あらすじ
≪TVアニメ「文豪ストレイドッグス」アニメ描き下ろしコラボカバー版≫
ある一人の侍が「藪の中」で殺された。犯人と目される盗人、被害者の妻、そして巫女の口を借りて語る被害者。当事者三人の言い分は、それぞれに心理的必然性とリアリティを持ちつつも、決定的に食い違っていく。今昔物語に題を採った最も芥川らしい短篇と言われる「藪の中」を始め、「秋山図」「山鴫」「アグニの神」「俊寛」「将軍」など、様々なテーマやスタイルに挑戦した大正10年頃の円熟期の作品17篇を収録。解説/三好行雄
<「文豪ストレイドッグス」シリーズとは>
中島 敦、太宰 治、芥川龍之介、与謝野晶子、泉鏡花、F・スコット・フィッツジェラルドなど国内外の文豪のイメージをモデルに擬人化されたキャラクターが、横浜を舞台に「人間失格」「羅生門」などといった各文豪に関連する異能力を用いて戦うバトルアクション。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「藪の中」が読みたくて買った。「藪の中」はもちろん、「好色」、「将軍」も面白かった。
特に「好色」はめちゃくちゃな話で、とあるモテモテの平安貴族が、一目惚れした侍従に自信満々で手紙を書くんだけどろくに返事ももらえず、ついに忘れたいと願うのだがそうもいかない。そこで、その侍従の何か汚らしい物を見れば諦めもつくだろうと考える。そして何とかして手に入れた侍従の「糞」の入った箱(当時の貴族は、自分の排泄物を箱に入れてお付の者に捨てに行かせていたらしい)の蓋を開けるの開けないので逡巡する姿が、芥川龍之介の美しい文章で生き生きと描かれているのがほんとに面白い。「この中には侍従の糞がある。同時におれの命もある」とかちょっと何言ってるのかわからないんだけど何故か趣があるんだよなぁ。
Posted by ブクログ
短編集だが、今昔物語を題材にした作品や
怪異趣味的な作品などバラエティーに富み、
短い作品の中に、人間の業や性を
巧みな文章で描いていて
味わい深い作品ばかりだった。
藪の中は、それぞれが自分の立場から
証言しているが、真実は藪の中で、
誰が一番リアリティがあるのか考えたりしたが、
自分の都合の良いように語り、誰も
真実は語っていない。
個人的には、平安のプレイボーイを描いた
好色が面白かった。
Posted by ブクログ
大正10年(1921年)98年前
藪の中に男の死体
事件に関わる登場人物が証言をする
それぞれの人が
どう見えて
どんな風に語るか
を遠巻きに見ていて
その違いを皮肉ぽく見ている話
(どんな風に思っているかではない)
違いが大きい程ハッとするし
衝撃受けて心に残る
最後の方に作者の
0〜35才までの年譜が
載っていて興味深かった
辰年辰月辰日辰刻
生まれなので龍之介
7ヶ月 実母フク発狂
10歳 フク死亡
12歳 実母の妹と父の間に異母弟
母の実家(芥川)の養子になる
29歳 「藪の中」執筆後
中国等に視察員として特派
この後多数の病気
35歳 義兄が保険金詐欺の嫌疑で
鉄道自殺
自身も自宅で薬を仰いで自殺
こういう人生だったら
傍観的に皮肉ぽく
物事見る様になるのもわかるし
作風の意味も腑に落ちる
Posted by ブクログ
仕事場の人から勧められた「藪の中」
人は真実を語れるのだろうか?
何かを慮る。自分を曝け出すことができない。
少しずつ嘘があるのが人間らしさなのか。
Posted by ブクログ
藪の中が凄く良かった。
何が起きたかがぼんやりと浮かび上がり、真相は分からない。ミステリーのようだけど、知りたいけど明かされない、スッキリしないで終わるのが最高に面白い。
Posted by ブクログ
かの有名な「藪の中」を読みたくて手に取った短編集。
なかなか癖のある作品ばかりで面白く読めた。
中でも「奇遇」がお気に入りなのだけど、この人こういうテイストの話も書けるのか、と少し意外に思った。
「雑筆」も作者の人間性が透けて見えて良かったな。
「世の中と女」はめちゃくちゃ好き。
Posted by ブクログ
短編集。
平中の最期の恋を描いた「好色」のラストが強烈でうげっとなった。
藪の中は何が本当かあやふやなまま読み終わった。
将軍は武士の将軍ではなく陸軍の乃木将軍のことだったのにあらっ?となった。
読むのにカロリーのいる作品だった。