山崎ナオコーラのレビュー一覧

  • むしろ、考える家事【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    タイトルに惹かれて手に取った本。
    作者の名前も面白い。
    通り一遍のことを述べたものではなく、独自の視点で家事についての意見を描いているので面白い。
    特に夫との家事のやり方の違いや料理の献立の選び方など「たしかに…」と思うことが満載で読みがいがあった。子どものお手伝いひとつとってもエピソードがほほえましく、母の苦労と子どもの笑顔が浮かんでくるいい話だった。
    「家事を年収に例える」「家事をしてくれる人に感謝する」「時短」「ものを捨ててシンプルな暮らしを」…などなど様々な昨今の風潮に対してメスを入れていく様もしびれる。割と流れに乗りがちな自分にとって新しい意見だった。
    個人的に「レシピを読む」という発想がなかったので、今度料理本を手に取った時には書き方の癖を見てみたいと思う。

    0
    2023年12月07日
  • 母ではなくて、親になる

    Posted by ブクログ

    はっとさせられる文章がたくさんあった。
    まずタイトルからはっとさせられた。
    母親はこうであるべき、、、を自分が1番強くもっていて、縛り付けていたことに気づく。
    母親ではなく、親になりたい。
    他にも心に留めておきたい文章がたくさんあった。


    親と自分が似ているかどうかなど微塵も考えずに、私が想像できないような新しい生きた方をしてくれたら嬉しい。
    全く新しい存在が、たまたま自分のそばにいるだけ。

    勝手に頑張って、そのあとに勝手に文句を言う。ということを避けるためにも、やりたいことはやった方がいい。

    時間の使い方に関しては、ずっと自分もなやんでいるが、全部自分の時間なのだ、という自覚だけは持ち続けたい。

    しっかりとした努力ができなかったとしても、自分が選んだ部分があるとしても、困ったら助けを求めていいのではないか。

    知らないでいた方がいいことなどない。汚れたら、洗えばいい。

    本好きな子に育てるにはどうすればいいのか。という問題をよく目にするが、わからないままに読み進める勇気を持つのが重要だと私は思う。

    過去も未来も今を輝かせるためにある。
    未来は今に希望をもたせるための概念だ。

    0
    2023年10月29日
  • ご本、出しときますね?

    Posted by ブクログ

    読書芸人の若林が小説家と対談する番組の書籍化らしい。
    常々小説大好きな人の気持ちを知りたいと思っていたが、この対談で多くの気づきを得られた。
    自分自身は現実的なビジネス書や、心理学、脳生理学などの役に立つ本を好んでいたので、なにゆえ個人の脳内で創作されたフィクションが好まれるのか不思議であった。
    本書や小説家(書くほう)の視点の言葉が多いが、彼らは読書家でもあるので示唆に富む会話が飛び交っている。

    ・「弱者」って言葉を言い換えると「大多数」のこと
    ・登場人物が自分の身代わりになってくれるような気がした

    0
    2023年10月05日
  • リボンの男

    Posted by ブクログ

    経済活動がどうこう言う主夫と、大黒柱の妻、争いが起こりそうなのに穏やかな日常をそれぞれ満足に過ごしていて癒された。長さ的にもほっと一息つきたい時におすすめの小説。山崎ナオコーラさんは、日常を描くのが上手い。

    0
    2023年09月30日
  • 可愛い世の中

    Posted by ブクログ

     二〇一八年の小説。女と結婚(もちろん男も関係あるが)をテーマとした思考小説(そんな言葉はなさそう)みたいな読み心地で、半分くらいまでは、共感したり、批評眼の鋭さに恐れ入ったりしつつも、今どき珍しくもない本かなと思いながら読んだ。
     わたくしの経験上、こういう話で最後に突然奇跡が起きてすべてがうまくいったというようなご都合主義な展開はないだろうが、逆に、すべてがうまくいかず、いやーな気持ちになって終わる可能性はある。山崎ナオコーラさんの本を読むのはこれが初めてだったのでそこんとこの信頼みたいなものもなく、絶望オチだったらいやだなと、まあそれは好みの問題だが、後半はそれだけが心配でおっかなびっくり読み進めた。
     でも結果的にそれは取越し苦労で、読後は「色々あるけど明日も頑張ろう」という、現代の現実的な小説を読み終わった時にいちばん私がなっていたい気持ちになれていた。主要人物たちの誰を嫌いになることもなく、一呼吸おいた今振り返るとむしろ全員愛おしい。ん、タイトルの“可愛い”世の中、ってそういうこと?

