芥川龍之介のレビュー一覧
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子供の頃の記憶がふと蘇る時がある。それは印象的なものの時も何気ないものの時もある。時間を経るにつれて忘れていく一方で、記憶に残り続けている出来事は宝物である。思い出は、写真などで形として残さなくても、意外と脳裏に焼き付いているものです。写真を撮ることに夢中になって大切な風景も人物も見失っては勿体ないですよ。記憶はふとした時に蘇るはずです。
良平は過去の焦りや心細さや絶望を今の疲弊した状況から思い出したのです。そんな風に、過去と似通った体験をすることで、当時の記憶が引き起こされるという現象に共鳴しました。 -
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ネタバレ読み応えすごい。
最初はつまんないと思った。或る日の大石内蔵之助(最初の話)が読みづらい。
その後の戯作三昧からおもしろい!
開化の殺人からいくつか、登場人物が被ってるみたいだけど前の話で経験してるはずの衝撃をスルーしてて、なんか不思議な感じで良かった。
雛はお兄ちゃんと母の関係に切なくなった。お父さんも本当は雛売りたくないんやな。
あばばばばは、娘さんの変化がわかりやすくて、恋ではない視線でその変化を冷静に捉えてるのが新鮮で良かった。
一塊の土はお民さんが先に亡くなるとは思ってなくて、お住さん可愛そう、家事全部やるのもおばあさんにはきついだろうなぁと思ったけど、それを抜け出せないつらい日々がやりきれない感じで書かれていて、なんか切ない気持ちになった。
お民さんが亡くなった後のお住の心境も、嬉しいと思いきや悲しさもあり、なんだかすごくリアルに感じた。
なんかどれも不思議と心に残ってる。雰囲気もなんか違って、テーマも違う感じで、どれも味がある。
芥川さんきっと丁寧な人だなぁ。
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芥川は、小説から構造を廃すべきと言ったわけではない
ただ小説の前提には作家の個性がなければならず
作家は、その自己表現を面白く読ませるための技法として
構造を用いなければならない
もちろんまた一方では個性が技法となり
二代目○○、三代目○○と積み重ねられていきもするわけだが
それを扱って作品とするのはあくまでも個人だ
そうでなくては、詩はスローガンに
小説はプロパガンダに堕していくしかないだろう
それに対する谷崎は
東京と大阪の文化性の違いなど挙げて
要は受け手の個性が作品を完成させるという立場を取っているようだ
もちろんそれもひとつのあり得べき解釈である
しかしやがては
スノビスト達の鼻持ちならない閉鎖性につながってゆくものでもあろう
そこに、ある暗い可能性を見いだしてしまうのは
ちょっと意地の悪い見方かもしれないが
「日本に於けるクリップン事件」
クリップン事件は、1910年にイギリスで起きた
マゾヒストによる情婦殺害事件
日本でも起こった同じような事件をレポートするのが
この作品の主眼である
しかしマゾ男が女王様を殺すこと以外に事件の共通点は薄く
単に同じものとして並べるのはやや乱暴な気がする
「藪の中」
ひとつの殺人事件をめぐり
すべての容疑者(および被害者)が自らの犯行と主張する話
各人のプライドがそれぞれにそういう主張をさせるようで
真相はわからない
ただ、誇りのために損害を被ることをも厭わない人間の気高さ
それが主題と見ることはできる -
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侏儒の言葉には覚えておきたい言葉も惹かれるフレーズも多くあった。生前に掲載されたものと遺稿に分かれるが、どちらを読んでも文学者としての目指すところや考え方に触れることができるように思えたし、これを読んだ後にその作者の自殺について考えるとなんとなく頷けてしまうのが正直なところ。
芥川のイエス論である西方の人は、イエス・キリストにも聖書についても知識が乏しい私にはいまいちぴんとこなかった。聖書からの引用も多いし、説いてるのがイエス・キリストの話なので。かといって、当分は聖書を読む気もないのでこのままで放置に決定。またいつか、聖書を読めた際にでも読み直してみたい。 -
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以前、映画化されたオムニバス作品の原作。玉石混交の短編集。
『BUNGO 文豪短編傑作選』角川文庫
鈴木梅太郎が脚気の原因がビタミンB1の不足だと特定し、年間死者数万人と言われた国民病を劇的に改善したのに、陸軍軍医総監の森鴎外はエリート根性から百姓学者が何を言うかと馬鹿にしてそれを取り入れなかったため、陸軍兵士はバタバタ死んだ。というエピソードをかつて知ったばかりに鴎外は読まず嫌いだったので、この中に所収の『高瀬舟』が初鴎外だった。生き方は共感できないが、作品は実に面白かった。
