芥川龍之介のレビュー一覧

  • 黒衣聖母~探偵くらぶ~

    Posted by ブクログ

    編者解説に曰く(p.350)

     > ミステリが探偵小説と呼ばれていた時代
     > (大正期から昭和二十年代まで)に
     > 活躍した作家の作品を対象にした
     > 光文社文庫の新シリーズ《探偵くらぶ》第二弾

    で、芥川作品のうち推理、
    あるいは怪奇幻想要素の濃い短編を集めた一冊。
    収録作は

     開化の殺人
     開化の良人
     黒衣聖母
     影
     奇怪な再会
     春の夜
     三右衛門の罪
     煙草と悪魔
     西郷隆盛
     未定稿
     疑惑
     妖婆
     魔術
     アグニの神
     妙な話
     お富の貞操
     報恩記
     藪の中

    未定稿は1920年『新小説』掲載の、
    「明治12~13年頃、《朝野新聞》に務める小泉青年が
     同僚の素人探偵・本多保氏の助手役に」
    ――というミステリになるはずが未完の原稿。
    これ以外は青空文庫でも読めるが、
    やはり纏まっていると圧巻。

    美しい従妹を愛した医師の狂おしい胸の内「開化の殺人」、
    史学科の学生だった本間さんが京都から戻る際、
    食堂車で出会った老紳士の話、
    プラクティカルジョークの一種「西郷隆盛」、
    倫理学者が岐阜県の大垣に滞在した際の
    異様なエピソード「疑惑」が特に面白かったが、
    やはり何度読んでも「魔術」の出来は素晴らしい。
    ちなみに、芥川にインスピレーションを与えたと言われる
    元ネタ、谷崎潤一郎「ハッサン・カンの妖術」は
    同シリーズ第一弾『白昼鬼語』にも収録されている由。

    0
    2022年01月25日
  • 河童・或阿呆の一生(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    芥川龍之介最晩年の苦悶の短編集。こちらの気持ちが下降気味だと引きずられてしまう。
    何故そこまで死を希望したのか、理由は幾つか読んでみたけれど、本当のところはわからない。ただ、相当な遅筆だった事、スペイン風邪に2度かかり、2回目はかなり重症だった事は、今回知った。
    たぶんこの本はもう読まないと思うので覚書です。

    「大導寺信輔の半生」

    芥川の半自伝的小説と言われている。精神的風景画として6章からなる。未完らしい。
    本所 出身地への嫌悪・恨み
    牛乳 母乳への憧れから牛乳への嫌悪
       母親は身体が弱く信輔に母乳を与えず
    貧困 幼児期の貧困への嫌悪・敵意
    学校 中学校での孤独 規則への嫌悪 教師への
       敵意 
    本  小学生から本を愛すが、貧困の為欲しい本を         
       手に入れる事に難儀する。物語の中に転身
       する。
    友だち 頭の良い人・頭脳のある人を好む。
       社会的階級の差別に壁を感じる。
    芥川の作品が高尚であるので、それと決めるには難しいけれど、資金的な悩みは大きなものだったのかもしれない。

    「玄鶴山房」
    この家の主人玄鶴は結核で、もう最期は近い。その家族と看護師の平穏を装う生活の中での心理描写。
    『家政婦は見た』を何故か思い出しちゃったよ。
    その心理戦が、凄く好きでした。
    この頃、芥川は義兄の借金をも背負い込み、困窮を友人らに訴えていた。

    「蜃気楼」
    たぶん芥川本人が、鵠沼の海岸を散歩する。蜃気楼は見えず、水葬の亡骸を見つける。ただ、それだけなのに、全体的に暗鬱な感じ。

    「河童」
    物語は精神病患者の思い出話として語られる。河童の国に迷い込み、そこでしばらくの間生活する。河童の国は社会が成立していて、そこでの出来事の描写が現実社会への批判になっている。出産や結婚については、なかなかシビア。胎児が産まれたくないと答えればそこまでとなる。同胞を食用にしたりする。人間社会に戻ったその患者は、再び河童の国に行くことを望む。
    で、芥川の命日は『河童忌』。

