芥川龍之介のレビュー一覧

  • 戯作三昧・一塊の土(新潮文庫)

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    或る日の大石内蔵助、戯作三昧、開化の殺人、枯野抄、開化の良人、舞踏会、秋、庭、お富の貞操、雛、あばばばば、一塊の土、年末の一日を収録。
    個人的には「庭」が好み。

    如何にも高校の国語で扱われそうな雰囲気を感じたが、今回は国語の授業のような精密な分析無しにサラッと読み通してみた。
    こういう作品は、解釈の仕方が色々ありそうで楽しい半面、解釈するのを面倒に感じることがある。
    時間があるときにゆっくり味わって読みたい。

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    2011年10月11日
  • 奉教人の死(新潮文庫)

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    「切支丹もの」短編集

    「煙草と悪魔」
    神と悪魔がワンセットで日本に来る話
    おかげで人生の悩みが増えました

    「さまよえる猶太人」
    イエスの呪いをある種の特権としてむしろ誇らしげに語る男
    しかし彼が最後の審判で天国の門をくぐれるという保証はない

    「奉教人の死」
    人間はおろかでみにくい存在だが
    神の使いはそんな人間のために身を投げ出すという話

    「るしへる」
    神に仕えるのがバカバカしくなってしまった人の話
    ある意味「奉教人の死」と相対する内容

    「神々の微笑」
    ぬかみそのような日本文化

    「報恩記」
    善意の交換がなぜか憎しみを生む

    「おぎん」
    無知は罪か

    「糸女覚え書」
    細川ガラシャについ

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    2016年03月15日
  • 奉教人の死(新潮文庫)

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    キリスト教を主題とした短編数編。キリスト教伝来時の日本人と宣教師の姿、キリスト教の本質、日本人の宗教観がそこに垣間見える。芥川氏独特の悪魔の定義が面白い。悪魔なのに人間味があるというか・・・。
    「悪魔が日本にタバコをもたらした」という説を小説風に仕立てた短編や、悪魔の言い分を書き上げた短編など非常に読み応えがある。明治、大正という時代背景を考えると、芥川氏こそが近代文学の萌芽であると言えるだろう。

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    2011年06月13日
  • 侏儒の言葉・西方の人(新潮文庫)

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    人生マッチ棒話が有名。金言を持ち出す分、ある阿呆より説教くささで評価下がるが、考えとしては楽しい「侏儒の言葉」。「西方の人」では、キリストのデリカシーのなさなどを取り上げ、太宰よりもキリスト教でリラックスして遊んでいる。衰弱になるくらい、繊細な人ゆえ、ネーミングセンス極めてる。

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    2011年05月12日
  • 侏儒の言葉・西方の人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    芥川龍之介。先に読んだ『歯車』の中にあった「僕はナポレオンを見つめたまま。僕自身の作品を考え出した。するとまず記憶に浮かんだのは『侏儒の言葉』の中のアフォリズムだった。(殊に『人生は地獄よりも地獄的である』という言葉だった)‥」この一文をきっかけにチョイス。

    芥川が対象(外なる世界)を内なる世界に取り込むために綴るコトバの数々は、広がりと奥行きを芥川の世界に与え、なにより身近に彼を感じさせてくれるが、同時に芥川の抱える根源的な問題を直視することになる。(咀嚼)消化吸収し同化するかのように計らわられる外界との調和は自己との交渉ともいえる。この作業が辛うじて芥川の正気を保ってた時に行われていたと

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    2011年04月04日
  • 奉教人の死(新潮文庫)

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    奉教人の死。
    小学校のころに朝読があり、そこではじめて読んだかな。
    内容も素晴らしいが、語り手に力量があればここまで小説は昇華される。
    そんな一例。

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    2011年03月27日
  • 戯作三昧・一塊の土(新潮文庫)

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    芥川の「江戸物」「開化物」更には自然主義的な作品集。

    「或日の大石内蔵之助」
    自己の実存を投じた自らにとって直接的な行為が、不特定多数の他者による手垢に塗れた解釈を蒙った上で媒介的に語られてしまうことに対する、違和感。

    「戯作三昧」
    "この時彼の王者のような眼に映っていたものは、利害でもなければ、愛憎でもない。まして毀誉に煩わされる心などは、とうに眼底を払って消えてしまった。あるのは、唯不可思議な悦びである。或は恍惚たる悲壮の感激である。この感激を知らないものに、どうして戯作三昧の心境が味到されよう。どうして戯作者の厳かな魂が理解されよう。ここにこそ「人生」は、あらゆるそ

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    2011年03月26日
  • 【語注付】地獄変

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    古本屋で買ったのは、この表紙絵ではなかったけれど。「地獄変」ほか「羅生門」や「蜘蛛の糸」など、有名作品が所収されていました。様々な題材、文体があるけれど、共通しているのは自己の利己心のために生きる人々、といったところでしょうか。

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    2011年07月17日
  • 地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他七篇

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    そろそろ「藪の中」を読まなきゃいけないと思って購入しまんた。
    ワタクシ、あんまりいわゆる「文学作品」って読まないんです。
    そんな文学部日文科生。文学部崩壊の危機ですな。

    いやー、面白い! 芥川素敵すぎる☆ 読み応えありまくりすてぃ。
    芥川のことだから結末に何かあるだろう、って先が気になる感じが最高によいですな。
    「藪の中」以外にも読んだことのない作品があったので、なかなか教養の勉強になりました。
    好きな人を嫌いになるためにウン○を盗むってネタ、教養に富んだ小話に使えないかしらん?

