芥川龍之介のレビュー一覧

  • 河童・或阿呆の一生(新潮文庫)

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    現実的な生々しい小説を読んでいて、目を背けたいぐらい頭が混乱していたので、河童のようなある意味、設定が人間世界と逆の話を読むと、風刺とは思えないぐらいホッとした気分だった。勿論意味を全てわかって読んでいたわけではないが、河童と言う、人間世界に似ても似つかない、不合理な世界が日本でも何となく起こっていたことが垣間見えた。河童の世界でも、色んな小説家や哲学者が頻用されていたのが面白い。

    或る阿呆の一生、歯車と3作品全て読んだ。
    河童を読むと、そこまで辛い描写は出てこなくて、児童が読んでも飲み込めるような作品だと思う、

    或る阿呆の一生から自伝的要素が強くなっていき、
    歯車では最後のシーンで下界か

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    2020年08月23日
  • 羅生門 鼻 芋粥 偸盗

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    羅生門の人間の身勝手さ、鼻のユニークさ、芋粥の途中描写の美しさ、及び偸盗のドキドキハラハラ感。バラエティ豊かな名短編集。

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    2020年07月21日
  • 蜘蛛の糸・地獄変

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    一番心に残っている作品は、「蜘蛛の糸」。慈悲の心=心の中の明るさだと思った。自分よりも他人が一番という優しい心を学べる作品。

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    2020年07月06日
  • 戯作三昧・一塊の土(新潮文庫)

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    芥川龍之介は「鼻」や「羅生門」など平安に材を取った作品が知られているけれど、江戸から明治を舞台にした作品も魅力的です。

    「或日の大石内蔵助」は討入後、肥後細川家にお預かりになった大石の心理に新しい解釈を与えるもの。「枯野抄」は芭蕉臨終の場に集まった弟子たちの心理を丹念に描いた作品。
    いずれも松本清張の初期犯罪小説を読むように人間心理の複雑さ、玄妙さに触れ得た気持ちにしてくれます。

    表題作の「戯作三昧」は、江戸天保期に活躍した戯作者、南総里見八犬伝の作者で知られる滝沢馬琴が主人公。日々の社交、自作への世間の毀誉褒貶、生活にまつわる様々な気がかりを描き出しながら、創作に打ち込む主人公に、芥川自

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    2020年06月14日
  • 河童・或阿呆の一生(新潮文庫)

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     芥川龍之介最晩年の作品集。「河童」を除けば全体的に陰鬱で鬼気迫る短篇が多く、気分が沈んでいる時に読んだら危険かもしれないと思うほどに、負の引力が物凄かった。

     一番印象に残っているのは、「歯車」。世の中の様々なものに対し語り手は不吉な予感を抱いてしまい、どんどん追い詰められてゆく。自分の中の無意識が自己を破滅させようとする極限の精神状態が描かれている(気がする)。
    「或阿呆の一生」と共に、何かに絡め取られている感は、絶望している時に強く感じるもの。かなり危険な物語だけど、好みでもある。

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    2020年04月13日
  • トロツコ

    購入済み

    共感できる

    子供の頃の記憶がふと蘇る時がある。それは印象的なものの時も何気ないものの時もある。時間を経るにつれて忘れていく一方で、記憶に残り続けている出来事は宝物である。思い出は、写真などで形として残さなくても、意外と脳裏に焼き付いているものです。写真を撮ることに夢中になって大切な風景も人物も見失っては勿体ないですよ。記憶はふとした時に蘇るはずです。
    良平は過去の焦りや心細さや絶望を今の疲弊した状況から思い出したのです。そんな風に、過去と似通った体験をすることで、当時の記憶が引き起こされるという現象に共鳴しました。

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    2020年03月24日
  • 乙女の本棚7 蜜柑