     以下、備忘メモ。
    ・花、豆子(主人公)、草子、星の四姉妹もの。
    ・「『可愛くて人に頼るのが上手い女性』と『地味で自立している女性』の結婚を一緒にしないでほしい」
    ・「とにかく、自分で決めた、という実感があればいい。(略)あとになって人のせいにしない覚悟があれば、どんな決断だってしていいのだ。」

    0
    2023年08月14日
  • むしろ、考える家事【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

    普段、家事を無駄な時間と考えてる人が読めば、少しポジティブに考え方を変えることが出来るようになると思います。

    社会に対して問題提起もしながら、いつもの尖った内容が面白いです。

    0
    2023年07月14日
  • 母ではなくて、親になる

    Posted by ブクログ

    タイトルにある通り、母、父である前に子どもの親であるという考え方に共感できた。
    色んな生き方を寛容しつつも、社会に蔓延するレッテル貼り、カテゴライズに対しての鋭い切込みが読んでいて心地よかった。

    0
    2023年06月28日
  • ご本、出しときますね?

    Posted by ブクログ

    3.7面白かった。二人づつなのが良。ラジオとかで続いてくれないかな。その方が出てくれる作家さん増えそうだし。

    0
    2023年06月20日
  • 可愛い世の中

    Posted by ブクログ

    豆子の気持ちがすごくわかる。
    読んでよかった。

    なんか自分だけやないなって思えた。

    女性は女である限り、世の中からは女という生き物として色んな当たり前を押し付けられてる。
    それを、言語かされて
    ほんとにそれな? って思いながら、、。
    今回は姉妹の話だったから女が主体だけど
    性別問わずの話だと思う。
    多様性って言われる世の中だけど、
    その多様性もこれまた、難しいんだと思う。

    0
    2023年05月11日
  • リボンの男

    Posted by ブクログ

    最近は本当に読書に時間を割けず悲しい。
    久々に以前から読みたかったナオコーラさんの作品を手に取るも、1時間もあれば読めそうな本作も本当にちびちびと読み切った。(時間をかけすぎて、本に挟んだ栞の跡がついてしまった)

    「リボンの男」。
    タイトルも素敵だし、帯に下手な字で書かれている(お子さんが書いたのかな?)「おとうさんはねえ、ヒモじゃなくてリボンだよ。」が愛おしすぎる。

    本作もナオコーラ節全開で、ステレオタイプであるジェンダーロールをぶち壊して物語は展開される。
    主人公はシュフの男性。書店員の妻と3歳の息子・タロウとの生活の話。

    "物語は展開される"と書いておいてなんだが、特に何も起きない。
    幼稚園までの道中で堤防で花や虫を見つけたり、庭にタヌキがやってきたり、それだけ。
    だけどそんな日常から、主人公の妹子はあらゆることを感じ取り、自分の考えを深める。
    私たちが日々暮らしていくのと同じやり方。

    無意味なようで無意味でない本作も温かくて面白くて好きでした。


    P. 132
    「黒トンボがわかりました」
    タロウが、犬の飼い主に向かって言った。
    「黒トンボ?ハグロトンボを見たの?」
    犬の飼い主は再びしゃがんでタロウに尋ねる。
    「あはは、黒いトンボ、見たの?」
    みどりも調子を合わせる。
    (中略)
    タロウは人見知りなのに、他人に対して急に話題を提供することがある。
     幼稚園から帰ってきて、マンションの管理人さんが「お帰り」と挨拶してくれたとき、挨拶を返さずに、「アリさんが喧嘩していたんです」と急に喋ったことがあった。
    (中略)
     それから、バス停でバスを待ちながら土遊びをして手が汚れてしまったとき、タロウが、「バスが来たら、運転手さんに『手が汚れちゃったんです』って言う」と言い出したことがあった。そんなことを急に言われても運転手さんは困惑するだろうし、バスに乗るときはサッと金を払ってスムーズに着席しないと他の乗客に白い目で見られるから妹子は急ぎたい。だから、「今、拭いてあげるから、そんなこと言わなくて大丈夫だよ」とウェットティッシュで拭いてきれいにしてあげたのだが、いざ、バズが来て乗り込むと、タロウは運転手さんに向かって、「手がきれいになったんです」と手を広げて見せた。運転手さんは、「良かったねえ」と言ってくれたが、わけはわからなかっただろう。
    (中略)
    それにしても、「黒トンボを見ました」ではなく、「黒トンボがわかりました」というセリフは、ちょっと可笑しい。
    「行ってらっしゃい」という挨拶に対して「黒トンボがわかりました」と返して構わないと考えるタロウの謎のセンスを、この先どうやって導いていけばいいのか。
     いや、「挨拶には決まったフレーズで返さなければならない」「雑談は、相手が受け止めやすいセリフを、軽く放たなければならない」といった思い込みのある自分がまだまだなのか。
     もしかしたら、タロウは、挨拶というものに無限の可能性を見ていて、だからこそうまく返せないのかもしれない。なぜ、自分の言いたいことではなくて、定型のフレーズを言わなくてはならないのか、と毎回疑問を覚えて言い淀んでいるのかもしれなかった。

