山崎ナオコーラのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ柔らかで読みやすい話。
いろんなキャラクターが出てきて、そのどれもが個性を持っていて愛おしい。中学生ゆえの苦さや甘酸っぱさ、どうしようもなさがあるし、それは大人になっても同じ。14歳の時がそうだったように25歳になっても悩みは尽きなくて、人間関係で悩む。ただ大人になった分、やり過ごし方を知っているだけ。それはいいことなのか悪いことなのか。
この本を読んで思ったことは、「やはり全部自分次第なんだな」ってこと。
ラスト、今まで人とランチをすることを拒んでいた主人公は新しい職場の上司とたまたまランチをすることになる。最初は身構えていたけど、会話をしてみるとおもしろくって普通に笑えた。
そこはジーンとくるし、そうだよな、と思った。
繊細な心はたぶんいつまでたっても繊細なままだけど、確実に強度は増していると思う。
14歳の“私”がそのまま25歳になったわけではない。でも14歳の私も大事。
とても好きな話です。穏やかでゆるやか。たぶんみんな犬井のことを好きになるよ。 -
Posted by ブクログ
若くして成功した女性写真家のニキ。
単に写真家として見られることに執着し、若く可愛い女性として扱われることに強い拒否感を示す。増長と見られることを恐れ仕事では低姿勢。一方、アシスタントの加賀谷に対しては非常に高圧的。
しかし、そんな彼女が加賀谷を恋人関係になると、2人の時は猫の如くカワイイ女性に変身する。
いわば極端なツンデレキャラで、なんか微笑ましくも有りますが、ちょっと「過ぎる」かな。
やがて加賀屋の写真家としての成長とともにその関係は変化して行きます。
なんだかありがちなストーリーかもしれませんが、ニキの造形の面白さと山崎さんのちょっと不思議な雰囲気をもつ文章とあいまって、なかなか読ませます。
でも最後は。。。ちょっとかわいそうだな。 -
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文才があり、作家としては成功したものの、
その容姿については
ひどいバッシングを受け、
大ダメージを受ける主人公『雪村』(女性)。
精神にダメージを受けると、
オモシロイ小説なんか書いちゃいられない。
書きたいのに。
容姿のことなんかにとらわれずに、どんどん書いていきたいのに。
そこで、
出した彼女の結論、というのが、
思い切って、<女性>を捨てる事だった…。
たかが見た目。
されど、雪村をここまで追い込むとは、
侮ってはいられない肉体。
肉体VS精神!(て、違うか?)
終盤まで
痛い雪村の行動にはハラハラさせられるが、
孤独なファイターである精神もやられっぱなしではなかった。
容姿、見た目を全く無にしてしまう場所にて
ようやくそれは目を覚ました様だ。 -
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引っ越し当日、主人公は友人の梅田さんに誘われて商店街にある「カツラ美容室別室」で髪を切ることになった。
そこでカツラを被った店長に、同い年のエリ、年下の桃井さんと出会う。
エリと友達以上、恋人未満になりながら、主人公は気儘で孤独な生活を続けていく。
言葉にできないもやもやとして感覚的なことを、上手に文章にするなーと思った。
特に
「しかし、会社を辞めて、上司や同僚と飯食うのを止め、友人とべたべた会うのを止めたら、どうなるか。オレは他人によってなんとか自分の形を保てている。他人と会わないでいたら、オレはゲル状になるだろう。」っていう部分が好き。
主人公は自分のことが好きなくせに他人の軸で行動しようとしてうまくいかなくて、結局傍観者にしかならない。
人に必要とされたいけども、自分は人を必要とはしない。
結局、わがままな寂しがりやのまま。
だから、逆に人が大好きで自分の軸で行動している梅田さんがまぶしく見えて、自分が大好きで自分の軸で行動しているエリが時々めんどくさく見えてしまうんじゃないかなー。
世の中は得てしてどろどろとねっとりしてるもの。
それを書くのがとても上手でおもしろかった。 -
Posted by ブクログ
ナオコーラさんの本は「人のセックスを~」、「指先からソーダ」に続いて3冊目。
