山崎ナオコーラのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
山崎ナオコーラの小説には必ず作家自身のアバターが登場する。もちろんどんな小説にだって多かれ少なかれ作家自身が投影された登場人物は描かれると思うし、作家が登場人物に自身の言葉を語らせることはあるとは思う。ただ、山崎ナオコーラの場合、投影と呼ぶのが慎ましやか過ぎると思う程にそこに山崎ナオコーラ自身の価値観を放つ人物がいるのだ。
もちろん山崎ナオコーラの何を知っているのかと問われれば何も知らないと答えるしかない。それでも文藝でのデビュー以来、小説もエッセイも順々に読み次いで来て見えているものが、この登場人物は山崎ナオコーラだと告げる。そう思ってしまうと読んでいるのが小説だとしてもほとんどエッセイを -
Posted by ブクログ
世界一好きな本屋で見つけて、即購入。タイトルと作者にキュンときたから。結果、大当たりの本だった。
ニキはひどくめんどくさい性格だけど、どこか共感できる部分もあった。恋愛してる自分は友達や家族に見られたくないとか。向こうから自分を好きになったのに自分がどんどん相手を好きになってしまうニキのことが好きだ。
加賀美はどうしようもない奴だけど現実的でそこが好き。
加賀美の頭ん中には恋愛ごとしかないのかもしれない、って思った瞬間もあったけど、彼が仕事にのめりこんでいく姿はカッコよかった。だけどやっぱり気持ちの悪い奴だとも思った。
喧嘩のときに加賀美がニキの喜ぶことを“してあげていた”と言ったのは良かっ -
Posted by ブクログ
読み始めて少しして、あ、わたしこの本読んだことがあったと思い出した。「手」のハードカバーを過去に読んでいたのだ。文庫化にあたって改題されていたことに気付かずに購入してしまった。
吉祥寺の某書店にサイン本があると聞いて、ふらっと立ち寄ったら最後の一冊になっていたので、迷わずレジに持って行った。開くと、内表紙の裏のページに見覚えのある金色のペンでサインが書かれていた。"毎朝、目覚めるだけで表現になる。"と。いい言葉だな、と思った。
この言葉は表題作「お父さん大好き」の一節だったのだ。そのページに辿り着くまで思い出せなかったのだけれど。
男と女の会話だったり、妙にドライな視点で