芥川龍之介のレビュー一覧
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親子の情を優先
中学校の国語の教科書に載っていたのを読んで以来、ん十年ぶりに読んでみた。素直に童話的に教訓ものとして読んでもいいが、何故 仙人になるという目的よりも親子の情を優先したのか 別の崇高な目的だったらどうなのか などと考えてしまう。
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芥川龍之介の遺書
芥川龍之介の遺書 とも言える作品である。短くて才知きらめく文章の端々に、人生に対する不安.いらだち.絶望感を読み取ることができる。しかしこのような境地だからこそ、現在まで読みつがれている数々の傑作を物にできたのかもしれない。健全な精神からは傑作は生まれないのかもしれない。
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開化物の傑作
芥川龍之介のミステリーものには駄作が多いが、この作品は一応ミステリー小説の体裁を取っているが、記述の主体は謎解きなどよりも登場人物の心境 暗い影 嫉妬等である。このような視点からの記述は、さすが芥川龍之介と思わせるところがある。文体が古いのでやや読みにくいが、心情描写には一層適しているかもしれない。
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Posted by ブクログ
「堕落させたくないもの程、益(ますます)堕落させたいのです。」
美しい顔をした悪魔はこう言って、涙を流した。
美しいものはそのままにして愛でたい、という思いはあるのに、それを汚してしまいたいと思う己の醜さに悪魔は涙した。悪魔は、人を堕落させるのが仕事なのだろうから、そう思い悩んでしまう辺りが悪魔に似つかわしくなく、哀れんであげたい気持ちになった。
大切にしたいけど、悲しませたい。
清くいてほしいと思うけれど、真っ黒にしたい。
この欲望はどこから来るのだろう。
占有したい感覚、所有して支配したい気持ちは、どうして生まれてくるのだろう。
どうして、美しいものほど、汚したくなるのだろう。
多 -
Posted by ブクログ
”何?「芥川龍之介のミステリ作品集(by裏表紙)」だと・・?”
・・と、“探偵モノ”的な内容なんかな?と、期待して手に取った本書。
えー・・まず申し上げますと、“探偵モノ”的なミステリではないです~。(ただ、例外の作品があるのでそれは後述します)
そうですね・・“奇譚集”といったところが正直な印象ですね。
とはいえ、各話ミステリアスな雰囲気を存分に堪能できる、珠玉の作品集となっております。
収録されている作品の中には「藪の中」「魔術」といった有名作から本書で初めてお目にかかる話まで、端正な文体で綴られる、“謎(mystery)”に包まれた短編18話が収録されていて、既読の話でも改めて読んで -
Posted by ブクログ
ネタバレ名前だけ知ってても一度も手にしたことがない、
歴史的文豪、芥川龍之介の世界に触れてみよう。このたびやっと決心致しました。
短編集で各々、読みやすいものから難解なものまで
用意されていて、出し手の波長の変化を受け取りつつ、
そして、どれも内容は違うようで横文字混じりの『芥川節』が随所に込められていて、
それが全体を束ねる、いわゆる芥川色の紐として機能してると思いました。
表題にもなっている有名な『羅生門』ですが、一見して、
正直なところ自分には、これの何がそんなにいいのかがわかりかねましたが、
落ち着いていま考えるとこれは、老婆の言葉尻を捕らえて、
食うに困るなら相手の道理にならって追い剥 -
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河童忌
芥川龍之介の晩年の作品である。(晩年と言っても35歳で死んでしまっているのだが)自分自身そして社会に対する諦めににも近い虚無感 徒労感を読み取ることができる。この作品は、芥川龍之介の命日を「河童忌」というように代表作と評価されているが、私はあまり好きな作品ではない。