山崎ナオコーラのレビュー一覧

  • 浮世でランチ

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    なんだか、定期的に読み返したくなる本。
    単行本購入時に、帯に書かれていた「明日の私は誰とランチを食べるの」が最近ぐるぐると頭を巡って、久しぶりに手に取った次第。

    デビューから二作目ということもあるのか、ナオコーラさんのストレートな書きっぷりが気持ちいい話だなぁと思う。
    ぎゅっと、胸をつかまれる言い回しもあって、付箋たてたくなる。

    三上さんが、最初に読んだ頃よりも好きになってる。

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    2013年05月13日
  • カツラ美容室別室

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    「友情というのは、親密感とやきもちとエロと依存心をミキサーにかけて作るものだ。ドロリとしていて当然だ。」

    なんだってこんな文章が書けるんだろう。
    なんでこんな小説が書けるんだろう。

    学生の頃、お弁当を一緒に食べる子は「友達」だった。
    同世代の間にはどうやら「友達」と「親友」と「幼なじみ」がいて、それぞれ違うものと認識されていたように記憶している。

    では会社帰りに一緒に呑む人がいつまで経っても「友達」にならないのは何故なんだろう?
    そう思っているのは私だけで、相手は私を「友達」だと思っていたりするのだろうか。
    ‥いや、それはないな。

    この物語の中でフワフワと形成される友情のようなものが不

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    2013年04月30日
  • 「『ジューシー』ってなんですか?」

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    「ここに消えない会話がある」でした。タイトルが変わって、中身も修正を加えたものらしいです。

    そして、前読んだときよりも、ぐっときました。
    さらっとした職場の人間関係の中にも体温を感じました。
    辞めれば途切れてしまう関係でも、人は人を想う。
    岸がミスをしたときの出来事に、心がざわつきました。理不尽な組織の仕組み、でも優しい人もいて、だから少しがんばれる。とても大切な気がする。
    広田の良さは、半年くらい働いてわかる、と書いてあるけど、小説でもほんとにじわじわときます。

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    2013年04月28日
  • お父さん大好き

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    最近気になっているナオコーラさんの一番新しい文庫版短篇集(読み終わってから知った)。

    "男の点と線"を読んだ時にも思ったけど、ナオコーラさんは普通の物書きのヒトの何倍も人のことをみている。外面的にも内面的にも。
    だからどんな短編を読んでいてもどこかでハッとしたり、ドキドキしたり、後ろめたくなったりする。

    それから、ナオコーラさんは男目線での短編でも全然違和感がなくて、むしろ男以上に男らしい。あと、いつも読み終わってから気づく。
    中性的というか、前世が男でそのまま生まれてきたひとなんじゃないかと思うくらいキレイな男目線。

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    2013年03月31日
  • 浮世でランチ

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    小説に流れている空気感がとても心地よい。
    ゆったりとしていて、淡々としていて、
    彷徨いながらも道を歩いていく。
    自分のペースで。

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    2013年03月10日
  • 浮世でランチ

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    14歳と25歳の丸山君枝を交互に描く。14歳の君枝は中学生、母がミャンマー人である犬井をはじめ、タカソウ、新田、鈴木くんといった友だちと始めた「宗教ゴッコ」。だが、いつしか丸山は「もう神は信じない」とそれを拒絶してしまう。一方25歳の丸山は仕事を辞め、東南アジアへ旅に出る。曾ての先輩であるミカミさんとのメールのやり取りをしながら、最後の目的地・ミャンマーではケンカ別れしたままだった新田と再開を果たす。彼女曰く、実は「子供の頃、丸山がうらやましかったんだよ」と。
    思うに、彼女は潔癖性だ。人間というものに。よくも悪くも自分の世界、というか自分の考えを持っているが故に、周りの人と自然に付き合えない。

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    2013年02月18日
  • 浮世でランチ

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    主人公は、なにかと「触る」。
    まるで実体のあるものに触れていないと、自分の足が地に着いていることを忘れてしまうかのように、周りの人とは違う考えを持った大人な14歳。
    25歳になってもどこかふわふわしている様子は、自由に見えて何かに縛られているようにも感じられた。
    神の存在、何かを信じ、その制約の中で生きる意味って、やっぱりよく分からないと思った。
    でも、たとえその言葉が受け入れられなくても、仲間内で思ったことをはっきり言える姿は憧れだな…

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    2013年01月25日
  • 論理と感性は相反しない

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    読み終わってもどこにも辿りつけなくて、頭の中に余白だけが広がる。そんな表現の世界が心地よかったです。
    それと、あとがきが好きです。

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    2013年01月11日
  • 浮世でランチ

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    ちょっと不思議な物語。共感できることがすごく沢山あったが、時には「ん?…」と思うこともあって、圧倒的に“結末的な”ものが足りなかった…

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    2012年12月17日
  • 私の中の男の子

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    女性である前に作家でありたい、という主人公。
    現実にいたら、とる行動が突飛すぎて目立ちたいだけのように見える、ただの「イタい女」だろう。
    ただ、絶対的に男性的価値観の膜に包まれている社会のなかでは、男性である僕にはわからない、雪村の、作者の葛藤があるのかもしれない。
    ざわざわする小説だった。

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    2012年12月02日
  • 長い終わりが始まる

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    うまく言葉にできない、もどかしさを感じる。ちょっと淋しかったり。でも気にしないふりしたり。
    確立してるつもりでいたあの頃。そして今現在。後から振り返ればいつまでも「まだまだ」なんだろうなぁ。