    0
    2023年05月09日
  • 美しい距離

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    がんで余命わずかの妻との最後の半年あまりの日々が夫の視点で淡々と描かれる。

    病の家族を見送った経験を思い起こすと、体調の異常に気がついて検査を受けるところから、入院して亡くなるまで、さらに葬儀とか含めると、家族はジェットコースターみたいに感情が揺さぶられっぱなしだった。

    しかし、この小説では「看病もの」と呼ぶには終始カロリーが低い。冒頭からすでに妻の病は相当進行していて、夫は病室に通い、顔を洗ったり、髪を編んだり、爪を切ったり、妻の世話をし、何気ない会話をする。それは「好きな人」のための幸せな行為と感じている。

    義父母や病室を訪れるケアマネージャー、見舞い客に気をつかい、時々違和感を覚えたり、でも妻の人生を尊重する姿勢は変わらない。この夫婦はお互いを深く思いやり、だからこそ相手の心に踏み込まず、弱音を吐かず、むしろ互いに遠慮しあっているようにさえ見える。

    妻が亡くなり、一気に妻が遠くに感じられる悲しさ、さらに日々が経過すると、また次第に思いは変わっていく。最後まで読んで、タイトルの意味が深く腑に落ちる。

    0
    2023年03月18日
  • 美しい距離

    購入済み

    非日常をどう受け止めるのか

    ガン末期の妻。妻の淡々とした態度。今、自分にできることを模索しながら寄り添う夫。病院のいう箱の中で、どう末期を迎えるか。その人の思いをどう汲んでいくのか。終活という言葉がある。最後まで、本人の望みを叶えるのは無理かもしれないが、伝えておくことは必要だと思う。

    #泣ける #切ない #感動する

    0
    2023年03月12日
  • ミルクとコロナ

    Posted by ブクログ

     育児エッセイとされているが、前半のbefore corona のあたりは、子どものことより暮らしの中で感じてきたことを書かれている印象だった。
     お二人のバックグラウンドによる考え方、特に「競争」や「席とり」については同じような気持ちになるので、とても身近に感じた。
     

    0
    2023年02月22日
  • ニキの屈辱

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ニキの、自分に自信がない人特有の感じが、見ていてつらい。
    愛されていることを素直に自覚できたらかなり生きやすくなるだろうが、そのニキを加賀美が好きになったはわからない。
    加賀美がニキを可愛く見えなくなったこと、恋は盲目だと思った。
    二人の生活の空気感をしっかり感じれたと思う。

    そして、写真を撮りたくなった。

    0
    2023年02月05日
  • リボンの男

    Posted by ブクログ

    どこにも繋がらないし
    なにも起きないけれど

    性の多様性を
    本当に普通の日常から切り取った
    優しくなれる
    小説でした。

    0
    2023年01月22日
  • ボーイミーツガールの極端なもの

    Posted by ブクログ

    シンプルな言葉で温かみのある文章を書く人だなあと思った。愛も恋も考え方は人それぞれ。嫌な登場人物がいなくて穏やかに読める。美代梨ちゃん・アカネちゃん・俊輔の話がすきだった。すれ違いの演出がお茶目。
    あとは金太郎・華子が死後スーパーバリダを登山?登サボテンするの、死後の世界としてとっても理想だな。
    それぞれのショートストーリーがサボテンを通じて繋がっていく構成素敵だった。

    金太郎の言葉を引用。

    愛というのはなんだろう、と金太郎は考えた。側にいてくれるだけでいい、というものだろうか。いや、遠くに行ってくれたって構わないのだ。  その人が素敵な人でなくたっていい。他の人たちに劣る存在でもいい。自分と関わってくれなくてもいい。  若い頃に、愛国心について考えたことがあった。愛しているからといって、他の国よりも秀でる必要はない。プライドのために戦争をしたりスポーツをしたりするのはばからしい、と思った。  息子たちに対して感じたことと同じだ。他の子に勝つような子だから愛していたわけではない。  お互いが生きているだけで、いや、どちらかが死んだって、愛していける。高め合うためでなく、祈るために関係を築く。

