芥川龍之介のレビュー一覧
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ネタバレ蜘蛛の糸感想
地獄から這い上がろうとする主人公の執念とそれを潔しとしないお釈迦様とは別のお天道様の存在を感じた。人間は一度執念にとらわれるとそれに固執することも多々ある視界の狭い生き物だと思った。お天道様は見ているという言葉がありありと思い出された。
お釈迦様の地獄にいる主人公を助けるために蜘蛛の糸を垂らしたあたり、お釈迦様の慈悲深さを感じた。これほどまでの聖人でありたいと自分の醜い一面を省みながら思うのであった。お釈迦様ほど人格が出来上がって、神と崇め奉られているような方が、地獄にいる人を助けたりすることがあろうか?
すごく短い作品ながらも、いろいろ思うところはあった。主人公のその後も想 -
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遺書を思わせる
文章的に読みやすくはあるが、内容は重苦しい。作者芥川龍之介は精神的にずいぶんまいっていて、自殺直前のような状態だったようだ。目の裏に見える歯車は、「閃輝暗点」という症状だそうで、頭痛を伴うがそれ自体に危険性はないそうだ。私もたまに見えることがあり、龍之介になったような気分になる。
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得意分野ではない
古典をストーリーの舞台とした作品には傑作が多い作者芥川龍之介であるが、その他のいろいろな分野にも挑戦しようとした作品の一つである。ただ、どうにもこのような一種の恋愛小説との相性は良くないようである。抑えられた筆がいいとも思えるが、機智のキラメキや激情を感じることができない。
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杜子春 と同じ流れ
有名な杜子春と同じ系列に属し、中国ものではなくインドもの として描いている。芥川龍之介のファンタジーである。「欲心」を持つものは「魔術」を使えない という表面的な教訓が描き出されているが、作者芥川龍之介の真意は一体何なのだろうか?
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不安が書かせた作品
【点鬼簿】死者の姓名を書きしるした帳面。過去帳。だそうである。精神を病んで、遺伝ではなかろうか との不安に苛まされている作者芥川龍之介の気持ちがありありと表れている 私小説的な作品である。不安に苛まされているためか、工夫 機智 きらめきがすっかり影を潜めている。
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流石に読みづらい
全文文語体で書かれているためさすがに読みづらい。内容はキリスト教に関心を持っていた作者芥川龍之介の、キリスト教に対する疑問をそのまま綴った作品である。現代文でもわかりにくい内容なので、文語体ではなかなかに理解が困難である。逆に「格調高い」と思わせる効果もあるだろう。
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芥川龍之介のエッセイ
芥川龍之介のごく短いエッセイっぽいような作品である。物理学的な熱伝導の話と踏切事故の話と手袋を落とした話をやや無理やり繋いで「寒さ」という表題でまとめている。巧まぬ技巧が冴える作品である。最も読んでいて読者を感嘆させるところはない。
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細かな心理描写
西鶴の好色一代男の経験人数が多すぎるというので、それの謎解きという ストーリーのフレームワークであるが、それほど面白いものではない。むしろ読ませどころは、芥川龍之介らしい細かな心理描写といったところである。
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大正デモクラシー
前半は豊臣秀吉の朝鮮出兵の際の朝鮮での伝説を淡々とした口調で述べているだけなので、あれあれと思ったが、最後1ページで作者の思いを述べている。どの国にも嘘でもいいから自国を第一と思う気持ちがあるのだ、と述べている。大正デモクラシーの時代とは、このような内容の本が書ける時代だったんだな。
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どうやらこれが名作らしい。「確かに!」とまでは行ってないが…の本。
名作なので改めて読んでみた。普段読んでいる本より、スピード感は出ない。と、言うのも、普段はノッてくると、カタマリ単位でスッと理解して読み進めることが多いのだが、この物語は一文字たりとも流してしまうと理解が追いつかなくなってしまう感じがしたので、一歩一歩読み進めるようにしなくてはいけない。一文字もこぼしちゃいけない感じが、一瞬ストレスに感じた。動画世代だから?(笑)
鼻は初めてマトモに読んだが、終始「これ、コントやん」って思いながら読んでいた。芥川龍之介もニヤニヤしながら作ってたことだろう。オチは少しドキッとさせられた。元通 -
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はい、ゆーさんにだけ大好評の『読まずにレビュー』第4弾です!(ドキューン!)
*『読まずにレビュー』とは?
表紙と題名、作者のみを手がかりに本の内容を推理し、感想まで書いちゃう!というちょっと頭のおかいや誰がやねん!( ゚д゚ )クワッ!!
(先に表紙拡大して確認してみてね)
はい、というわけでねイェイツ作『春の心臓』です
もう主人公いきなりヤリイカ頭に被っとるやん!んでなんか釣り竿持っとるやん!
主人公ヤリイカ漁師なのはまず確定ね
ここまでは割とイージーですな
しかし、場所はどう見ても山の中、はて?なぜにヤリイカ漁師が山の中に?
つかヤリイカの旬て冬よね
春ってことはもうヤリイカ -
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全8編の短編集。去年、新潮文庫の豆本のガチャガチャを引いたときに出てきた本。ずっと積んでたのをようやく読んだ。
テーマは分かりやすいが、オチがふわ〜っとした感じの話が多い印象だった。
本書の中で一番長い話は「邪宗門」。面白かったけれど急に異能力バトルが始まったと思ったら未完……! 解説によれば「新聞連載で風呂敷を広げすぎて畳めなくなったのだろう(要約)」とのこと。芥川龍之介でもそういうことがあるなら、私もそういうことがあってもいいか……と、謎の勇気をもらったりもした。
個人的には最後の「俊寛」が明るくていい話だなと思った(元ネタを知らないでそう感じることに若干引け目はあるが)。同じ題材を取っ -
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河童の国に迷い込んだ主人公が、
河童の世界を語りながら、
人間社会を風刺しているのかと
思って読んでいたが、読むにつれ、
芥川が、晩年、精神が病んでいく中で、
世に発表する小説として
河童の世界に託し、
寓意的に描かねば、自分の考えを
吐き出せなかったのだろうと思った。
河童の世界では、
産まれてくる子供が、自分の意思で
産まれたくないと言えば中絶される。
胎児の意思が尊重されるお産に、
芥川の発狂した母親の存在の影響を思う。
他にも芥川の心象が書かれているのだが、
芸術、政治、経済、資本、無神論など。
大正末期、若しくは昭和初めの作品だが、
現在、私達が抱えている
社会問題に通じる内容で考