弟殺しの罪で島流しになる罪人を護送中の同心は、どうしてもその男が肉親を手にかけるような罪人に見えなかった。男はなぜ弟を殺してしまったのだろうか・・・
昨今のシリアルキラー全盛のミステリー小説ばかり読んでいると、こういう人情味のある、止むに止まれぬ殺人事件というのは人の心を感じられて良い。
たぶん実際の鴎外は相当な偏屈で、とても友達になれないタイプだと思われるけれど、文豪といわれるだけのことはある。人柄と作品の出来はつくづく別だと思う。この本には載ってないけど、ついでに『雁』も読んだ。これも良かった。物語の構成はうまくいってなかったけど、文章が上手いからすぐに読み終わった。
『即興詩人』も読んでみたい気はするが、たぶん一生読まないで終わる気がする。 -
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芋粥がとても良い。マリッジブルーの話と解釈した。人間は目標の達成という事実よりも目標を達成する努力や憧れなどプロセスを好む。夢が叶いそうになる時の一瞬の戸惑いはよくわかる。鼻は素晴らしい。コンプレックスという人間には切っても切り離せない問題をうまくついている。アイデンティティというものは、欠点も含めて存在している。その人にとってどんなに嫌な体の一部や考え方の癖などは、実はなくなってしまうと意外に寂しいものであったりするのである。
ひょっとこ。これは、仮面をつけている間に、元の自分に戻れなくなってしまった人間の話である。最近、ジキルとハイドを読んだせいか、なんだか近いものを感じた。人間の内面を感情と理性の葛藤とみなした場合、一度感情や快楽に溺れてしまうと、もはや元の自分には戻れなくなる。
煙管。どこかで読んだことがあった。ものというものはそれ自体の価値だけではなく、社会的に付与された価値というものがある。皆が持っていないこと、そしてそれを惜しげもなくあげてしまうことが富の顕示につながるのだ。ここに、マルクスの物化・物象化の概念を見出すのは拡大解釈だろうか。物の価値は、あたかも自然にあるもののような外装をしているが、実際には社会的関係の中で価値を持っている。富の顕示という意味では、モースの贈与論など、贈与というものがもたらす人類学的な働きについても考えることが可能である。
このような作品群を見る中で私が感じたことは。生きることや自分という存在への肯定である。つらいことや苦しいことも含めて人生であり、醜いところも含めて自分なのである。人は夢や理想を語るが、叶いそうになる瞬間に躊躇する心は、まさしく理想や夢を具現化できていない自分への愛、何か憎めない、不能への愛であると思う。そのような意味で、芥川龍之介はやはり人間の真理を鋭く突いている。 -
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○目次
「老年」/「ひょっとこ」/「仙人」/「羅生門」/「鼻」/「孤独地獄」/「父」/「野呂松人形」/「芋粥」/「手巾」/
「煙草と悪魔」/「煙管」/「MENSURA ZOILI」/「運」/「尾形了斎覚え書」/「日光小説」/「大川の水」/「葬儀記」/注釈・解説/吉田精一「芥川龍之介-人と作品」/三好行雄「作品解説」/年譜
芥川龍之介の青年期の作品も多数含まれているが、なにか熟成したような、人生を俯瞰したかの如き作品になっている。
「老年」や「ひょっとこ」は敗残した人生や「偽」という仮面を被った人生の虚しさや儚さを見事に描いているし、「鼻」・「羅生門」・「芋粥」のように人間のエゴイスティックな部分を描く。
「大川の水」のような俯瞰的に見る作品もあれば、「野呂松人形」・「手巾」・「日光作品」のように芥川自身が等身大で美に触れた作品もある。
また、「尾形了斎覚え書」のような候文の作品が登場するなど、芥川龍之介の引き出しの多さを改めて実感するし、こうした実験的な試みが芥川作品の魅力の一つなのかもしれない。 -
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ネタバレ装丁 小畑健氏による芥川氏の表紙だったんだが。。
解説 高橋敏夫氏。深く解説してくれる。
北方謙三氏。好きなんだな~と思う解説。
羅生門・鼻・地獄変・蜘蛛の糸・蜜柑は教科書で知っていたが、その他も結構面白い。
文体が作品によって違う(古典風だったり)ので
ものによっては読み解くのが大変だが。
多彩、というイメージ。
奉教人の死がベルサイユのバラみたいに漫画化できそうだな、と思った。ろおれんぞ は しめおん を兄として、ひょっとしたらそれ以上に慕ってそうだったので。
大川の水
羅生門
鼻
芋粥
地獄変
蜘蛛の糸
奉教人の死
蜜柑
舞踏会
秋
藪の中
トロッコ