芥川龍之介のレビュー一覧

  • 歯車 他二篇

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    芥川、晩年の作品。芥川の神経のすり減っていく様、精神のバランスが崩れていく様が描かれている。
    産まれたばかりの自分の子を見て「何のためにこいつも生れて来たのだろう?」と思いそれをわざわざ書き残す深刻さといい、なぜこの人はいつも何かに打ちひしがれているのか。なぜこんなに罪悪感に駆られているのか。と正直度が過ぎており理解の範疇を超えていると思っていた。しかし、小林敏明氏の評論に或る「露出する神経」というワードがしっくりきて、腑に落ちた気がした。
    小説というより彼の遺書のようで、重々しい内容だった。この精神状態を書き残せること事態が並々ではないからこそ、後世に伝えられる作品なのかなと感じた。

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    2022年02月22日
  • 蜘蛛の糸・地獄変

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    最愛の娘を焼かれながらにして、良秀の悲しみや怒りが狂気に変わっていく様が何度読んでも凄みを感じる

    芥川龍之介の短編小説はほんと凄い
    いつまでも心に残ってふと読み返したくなる

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    2022年02月13日
  • 杜子春

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    ネタバレ

    表題作「杜子春」は幼い頃に読んだ記憶はありますが、今読むとより胸にくるものがありました。子供のころより、両親の死を近く感じるからかもしれません。

    他の話で印象的だったのは「南京の基督」と「影」。あとは随筆も楽しく読みました。

    「南京の基督」は娼婦、娼館が題材なわりにさすが芥川!と言わざるを得ない美しい文章で感嘆しました。夢物語のようで背景には暗澹たる現実が広がっている、でもそれに娼婦は気づくことなく朗らかに笑っているその対比がよかったです。

    「影」が印象に残ったのは、私自身が乱歩が好きで、ミステリ小説に惹かれたからです。
    ミステリとしては、あまり出来がいいとは言えないかもしれませんが…芥川が書くミステリという新鮮さがよかったです。

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    2022年02月01日
  • 侏儒の言葉・西方の人(新潮文庫)

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    めっちゃ好き
    皮肉ってるけどユーモアで自分のツボだった。

    人生 瑣事 可能 二宮尊徳 が記憶してる限り、好きだったなぁ。

    定期的に読むことで、グッとくる部分がまた発見できそうや

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    2022年01月23日
  • 羅生門

    匿名

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    夕暮れのもとでの静寂に支配された舞台設定は完璧だ。下男が老婆から衣を引き剥がし、一気に地上へかけ降りる幕切れの軽快さが際立つ。

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    2022年09月28日
  • 黒衣聖母~探偵くらぶ~

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    芥川のミステリ風の作品というと「藪の中」や「開化の殺人」が挙がると思うのですが、「未定稿」を収録してくれたのが嬉しいです。この魅力的な物語の冒頭の書き方、さすが探偵小説も読んでいた芥川と感心しますし、『新青年』辺りに掲載されてたんじゃ?と思わせる完璧な探偵モノのお作法にのっとった設定で、ほんとうにこの冒頭部分だけで続きが書かれていない未定稿…ってのが残念な作品で。
    他には、「奇怪な再会」「妙な話」「報恩記」辺りも面白くて私の好きな作品です。
    あとがきにある通り、このラインナップで、とある事情により「奉教人の死」が収録できなかったのは残念です。あれも面白い良い作品なので、本当はここに収録される筈だったんだな、と思いながら併せて読むのオススメです。(青空文庫で読めますので)

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    2021年11月15日
  • 地獄変・偸盗(新潮文庫)

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    偸盗は黒澤明が映画にした藪の中(映画のタイトルは羅生門)よりも、よほど活劇にしたてあげられる作品ではないか。登場人物の悪役がみな生き生きしているし、荒廃した京都の描写も羅生門に匹敵する。ぜひ映画化してほしい。
    地獄変は高校の教科書以来だが、絵師の良秀が絵の題材にしたくて好んで牛車に載った娘を焼き殺したのでなく、大殿からの命令で見たものしか描けない絵師なのでやむなく娘を火にかけたものの、その有り様を見ているときに恍惚を感じてしまったという作品だったのですね。竜は嘘から出た実という寓話、藪の中はタイトルとおりの事象を読者としては受け入れるしかない技巧の極致のような作品、六の宮の姫君は男性に捨てられるまま何もできないまま衰退してしまうお嬢様の話ということでそういうことも昔はあったのだろうねという次元の話。ということで、意外にも著者が悪作品とののしる偸盗が一番きにいりました。

