山崎ナオコーラのレビュー一覧

  • 母ではなくて、親になる

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    カフェに併設された、本のセレクトショップみたいなところで見つけて購入。育児や幼児教育などのジャンルの棚にありました。山崎ナオコーラさんの本はあんまり読んだことはなかったけど、自分の本棚を検索したら「この世は二人組ではできあがらない」を読んでちゃんと☆5つつけていた。もっと読めばよかったな。
    私とほぼ同じ世代で(3つ下)、同じ北九州生まれで、同じように流れで高齢出産のナオコーラさん。とても共感できる部分もあったし、私はそんな風に考えられなかった、尊敬する、あこがれるな、と思う部分も多かった。自分のライフスタイル(というほどではなくてもファッションの路線など)や、子どもとの向き合い方について、すご

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    2024年02月02日
  • ミライの源氏物語

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    大河ドラマ「光る君へ」の導入として(今年は10年以上ぶりに大河ドラマを観ようとしている)。現代におけるいろいろな角度からの視点で『源氏物語』を切り取る試みは他書とは一味違ってなかなか面白い。「ロリコン」「マザコン」「マウンティング」「トロフィーワイフ」「エイジズム」など。山崎さんによる『源氏物語』現代語訳フルバージョンを読んでみたい。

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    2024年01月29日
  • ニキの屈辱

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    写真家のニキと、アシスタントの加賀美の恋愛の物語。
    仕事中は昭和なカメラマン然とあろうと(中川家のコントに出てきそうなああいうやつ)厳しく当たるのだけれど、とあるときに言い返されたことをきっかけに、恋愛関係に発展し、そして別れるまでが描かれる。
    『自分の写真とは何か』を見つけ、制作に没頭し、ある時、加賀美は師匠を超えた存在になる。(師匠というのものは弟子を育て、弟子に超えられる存在ではあるよね)

    それとは別に、ニキのような女性にとって女性性って難しいよね、っていう話でもあると思った。
    素直に女性性を受け入れられればいいのだろうけど、それを拒否してしまうと、愛する人との関係がうまくいかなくなっ

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    2023年12月30日
  • むしろ、考える家事【電子特典付き】

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    思索が深くて、面白い。
    いつも家事を担っている人の中に、ここまで生き方や社会について考えている人もいるのだということを、世の中に知ってもらいたい。
    山崎ナオコーラさんのように、それを発信する人がこれからさらに出てきてほしいし、それがメインストリームになる社会になってほしい。

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    2023年11月21日
  • ご本、出しときますね?

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    本の内容はもちろん面白かった。
    それ以上に読んだことがない作家さんをたくさん知ることができたし、紹介されており本の中に読んでみたいものもたくさんあった。

    たまには意識的に新しい作家さんを開拓しないと読むものが偏っちゃうから。

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    2023年11月19日
  • 反人生

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    表題作よりも、最後の「社会に出ない」がとても好きだった。

    P.158
    スマートフォンで住所を調べよう、ということを言いださないのと同じように、私たち全員が心の中で思いながら、何年も誰も言わないことがある。
    それは、山崎くんがおそらく、働いていないだろう、ということだった。
    大学にいるとき、山崎君は就職活動を一切していなかった。大学を出たらバンド活動をする、と言っていた。卒業後にライブが三回あって、私は三回とも聴きにいった。
    しかし、そのバンドは一年ほど経つと、メンバーのひとりに子どもができて、その人が就活のために音楽をやめると言い出した、という理由で、解散してしまったらしい。その後の山崎くん

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    2023年10月22日
  • 可愛い世の中

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    豆子最初は大丈夫かなこの人と思ったけど、大失敗も含めて愛おしい。自分の生き方貫いていてかっこいい!落ち込んでる人がいたらおすすめしたいと思う本。

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    2023年09月23日
  • 鞠子はすてきな役立たず

