんですけど震災が多かった時代だったので亡くなる方々が多かったと思いますが、
羅生門の中で髪を取っている老婆…
少し不気味だなと最初は思いましたが当時震災で餓死寸前なので生きるためには死者の髪の毛を引き千切って売ったりして生きていかなければ行けないので髪を取っている老婆でしたが…
ちょっとした事ですけど下人は侍ですかね?二本差しとは感じませんでしたが刀は持っていたので老婆を切り捨てることも出来ましたしですが老婆の言い分も正しいので切り捨てませんでした
少し理解できないところもありましたが奥が深いなと思いました
「鼻」
主人公の内供は鼻がとても長く恐らくこの本の表紙が内供ですかね?まあこの表紙ほどの長さで弟子たちから馬鹿にされていたので無理矢理鼻を短くしましたが逆効果で、哂われたので最終的に元の長い鼻に戻りました
感想としては最初の場面で内供が鏡を見て鼻を見てとても気にしている様子が書かれているのですがまあ気にしているのは間違いなさそうですよね
そして鼻を短くしますが哂われる
そして翌日ですかね?起きたら鼻が長くなっている
これで思ったのは元々の自分が一番だということですかね
嘘の自分で生きていくのは辛いだろうな〜と思いました
「芋粥」
感想を率直に言うと主人公の五位ってとても冷静だと思うんですよね
途中で芋粥にありつきたいと言ってたので芋粥好き?になったのかと思いました
少し昔の言い方のところが多かったので感想という感想はないのでそんな感じです
「運」

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2023年08月10日

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感想としては、全体的に、リアリストかつ悲観的な方だったのかなというイメージを受けた。

知性は極めて高く、古典を原案ととる作品が多く、読書量がうかがわれる。
残っている所謂娯楽や芸術を目的とした近代文学の最初に近い世代なので、参考とする作品が、後の文豪より少なかったと思われる。この本に関しては、今昔物語が最も多い。

同じ文豪と呼ばれる谷崎、太宰、川端と異なり、純粋な娯楽というより、何らかの教訓を含んだ話が多い。夏目漱石より若いが、材料を古典にとっているので、さらに古典な香りがする。

愛妻に対する手紙を読んだことがあったので、
暗い?イメージはなかったのだけれど、なんというか
覗いては不幸になるだけの自分の中の深淵を覗くような作品が多い。

面白いと、単純にはいえない。

羅生門は、人が生命の危機に面して、生きるために道徳を捨てるのかという主題。(改作前は、捨てると分かる内容。改作後らしい今著書では、どちらともとりにくい締めの一文となっている。

鼻は、これも意地悪だ。意地悪すぎて、ちょっと私には思ったことない感情だった。単純なのかも。
目に見える障害?がある間は、人は哀れむが、それが解消されると、その人の不幸をどことなく願ってしまうという嫌な話。夏目漱石は絶賛したらしい。

芋粥は、気持ちがよく分かる!
好きなものも食べ過ぎるとという話。
私も子供の頃、ハンバーガーを注文せず、ポテトだけをお腹いっぱいになるまで食べたいと思っていた。
でも、バランスが悪いと許されず、したことがなかった。
それが、フランスのシャモ二を旅行中、ムール貝のポテト添えを注文したら、ビックリする量の鍋いっぱいのそれが届いた。納得(満足ではない)して、それ以降は、確かにポテトでお腹を満たしたいという気持ちは、嘘のように消え失せた。引用もあり、それだけの気持ちではないが、この作品集の中で、一番わかりやすい。

運。
これも意地悪だ。悪いスタートがあっても、最終的にお金持ちになった逸話を聞いて、それでいいと観音様にお参りに行くことを決める話。逸話を話した茶屋のじいさんは、お金より、まっとうな幸せがいい派で、不賛成だった。

袈裟と盛遠
出店元では、貞女という設定らしい袈裟を、実は計算高い女ではないかという疑いから描かれた話。
袈裟と盛遠側の両側から語られる。
サスペンス仕立てになっていて、うまい。

邪宗門
解説によると、苦手な長編にトライしようとして、面白くなってきたところで、まとめきれないと断念した作品とのこと。
天罰の力を弄ぶ神父と、仏教の戦いの様な感じ。
前半は神父優位で、なんとなく、キリスト教非共感の私からは不愉快で、おっ、逆襲の開始か?と思われたところで、終わり。。。

好色
これは、汚い。
好みではない。
好きな人のどこまで、受け入れられるかという話だけど、精神的なつながりを意味しない。

俊寛
あの悲劇の俊寛が流行ったらしい。
倉田百三の書いた、今の文楽の俊寛と同じ恨み節。菊池寛が書いたらしい、実は幸せだった説。
それに触発されて書いたとの内容。
有王を語り手として進む。菊池寛よりかな?

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2023年06月22日

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再読。表題は当然面白い。
邪宗門はキリスト教対仏教の少年漫画みたいな熱い展開のまま未完で終わったのが惜しい。

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2023年06月15日

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「好色」が衝撃的
それだけでも読む価値あり。

世に出た当時は先鋭的な小説だったのでしょうが、
全体的に私にはあまりフィットしませんでした。。
読解力が足りないのかな。。。

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2023年04月10日

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