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    2021年11月09日
  • 玄鶴山房

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    不和などで暮らしのあらゆる要素が暗澹たる印象を受ける。故郷に近づくほどホームシックが昂るという記述が、そんなものかとなんだか納得した。

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    2021年11月09日
  • 大導寺信輔の半生 ―或精神的風景画―

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    信輔の内面を考えると、上流階級への反発(「他人らしい憎悪」)と表裏一体となった、弱者への哀れみと同情といえようか。

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    2021年10月17日
  • 或阿呆の一生・侏儒の言葉

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    ネタバレ

    閃輝暗点がその名前で呼ばれるようになったのがいつ頃なのかは知らないが、芥川龍之介が歯車で書いたことによって広く知られ、自分もこの症状がある、と気づいた人がいたのならば、文章が広く読まれるということには意味があることなのだなと思った。
    侏儒の言葉は何度で読んでもいい。

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    2021年09月29日
  • 蜘蛛の糸・地獄変

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    難しかったり、事前知識がないと理解できない話もあったが、解説なども見て「なるほど」と楽しめた。
    普段小説を読まないのもあって、明示されてないけど汲み取って解釈するという習慣がなかったので、てとも刺激になった。

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    2021年08月25日
  • 【語注付】地獄変

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    ネタバレ

    読みやすかったし面白かった!芥川が書いたのは今からおよそ100年前?人間の普遍性を感じた。

    ひとこと感想
    ⚪︎大川の水…日常のほんの一部の話をこんなにも豊かに書くことのできる表現力おそるべし。
    ⚪︎羅生門…アイデンティティとは
    ⚪︎鼻…コンプレックスを受け入れることの大切さ
    ⚪︎芋粥…人は簡単に手に入れられるものには惹かれない、努力して手に入れられるものに憧れる
    ⚪︎地獄変…欲望によって理性のコントロールは効かなくなる
    ⚪︎蜘蛛の系…自分だけ徳をすることを望むと返り討ちにあう
    ⚪︎奉教人の死…偏見という悪
    ⚪︎蜜柑…一瞬で人を判断してはいけない、一瞬で人の評価は変わる
    ⚪︎舞踏会…儚くて美しい恋。実は有名人だった、みたいなオチも現代っぽい
    ⚪︎秋…これが一番現代ぽかった。姉妹で同じ人を好きになった行く末。俊吉は妹と結婚するが結局愛し合っているのは姉。すごく切なくて、美しい、、、
    ⚪︎藪の中…みんな自分を主人公にしたがっている?何が真相なのか、芥川は何を伝えたかったのか全然わからない。
    ⚪︎トロッコ…はじめてのおつかい、冒険のような感情が鮮明に書かれている

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    2021年08月05日
  • 地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他七篇

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    平安な雰囲気がよろしい。「新・平家物語」の後に「袈裟と盛遠」、「少将滋幹の母」の後に「好色」、「大鏡」の後に「地獄変」を読んだので、更に面白かったかも。

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    2021年07月04日
  • 侏儒の言葉 文芸的な,余りに文芸的な

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    芥川龍之介のエッセイに近い、しかし詩のように言葉がかかれていた。
    現代でもなんとなくあることが、いろんな表現で書かれていて、おもしろいと思った。

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    2021年06月11日
  • 羅生門・鼻・芋粥

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    羅生門の下人も、鼻の内供も、内供を笑う者たちも、煙管の斉広も、芋粥の五位も、ただの物語の登場人物ではなく、私達人間そのものである。
    人間の孤独さ、侘びしさ、なんのために生きているのか…というものを鋭くシニカルに描いていて面白かった。

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    2021年06月11日
  • 藪の中・将軍 アニメカバー版

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    仕事場の人から勧められた「藪の中」
    人は真実を語れるのだろうか?
    何かを慮る。自分を曝け出すことができない。
    少しずつ嘘があるのが人間らしさなのか。

