芥川龍之介のレビュー一覧

  • 羅生門 鼻 芋粥 偸盗

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    どの作品もなかなか難しい言葉が多く、苦労した。やはり『羅生門』が秀逸か。理知的で簡潔だ。東大英文科在学中の作品だ。なるほど夏目漱石の後輩だ。『芋粥』はゴーゴリ『外套』とそっくりとの解説に納得した。王朝文学だけではなく、ロシア文学にも題材をとったとは驚きだ。

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    2019年09月03日
  • 戯作三昧・一塊の土(新潮文庫)

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    江戸末期の市井の風俗の中で、芸術至上主義の境地を生きた馬琴に、自己の思想や問題を託した「戯作三昧」、仇討ちを果した赤穂浪士の心理に新しい照明をあてて話題を呼んだ「或日の大石内蔵之助」などの“江戸期もの”。闇空に突然きらめいて、たちまち消えてゆく花火のような人生を描いた「舞踏会」などの“明治開化期もの”。ほかに本格的な写実小説「秋」など、現代に材料をとった佳作を網羅した。

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    2019年06月27日
  • 地獄変・偸盗(新潮文庫)

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    “王朝ものの第二集。芸術と道徳の相剋・矛盾という芥川のもっとも切実な問題を、「宇治拾遺物語」中の絵師良秀をモデルに追及し、古今襴にも似た典雅な色彩と線、迫力ある筆で描いた「地獄変」は、芥川の一代表作である。ほかに、羅生門に群がる盗賊の凄惨な世界に愛のさまざまな姿を浮彫りにした「偸盗」、斬新な構想で作者の懐疑的な人生観を語る「薮の中」など6編を収録する。"

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    2019年06月27日
  • 奉教人の死(新潮文庫)

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    芥川は殉教者の心情や、東西の異質な文化の接触と融和という課題に興味を覚え、近代日本文学に“切支丹物という新分野を開拓した。文禄・慶長ごろの口語文体にならったスタイルで、若く美しく信仰篤い切支丹奉教人の、哀しいが感動的な終焉を格調高く綴った名作「奉教人の死」、信仰と封建的な道徳心との相剋に悩み、身近な人情に従って生きた女を描く「おぎん」など、11編を収録。"

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    2019年07月17日
  • 侏儒の言葉・西方の人(新潮文庫)

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    30数年ぶりに読んだ。
    僕は芥川龍之介の経験することのなかった年齢を生きているわけだが、それでもはっとするような言葉がいくつもある。若い頃こうした作品に心奪われたのも、よく分かる気がする。

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    2018年10月02日
  • 侏儒の言葉・西方の人(新潮文庫)

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     道徳は便宜の異名である。「左側通行」と似たものである。

     道徳の与えたる恩恵は時間と労力の節約である。道徳の与えたる損害は完全なる良心の麻痺である。

     妄(みだ)りに道徳に反するものは経済の念に乏しいものである。妄りに道徳に屈するものは臆病ものか怠けものである。
     良心は道徳を造るかも知れぬ。しかし道徳は未だ嘗て、良心の良の字も造ったことはない。

     わたしは古い酒を愛するように、古い快楽説を愛するものである。我我の行為を決するものは善でもなければ悪でもない。唯我我の好悪である。或は我我の快不快である。そうとしかわたしには考えられない。
     ではなぜ我我は極寒の天にも、将に溺れんとする幼児

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    2022年06月25日
  • 羅生門・鼻・芋粥

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    限定カバーが素敵でジャケ買いしました。
    言わずもがな有名な文豪、芥川龍之介ですが数年ぶりに手に取りました。
    「羅生門」は教科書にも載っており誰もが1度は目を通す作品かと思いますが、
    当時の感想は覚えていませんが子供ながらに善悪について思案せざるを得なかっただろうと思います。
    大人になった今、現代の子供たちには是非「鼻」も目を通して欲しいなと感じます。
    人間の一瞬の輝きを引き出す彼の芸術性は、やはり美しいと改めて感じました。

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    2018年07月30日
  • 地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他七篇

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    「好色」だけ読んだ。現代の高校生と似たようなテンションだなーと思った。「『見た』だけでもいいから返事欲しいな」という文に対して「見た」って本気で送り返す侍従強すぎる。そしてめげずに60通も和歌を送る平中もすごい執念というか、絶対惚れさせると躍起になる優男そのものにしか見えない。平中にとっては悲劇でしかないのに、コメディのように見えるところにおもしろさがあるのかも。

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    2018年06月02日
  • 【語注付】地獄変

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     芥川の短編「大川の水」、「羅生門」、「鼻」、「芋粥」、「地獄変」、「蜘蛛の糸」、「奉教人の死」、「蜜柑」、「舞踏会」、「秋」、「藪の中」、「トロッコ」が入っている。
     芥川なんて最後に読んだのは何でいつというのも分からない。たぶん「トロッコ」は中学校くらいの教科書かなんかで読んだのか、でも話の内容はなんだったのか、ひとつも覚えていない。けど、あるきっかけがあって、読んでみた。タイトルは知っていても、「羅生門」と「蜘蛛の糸」以外は全然内容を知らなかった。実はこの本はもう3週間以上前に読み終わった本だが、今でも面白いと思うものはどれだろう。やっぱり「地獄変」だろうけど、サル好きのおれとしては「地