    それにつけても「邪宗門」の続きが読みたきことよ。ムキャー!


    【目次】

    道祖問答
    袈裟と盛遠
    地獄変

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    2011年03月04日
  • 侏儒の言葉・西方の人(新潮文庫)

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    色んな言葉に対する芥川氏の見解が述べてあるだけといえばそうだが、何故かおもしろい^^
    皮肉がきいてる
    それこそ侏儒の私でさえ理解し共感し笑える短いレビュー作品だと思った

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    2011年02月28日
  • 河童 他二篇

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    生きづらさを感じる者が求める理想郷とは何だろうか。

    そういえば或る女がいた。女は理想郷を求め海へ飛び込み、北朝鮮へと亡命した。しかしそこは女の言う理想郷では無かった。女は祖国へ帰りたいと言った。

    この小説を読みながらその女が重なる。
    恐らく女はまた理想郷を求め、生きづらいと否定し排除して行くのであろう。
    そこに存在する、排他的であるくせに他者の理解を求める自意識に僕はいつも辟易する。
    何よりも最優先に自我を主張し尊重する人間には、理想郷など無いのだ。

    本当の理想郷はその実、いつも自分のすぐ側にある。

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    2011年02月28日
  • 侏儒の言葉・西方の人(新潮文庫)

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    芥川龍之介の金言集(?)

    ハッとさせられたり、う~んとうならされたり、妙に納得させられたり。
    でもやっぱり、イマイチわからなかったり。
    ひとつわかったのは芥川はやっぱり稀代のインテリ作家だな、と。

    もう一個の西方の人は正直8割意味わかりませんでした。
    キリスト教をもう少し勉強します。

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    2011年02月08日
  • 奉教人の死(新潮文庫)

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    思いがけず面白かった!一編が10~20ページ台の短さな上、文章が現代風で、教科書に載っているような古典的なイメージとは違いました。
    聞き語りや小説、記録調など形を変えて語られる「切支丹物」。
    作者が書く人間の感覚、鋭くも皮肉に、また斜めからも切り込まれるような文章の力に引き込まれました。言葉への注解が多いが、いちいち巻末を見なくても流れで理解できるし、細かいことをあまり気にせずに読んでもいい。
    切支丹や宣教師を扱っているというのに、逆に強く「日本」を浮き彫りにさせるものが多いです。
    目当ての『神神の微笑』も期待以上の面白さだったが、表題作の『奉教人の死』や『煙草と悪魔』『黒衣聖母』『おぎん』『

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    2010年11月14日
  • 羅生門 杜子春

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    いや~、こちらもホントお久しぶりの芥川作品の数々です。  芥川作品はそれこそ KiKi の小学生時代、夏休みや冬休みの宿題、読書感想文の課題本だったり、通常の学期の「○学年課題図書」なんかによくなっていて、ここに収録されているほとんどの作品を学校の課題の一環として繰り返し繰り返し読み込んだ記憶があります。  最後の数行にどことはなしに「道徳的」というか、「説教じみた」ことが書かれているのが、そういう「○○図書」に選抜された理由の1つだったんでしょうね。  子供時代からそういう「大人の好む良い子の条件」みたいなことに嗅覚の効くほうだった KiKi はよくその「読書感想文コンクール」などで、大人が

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    2010年10月13日
  • 侏儒の言葉 文芸的な,余りに文芸的な

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    芥川龍之介の金言集。
    この本を読むと、芥川龍之介の感性の鋭さに驚くと共に、彼だからこそ『河童』や『蜘蛛の糸』などの作品を書くことができたということが分かる。

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    2010年08月21日
  • 蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇

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    蜘蛛の糸:1918年(大正8年)。
    エゴイズムを戒める教訓的な話だが、ラストが印象的。普通なら御釈迦様が説教するか、罪人が地獄に逆戻りした所で終わりそうなものだが、御釈迦様が悲しそうな顔をするにとどまる所と、極楽ののどかな描写で終わる所とが芥川らしい。

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    2010年06月09日
  • 戯作三昧・一塊の土(新潮文庫)

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    近代文学演習の課題本。「舞踏会」の最後の場面にある老婦人の呟きが一番印象に残った。芥川の作品は論じるには難しそうなものばかり。
    それにしても、「枯野抄」は以前にも読んだことあるのに気づいたけど、いつの機会だったかなぁ・・・。

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    2010年06月17日
  • 杜子春・南京の基督

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    そういえばあまり読んでなかった作家さんの本をそろそろ読もうシリーズ。読みやすかったし面白くて、あっという間に読んじゃった。南京の基督は、富田靖子とレオン・カーフェイで映画になったのを見たことがあったような。。。小説版の方が好きだな、これは。

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    2009年12月25日
  • 地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他七篇

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    高校時代、国語の教科書で読んだ時はよく分からなかったけど
    大人になってこうゆう文学作品をじっくり読んでみると面白いです。
    特に藪の中が好きで感想文を書いた思い出が(笑)
    文章も分かりやすいし読みやすい。
    なんといっても芥川調の暗さが独特でたまりません。
    真相は藪の中…答えは読者の心でそれぞれ出てしまう。

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    2009年12月12日
  • 侏儒の言葉・西方の人(新潮文庫)

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    「侏儒の言葉」は必しもわたしの思想を伝えるものではない。唯わたしの思想の変化を時々窺わせるのに過ぎぬものである。

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    2009年11月24日