稲垣えみ子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
朝日新聞社を中途退社してフリーになり、それまでなじんでいた価値観と暮らし方とはガラリと変わった生活になったことによって、目から鱗がぼろぼろ落ち続けている様子を、新聞社で鍛え上げられた文章力と表現力を駆使して広く大勢の人に伝えたいという意気込みが迫ってくる面白エッセイでした。自分も21年務めた会社を辞めて地方に移住し自営業に身を転じた経験があるので、会社に勤めていた頃のなんとなく受け止めて当然だと思っていたそれまでの「一般的な」価値観や視点が、あくまで世の中に人の数だけ何億何千万とあってしかるべきそれぞれの価値観の「平均」とか「無難」のようなものであると実感したときの静かな衝撃であるとか、仕事に慣れてまずまず回せるようになって気持ちよく過ごしていたのに段々と管理職になって部下を持ちなさいと迫られ、こんなはずではなかった、と動揺するくだりとか、それでも良い査定をもらえれば喜ぶし同期がどんなポジションでどういう仕事をしているかは気になるし、という虚栄心に左右されてしまう自分の気持ちのあり方などを正直に書いているくだりとか、とても共感しながら読みました。浪人したり留年したり留学したり休学したり中退したりしたことが無かったので、会社組織を抜けて「個人」となったときの自由さと頼りなさを語ったくだりでは、まさに!っと(脳内で)膝を打ちました。賃貸契約が結べないとか新規でカードを作れないとかのエピソードは、さすがに無防備に過ぎるのではと思ったりしながらも、新聞記者という拘束時間の異様に長い職業についていたからかも、と思ったりしました。大変面白かったです。
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Posted by ブクログ
私も将来こんな旅をしてみたいな。
いつか愛犬が天寿を全うして天国へ旅立つのを見送ったら、ほんとうに自分がしたいことだけにフォーカスした旅をしようと思う。
一か所に長く滞在して、おいしいものを食べて、自分で料理もして、できれば地元の人にお料理を習ったりしたいなあ。
著者の旅は楽しいことばかりでもなくて、失敗や面倒や思ったほど上手くいかなかったこともあったようだけど、そうだよね、旅行って面白おかしいことばかりじゃなくてしんどいことや嫌になることも結構ある。
旅行についての著者の考えには、「なるほど!いままで私が漠然と感じていたことってこういうことだったんだ!」と思わされた。
もっと自分の欲望に向き合って、ほんとうに自分の好きな旅ができたらすてきだなあと思う。
いまから将来の自分の旅を妄想するだけでもけっこう楽しい。
いろんな希望や勇気をもらったとてもいい本だった。 -
Posted by ブクログ
丁度、旅行・出張嫌いな私が三日間大阪に出張していた時に聞いていた本で、その状況が重なってやっぱり場所を変えるっていいなぁって改めて感じた。
なぜ旅行や出張が嫌いなのかと言うと大きくは2つある。
1つは沢山モノを食べることができないから。
もう1つが観光に興味がないから。
なのでコロナ禍の中で旅行に行きたいとも、お出かけしたいとも1ミリも思っていない。
ただ稲垣さんの書籍を読んでやっぱりいいなぁって感じたのは今の横浜の生活を場所を変えて実施する、事は私にとって非常に魅力的だと感じたからだ。
今の生活環境は非常に気にいっており、それを変えたいとか非日常を味わいたいという希望や欲望は一切ない。
ただこのような生活を例えばロンドンでやるとかベルリンでやるとかパリでやるとには非常に興味がある。
歴史がない国はあまり興味がないので例えばワシントンやサンフランシスコやシアトルなど好きな街ではあるがそこでやりたいとはなかなか思わない。
歴史があって住まいや住まい方にこだわりがある国でこのような生活ができたらいいなと思っている。
1人でもいいしパートナーと一緒でもいいしまた姉と2人もいいなぁと感じて早速姉に話を振ってみた。 -
Posted by ブクログ
目分量で充分、なんでもできちゃう。善晴さんも、葉子さんも「素材の声を聞け」そして「自分の感覚を信じろ」と言うてるやないの。
この本読んでからルクルゼの鍋でご飯炊いてる。こびりつくこともあるけど、炊飯器みたく手の届かない汚れが残ることなく、分解できずモヤモヤすることはない。全て洗えるのはいいな。栗ご飯も美味しく炊けたし。
山のようは20年にわたるレシピの切り抜きはまだ捨てられないけど、ただ今データにして整理中。死ぬまでにこんなに作れないな、と思いながら。全部データ化して一覧で見た時に整理できるものがありそうで、今から身軽になるのが楽しみです
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購入済み
人生を見つめ直す機会になりまし
この本があれば、ほかのレシピ本はいらない。というレシピ本かと思い買いました。
レシピ本ではなく、本当にレシピ本が要らないんだなと思わせる素晴らしい本でした。
読み進めるうちに、自分の毎日の生活が息苦しかったんだと自覚できるようになりました。
出会ってよかった一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ぬか漬け(+それをサラダに入れたり厚揚げと炒めたりとアレンジもできる)、えのきを干す、その他何でも干す
ぬか漬けの具:厚揚げ、こんにゃく(!)、茹でたじゃがいも(!味はチーズだと、か。お好み焼きに入れたり油で焼いて胡椒もグッド。
といった具体的な食のヒントも参考になるけれど、それよりなにより、これは素晴らしい哲学書だと思った。稲垣節がさく裂。名文がずらり。
p82