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    ネタバレ

    昔の話ではあるけど、読んで何だかホッとした。

    イライラした気持ちだと周りにあるもの全てが気に食わない。

    でもそんな主人公の気持ちは、たまたま同じ車両に乗り合わせた女の子の行動を目の当たりにする事で穏やかなものになった。

    自分1人の力で暗い気持ちを変える事は難しい。

    自分ではない何かに触れる事によって変えられるのなら、部屋の中で一人悶々と考える事がバカバカしく思えてくる。

    何かに行き詰まった時は何かに触れよう、と改めて思えた一冊でした。

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    2019年09月16日
  • 戯作三昧・一塊の土(新潮文庫)

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    序盤に載ってるいわゆる『開化物』があまり楽しめず長らく放置してたけど、久々に読み進めたら後半は私好みの話ばかりで一気に読めた。

    特に好きなのは、
    『戯作三昧』
    『秋』
    『お富の貞操』
    『あばばばば』
    『一塊の土』
    かな。

    実生活における苦しさや切なさがひしひしと伝わってきて、読んでて悲しくもやるせなくもなるけどやはり引き込まれるものがある。

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    2019年05月14日
  • 歯車 他二篇

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    芥川竜之介晩年の代表作3篇
    「玄鶴山房」
    「歯車」
    「或阿呆の一生」

    まさに遺書を開くときの厳粛な気持ちになった
    構造が複雑だった

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    2018年12月05日
  • 戯作三昧・一塊の土(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読み応えすごい。
    最初はつまんないと思った。或る日の大石内蔵之助(最初の話)が読みづらい。
    その後の戯作三昧からおもしろい!
    開化の殺人からいくつか、登場人物が被ってるみたいだけど前の話で経験してるはずの衝撃をスルーしてて、なんか不思議な感じで良かった。

    雛はお兄ちゃんと母の関係に切なくなった。お父さんも本当は雛売りたくないんやな。

    あばばばばは、娘さんの変化がわかりやすくて、恋ではない視線でその変化を冷静に捉えてるのが新鮮で良かった。

    一塊の土はお民さんが先に亡くなるとは思ってなくて、お住さん可愛そう、家事全部やるのもおばあさんにはきついだろうなぁと思ったけど、それを抜け出せないつらい

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    2018年08月01日
  • 羅生門 鼻 芋粥 偸盗

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    文章のリズムや強弱のつけ方が本当に上手いと思いました。物語を進める部分と心情や風景を細かく描写する部分の書き分けが凄まじかったです。
    一番面白かったのは『偸盗』。芥川本人は気に入っていなかった作品のようですが、物語の進め方が上手いと思いました。

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    2017年12月16日
  • 文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか 芥川vs.谷崎論争

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    芥川は、小説から構造を廃すべきと言ったわけではない
    ただ小説の前提には作家の個性がなければならず
    作家は、その自己表現を面白く読ませるための技法として
    構造を用いなければならない
    もちろんまた一方では個性が技法となり
    二代目○○、三代目○○と積み重ねられていきもするわけだが
    それを扱って作品とするのはあくまでも個人だ
    そうでなくては、詩はスローガンに
    小説はプロパガンダに堕していくしかないだろう

    それに対する谷崎は
    東京と大阪の文化性の違いなど挙げて
    要は受け手の個性が作品を完成させるという立場を取っているようだ
    もちろんそれもひとつのあり得べき解釈である
    しかしやがては
    スノビスト達の鼻持

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    2017年11月11日
  • 侏儒の言葉・西方の人(新潮文庫)

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     侏儒の言葉には覚えておきたい言葉も惹かれるフレーズも多くあった。生前に掲載されたものと遺稿に分かれるが、どちらを読んでも文学者としての目指すところや考え方に触れることができるように思えたし、これを読んだ後にその作者の自殺について考えるとなんとなく頷けてしまうのが正直なところ。
     芥川のイエス論である西方の人は、イエス・キリストにも聖書についても知識が乏しい私にはいまいちぴんとこなかった。聖書からの引用も多いし、説いてるのがイエス・キリストの話なので。かといって、当分は聖書を読む気もないのでこのままで放置に決定。またいつか、聖書を読めた際にでも読み直してみたい。