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    ネタバレ

    久しぶりに山崎ナオコーラさんの小説を読んだ。等身大の文体で、恐らくナオコーラさんが感じたこと、考えたことを丁寧に描写しているのが好きだ。ナオコーラさんは、世間の常識や暗黙の了解に疑問を持って、「こういう考え方があってもいいんじゃないか」と小説を通じて投げかけている気がする。
    本書で言うと、
    ・働かなくても、胸張ってご飯を食べていい
    ・趣味でも社会参加できる
    みたいなこと。

    自分にない考え方に出会うと、反発することもあれば、癒しや救いになることもある。ナオコーラさんはいつも私に新しい道を示してくれる。私がその道を歩むわけでもないけど、人生の選択肢が増えて気が楽になる。

    鞠子との生活を通じて、

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    2023年09月02日
  • 美しい距離

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    ネタバレ

    結婚に対するネガティブな感情(女としての役割を押し付けられる、自分の負担が増えるだけ等)を少し改めた。
    お互いを社会人として尊重し合う、2人の関係はとても素敵だ。
    愛する妻のために働き方を工夫しながら看病する主人公は、献身的とも言えるが多分違う。彼は好きな人と一緒にいたくて、少しでも力になりたい一心だけど、自分が属する社会、妻が属する社会両方を大事にしている。
    私もそんな人生のパートナーがいたらいいなと思った。

    妻の死の場面では号泣した。段々と呼吸の間隔が大きくなり、息をしなくなる描写がとてもリアルだった。
    死んだ途端に向こう側の住人として、神様のように扱われることに主人公は違和感を抱いてい

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    2023年09月02日
  • 可愛い世の中

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    一昨日読んだ山崎ナオコーラさんの「可愛い世の中」
    なんだか私には縁のない性格や特徴、人生の渡り方をする主人公。結婚を軸に進んでいくのに全くハッピーじゃないし五本の指に入るほど好きな作家さんだけど今回は残念だった、と思ってた。けれど、さっき。ふわふわ考えていたらいきなり腑に落ちた。豆子が香水の事業を始めるパートナーとして夫とは別に彼を選んだように、結婚のお手伝いを家族に頼んでしまったように、パートナーは目的ごとに存在して、全てを相方一人に抱えさせることは間違いだったと。例えばライブハウスや読書やカレーや音楽、同じものが好きなひとなら無理させず共に隣で楽しむことができるし、ふたつの脳みそで考えごと

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    2023年07月30日
  • ミライの源氏物語

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    受験以来触れてない源氏物語。登場人物の気持ちが全くわからなかった学生時代。今だってわからないが、それは当然。だって生きている時代が違うから。山崎さんの指摘はシンプルで明確。その上で新しい物語の楽しみ方を教えてもらい非常に興味深い本だった。

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    2025年12月05日
  • 美しい距離

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    帯を見て、反射的に
    切ない感じを想像していたけど
    そうじゃなかった。

    がん患者と家族の心のうち、
    医師をはじめ、そこに関わってくる人たちとのやりとりで感じるさまざまな思いや葛藤、
    どう社会と関わっていけるのか…

    登場人物に名前がないぶん、
    彼らが着ている服の色や仕草を
    何度も描写しているのが印象的だった。
    それが、淡々と物語が進んでいくように感じた
    理由の1つかも。

    主人公が、
    がんを患った妻の入院先へ向かうところから
    物語は始まる。
    がん患者が考える仕事への思いと距離感。
    がん患者家族とそれ以外の人たちとの距離感。
    逝ってしまった大事な人との距離感。
    とても冷静に綴られているなぁ

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    2023年07月27日
  • 美しい距離

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    あなたは、『がん』で死にたいと思いますか?

    2021年の厚生労働省”人口動態統計”によると、この国で亡くなった方の死因は
    第一位: 悪性新生物 26.5%
    第二位: 心疾患 14.9%
    第三位: 老衰 10.6%
    という順位になるようです。悪性新生物、つまり『がん』が死因の四分の1を占めるという現実。60歳代に限るとその割合は45.2%にも上ると言いますから、『がん』という病が私たちにとって極めて身近にあることがよく分かります。この大きな割合を考えるとあなたの周りにも『がん』で亡くなられた方がいらっしゃるのではないでしょうか?