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    2021年05月04日
  • 河童・或阿呆の一生(新潮文庫)

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     芥川龍之介、最晩年の作品集。
     「大導寺信輔の半生」という、冒頭の小説の書出しが好きだ。自叙伝的なものだと思うのだが、「大導寺信輔の生まれたのは本所の回向院の近所だった。彼の記憶に残っているものに美しい町は一つもなかった。…」で始まり、生まれた辺りには、穴蔵大工や古道具屋や泥濘や大溝ばかりで美しいものが何もなかったにもかかわらず、信輔は物心ついた時からその町を愛していたこと、毎朝、父親と家の近所へ散歩に行ったことが幸福だったことが書かれている。
     美しくないと断言しているのに、幼い時から愛着を持った町は、回想することが美しい。映画の回想シーンのように、淡い光に包まれている感じがする。
     標題作の一つ、「河童」は登山中に河童を発見し、追いかけた所、河童の国に迷い混んだ男の話。目が覚めると河童の医者が彼を診察しており、以外にも彼は河童の国で好待遇で歓迎される。河童の国にも医者も社長も技術者や詩人も音楽家も哲学者もいる。人間の暮らしと殆ど変わらないのだが、河童の国では、雌が気にいった雄を見るとなりふり構わず、追いかけて飛びつくことなど、人間と異なる部分もある。
    人間より技術が進んでいるので、次々新しい機械が発明され、工場の生産が上がると要らなくなった労働者は解雇されるどころか、殺され、食肉にされてしまうなど、残酷だが河童からすると「合理的」らしい面もある。解説にスウィフトの「ガリバー旅行記」のようなジャンルに属する作品らしいが、なるほど、異世界から人間界を風刺、批判しているような作品である。芥川龍之介という人はこういう作品も書いていたのだ。面白かった。
     「或阿呆の一生」は多分死を決意し、作品を友人の久米正雄氏に託している。自叙伝みたいなものらしいが、詩的で私には分かりにくかった。
     短い生涯だったが、年代によって作品の色が随分変わったいるのだろう。今度は若い時の作品を読もう。
     

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    2021年04月13日
  • 或阿呆の一生・侏儒の言葉

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    「侏儒の言葉」のために買いました。アフォリズム集の中では、ショーペンハウアーやビアスよりも好き。毒気が適度なせいか。何回読んでも飽きない。
    蛇足ながら、角川のこの和柄シリーズは表紙の手触りが書物読んでる感があって好きです。

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    2021年02月23日
  • 杜子春

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    ネタバレ

    この短編集で印象に残った作品は、2つある。「秋」と「杜子春」だ。

    「秋」
    芥川龍之介の作品としては、珍しいストーリーであった。愛人を妹に譲り、自分は文学の才能を犠牲にする。自己犠牲は、読者を辛い気持ちにさせる。しかし、この手の話はドラマチックなところもあり、何となく共感できてしまうところに惹かれてしまった。

    「杜子春」
    「蜘蛛の糸」と共に名作と言われる作品である。小学生以来に読んだが、新たな気持ちで読むことができた。人は薄情だと言う杜子春の気持ちは、痛いほど分かってしまった。人より優れたものを持っている時は人気者になれるし、それが失くなれば離れていく…上辺だけの付き合いではなく本当の友達を見つける時、そういうやり方で見つけたりするものだ。人間らしく正直な暮らしをしたいと願った杜子春に、一軒の家と畑という最後で最高の贈り物を渡した鉄冠子は素敵な仙人だと思った。

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    2021年02月22日
  • 河童・或阿呆の一生(新潮文庫)

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    河童という架空生き物がおりなす社会設定がこまかく、おもしろい。読みやすい。最後に語り手が「統合失調病」であることから、すべての物語が彼の狂気からつくられたものなのか、と理解したときには予想はしていたけど鳥肌が立った。とてもうまくできたアイロニー小説。

    ポイント
    ・皮肉ー人間の愚かさを河童社会という架空の世界に例えて書く
    ・自殺という概念
    ・生まれてくる前に生死の選別が子に与えられるという発想

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    2021年02月21日