あらすじ
芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を! 仕事と経済、カップルでいること……をみずみずしい筆で紡ぐ、新感覚小説!
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Posted by ブクログ
私は経済力を誇る気持ちはないし(誇れる経済力もない)、自立しているということを殊更主張したい気も、消費や納税で社会に貢献しているという悦びもそんなに感じないが、自分をブスだと評し、かわいく見せることに興味が湧かないというところは自分のことかなと思うくらい共感した。
そうなのよ、そもそも可愛くない上に、少しでも可愛くなりたいという欲すら湧かないのよね〜と。
(こんな薄い理解になって申し訳ない。豆子はもっとちゃんと言語化しています)
こんなに自分を客観視して言語化して理解しているのに、自分をぶすと評したり発言小町を見たり、きっとするべきではないと思いながらも見てしまう思ってしまうところも等身大の人間そのもの。理解してても行動に落とし込めないこともあります。
経済力があること、それを少し褒めてほしいと思うことは男性と女性で感じ取られ方は確かに違うだろうな…言われてみて初めて認識し、ハッとするくらいには私もステレオタイプな価値観に囚われていることを教えてくれた良著。
宇多田ヒカルさんが一般の方と結婚されるときに相手の経済力について記者から質問された(とても失礼)際に「経済力は私にとって最も重要でないもの」
みたいなことを答えていてカッケーー!ってなったので、豆子の気持ちもわからないではない。
でも、一般的な価値観と違う価値観を押し通すのは茨の道ですよね。この本の評価が伸び悩むのも多くの人に理解し難いせいなんだろうな。わたしもそういう考え方があるんだとこの本で知れたので視点が広がってよかったです。少しずつ理解が広がって段々多様な価値観が受け入れられるようになるんだろうな。
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豆子最初は大丈夫かなこの人と思ったけど、大失敗も含めて愛おしい。自分の生き方貫いていてかっこいい!落ち込んでる人がいたらおすすめしたいと思う本。
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一昨日読んだ山崎ナオコーラさんの「可愛い世の中」
なんだか私には縁のない性格や特徴、人生の渡り方をする主人公。結婚を軸に進んでいくのに全くハッピーじゃないし五本の指に入るほど好きな作家さんだけど今回は残念だった、と思ってた。けれど、さっき。ふわふわ考えていたらいきなり腑に落ちた。豆子が香水の事業を始めるパートナーとして夫とは別に彼を選んだように、結婚のお手伝いを家族に頼んでしまったように、パートナーは目的ごとに存在して、全てを相方一人に抱えさせることは間違いだったと。例えばライブハウスや読書やカレーや音楽、同じものが好きなひとなら無理させず共に隣で楽しむことができるし、ふたつの脳みそで考えごとができる!あたりまえだけど、わすれていたこと。
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九月の午後の日差しをつける金色のシャンパンは、ブレスレットのように光る泡を空に向かって長く伸ばしていく。
姉妹それぞれの生き方が、現代の女性の生き方の多様性を表現してて、面白かった。
Posted by ブクログ
世間のジェンダー感、結婚、仕事などに悩む豆子はちょっとだけ変わったところがあるけど(そこが魅力!)現代日本に生きるアラサー女性は共感することが多いと思います。
うじうじ考えがちで、妹からも面倒くさいと言われてしまう豆子ですが、それでも自分なりの幸せを求め少しずつに進んで行こうとする姿は愛おしく、元気が出ます!