    0
    2023年01月09日
  • ベランダ園芸で考えたこと

    Posted by ブクログ


    幼い頃、花とか、花火とか、天邪鬼であまり好きではなかった。すぐ消えるし。(まあ花束にはいつも憧れてはいたか)
    でも大人になった今ではすぐ消えるものの方が良いな、と思う節がある。
    儚さ云々ではなく、単にものが増えることに少し躊躇いが出てきた。

    恋人には、毎年記念日に観葉植物をプレゼントする。いつか気付いた時にジャングルみたいになっていたら面白いなと思う。
    今年は苗だけで鉢植えは一緒に買いに行くことにした。自分でもほんの少し植物を育てたり、月に1回か2回生け花をするようになり、切り花も美しく、何となく気持ちが晴れやかになって良いな、と思うようになった。

    そんなタイミングでたまたまこの本に出会って心が躍った。
    とにかくナオコーラさんの文章が好きで、ナオコーラさんが書いたものを読みたくて、書店で検索するとたまたまこの本が並んでいた。

    私はあれこれ考え続けることがすごく好きで、自分を好きになるために、自分を幸せにするために生きようと思っている。
    いや、普段はあまりそんなこと考えていない。
    だけどこの本を読みながらそんなことを思った。

    筆者が賃貸マンションのベランダで家庭菜園をして、それを通して気がついたことや考えたことを書き留めているようなエッセイたちなんだけど、気がついたら読みながら人生のことを考えてしまって笑ってしまう。

    解説の藤野可織さんも「生きいく」という気概というテーマで解説を書いていて、さらに笑ってしまう。

    なんだかナオコーラさんの文章は、私はこんなふうに生きるぞ、という自分の軸のようなものを考えさせられる。本人はあまり意図していないんだろうけど。

    バジルはいつか育てたいと思っていたけど、とりあえずディルも育ててみたいな。
    春が待ち遠しくなりました。

    0
    2022年12月30日
  • お父さん大好き

    Posted by ブクログ

    単行本「手」を改題して文庫化
    4編の短編集
    ・手
    ・笑うお姫さま
    ・わけもなく走りたくなる
    ・お父さん大好き


    おじさんと若い娘さんが共通点か?

    山崎ナオコーラを読むのは「人のセックスを笑うな」以来2作目
    読書会で表題作の「お父さん大好き」に興味を持って読んでみた



    ・手
    実の父親を嫌いながら、おじさんと付き合い、世のおじさんの手を隠し撮りした「ハッピーおじさんコレクション」というホームページを作っている女性のお話

    配信会社で新聞のラテ欄をを作る仕事をしている寅井サワコ 25歳
    サワコの先輩社員で、転職する森
    サワコの上司の大河内 58歳

    サワコは父親を若干嫌悪しているようにも思えるけど、本質はファザコンなのか?
    父親的なものを求めるが故におじさんと付き合うが性的な領域までには発展しないのではなかろうか?
    手はその人との繋がりの象徴のように感じる

    実の父を嫌っていながらも、病院にも付きそうという態度にそこまで嫌っていないのではと思う
    所詮は中耳炎と老化によるものを、突発性難聴と大げさに騒ぎ立てる父への嘲笑や憐憫もある

    世の中、おじさんに対して厳しいものがありますよね
    自分もその区分に分類されるんでしょうけど、本人にとっては意外と苦になってないという感覚もある
    どうせ元から交わらない関係の人たちなら、最初から棲み分けた方が円満にいくものね



    ・笑うお姫さま
    王が笑わない女性を笑わそうとして国を傾けるという童話のような話

    「手」でも語られていたけど、「女は笑っていればそれでいい」という価値観に対する反逆なのかな?
    国を滅ぼしたのは愚かな王なのに、女のせいとされるのは筋違いなのではというのは納得



    ・わけもなく走りたくなる
    作者の焦燥感を表したかのような文章

    昔は狩りをしていて、狩りをしなくてもよくなった世界でも無性に走りたくなる衝動
    なんというか、湧き上がる感情を文字として刻みつける職業が作家なんだろうなぁと思う



