芥川龍之介のレビュー一覧
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ネタバレこの短編集で印象に残った作品は、2つある。「秋」と「杜子春」だ。
「秋」
芥川龍之介の作品としては、珍しいストーリーであった。愛人を妹に譲り、自分は文学の才能を犠牲にする。自己犠牲は、読者を辛い気持ちにさせる。しかし、この手の話はドラマチックなところもあり、何となく共感できてしまうところに惹かれてしまった。
「杜子春」
「蜘蛛の糸」と共に名作と言われる作品である。小学生以来に読んだが、新たな気持ちで読むことができた。人は薄情だと言う杜子春の気持ちは、痛いほど分かってしまった。人より優れたものを持っている時は人気者になれるし、それが失くなれば離れていく…上辺だけの付き合いではなく本当の友達を -
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芥川の作家としての主張が読める
芥川が羅生門を発表してから二年ほど経ってから寄稿したものです。自身の作家としての主張が書かれていますが、今日ではあまり見られない学生作家の姿が興味を惹きます。
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Posted by ブクログ
ネタバレ芥川の文章は無駄がなく、冬の夜みたいな冷たい美しさだと思う。
蜘蛛の糸は学生時代ぶりに読んだけど、あのころと良い意味で抱いた感想は変わらない。人によって感想がわかれそうだから読んだ感想や解釈を話し合うのも楽しいかも。
地獄変は人を魅了するものを造るには人でいることを手放さなければならないのか、いや手放さずにいたから造ることが(描くことが)できたのか自分でもこれだという考えがまとまらないけどそれが芥川作品の良さでもある。
毛利先生は心が苦しく、切なくなる。
人のことを愚かだと嘲ったあとに知るその人の本質。
誰かのことをわかった気になることほど浅はかなことはないよなあ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『偸盗 』
沙金という美女(悪女)に太郎・次郎という兄弟が翻弄される話。太郎が次郎を助けるシーンが好き。
『地獄変』
芸術の為に女を焼き殺して欲しいと言った絵師と了承して絵師の娘を焼き殺す大殿様。
語り手は大殿様のことをめちゃくちゃ高く評価してるけど、この話を読む限りにおいていいとこあった??って思った。橋柱に寵愛していた童を立てたことがいい人エピソードのひとつとして取り上げられていた。現代の感覚ではいい人エピソードにはならないと思うけど、昔はプラス評価だったのかしら?
『竜』
嘘を言ったらホントになった話?
鼻と似てる
『藪の中』
男が死んでいた。
そして3人が男を殺したと自供している -
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うまい言い回しのこなれた文章と
芥川龍之介らしいこなれた文章で、徒然草の現代語訳みたいな味わいがあるように思いました。鼻の長いor大きい人シリーズでもあるのかしら?
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Posted by ブクログ
なるほど、芥川龍之介の人柄、作風がよくわかる一冊だった。
初期の作品が18編収録されているが、やはり代表作の「羅生門」、「鼻」、「芋粥」は印象的だった。芥川龍之介の作品は基本的に暗く、寂しい。
人生への諦め、妥協が感じられる作品が多く、芥川龍之介が自ら生涯に終止符を打ったのも納得できる。
個人的に好きだったのは「MENSURA ZOILI」。ショートストーリーのような、エッセイのような不思議な形式で書かれ、芥川龍之介にしては珍しくファンタジックな雰囲気が漂っている。それと、「葬儀記」。注釈に、夏目漱石の葬儀の記録と書いてあって驚いた。凡人は参列した葬儀の記録を残しておこうなどとは思わない -
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罪
せっかく地獄から抜け出せる蜘蛛の糸を見つけたのに,独り占めしようとしたせいで,台無しになってしまった。
きっと彼は,糸が切れてしまったのは,後から上ってきた多くの罪人のせいだと思っているだろう。
やはり,地獄にいるべき人である。