経済力と社会参加に価値をおく女性、豆子は自分では容姿に恵まれていないと思っていて、それゆえまめまめしく働き、社会に「いても良い」と認められたいと思っています。
ある日、同僚から「子どもが欲しいなら35歳までになんとかしなきゃいけない」と言われ、32歳の豆子は焦ります。
今まで他の女性たちとは違った幸せのかたちを目指していたのに、世間からは「女は子どもを産まなければ社会から認めてもらえない」ような気がしてきたからです。
豆子はその後、鯛造という経済力はあまり無いけれど愛すべき男性と出会い、結婚することに。
自分の魅力は世間一般的なお嫁さんとは違い、経済力だと思う豆子は結婚式もそんな「特殊な」自分たちらしいものを開いて、一家の大黒柱として資金も全て自分が負担したいと思います。
しかし周りに豆子の思いはなかなか理解してもらえず、「男であれば尊敬されるであろう行いが女であるために正しく評価されない」と思います。
アラサー女性が悩みがちなことが、豆子という独特なフィルターを通して描かれるところがとても面白かったです。
共感できるところもあれば、「そんな風に考えるんだ!」と思ったり。
豆子の姉妹たちもそれぞれ個性的で、それぞれに共感したり、しなかったり…
なんだか女子会みたいな小説でした!
わたしも一つのことに対して無駄に(?)思い悩みがちなので、豆子の考察は面白かったです。
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私もまめこのように細かいことを気にしてしまうタイプで、人に何かをしてもらってもかわいく喜んだりすることが出来ない
男なら収入が高いと褒められるのに、女というだけで俺より年収高い女無理と謎に上から目線で批評されたりする。同じことをしているのに
何をしても、女だからという理由で正しく評価されていない気がして男だったらどうだったのか考えてしまう
まめこのプライドが高いのではなくて、だれだって努力に対して男女関係なく認めてもらいたいと思うのは普通ではないだろうか
多くの女性が本当は嫌でも男性に媚びた方が生きやすいと分かって可愛く生きているから、女性ではなく1人の人間としての権利を求めるまめこがめんどくさく感じられる。けど、権利を求めることの何が悪いんだろう
生きづらい世の中を恨むのではなく変えていこうと前向きな姿勢のまめこに励まされた
Posted by ブクログ
人によって相手に求める期待は異なる。自分の努力は隠して人に期待しないことが落胆せずに生きれる、ということを学んだ。
結婚式はプランナーやパートナーを頼って、どう見られるかよりも、自分たちがどうしたいか、を優先して考えていくべきと感じた。
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結婚式の準備に明けくれる豆子__湯水の如く溢れ出す不満はとどまること知らず。お金がなくなると心の余裕がなくなるとはこのことか。ミステリーじゃないのに味わえるスリル感が面白かった!正直、結婚式やめてしまえと何度も思った。
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二〇一八年の小説。女と結婚(もちろん男も関係あるが)をテーマとした思考小説(そんな言葉はなさそう)みたいな読み心地で、半分くらいまでは、共感したり、批評眼の鋭さに恐れ入ったりしつつも、今どき珍しくもない本かなと思いながら読んだ。
わたくしの経験上、こういう話で最後に突然奇跡が起きてすべてがうまくいったというようなご都合主義な展開はないだろうが、逆に、すべてがうまくいかず、いやーな気持ちになって終わる可能性はある。山崎ナオコーラさんの本を読むのはこれが初めてだったのでそこんとこの信頼みたいなものもなく、絶望オチだったらいやだなと、まあそれは好みの問題だが、後半はそれだけが心配でおっかなびっくり読み進めた。
でも結果的にそれは取越し苦労で、読後は「色々あるけど明日も頑張ろう」という、現代の現実的な小説を読み終わった時にいちばん私がなっていたい気持ちになれていた。主要人物たちの誰を嫌いになることもなく、一呼吸おいた今振り返るとむしろ全員愛おしい。ん、タイトルの“可愛い”世の中、ってそういうこと?