ものすごくこの人っぽい小説。
短く詩的な文章をリズムよくつないでく。
内容もすごく良い。”職場小説”と書かれてたんだけど、まさにこれ。
特定の職業をテーマにした”職業小説”ではなくて、職場の小説。
どんな職場で働いている人にも共感できるものなのかはわからないけど、少なくとも東京でサラリーマンやってる20代の男子としては共感する部分も多かった。
仕事って、まぁ何かを成し遂げたり、向上していったりみたいなところが強調されることが多いというか、強調されるべきみたいなところもあるけれど、やっぱ現実問題として、起きてる時間の大半を過ごす「生活の場」である訳です。
そこは楽しいとか楽しくないとか、幸せだとかそうじゃないとか、
「どうなの?」って聞かれて「こうです」って
何か一言で括ってしまえるほど単純な場所ではなくて、
楽しかったり楽しくなかったりたまには幸せや充実も感じたりしながら辛いこともけっこうあったりしつつでも大半はなんてことなくて、みたいなごちゃ混ぜだよね。
っていうことを素敵なリズムで読ませてくれる小説。
そういうリズムや雰囲気であったり、ところどころに散りばめて登場人物に吐かせる日常の真理であったりがこの小説にとって大切なところだと思うんだけど、レビューを眺めてると、”何事も起こらない小説”として切り捨てられてることもけっこう多いのね。
大好きな吉田修一の小説もおんなじようにばっさり言われてるのをちょくちょく見かけるんだけど、いやもうそれはもうあなたにとっては価値の無い小説だった、でもこの言葉に救われる人だっているんですよ。「芸術は弱い人のためにある」ってこと。
ということでおそらく人を選ぶ小説です。
面白かったのでこれを読み終わった帰りに「カツラ美容室別室」も買ってみた。楽しみ。 -
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「人のセックスを笑うな」の山崎ナオコーラさんのエッセイ集。
いい。
すごく、いい。
「人のセックスを笑うな」を読んだ時も、この人の文章はなんてリズムが良んだろうと思ってたんだけど、このエッセイを読んで再確認。
この人は言葉をものすごく大切にしている。
そしてこの人の世界の見方もとても、楽しい。
小説やエッセイはその筆者の世界の見方というか、
常識とか普通とか当たり前とされているものとのズレや距離感や違和感を
その人なりの言葉で描かれているものだと思ってる。自覚的であれ無自覚的であれ。
んで、この人のズレ方には何かとても共感できる部分が多い。
苦しさとか楽しさとか。
恋愛小説が多いから人のセックスを笑うな以降、
結局手にとってなかったんだけど、
このエッセイは最高に楽しかった。
そして恋愛小説じゃないのも見つけたので、
「『ジューシー』ってなんですか?」も買ってみた。これも楽しみ。
でも、エッセイももっと読んでみたい。
もっと出してくれないかなー。 -
Posted by ブクログ
山崎ナオコーラさんの文章は不思議。
いつも必ずドキッとさせられる。
薄暗い部屋のブラインドが上がって太陽の光が射し込んだかのような、3色刷だった世界がフルカラーになったかのような、そんな感覚。
見慣れた風景が輝きをまして、いとおしくなる。
私が立っていたのはこういう世界だったのか、と思う。
いいことばかりじゃない。
みんなのことが好きで、誰からも好かれて、そんな人間じゃない。
でも、だからこそ、心が通い合った時の喜びは大きい。
だからこそ、好きだと思える存在は愛しい。
神様との文通シーンが特に印象に残っている。
率直な言葉のやりとりがとても好き。
神様が「君枝ちゃんは、なんか、熱いよね。」って手紙に書くのを想像して、神様なかなかいいノリだなぁと嬉しくなる。
誰かが神様のふりをして書いてても、本当に神様が書いてても、どっちでもいい。
でも、この人が書いてたら1番嬉しいかもなと思う人はいる。
だから私の脳内ではその人が手紙を書いたことになっている。
本当にいい加減だけど、私の生きている世界は結局私の目と耳と手と鼻と口と足と‥、とにかく私の体が感じた世界だ。
そこを抜け出すことは出来ない。私のままでは。
だからいいんだ。
私の世界に存在する『浮世でランチ』では、こういうことになってます。そう胸を張って言おう。