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    2012年11月15日
  • 指先からソーダ

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    ネタバレ

    山崎ナオコーラ、初のエッセイ集。

    「読んでもらえる興奮で、どんどん書いて書いて腕が唸りまくっていた」というエッセイには、二十代の彼女の思いがまっすぐに垣間みれる。

    彼女は、高校生のときに感じた「私は世界と繋がっていない」という感覚を、これからも大切に持っていきたいという。
    「カップルたちに囲まれて、ひとりでたたずむことは意外と楽しい。部屋にいるときよりも、ひとりを実感できるからだ」という文章には、感覚に対する鋭い嗅覚がある。

    世界と繋がらない、他人と共有しない、個人的なリアル。
    そういった感覚を「文章を解き放つ」ように綴ったら、とても芸術的で魅力的になるに違いない。
    今後の作品を心密かに

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    2012年10月17日
  • 長い終わりが始まる

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    なんてことはない小説だけど、これだけ抵抗なく体に染みるのは、やっぱり彼女のお話が好きなんだなと思ったりする。

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    2012年10月06日
  • 私の中の男の子

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    19歳で作家としてデビューしたとたんに「女性作家」として世間に認識されて、女性、とつくことに対して葛藤を覚えた作家雪村の自分の性別をみとめるまでの軌跡。
    ナオコーラさん自身とかぶる設定に思える。ネットの暴言とかも。

    ナオコーラさんの文章、全く気取りがなくて好きだ。かっこいい。今更、って思えるようなことを素直にずばずば書いていることろがいい。いい文章を書くということよりも自分が書くべきことに真剣になっている度合いのほうが大切なんじゃないかって思えてきたこのごろ。

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    2012年09月15日
  • カツラ美容室別室

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    ネタバレ

    「段ボールの断面に出来ている穴の、ひとつひとつに寂しさが詰まっているのが見える。夜中に、細長い虫のような寂しさが、その穴からニョロリと出てきそうだ。」

    「オレは他人によってなんとか自分の形を保てている。他人と会わないでいたら、オレはゲル状になるだろう。」

    「男女の間にも友情は湧く。湧かないと思っている人は友情をきれいなものだと思い過ぎている。友情というのは、親密感とやきもちとエロと依存心をミキサーにかけて作るものだ。ドロリとしていて当然だ。恋愛っぽさや、面倒さを乗り越えて、友情は続く。走り出した友情は止まらない。」

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    2012年08月20日
  • カツラ美容室別室

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    好みがあると思います。
    だけど、
    私は好きです。

    短いので、
    数十分で読みきれてしまうかも。



    カツラをかぶった桂さんが営む、美容室。

    そこに通う、友人の梅田さん。
    そこで働く、桃井さんとエリ。

    5人を描いた作品です。


    ナオコーラさんて
    こんな文章なのかあと。

    ちぐはぐな会話と
    ちぐはぐな感情と
    雰囲気を楽しめます。

    男同士の友情と
    男と女の友情と
    ナオコーラさんの考えや感じ方が
    ポロポロっと落っこちています。

    静かな日常に起こる
    波風を描いています。

    言いまわしとか
    表現とか、
    すごく小さいことだけど、
    結局こーゆーことなん

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    2012年08月16日
  • 浮世でランチ

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    「それは、
     手すりにつかまってるんじゃなくて、
     愛でてるの?」

    自由って何?
    通じるって何?

    14歳の私は、
    25歳の私に思いをはせるどころか、
    想像すらできなかった。

    だけど、
    人生はきっと私たちが思うより二億倍は自由なはずだ。

    14歳の私。
    25歳の私。

    この二つの時間が、行ったり来たりします。
    想像も出来なかった世界が、不思議と繋がっている。
    経験も年齢も積み重なって、

    「私は大人になって、もう、世界が怖くなくなった。
     神様の気配を感じることが、まったく、なくなった。」

    神様との手紙のやり取り。
    粗雑にあつかっていた時間や、
    嫌悪

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    2012年08月16日
  • 長い終わりが始まる

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    ネタバレ

    ネットで購入して、
    カバーもつけてもらったまま読んでいたので
    読み終わった後にカバーを外して
    初めて表紙を見ました。

    「あぁ」とぎゅーっとされた気分。
    切ない、
    苦しい、
    ただただ好きなだけ。

    なのに
    猛烈にひとりぼっち。

    求めてやまないのに。
    それだけのに。
    強烈にさみしい。

    大学のマンドリンサークルで
    音楽に奉げようとする小笠原。

    小笠原が恋するのは
    ぼさぼさで決してカッコ良くない指揮者の田中。

    遊びとか自由とか就職とか
    すべてが曖昧な集まりになるサークル。
    ともだち、恋、音楽、
    どこまで本気で
    それをどこまで伝えていいのか。

    小笠原は
    自分の音楽を疑わないし、
    誠実にいよう

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    2012年08月09日
  • 浮世でランチ

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    なんかじわじわくる。この感じはなんだろう。そうか、これが山崎ナオコーラか。だから西加奈子も題材にするんだなあーと。よくよく考えれば大半は浮世というより憂き世なのだが、それも踏まえてなかなか読み進んでしまう小説だった。

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    2012年07月19日
  • 私の中の男の子

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    あ、読まなきゃ、ナオコーラ、と思う瞬間があって
    それは、新刊がでたときでも、ずっと読みたかった作品をようやく見つけたときでもなくて、ふと、今だ、というとき

    そして、今のわたしが、いつも出てくるので
    ぞぞぞ、とする

    不思議なくらいに、わたし

    今の、わたし


    わかっているのだけど、気付かれないように、言葉を積み上げようとしてこなかった気持ちを、暴かれてしまう

    こんな人がいるのだなぁ
    こんなにも、おなじことを抱えている人がいるのだなぁ



    でもって
    いつも物語としては、うーん、と思ってしまうよ
    なんだろう
    科白ひとつひとつ、これ、言いたいっていうのが際立っているというか、物語が途切れてい

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    2012年07月07日