山崎ナオコーラのレビュー一覧
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若くして成功した女性写真家のニキ。
単に写真家として見られることに執着し、若く可愛い女性として扱われることに強い拒否感を示す。増長と見られることを恐れ仕事では低姿勢。一方、アシスタントの加賀谷に対しては非常に高圧的。
しかし、そんな彼女が加賀谷を恋人関係になると、2人の時は猫の如くカワイイ女性に変身する。
いわば極端なツンデレキャラで、なんか微笑ましくも有りますが、ちょっと「過ぎる」かな。
やがて加賀屋の写真家としての成長とともにその関係は変化して行きます。
なんだかありがちなストーリーかもしれませんが、ニキの造形の面白さと山崎さんのちょっと不思議な雰囲気をもつ文章とあいまって、なかなか読ませ -
Posted by ブクログ
文才があり、作家としては成功したものの、
その容姿については
ひどいバッシングを受け、
大ダメージを受ける主人公『雪村』(女性)。
精神にダメージを受けると、
オモシロイ小説なんか書いちゃいられない。
書きたいのに。
容姿のことなんかにとらわれずに、どんどん書いていきたいのに。
そこで、
出した彼女の結論、というのが、
思い切って、<女性>を捨てる事だった…。
たかが見た目。
されど、雪村をここまで追い込むとは、
侮ってはいられない肉体。
肉体VS精神!(て、違うか?)
終盤まで
痛い雪村の行動にはハラハラさせられるが、
孤独なファイターである精神もやられっぱなしではなかった。
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Posted by ブクログ
引っ越し当日、主人公は友人の梅田さんに誘われて商店街にある「カツラ美容室別室」で髪を切ることになった。
そこでカツラを被った店長に、同い年のエリ、年下の桃井さんと出会う。
エリと友達以上、恋人未満になりながら、主人公は気儘で孤独な生活を続けていく。
言葉にできないもやもやとして感覚的なことを、上手に文章にするなーと思った。
特に
「しかし、会社を辞めて、上司や同僚と飯食うのを止め、友人とべたべた会うのを止めたら、どうなるか。オレは他人によってなんとか自分の形を保てている。他人と会わないでいたら、オレはゲル状になるだろう。」っていう部分が好き。
主人公は自分のことが好きなくせ -
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ナオコーラさんの本は「人のセックスを~」、「指先からソーダ」に続いて3冊目。
ものすごくこの人っぽい小説。
短く詩的な文章をリズムよくつないでく。
内容もすごく良い。”職場小説”と書かれてたんだけど、まさにこれ。
特定の職業をテーマにした”職業小説”ではなくて、職場の小説。
どんな職場で働いている人にも共感できるものなのかはわからないけど、少なくとも東京でサラリーマンやってる20代の男子としては共感する部分も多かった。
仕事って、まぁ何かを成し遂げたり、向上していったりみたいなところが強調されることが多いというか、強調されるべきみたいなところもあるけれど、やっぱ現実問題として、起きてる -
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「人のセックスを笑うな」の山崎ナオコーラさんのエッセイ集。
いい。
すごく、いい。
「人のセックスを笑うな」を読んだ時も、この人の文章はなんてリズムが良んだろうと思ってたんだけど、このエッセイを読んで再確認。
この人は言葉をものすごく大切にしている。
そしてこの人の世界の見方もとても、楽しい。
小説やエッセイはその筆者の世界の見方というか、
常識とか普通とか当たり前とされているものとのズレや距離感や違和感を
その人なりの言葉で描かれているものだと思ってる。自覚的であれ無自覚的であれ。
んで、この人のズレ方には何かとても共感できる部分が多い。
苦しさとか楽しさとか。
恋愛小説が多 -
Posted by ブクログ
山崎ナオコーラさんの文章は不思議。
いつも必ずドキッとさせられる。
薄暗い部屋のブラインドが上がって太陽の光が射し込んだかのような、3色刷だった世界がフルカラーになったかのような、そんな感覚。
見慣れた風景が輝きをまして、いとおしくなる。
私が立っていたのはこういう世界だったのか、と思う。
いいことばかりじゃない。
みんなのことが好きで、誰からも好かれて、そんな人間じゃない。
でも、だからこそ、心が通い合った時の喜びは大きい。
だからこそ、好きだと思える存在は愛しい。
神様との文通シーンが特に印象に残っている。
率直な言葉のやりとりがとても好き。
神様が「君枝ちゃんは、なんか、熱いよね。 -
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「友情というのは、親密感とやきもちとエロと依存心をミキサーにかけて作るものだ。ドロリとしていて当然だ。」
なんだってこんな文章が書けるんだろう。
なんでこんな小説が書けるんだろう。
学生の頃、お弁当を一緒に食べる子は「友達」だった。
同世代の間にはどうやら「友達」と「親友」と「幼なじみ」がいて、それぞれ違うものと認識されていたように記憶している。
では会社帰りに一緒に呑む人がいつまで経っても「友達」にならないのは何故なんだろう?
そう思っているのは私だけで、相手は私を「友達」だと思っていたりするのだろうか。
‥いや、それはないな。
この物語の中でフワフワと形成される友情のようなものが不