    ・お父さん大好き
    一ヶ月前に妻が出奔し、血の繋がらない娘と暮らしているおじさんのお話

    妻は1か月前に出ていった
    大学生のユカリという娘と二人暮らし
    ユカリとは血が繋がっておらず、征夫(いくお)さんと呼ばれている
    出先でユカリに似た人を見かけて、大丈夫かメールを送る父
    二人で大きな月を見た後、背中に囁かれる「お父さん大好き」


    私と共通点が多い
    血の繋がらない娘、おじさんの年代、娘は大学生、父親を名前で呼ぶ等々
    娘との距離感はわかる
    そうか、僕はこんな関係を望んでいたのかもとも思う

    0
    2022年11月30日
  • むしろ、考える家事【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

    家事を効率化することが有意義な毎日だと思っていたけど、家事はどれだけ効率化しても0にはならない。
    だから無駄な時間として過ごすのではなく、
    社会参加の有意義な時間と考える。考え方が面白いなと思った。
    家事に参加したいって思わせるくらい
    家事によって自分が得られる何かを考えたい
    家族のためだけの家事じゃなく、もっと大きな次元で家事を考えたいとおもった

    0
    2022年11月23日
  • 母ではなくて、親になる

    Posted by ブクログ

    好きです、ナオコーラさん。

    以前から気になっていた本。
    エッセイだから、小説以上に書き手の考えがダイレクトに伝わって嬉しい。

    ナオコーラさんの好きなところは、なるべくニュートラルであろうとしているところ。
    周りに流されず、"世の中"が喜ぶことは書かないけれど、天邪鬼で書かないわけではない。そして色んなことを総合的に判断し、おかしいと思ったことはハッキリ述べるのが気持ち良い。

    そしてそれ以上に、考えを柔軟に変えるところが好きだ。こう考えていたんだけど、こういう意見を聞いて、またはこういう経験をして、やはりこう思うようになったと素直に認めて変えられるところが、正直でとても好感が持てる。


    私はこの先、積極的に子をほしいとは思っていない。

    だけど自分の気持ちとしては、性別に関係なく親たちが力を注ぎたいこと(仕事だったり趣味だったり。仕事以外がその場合でも、おのずと経済力は必要となる)や自分自身を犠牲にせずに、健やかに子どもと日々を送れる社会が理想的だと思う。

    そう考えているにも関わらず子をほしいと思えないのは、女性の身体への物理的な負担と、それ以上に、結局そんな社会は望めない、とどこかで諦めているような気もしている。
    子どもがものすごく好きというわけではないので、自分の本心もよくわからないし、いろんな要素が重なっているわけだけど、ちょっと悲しいな、と思う。


    それでも親になることや、子を持つということについて、出生前診断などについてはとても興味があり、こういうテーマについて、近すぎず、でも遠すぎずな話題だからこそ、あれこれ友人らと話してみたいと考えている。

    (いや、厳密には子を持つ人も持たない人も心地よい世の中に、だ。JTみたい。子を持たないと考えている人に仕事のしわ寄せが来るのは、良くないと心から思う。どの選択をした人も気持ち良く暮らせるのが一番だ)

    どのエッセイを読む時も、あれこれ思考を巡らせながら読んだのだけど、結局一番心に残ったのは「基本的に、過去も未来も今を輝かせるためにある。逆ではないのだ」という言葉で、子を産むこと、育てることにはあまり関係なかったかもしれない。
    でもその通りだと思った。
    つい未来のために、と頑張ってしまいがちなので、そうじゃないだろ、と自分に時々言ってやりたい。


    子を愛おしく思う気持ちがひしひしと伝わってきたが、どこか客観的な視点が面白かった。
    関係ないけど、どれだけ文章を書くのが好きでも映画化されるほどのヒット作を出しても、大きな苦悩はあるんだなぁとわかったので、なるべく筆者を応援するためにも、新品を買わねばと思った。

    いくつかのレビューにもあるように、パートナーの経済力が引き合いに出される場面が多く若干不憫に思わざるを得ないような描写が度々あったので(対大人なので、お二人の間で話し合いがなされていることは容易に想像がつくが。我々読者には全くもって関係のないことだ)、一緒に購入した『かわいい夫』で夫婦についての、ナオコーラさんの考え方を知れるのが楽しみ。
    (文の端々から夫と、夫の仕事へのリスペクトが滲み出ていたので、実際に不憫だとは露も思わなかった)


    自分の作品は無意味だ、とこの人はよく言っているけど、だからこそ近い目線で思いを巡らせるきっかけになる。
    答えはないので出なくて良いと思ってる。考えをやめないことが大事だと思う。

    0
    2022年11月10日