芥川龍之介のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
事をなそうとする人には、逆説が有用な警句を与える
しかし怠け者には、逆説が言い訳をもたらす
「侏儒の言葉」は、いろんな意味で芥川的だ
後世の批評を、ほとんどこれで先取りしてると言っても過言ではあるまい
「西方の人」「続西方の人」
芥川は若いころから聖書を愛読していたらしい
しかし、キリスト教の信徒というわけではなかった
彼が愛したのは、あくまでイエス・キリストとその物語で
「悲しき天才」としてのキリストに、どうものめりこんでいたフシがある
…しかし悲しき天才ということで言うならば
たとえば、イエスに洗礼を与えたバプテズマのヨハネも悲しき天才だったし
芥川に言わせれば、ゴルゴダにおいてイエスを -
Posted by ブクログ
「道徳の与えたる恩恵は時間と労力との節約である。道徳の与えたる損害は完全なる良心の麻痺である」(修身:p11)
「軍人は小児に近いものである。英雄らしい身振りを喜んだり、所謂光栄を好んだりするのは今更此処に云う必要はない。機械的訓練を貴んだり、動物的勇気を重んじたりするのも小学校にのみ見得る現象である。殺戮を何とも思わぬなどは一層小児と選ぶところはない。殊に小児と似ているのは喇叭や軍歌に鼓舞されれば、何の為に戦うかも問わず、欣然と敵に当ることである。
この故に軍人の誇りとするものは必ず小児の玩具に似ている。緋縅の鎧や鍬形の兜は成人の趣味にかなった者ではない。勲章も―わたしには実際に不思議であ -
Posted by ブクログ
表題の3作以外の話を、じっくり読むのは初めてだった。
とりわけ印象深かったのは「孤独地獄」「手巾」「煙草と悪魔」「煙管」「MENSURA ZOIRI」「日光小品」「葬儀記」。
著者は「手巾」のなかで語られる長谷川先生のように、日本の文化を愛する一方で、海外の芸術や文化の知識にも長けている。その見識の深さには、ただ脱帽するばかり。
この時代の娯楽といえば遊芸や工芸品の類など限られており、だからこそ興味や関心がそういう方向にいったのかもしれない。けれど、それだけでもないと思う。「日光小品」で描写されているような日常生活におけるちいさな発見を見逃さない洞察力があってこそ、先述の豊富な知識が威力を発揮