    「歯車」
    歯車は偏頭痛が始まるサインのように「僕」の視界で回り始める。これはちょっとわかる。頭痛が始まるサインって人それぞれだけど、私は首の辺りで音がする感じ。
    物語の始まりにホテルが出てくる。そのホテルに幽霊が出るという。その辺りの描写は、村上春樹の『ダンスダンスダンス』と重なった。
    結局、幻想とか妄想が語られていて小説ではない感じ。何かを誰かにわかって欲しかったのかしらね。

    「或る阿呆の一生」
    自殺後見つかった51の項目からなる作品。
    自身に関係した物事について、端的に回想している。ラストは敗北。
    こんなに冷静な文章を書けていたのに、何故、死を選んだのか。もう作家として文壇で認められていたのに。書けば、売れる。が、かなり推敲するタイプだったので沢山書けない。収入は増えない。家族は増える。女性にモテてしまう。
    もう少し、中期のような作品を書いて欲しかった。

    0
    2022年01月09日
  • 蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「蜘蛛の糸」極楽の蓮池がこんなに美しい描写だったのか。 「魔術」悲しげな魔術師。「杜子春」オチの軽妙な明るさに救われる。「トロッコ」私の道に照らして考えて、少し怖くなって寂しい気持ちになる。

    0
    2022年01月03日
  • 戯作三昧・一塊の土(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    『戯作三昧』を読んだ。
    芸術至上主義に生きた馬琴と、「芸術は表現に始まり表現に終わる」と語った漱石。
    芸術とは、自己を表現することである?表現の技法のことと考えるのは浅薄なのか?

    0
    2021年12月30日
  • 侏儒の言葉・西方の人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ★3.5
    "人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのは莫迦々々しい。重大に扱わなければ危険である。"
    "弱者とは友人を恐れぬ代わりに、敵を恐れるものである。この故に又至る処に架空の敵ばかり発見するものである。"

    0
    2021年12月15日
  • 羅生門・鼻・芋粥

    Posted by ブクログ

    昭和48年5月30日 改版14版 
    (日焼け変色の為、今回で廃棄)

    文学講座 「シューマンと芥川龍之介」視聴、再読

    シューマンと芥川が歴史的背景、精神性、作品の芸術性など類似性が高くドッペルゲンガーなのだというようなことを楽しそうに講義されてました。

    作家活動初期の頃の短編集。少し堅いというか道徳的な内容が多いかなぁ。漱石が芥川を激推ししていたのは有名らしいけど、手紙の中で、無暗にカタカナ使わない方が良いとアドバイスしていた。そう言われると、英単語をそのままカタカナで使っている言葉は、読者を選択する感じがしてしまう。
    巻末に当時の先輩作家さん達からの書評が掲載されていた。厳しめの評価の方もいて、若手だったし、小説としては面白くは無かったかな。

    「水の三日」は中学校学友会雑誌掲載の芥川の作文?水害被災者が学校に避難している時のボランティアについて、誠実に書かれていて印象に残った。

    0
    2021年11月02日
  • 地獄変・偸盗(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    平安時代の古典を元とした短編集。文章も古典の口語訳の様な趣なので、古典や平安文化に興味がないと読みにくいかも。
    『藪の中』は古典風味のミステリーで印象深い。構成が面白くて現代的。しかも犯人は分からず、「真相は藪の中」の語源になった様だ。
    今昔物語など古典をかなり読み込んでいるばかりでなく、英語は教師までやっていたんだから、漱石先生のアドバイスの通り、ゆっくり生きて欲しかった。

    0
    2021年10月25日
  • アグニの神

    購入済み

    勧善懲悪の筋立てであるシンプルな童話。「河童」に見られたような逆説的なメッセージは無いのか、少なくとも私は読み取れず。

    0
    2021年10月19日
  • 詩集

    匿名

    購入済み

    「詩集」といっても芥川による詩の寄せ集めではない。詩集がたどる運命をなぞった掌編である。2行のリフレインが強い余韻をのこす。

    0
    2022年09月28日
  • 奉教人の死(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    授業で読んだ。表題作の奉教人の死は素晴らしい作品だと感じたが、最後の女オチはちょっと…ね。やっぱり個人的に美少年が好き。