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    2017年08月20日
  • BUNGO 文豪短篇傑作選

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    以前、映画化されたオムニバス作品の原作。玉石混交の短編集。

    『BUNGO 文豪短編傑作選』角川文庫

     鈴木梅太郎が脚気の原因がビタミンB1の不足だと特定し、年間死者数万人と言われた国民病を劇的に改善したのに、陸軍軍医総監の森鴎外はエリート根性から百姓学者が何を言うかと馬鹿にしてそれを取り入れなかったため、陸軍兵士はバタバタ死んだ。というエピソードをかつて知ったばかりに鴎外は読まず嫌いだったので、この中に所収の『高瀬舟』が初鴎外だった。生き方は共感できないが、作品は実に面白かった。

    弟殺しの罪で島流しになる罪人を護送中の同心は、どうしてもその男が肉親を手にかけるような罪人に見えなかった。男

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    2017年08月17日
  • 奉教人の死(新潮文庫)

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    長崎旅行を前に、長崎切支丹を描いた「奉教人の死」と「おぎん」の短編を読むために手に取りました。芥川の切支丹物を集めた短編集です。芥川がキリスト教に対して思う本音が垣間見えて、どの作品も面白く読みました。文体が古い物は難解ですが、諦めずに読んで良かったです。表題の面白さは格別でしたが、脇の教徒たちの冷酷さ愚かさに「宗教って何だろう」とその意味を熟考したくなります。讃えられることの多い細川ガラシャを、侍女の立場から激しく罵倒し皮肉っている「糸女覚え書」は笑ってしまいました。面白かった。

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    2017年07月01日
  • 蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇

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    夫の本なんやけど、これに入っている話はどれも面白いし特にトロッコはしゅうこが好きだと思うから読んだらいいと言うので借りた。
    子ども向け系を集めた本だそうですよ。
    トロッコは多分国語の問題とかで断片的には知っとったけど通して読んだら超絶かわいいな。ははは。
    しかし子ども向けか?て思ったのもあるし、一番最初の父とかせつなすぎるわ。

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    2017年03月29日
  • 蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇

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    本を読んでいて、「しまった!」と思うことがしばしばある。
    しまった、中学・高校の頃に読んでいればもっとガツンと感銘を受けたはずなのに。
    この作品もそう。
    どの話も非常に面白かった。
    さすが芥川。
    「トロッコ」の良平、かわいすぎるだろ

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    2017年02月08日
  • 【語注付】地獄変

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    「蜘蛛の糸」が読みたくて購入。
    その他にも気になっていた話が多数収録されていたので満足でした。
    (2013/06/12)

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    2016年08月20日
  • 羅生門・鼻・芋粥

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    芋粥がとても良い。マリッジブルーの話と解釈した。人間は目標の達成という事実よりも目標を達成する努力や憧れなどプロセスを好む。夢が叶いそうになる時の一瞬の戸惑いはよくわかる。鼻は素晴らしい。コンプレックスという人間には切っても切り離せない問題をうまくついている。アイデンティティというものは、欠点も含めて存在している。その人にとってどんなに嫌な体の一部や考え方の癖などは、実はなくなってしまうと意外に寂しいものであったりするのである。
    ひょっとこ。これは、仮面をつけている間に、元の自分に戻れなくなってしまった人間の話である。最近、ジキルとハイドを読んだせいか、なんだか近いものを感じた。人間の内面を感

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    2016年07月07日
  • 蜘蛛の糸・地獄変

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    「地獄変」を読んだ時…昔「羅生門」を授業で読んだ瞬間に心に湧いたのと同じ何かが蘇った。
    私は芥川龍之介の「はっ…」っと息を飲むような苦しく切ない後味が好きかもしれない。
    どの作品にもちょっとした苦味があるような、そして何かを考える余韻を残しているところが、難しいながらも読み続けてしまう理由に違いない。
    芭蕉が登場する作品もあれば最後は少しファンタジーもあって、幅広い世界を味わえる一冊。

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    2016年03月03日