芥川龍之介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
中学、高校時代に芥川龍之介を貪るように読んだ。
ほとんど文庫で読んだのだが、どうしても書簡集も読みたくて、全集の書簡集の巻も愛読した。
好きな作品はいくつもあるが、あまり取り上げられることのない、「袈裟と盛遠」(1918)に非常に感銘を受けた。
袈裟と盛遠、共に人の名前だ。
つまり、「トリスタンとイゾルデ」(「イゾルデとトリスタン」)と言ったようなタイトルだ。
袈裟は袈裟御前、女性の名前。
「盛遠」は、出家する前の文覚のことだ。
だから、袈裟は女性の名前と共に、後の盛遠の出家を象徴している。
文覚は、伊豆に流罪となった時に同じく伊豆に流されていた源頼朝と知り合う。
頼朝にその父義朝の髑髏を -
Posted by ブクログ
文豪6名の最後を飾った作品を集めたもの。同じような趣旨で、デビュー作代表作を集めた「文豪誕生」も読んで出版社の策にとても共感している。
表装は今風というかアニメタッチな文豪が1人、芥川だろうかと想像する。
登場する6名の文豪、初めましての方もいて、読書の門扉が少し開けた気がする。
それでも好きになったかと言うとそこまでではないが、この点が点と合って線になっていくんだろうなと思う。
特に芥川龍之介はこの作品でちょっと興味をもった。そして梶井基次郎は檸檬の他に機会があって良かったと思う。
文豪死すも文豪誕生も、名前は知っているけどそこまでじゃないと言う人にはぴったり。機会があったら読んでみると良 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「羅生門」
主人公が、死人の髪を抜いている老婆を見つけた時は、自分の正義のもとに怒りを露わにしながら老婆を捕らえるが、その死人は罪人であり、こうなるのも仕方がないと老婆が説明すると、主人公は老婆の服を剥がして盗み逃げてしまう。正義の揺らぎがすごくわかりやすく描かれている作品だと思いました。
「鼻」
大きな鼻がコンプレックスの主人公がなんとかして鼻を小さくするも、依然として周囲から笑われる。そしてある日突然鼻がまた大きくなると主人公は安堵感を覚える。
人にはコンプレックスが大なり小なりあり、たとえそれが解消されてもコンプレックスは尽きない。と言うことを言いたかったのかなと思いました。 -
購入済み
親子の情を優先
中学校の国語の教科書に載っていたのを読んで以来、ん十年ぶりに読んでみた。素直に童話的に教訓ものとして読んでもいいが、何故 仙人になるという目的よりも親子の情を優先したのか 別の崇高な目的だったらどうなのか などと考えてしまう。
-
購入済み
芥川龍之介の遺書
芥川龍之介の遺書 とも言える作品である。短くて才知きらめく文章の端々に、人生に対する不安.いらだち.絶望感を読み取ることができる。しかしこのような境地だからこそ、現在まで読みつがれている数々の傑作を物にできたのかもしれない。健全な精神からは傑作は生まれないのかもしれない。
-
購入済み
開化物の傑作
芥川龍之介のミステリーものには駄作が多いが、この作品は一応ミステリー小説の体裁を取っているが、記述の主体は謎解きなどよりも登場人物の心境 暗い影 嫉妬等である。このような視点からの記述は、さすが芥川龍之介と思わせるところがある。文体が古いのでやや読みにくいが、心情描写には一層適しているかもしれない。
-
Posted by ブクログ
「堕落させたくないもの程、益(ますます)堕落させたいのです。」
美しい顔をした悪魔はこう言って、涙を流した。
美しいものはそのままにして愛でたい、という思いはあるのに、それを汚してしまいたいと思う己の醜さに悪魔は涙した。悪魔は、人を堕落させるのが仕事なのだろうから、そう思い悩んでしまう辺りが悪魔に似つかわしくなく、哀れんであげたい気持ちになった。
大切にしたいけど、悲しませたい。
清くいてほしいと思うけれど、真っ黒にしたい。
この欲望はどこから来るのだろう。
占有したい感覚、所有して支配したい気持ちは、どうして生まれてくるのだろう。
どうして、美しいものほど、汚したくなるのだろう。
多 -
Posted by ブクログ
”何?「芥川龍之介のミステリ作品集(by裏表紙)」だと・・?”
・・と、“探偵モノ”的な内容なんかな?と、期待して手に取った本書。
えー・・まず申し上げますと、“探偵モノ”的なミステリではないです~。(ただ、例外の作品があるのでそれは後述します)
そうですね・・“奇譚集”といったところが正直な印象ですね。
とはいえ、各話ミステリアスな雰囲気を存分に堪能できる、珠玉の作品集となっております。
収録されている作品の中には「藪の中」「魔術」といった有名作から本書で初めてお目にかかる話まで、端正な文体で綴られる、“謎(mystery)”に包まれた短編18話が収録されていて、既読の話でも改めて読んで