    そんな『がん』は昔から小説の題材にもな

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    2023年07月01日
  • ミルクとコロナ

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    ネタバレ

    山﨑ナオコーラさんと白岩玄さんによる、子育て交換エッセイ。(「往復書簡的な」とも書かれている)
    山﨑さんと白岩さんは同じ年にデビューしたそうで、山﨑さんは唯一の「同期」と呼んでいる。年齢は山﨑さんの方が年上だが、2人とも同じ頃に子どもを持ち、作家業をしながら子育てをすることについて、「before corona」と「under corona」の二部編成で綴られている。

    私は子どもがいないので、子育てには直接関係がないのだけれど、だからこど、自分には直接的に関わらない分野だからこそ、読みたいと思って手にとった。タイトルに「コロナ」という言葉があったことで、コロナ禍の子育て事情かな?とも思った。

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    2023年06月27日
  • 美しい距離

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    私も2年前に母を膵臓がんで亡くし、
    自分自身も癌治療をしたことがあるので、
    当人の気持ちも介護側の気持ちもわかる部分が多く、
    この小説のエンディングの
    亡くなった後のだんだん距離が離れていく感じ、
    昔に戻っていく感じが美しくて、
    私も死ぬなら癌もありだなと思えた。

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    2023年06月01日
  • ご本、出しときますね?

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    オードリー若林さんと作家さんの対談のような感じで進むテレビ番組の書籍化。 作家さんってなかなか面白い人がたくさんいるものだなと感じられるし、心の中はちょっと黒い人が多いのかなと。 そして、意外と作家さん同士って交流あるものなんだなと。

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    2023年04月16日
  • 人のセックスを笑うな

    購入済み

    別れるということ

    この作品をだいぶ前に読んだ。その時から、ずっと好きな作品であった。好きな人と一緒にいることは、すごく楽しいことなのに、不安感を拭えないのは何故なんだろう。好きなのに、別れようと思うのは何故なんだろう。今もわかりません。

    #シュール #切ない

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    2023年03月13日
  • 「『ジューシー』ってなんですか?」

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    小市民の職場での会話や人間関係がとても愛しく、私は大好きな作品だった。

    ・ジューシーってなんですか?

    新聞のラテ欄を作る多忙な部署の人たちの話なのだけど、仕事のつらさよりも、その合間の何気ない会話や、ちょっとした息抜きなんかが中心に書かれている。
    そんな中で、ふと浮かび上がる思考がぽこぽこと間に挟まる感じ。

    職場ってこういうさりげなく優しい交友関係がいいんだよな、私もこういうのが楽しくて働いてるな、と思う。
    「先に続く仕事や、実りのある恋だけが、人間を成熟へと向かわせるわけではない。ストーリーからこぼれる会話が人生を作るのだ。」という文章が作中にあり、とても素敵な言葉だと思った。 
    普通

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    2022年12月28日
  • 指先からソーダ

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    なんだろう、読みながら自分が愛しくてたまらなくなった。

    カサカサした心になってしまった時も、持ち前の「トライアンドエラー」精神で物事をぐるぐると考え直し、何かに気付いたり、考えがうねうね変わりながらモヤモヤしたままだったり…。
    そんなナオコーラさんの日常がエッセイから透けて見える。

    特に大好きだったのは、"栞が導くいろんな世界たち"。
    「本離れ」を問題視して、「子どもに本を読ませなくては」と言う人がいるが、大人が読書のメリットを提示して勧めても、子どもはきっと読む気にはならない。ナオコーラ氏が本好きの理由は「現実逃避ができるから」。
    それってほんとうに、真理だ。
    私が今

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    2022年12月25日
  • ご本、出しときますね?

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    同名のテレビ番組の書籍版。対談番組なので普通の対談本として読める。内容は若林×小説家2人の対談。読んだことない人も多かったけどどの人も面白くてみんな読んでみたくなったし、小説家の皆さんのとがり方は自分とは違くて自分はやっぱ作家ではないな、とも思った。

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    2022年12月04日