山崎ナオコーラのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ#1
劇中の中盤で最も心を惹かれたシーンがある。加賀美とニキが新宿の路上で写真をとる家族に遭ったあと、ニキが言う。
「さっきのお母さんの、『美人に撮ってよ』ってセリフ、良かったね。結局のところ、写真ってそういうことだよね」
ニキは不器用で、人間関係の機微よりも無機質な被写体を得意とする写真家だと自称し、それが写真にも表れていた。そしてそれを自身の姿、アイデンティティだと信じ込むために気を張っていた。それでも、物語の終わりについにニキは自身の人間ぽさに向き合った。
『美人に撮ってよ』のシーンは、二人がきっとその感覚に気がついていたんだとおもわせる瞬間だった。あのときに何かが起きていれば結末は変 -
Posted by ブクログ
自分には姉妹はいないが、いたらいいなぁと妄想したことはある。幼い頃から一緒に育って、分かり合えて、味方になってくれる自分とそっくりな存在なのだろうなと。
でもこの本の姉妹はそうとは限らない。同じ親から生まれても価値観や性格はバラバラ、なんなら少し理解しがたい考えや反応を持つ、ちょっと邪魔くさくてでも途切れない繋がり。
かと思えば、真逆の気質を持って似てるところなんかないのになぜか一緒にいると楽しくなってくる、自分のことが少し好きになれるような他人もいる。
一緒に育ってなくても、大人になってからでも、姉妹は自分で手に入れられることをこの本は教えてくれる。
ぜひとも、阿佐ヶ谷姉妹のエッセイと一緒に