以下、備忘メモ。
・花、豆子(主人公)、草子、星の四姉妹もの。
・「『可愛くて人に頼るのが上手い女性』と『地味で自立している女性』の結婚を一緒にしないでほしい」
・「とにかく、自分で決めた、という実感があればいい。(略)あとになって人のせいにしない覚悟があれば、どんな決断だってしていいのだ。」
Posted by ブクログ
豆子の気持ちがすごくわかる。
読んでよかった。
なんか自分だけやないなって思えた。
女性は女である限り、世の中からは女という生き物として色んな当たり前を押し付けられてる。
それを、言語かされて
ほんとにそれな? って思いながら、、。
今回は姉妹の話だったから女が主体だけど
性別問わずの話だと思う。
多様性って言われる世の中だけど、
その多様性もこれまた、難しいんだと思う。
Posted by ブクログ
豆子の考えすぎな性格、とても共感できるところがあって身近に感じました。
『誰からも賛同されなくていい。ひとりでこっそりと出かけ、誰にも感想を言うわけでもなく、自分の心にとどめておく。』
『タダでもらえるものならなんでも喜ぶような経済力の人間だと思われたんだ』
結婚、社会での立場や家族での立場、夫婦の関係、経済力など豆子みる世界がハラハラして指が進みました。
Posted by ブクログ
人間として認められたいと思う一方で、世間の価値観に流されたりもしちゃう豆子が愛おしい。
豆子の気持ち、とってもよく分かる。
わたしも人間としてキュートでありたいけれど、女性としてのフェロモンみたいなものにはあまり興味がないたちなので。
なんていうか、主流の考え方、っていうのを無くしていきたいよね。みんなが生きやすくなるように。
Posted by ブクログ
豆子ちゃんに共感できんくて、
でもできへんぶん、
じぶんとの距離が大きい分、
新しい理解の幅が生まれた!
あと、複雑な人間関係。
これを理解することは簡単なようで難しくて、
理解したら世界はもっと明るくなる。
Posted by ブクログ
いやーーーーつらい。
いろいろつらい。
たしかに豆子はめんどくささの塊なのだけど、
世の中が持つ結婚や新郎、新婦に対する
強固なイメージがしんどかった。
Posted by ブクログ
登場人物の考え方が強く全面に出てきて、1人の人間というより、考え方が述べられていると感じるところもあったかなという印象。
タイトルがひらがなの「かわいい」でなく普段あまり見ない漢字表記の「可愛い」であることに、皮肉や違和感が込められてる。
Posted by ブクログ
【再読】
たとえ好かれたいとか良い女に見られたいとかの感情が無いにしても、豆子は可愛いが得意ではない。
私は豆子とは違い経済力もないので良い女に見られたい。
共感とも反感とも
四姉妹の花、豆子、草子、星。華やかで外交的な花と星。地味で内向的な豆子と草子。両親のネーミングセンスを疑ってしまう。次女の豆子が突然、結婚宣言をする。豆子の葛藤を軸に物語が展開する。豆子に共感する部分は多いが、夫に対して考え方には、まったく共感できなかった。豆子の結婚式でノックアウトされたのに、タダでは起き上がらない姿が面白かった。
Posted by ブクログ
豆子の考えを張り巡りすぎてしまう感じ、めんどくさいのにどうしよくもなくてシンプルに考えられないの、わかってしまう。1人で生きていこうと決めてた人が結局色んな人と上手く関わっていい方向に進めたという終わり方はなんともいえないくぅ〜!てかんじがして、よかった!人と関わるって、おもしろい。
Posted by ブクログ
豆子、めちゃくちゃ分かるぞ。
お金の価値観って共に生きる上で1番大事。
でもその価値観っていつどうやって形成されたんだろ?親と全く一緒なわけでもないし....