結局、「失敗」なんて世の中にないのである。「失敗」と名づけるからいけないのだ。
例えばぱさぱさのお米ができたとしましょう。そうしたら「わあ~、硬いパラパラのお米が炊きあがった!!」と思えば良いのである。「チャーハンの材料ができた!」と。
つまりネーミングを変えるのだ。成功だの失敗だの、人生はそんな二者択一で分けられるほど単純じゃない。
p86
そう、大きな幸せは小さな幸せを見えなくするのである。そのうちに、見えないだけだということも忘れてしまう。小さな幸せなど全く存在しないかのように思い始める。そして、さらなる大きな幸せばかりを求めるようになる。
でも本当は、小さな幸せの中に無限の世界がどこまでも広がっているのだ。
p207
自然界はすでに「甘いものだらけ」。自然はすでに人を十分甘やかしてくれている。
むしろ砂糖とみりんばかりに甘さを頼っていると、強烈な甘さに舌が慣れてしまって、密やかな自然の甘さに気づくことができなくなってしまう。つまりは自分を甘やかしてくれる親切な者たちに出会っていてもスルーしてしまいます。
(甘みがほしいときは酒か味噌を入れる。あと、バルサミコ酢。酢飯もこれで完成。洋風でハイカラな酢飯。あと練りゴマ。)
そしてエピローグが素晴らしい。
p266
私は生まれて初めて「自分が本当に美味しいと思うもの」を発見したのである。私はずっと、それはまだ見ぬどこかのレシピ本に載っている何か特別な料理、あるいはどこかの誰かが「どうです、美味しそうでしょう」とすすめてくれる料理、(略)だと思っていた。
(中略)
私たちはいつだって誰だって、ずっと豊かになりたいと思ってきた。
そして、食べることは豊かさの象徴だったが故に、私たちはいつの間にか懸命に上ばかりを見て、足元を見ることを忘れていたんじゃないだろうか。でも、すべてはすでに足元にあったのである。
料理なんて簡単だ。そしてそこには無限の自由がある。(略)
あなたは自分で好きなものを自分で作って食べることができる。それは決して特別な技術や能力が必要なことなんかじゃない。誰に頼らなくてもいい。誰に文句を言う必要もない。食べることは人生の土台だ。ここがしっかりしていたら、どんな辛いことがあっても、誰かに裏切られても、一人ぼっちになっても、だいたいは大丈夫なのである。
(略)
料理は自由への扉だ。だから自分で自分の人生を歩きたければ、誰もが料理をするべきなのである。男も、女も、子供も。自分で料理をする力を失ってはならない。それは自らの自由を投げ捨てる行為である。
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『チープ・シック』というファッションの本を、食べることに置き換えた文章。
p269
あなたが自分に合った「美味しいもの」を食べたければ、この一冊あれば、十分。いちばん新しい「食べ方」の考え方がわかります。あなた自身が、自分のために自分で作り出す「食」のスタイルについて書いてみたのが、この本です。雑誌やネットの情報や広告に命令されて何を食べるのかを決める時代は、もう終わってます。自分がなにを食べればほんとうの自分になるのか、どんな食べ方をすれば自分がいちばんひきたつのか、もっともよく知っているのは、なんといったって自分自身です。あなたの食べるものは、あなたが自分でえらびとっている自分自身の生き方にぴったりそったものであるべきなのです。グルメ雑誌の反映になってしまってるなんて、とても生き方とは言えません。調和のよくないいろんな食材や調味料をごちゃ混ぜにいっぱい持つのは、やめましょう。食べていてとても気分の良くなってくるような食材を、数すくなくてもいいからきちんとそろえて、自分のスタイルの基本にしましょう。食べていると気分が良く、自分に自信がわいてきて、セクシーになり、素敵に見えてハッピーになれるような食べ物を、昔からの仲の良い友達と同じように、いつまでも大事にしていくのです。 -
Posted by ブクログ
いや~なんかね
私がモヤモヤ思ってたことをズバッ!といってくれた本!
仕事の関係上、仕事関係やら、女子の集まりやら、なんやかんやと高いお店に行ったり、ワインやらシャンパンの会やらに誘われることがあったりしてました。
まあそんなのに行き始めた頃は最初は物珍しくて、カプセルに詰めたようなわけのわからんメニューやら、高級食材やらをこねくりまわしたような調理をしてもらったりしたこともありましたが、なんせ庶民なもので、「そんなことするよりシンプルな調理で食べたい。お金ももったいない」と心の底から思ってました。(その時は言えなかったけど)
で、その後、思うところあって仕事や部屋もいろいろ整理していったら、まあ使えるお金もなくなったってことですが、「あんなアホみたいにお金をかけて食べる料理って何だったんだろ?ごはんと味噌汁ってサイコー!」と思うようになってきたわけです。
でもね、それをうっかりもらした時のまわりの反応がね「そんなに困ってるの…」「そっか…じゃあまた誘うね」みたいな感じで…。
いやいや、そうじゃなくてごはんと味噌汁ってめちゃくちゃよくできたメニューで、ホントに毎日食べても飽きないし素材の味が生きてるのよ…。と言っても誰も同調してくれなかったのだけど、稲垣さんの本を読んで「そうそう!そういうことなのよ!」と、なんか同志を得たみたいな、「あ~無理しなくていいんだ」って気持ちになってしまった。
食べることってその人にとって「何が大切か」がわかるなって思う。
この本では、稲垣さんが「料理は自由への扉だ」って書かれているのがすごく心に響いたな~。
ごはんをじっくり味わって食べる幸せが今の私にはある…そう思うとなんてしあわせな食卓!って思う。
地味家ごはんサイコーです!
まあでも、今の私には冷蔵庫を捨てる勇気はまだないけどね。