芥川龍之介のレビュー一覧
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芥川のミステリ風の作品というと「藪の中」や「開化の殺人」が挙がると思うのですが、「未定稿」を収録してくれたのが嬉しいです。この魅力的な物語の冒頭の書き方、さすが探偵小説も読んでいた芥川と感心しますし、『新青年』辺りに掲載されてたんじゃ?と思わせる完璧な探偵モノのお作法にのっとった設定で、ほんとうにこの冒頭部分だけで続きが書かれていない未定稿…ってのが残念な作品で。
他には、「奇怪な再会」「妙な話」「報恩記」辺りも面白くて私の好きな作品です。
あとがきにある通り、このラインナップで、とある事情により「奉教人の死」が収録できなかったのは残念です。あれも面白い良い作品なので、本当はここに収録される筈 -
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偸盗は黒澤明が映画にした藪の中(映画のタイトルは羅生門)よりも、よほど活劇にしたてあげられる作品ではないか。登場人物の悪役がみな生き生きしているし、荒廃した京都の描写も羅生門に匹敵する。ぜひ映画化してほしい。
地獄変は高校の教科書以来だが、絵師の良秀が絵の題材にしたくて好んで牛車に載った娘を焼き殺したのでなく、大殿からの命令で見たものしか描けない絵師なのでやむなく娘を火にかけたものの、その有り様を見ているときに恍惚を感じてしまったという作品だったのですね。竜は嘘から出た実という寓話、藪の中はタイトルとおりの事象を読者としては受け入れるしかない技巧の極致のような作品、六の宮の姫君は男性に捨てられ -
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ネタバレ読みやすかったし面白かった!芥川が書いたのは今からおよそ100年前?人間の普遍性を感じた。
ひとこと感想
⚪︎大川の水…日常のほんの一部の話をこんなにも豊かに書くことのできる表現力おそるべし。
⚪︎羅生門…アイデンティティとは
⚪︎鼻…コンプレックスを受け入れることの大切さ
⚪︎芋粥…人は簡単に手に入れられるものには惹かれない、努力して手に入れられるものに憧れる
⚪︎地獄変…欲望によって理性のコントロールは効かなくなる
⚪︎蜘蛛の系…自分だけ徳をすることを望むと返り討ちにあう
⚪︎奉教人の死…偏見という悪
⚪︎蜜柑…一瞬で人を判断してはいけない、一瞬で人の評価は変わる
⚪︎舞踏会…儚くて美し -
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芥川龍之介、最晩年の作品集。
「大導寺信輔の半生」という、冒頭の小説の書出しが好きだ。自叙伝的なものだと思うのだが、「大導寺信輔の生まれたのは本所の回向院の近所だった。彼の記憶に残っているものに美しい町は一つもなかった。…」で始まり、生まれた辺りには、穴蔵大工や古道具屋や泥濘や大溝ばかりで美しいものが何もなかったにもかかわらず、信輔は物心ついた時からその町を愛していたこと、毎朝、父親と家の近所へ散歩に行ったことが幸福だったことが書かれている。
美しくないと断言しているのに、幼い時から愛着を持った町は、回想することが美しい。映画の回想シーンのように、淡い光に包まれている感じがする。
標題 -
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ネタバレこの短編集で印象に残った作品は、2つある。「秋」と「杜子春」だ。
「秋」
芥川龍之介の作品としては、珍しいストーリーであった。愛人を妹に譲り、自分は文学の才能を犠牲にする。自己犠牲は、読者を辛い気持ちにさせる。しかし、この手の話はドラマチックなところもあり、何となく共感できてしまうところに惹かれてしまった。
「杜子春」
「蜘蛛の糸」と共に名作と言われる作品である。小学生以来に読んだが、新たな気持ちで読むことができた。人は薄情だと言う杜子春の気持ちは、痛いほど分かってしまった。人より優れたものを持っている時は人気者になれるし、それが失くなれば離れていく…上辺だけの付き合いではなく本当の友達を -
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芥川の作家としての主張が読める
芥川が羅生門を発表してから二年ほど経ってから寄稿したものです。自身の作家としての主張が書かれていますが、今日ではあまり見られない学生作家の姿が興味を惹きます。
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ネタバレ芥川の文章は無駄がなく、冬の夜みたいな冷たい美しさだと思う。
蜘蛛の糸は学生時代ぶりに読んだけど、あのころと良い意味で抱いた感想は変わらない。人によって感想がわかれそうだから読んだ感想や解釈を話し合うのも楽しいかも。
地獄変は人を魅了するものを造るには人でいることを手放さなければならないのか、いや手放さずにいたから造ることが(描くことが)できたのか自分でもこれだという考えがまとまらないけどそれが芥川作品の良さでもある。
毛利先生は心が苦しく、切なくなる。
人のことを愚かだと嘲ったあとに知るその人の本質。
誰かのことをわかった気になることほど浅はかなことはないよなあ。