こないだ「老後の資金はありません!」って映画を見て思ったけど生きるだけでどうしてこんなにもお金がかかるのか。
結婚式は夢だけどこの本を読んで式を挙げることに少しマイナスなイメージを持っちゃった。
Posted by ブクログ
可愛い世の中というよりは
女として生きるのは大変な世の中(と主人公は思っている)
って内容でした。
友達に対してだと自分の中の面倒な部分は中々さらけ出せないので、
面倒な部分を認識しながら話を聞いてくれる姉妹って貴重な存在。
周りにどう思われてるのかは気にせず
自分軸で理想を追い求めていきたいけど、
周りの目って気になるんだよねぇ…
Posted by ブクログ
豆子、めんどくさい。
仕事をがんばると決めたならそれでいいのに、絶えず誰からも褒められたいという欲求がある。他人なんて、そう簡単に褒めないよ。簡単に褒めるときは興味がない証拠。
自分の結婚感や仕事感をあーだこーだとまくし立ててるけど、その一方で誰よりもそのことを意識してる。著者自身のプライベートにも関係しているのではないかとうがった見方をしてしまう。
なかなかおもしろい四姉妹だから、それぞれの話をもっと読みたかった。
Posted by ブクログ
豆子がまぁ面倒くさそうな性格で、
これは生きづらいなぁと思いつつ
だけど、その気持ちわかるー!!!と
強く感じるところもあり。
結局のところ、
共感はできかねるキャラクターだけど
豆子は豆子なりに一生懸命生きているし
すごくきちんとしていて尊敬もする。
お金の話、ではあるけど
これはお金だけじゃない人生や尊厳の話だ。
自分はどうだろう、と少し考えた。
Posted by ブクログ
結婚と、男女の役割と、人生と。
豆子ちゃんは自分の立ち位置として、夫婦、会社、社会の中、男女という意味でもどう思われているか、わかっていて、それを認めてほしいと思っていた。
特にお金に関しては思うことがあり、彼を支え、友人たちから認めてもらいたい気持ちが強かった。
認めてもらうために、豆子は将来に、と思って貯めた600万円を一気に使う。そして心が揺れ動く。実際に使ってみて…
こつこと貯めたお金と、援助してもらうお金はもちろん重みも意味も違う。こだわるけれど、そしてこだわったにもかかわらず、得られた結果は「あれ?」というものだった。
豆子は美人ではなく、かわいい部類でもない。
可愛くなりたいと努力し、その路線で生きていくか、自分の道を拓くか。
それは、どちらが気持ちがいいか、どちらが楽なのか、ということと関連があるし、判断・決断するということからの逃避とも関連があるのかもしれない。
豆子ちゃんは若いうちからいろいろと考えて決断している。
Posted by ブクログ
世の中の強い価値観・フレームの中で、多様な価値観の表現・実行を迷い揺れながらも行っている主人公。人は不器用だ、面倒だと呼ぶが、とても勇気ある人物である。
保守でもジェンダーでもなく多様性。さすがの山崎作品、一筋縄ではいかない。著者インタビューによると自身を投影している部分もあるとのこと。
Posted by ブクログ
メモ:
それぞれが異なる定規を相手にかざすのだから、自分の求める褒め言葉がもらえないのは当たり前だ。褒め言葉が欲しくて人と付き合うのならば、自分と似た人とばかり付き合えばいいわけだが、それもバカバカしい。
褒め言葉を期待せずに、自分の努力は自分だけがわかっていて、人に伝えないようにするのがいちばんなのだ。豆子は、そう考えた。
Posted by ブクログ
豆子よ…!
彼女にとって(彼女というくくり自体豆子は嫌がりそうだけども)、今の世の中は生きづらい。
今より昔ならもっともっと生きづらかっただろうし、今より未来にはいつかスタンダードで普通な生き方になるのかもしれない。
でもとにかく豆子が生きているのは今だから、それを認めて生きなければならないのに、納得がいかないという思いがびしびしと伝わってきて…!なんて息苦しいのか!
ごぼうの香水きっと売れるよ。豆子負けるなー!
Posted by ブクログ
自分も式が終わったばかりなので、苦い気分を味わったり、ここの描写だと現実味がなさすぎると思ったりしながらの読み始め。
どっちかというと自分が星に近いため、なんでそんなことでうじうじするのかとイライラする描写も多く、途中で飽きてしまった。途中から仕事やお金の小説になっていて、最後は前向きで良いシーンだったんだろうけど、あまり入ってこず。