芥川龍之介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
編者解説に曰く(p.350)
> ミステリが探偵小説と呼ばれていた時代
> (大正期から昭和二十年代まで)に
> 活躍した作家の作品を対象にした
> 光文社文庫の新シリーズ《探偵くらぶ》第二弾
で、芥川作品のうち推理、
あるいは怪奇幻想要素の濃い短編を集めた一冊。
収録作は
開化の殺人
開化の良人
黒衣聖母
影
奇怪な再会
春の夜
三右衛門の罪
煙草と悪魔
西郷隆盛
未定稿
疑惑
妖婆
魔術
アグニの神
妙な話
お富の貞操
報恩記
藪の中
未定稿は1920年『新小説』掲載の、
「明治12~13年頃、《朝野新聞》に務める小泉青年が
同僚の素人探偵・本多保氏の助手役に」
――というミステリになるはずが未完の原稿。
これ以外は青空文庫でも読めるが、
やはり纏まっていると圧巻。
美しい従妹を愛した医師の狂おしい胸の内「開化の殺人」、
史学科の学生だった本間さんが京都から戻る際、
食堂車で出会った老紳士の話、
プラクティカルジョークの一種「西郷隆盛」、
倫理学者が岐阜県の大垣に滞在した際の
異様なエピソード「疑惑」が特に面白かったが、
やはり何度読んでも「魔術」の出来は素晴らしい。
ちなみに、芥川にインスピレーションを与えたと言われる
元ネタ、谷崎潤一郎「ハッサン・カンの妖術」は
同シリーズ第一弾『白昼鬼語』にも収録されている由。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ芥川龍之介最晩年の苦悶の短編集。こちらの気持ちが下降気味だと引きずられてしまう。
何故そこまで死を希望したのか、理由は幾つか読んでみたけれど、本当のところはわからない。ただ、相当な遅筆だった事、スペイン風邪に2度かかり、2回目はかなり重症だった事は、今回知った。
たぶんこの本はもう読まないと思うので覚書です。
「大導寺信輔の半生」
芥川の半自伝的小説と言われている。精神的風景画として6章からなる。未完らしい。
本所 出身地への嫌悪・恨み
牛乳 母乳への憧れから牛乳への嫌悪
母親は身体が弱く信輔に母乳を与えず
貧困 幼児期の貧困への嫌悪・敵意
学校 中学校での孤独 規則への嫌悪 教師への
敵意
本 小学生から本を愛すが、貧困の為欲しい本を
手に入れる事に難儀する。物語の中に転身
する。
友だち 頭の良い人・頭脳のある人を好む。
社会的階級の差別に壁を感じる。
芥川の作品が高尚であるので、それと決めるには難しいけれど、資金的な悩みは大きなものだったのかもしれない。
「玄鶴山房」
この家の主人玄鶴は結核で、もう最期は近い。その家族と看護師の平穏を装う生活の中での心理描写。
『家政婦は見た』を何故か思い出しちゃったよ。
その心理戦が、凄く好きでした。
この頃、芥川は義兄の借金をも背負い込み、困窮を友人らに訴えていた。
「蜃気楼」
たぶん芥川本人が、鵠沼の海岸を散歩する。蜃気楼は見えず、水葬の亡骸を見つける。ただ、それだけなのに、全体的に暗鬱な感じ。
「河童」
物語は精神病患者の思い出話として語られる。河童の国に迷い込み、そこでしばらくの間生活する。河童の国は社会が成立していて、そこでの出来事の描写が現実社会への批判になっている。出産や結婚については、なかなかシビア。胎児が産まれたくないと答えればそこまでとなる。同胞を食用にしたりする。人間社会に戻ったその患者は、再び河童の国に行くことを望む。
で、芥川の命日は『河童忌』。
「歯車」
歯車は偏頭痛が始まるサインのように「僕」の視界で回り始める。これはちょっとわかる。頭痛が始まるサインって人それぞれだけど、私は首の辺りで音がする感じ。
物語の始まりにホテルが出てくる。そのホテルに幽霊が出るという。その辺りの描写は、村上春樹の『ダンスダンスダンス』と重なった。
結局、幻想とか妄想が語られていて小説ではない感じ。何かを誰かにわかって欲しかったのかしらね。
「或る阿呆の一生」
自殺後見つかった51の項目からなる作品。
自身に関係した物事について、端的に回想している。ラストは敗北。
こんなに冷静な文章を書けていたのに、何故、死を選んだのか。もう作家として文壇で認められていたのに。書けば、売れる。が、かなり推敲するタイプだったので沢山書けない。収入は増えない。家族は増える。女性にモテてしまう。
もう少し、中期のような作品を書いて欲しかった。
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Posted by ブクログ
昭和48年5月30日 改版14版
(日焼け変色の為、今回で廃棄)
文学講座 「シューマンと芥川龍之介」視聴、再読
シューマンと芥川が歴史的背景、精神性、作品の芸術性など類似性が高くドッペルゲンガーなのだというようなことを楽しそうに講義されてました。
作家活動初期の頃の短編集。少し堅いというか道徳的な内容が多いかなぁ。漱石が芥川を激推ししていたのは有名らしいけど、手紙の中で、無暗にカタカナ使わない方が良いとアドバイスしていた。そう言われると、英単語をそのままカタカナで使っている言葉は、読者を選択する感じがしてしまう。
巻末に当時の先輩作家さん達からの書評が掲載されていた。厳しめの評価の方もいて、若手だったし、小説としては面白くは無かったかな。
「水の三日」は中学校学友会雑誌掲載の芥川の作文?水害被災者が学校に避難している時のボランティアについて、誠実に書かれていて印象に残った。
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Posted by ブクログ
久しぶりに芥川の作品に触れたいと思い本作を読むことにした。
今まで読んだ芥川の作品は、羅生門や地獄変のように箴言的なものを感じたり、蜜柑のように描写がきれいなものが多いと思っていた。
本作は、晩年に作られた作品を集めたものらしく、今まで読んできた芥川の作品とは違ったものだった。
特に、死後に出版された「或阿呆の一生」と「歯車」は中身ががちゃがちゃしており、これを解説を見ないで、いろいろと理解できる人がいたらすごいと思った。
ただ、理解しにくい内容でも、何となく不安感や厭世感は見えているので、そのあたりの空気感を楽しむのには良いのかもしれない。