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    2018年05月29日
  • 河童 他二篇

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    「河童」は河童の世界の物語。高度な風刺なんだろうなと思いつつ、何を意味しているのかはいまいち分からなかった。他の作品と比べると巧みな表現というのは少なかったかな。自分の感受性が乏しいだけなんだろうけど、、、

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    2018年02月02日
  • 羅生門・鼻・芋粥

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    芥川龍之介の作品は羅生門と河童くらいしか知らなかったのだが、今回短編集を二冊通して読んでみて大正解だったと思う。名が売れてる作品はやはり面白いし、それ以外のものも軒並み読み応えがあった。芥川作品全体に漂う薄い絶望感や、人間や世間に対する諦観・皮肉が、神経質なほど緻密に、そして丁寧に作り込まれた文章で、過不足なく表現されている。作品ごとに落差を感じることがあまりなかったのは、彼の短い人生によるものだけではないだろう。産みの苦しみはいかほどだったかと考えさせられると同時に、感謝を覚えた、そんな短編集だった。

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    2018年02月01日
  • 歯車 他二篇

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    面白くはない。暗い。陰鬱。主人公が長生きしない感満載に見えるのはその後を知っているからなのか、劇中夫人が問うた通り、滲み出るものだからなのか。。

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    2017年12月16日
  • 地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他七篇

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    「地獄変」がお気に入りでこっちのほうを買ったが、マイナーなほうなのか。
    語り手の丁寧語がこの先の結末へのほの暗い予感を醸し出しているし、想像通りに物語のクライマックスの、気狂いじみた感じがよい。
    加えて、この語り手は客観的中立な体をしているが、これも一つの主観のような気がする。良秀はただの頭のおかしい人なのか?本当に大殿様と良秀の娘はなんでもないのか?

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    2017年09月25日
  • 蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇

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    芥川が小説、随筆、童話、戯曲と、その才気にまかせて様々のジャンルで試みた作品の中から、広い意味で「子どもむき」と考えられる作品を選び収めた。この作品群から、機智や逆説や諷刺、そしてまた、そうした理智の鎧で固められた奥にひそんでいる作者の、少年のような純潔で素直な魂を感じとることができる。

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    2017年09月15日
  • 舞踏会・蜜柑

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    久しぶりに純文学を読んだ。読むのにエネルギーが必要なのでなかなか一気に読めない。

    蜜柑を読んだのは久しぶり。
    特別好きではないけどよく言われるように色彩表現が良いから印象に残るね。

    「魔術」が他と趣向が違っていておもしろかった。

    全体的に作者が模索している感じが伝わってくる

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    2016年11月03日
  • 蜘蛛の糸・地獄変

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    短編集でクモの糸が入っている。地獄変では、娘を牛舎に入れて燃やしてしまう。絵のために。
    毛利先生は、不器用ながら教えるのを生きがいにした先生の話。
    犬と猫は欲がない主人公が家臣を助けて犬をもらい幸せになる話。
    どの話も人間味があってよいと思う。

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    2016年10月10日
  • 地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他七篇

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    地獄変、道祖問答、袈裟と盛遠、竜往生絵巻、六の宮の医者。二人のこまち、が入っている。中でも印象的なのは、二人のこまち。と藪の中。
    ふたりのこまちは、死にたくないあまりに女の武器を使って使いをたぶらかす。死なないように説得する。
    おいて後悔する。使いは二度とだまされない。ように取り扱わない。女は怖いという。
    藪の中は、、それぞれの視点から事件が語られる。殺された人は例として話される。面白いと思う。

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    2016年10月10日
  • 羅生門・鼻・芋粥

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    有名な羅生門はもちろんおもしろかった!
    ひょっとこ、父、煙草と悪魔がおもしろかったなー

    ひょっとこの、息を吸うように意味の無い嘘をつく男には、自分を重ねてしまう。。
    虚しくて、寒々しい。でも、そこが妙に惹きつけられる。

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    2016年07月15日
  • 羅生門・鼻・芋粥

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    芥川が二十歳そこそこで書いた作品に触れ、只々、感嘆してしまう。
    若い青年の書いた文章のわりに、大人びてというより老けすぎていて、なんだか生き急いでいるようで、ちょっぴり哀しくなってしまった。

    本書は表題3作品の他プラス15作品収めてあり、その中でも私が印象に残った作品は『葬儀記』。
    これは夏目漱石の葬式の記なのです。
    大正5年12月に胃潰瘍のため死去した漱石先生の死顔に、たくさんの文学青年たちが最後の別れを惜しんでいる様子が伝わってくる。
    その文学青年たちの中でも若いほうであった芥川が、忙しない葬儀中にあたふたとしている姿に、やはり年相応の幼さがあり、あんなに大人びた作品を書いている反面、『

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    2016年06月24日
  • 河童 他二篇

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    不思議の国アリスを連想します。河童の国に転がり込み、河童の国のルールに混乱しつつも、いつしかなじんでいることに気付かず、人間の国に帰りたいと願い、戻ってきたら、自分は狂人扱いにされている。アリスは夢から目覚めまた退屈だなと思う毎日の暮らしに戻って行き、大人になって冒険談を忘れてしまうのだろうといったその先を予測できるのですが。

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    2016年05月14日