    0
    2021年09月09日
  • 羅生門・鼻・芋粥

    Posted by ブクログ

    18編の短編集。内容含め、多種多様なスタイルで芥川の才能を感じさせられる一方、統一感はない。凡人にはその奥にある文間をよみとるのがむずかしいが、解説を読むとなるほど、と思う。頭が疲れる作品。

    0
    2021年09月04日
  • 河童 他二篇

    Posted by ブクログ

    ★3.5 「蜃気楼」「三つの窓」

    「河童」は色々と風刺しているのだろうけど、分かりづらい風刺もあったので、全部消化出来ていない。

    0
    2021年09月03日
  • 河童・或阿呆の一生(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    久しぶりに芥川の作品に触れたいと思い本作を読むことにした。
    今まで読んだ芥川の作品は、羅生門や地獄変のように箴言的なものを感じたり、蜜柑のように描写がきれいなものが多いと思っていた。
    本作は、晩年に作られた作品を集めたものらしく、今まで読んできた芥川の作品とは違ったものだった。

    特に、死後に出版された「或阿呆の一生」と「歯車」は中身ががちゃがちゃしており、これを解説を見ないで、いろいろと理解できる人がいたらすごいと思った。
    ただ、理解しにくい内容でも、何となく不安感や厭世感は見えているので、そのあたりの空気感を楽しむのには良いのかもしれない。

    0
    2021年08月01日
  • 奉教人の死(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ★3.5「煙草と悪魔」「奉教人の死」「きりしとほろ上人伝」「神神の微笑」(再読)「報恩記」

    悪魔の描き方が好み。

    0
    2021年07月27日
  • 蜘蛛の糸・地獄変

    Posted by ブクログ

    カドフェス2021の中で最も価格が安かったため購入。
    蜘蛛の糸は小学生時代に読書感想文を書くために読んでおり非常に懐かしかった。地獄変は読んだことはなかったが、高校時代に宇治拾遺物語の絵仏師良秀は読んでいたので、これまた懐かしく読めた。
    個人的に気に入った話は犬と笛である。ストーリーが王道的で自分好みだった。逆に微妙だったのは袈裟と盛遠と枯野抄。前者は元ネタを知らなかったので物語に入っていけなかった。枯野抄は松尾芭蕉の弟子の知識が自分の中で乏しく、登場人物がかなり多くてこれまた話に入れなかった。

    0
    2021年07月13日
  • 俊寛

    匿名

    購入済み

    平家物語でも有名なエピソードのひとつ、鬼界ヶ島に流された俊寛を有王が訪う場面を材に採っている。小話ではあるが、芥川ならではの筆致で活写されている。

    0
    2022年09月28日
  • 蜘蛛の糸

    匿名

    購入済み

    後から後からのぼってくる罪人たちに一声かけたカンダタが彼らとともに落下する場面は有名で、ここに力学的問題をも提示できる。

    0
    2022年09月28日
  • 或阿呆の一生(まんがで読破)

    Posted by ブクログ

    芥川龍之介の自伝的作品の2作品をうまく漫画に落とし込んでいると思える一冊。

    主人公が精神を削られていく様子が、非常にうまく表現されている。作画がとてもマッチしているように感じられ、読み手の感情を揺さぶってくる。

    精神を病む状態というのがどういうものなのか、読めばわずかではあるがわかるような気がする。

    0
    2021年05月11日
  • 羅生門 鼻 芋粥 偸盗

    Posted by ブクログ

    「羅生門」を読むと、犯罪の境界線が自分のすぐ一歩さきにあるような気がする。いつ自分が踏み越えるかも、または踏み越えられるかもわからない、そんな日常を生きていると思う。

    0
    2021年01月03日
  • 羅生門・鼻・芋粥

    Posted by ブクログ

    高校生のときに授業で読んで以来の羅生門。
    授業だと下線部だの登場人物の気持ちだのと、純粋に読むのではなくお受験的な読解だったので、頭をフラットにして読むことができた。
    犯罪の決意を勇気と表現する芥川龍之介の世界観に、人間の弱さを感じた。
    勇気が弱さとは、不思議な感覚だ。

    0
    2020年12月31日