芥川龍之介のレビュー一覧
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芋粥がとても良い。マリッジブルーの話と解釈した。人間は目標の達成という事実よりも目標を達成する努力や憧れなどプロセスを好む。夢が叶いそうになる時の一瞬の戸惑いはよくわかる。鼻は素晴らしい。コンプレックスという人間には切っても切り離せない問題をうまくついている。アイデンティティというものは、欠点も含めて存在している。その人にとってどんなに嫌な体の一部や考え方の癖などは、実はなくなってしまうと意外に寂しいものであったりするのである。
ひょっとこ。これは、仮面をつけている間に、元の自分に戻れなくなってしまった人間の話である。最近、ジキルとハイドを読んだせいか、なんだか近いものを感じた。人間の内面を感 -
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○目次
「老年」/「ひょっとこ」/「仙人」/「羅生門」/「鼻」/「孤独地獄」/「父」/「野呂松人形」/「芋粥」/「手巾」/
「煙草と悪魔」/「煙管」/「MENSURA ZOILI」/「運」/「尾形了斎覚え書」/「日光小説」/「大川の水」/「葬儀記」/注釈・解説/吉田精一「芥川龍之介-人と作品」/三好行雄「作品解説」/年譜
芥川龍之介の青年期の作品も多数含まれているが、なにか熟成したような、人生を俯瞰したかの如き作品になっている。
「老年」や「ひょっとこ」は敗残した人生や「偽」という仮面を被った人生の虚しさや儚さを見事に描いているし、「鼻」・「羅生門」・「芋粥」のように人間のエゴイスティックな -
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ネタバレ装丁 小畑健氏による芥川氏の表紙だったんだが。。
解説 高橋敏夫氏。深く解説してくれる。
北方謙三氏。好きなんだな~と思う解説。
羅生門・鼻・地獄変・蜘蛛の糸・蜜柑は教科書で知っていたが、その他も結構面白い。
文体が作品によって違う(古典風だったり)ので
ものによっては読み解くのが大変だが。
多彩、というイメージ。
奉教人の死がベルサイユのバラみたいに漫画化できそうだな、と思った。ろおれんぞ は しめおん を兄として、ひょっとしたらそれ以上に慕ってそうだったので。
大川の水
羅生門
鼻
芋粥
地獄変
蜘蛛の糸
奉教人の死
蜜柑
舞踏会
秋
藪の中
トロッコ -
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「秋」
理想とは手に入れた瞬間から色あせてしまうものだと
直観的に知っていたのであろう彼女は
あえてそれに背を向けるのだが
そのことが果たして正しかったのか間違っていたのか
誰にもわからない
後悔することもできず彼女は呆然と「秋ーー」なんて
「黒衣聖母」
黒の聖母は残忍かもしれないが
祈りを強制はしないし
少なくとも祈ってるあいだ救われてるんだよねぇ
「或敵打の話」
苦しい者こそ救われる
苦しみの無い者には救いも無い
救われたいという欲求はそれほどにも切実だが
切実ゆえに嘘の救いであっさりだまされてしまうんだねぇ
「女」
芥川に最初の子供ができた直後の作品
ちょうど「狂人の娘」に悩まされ -
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「或日の大石内蔵之助」
坪内逍遥の「小説神髄」から
近代日本文学は始まったとされるのだが
それにおいてまず批判されたのは
江戸期の戯作文学
その中でも、「勧善懲悪」と呼ばれた
読んで字のごとく、いいもんがわるもんをやっつける
単純なお話だったという
武家社会においては、特に「忠義」というものが
善きこととして人々にすすめられたのだけど
これは、日本人のナショナリズム・ナルシズムにも
密接にかかわる重大な問題である
「信じられるもの」のために、命をかけたいのだ
しかし、そのような物語になんの疑問もなく熱狂することは
あまりに信用ならない
あまりに軽薄なことではないだろうか
「戯作三昧」
滝沢馬