あらすじ
「まっとうに会社で働く人が日本を支えている。それは本当にそうだと思う。
しかし、会社で働いていない人だって日本を支えている。
自営業の人たち、フリーランスで働く人たちは言うまでもない。
さらに、お金を稼いでいない人たち、たとえば専業主婦、仕事をやめた高齢者、何かの事情で働けない人、子どもだって、みんな日本を支えているんじゃないだろうか?
食事をつくる、掃除をする、孫と遊ぶ、何かを買う、近所の人にあいさつをする、だれかと友達になる、だれかに笑顔を見せる――世の中とは要するに「支え合い」である。
必ずしもお金が仲介しなくたって、支え合うことさえできればそこそこに生きていくことができるはずだ。
しかし会社で働いていると、そんなことは忘れてしまう。毎月給料が振り込まれることに慣れてしまうと、知らず知らずのうちに、まずお金を稼がなければ何も始められないかのように思い込み始める。
そして、高給をもらっている人間がエラいかのようにも思い始める。
だから、会社で働いていると、どうしても「もっと給料よこせ」という感覚になる。これは、どんな高給をもらっていても同じである。(中略)
しかし私は、もうその争いに意味を感じなくなってしまった」(プロローグより)
そういう著者が選択したのは、会社を辞め、電気代200円で暮らす清貧生活だった。しかし、著者はかつてないほど希望に満ちていると書く。日々が何より新しい。それは「お金」や「会社」から自由になったことで得たものだ。会社とは、お金とは、人生とは何かを問う。笑って泣けて考えさせられて最後に元気が出る本!
感情タグBEST3
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よく言う、『お金や地位が全てじゃない』みたいなことを深く理解させてくれる本。
『ある』ということに依存していると終わりのない幸せの追求をしてしまうことになる。『ない』ことによって見えてくる景色を忘れてはいけない。
でもやっぱり夫がいて、子も望むならお金は欲しいなと思ってしまって。だけど著者はそれも否定しないんだろうなと思える。
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来たる40代、50代に向けてどう働き、どんな生活をしたいかを考える参考になった。もっと贅沢を、もっと便利に、というすべての人が持っているであろう欲にどう向き合うか。そこを疎かにして歳だけ取ってしまうと、仕事でも私生活でもどんどん苦しくなってしまうのだな、と。自分はこれで十分、これさえあれば大丈夫という基準を明確にしておかないといけない。モノにあふれるこの時代その見極めは極めて難しいだろうけれど、(そして子育て世代にとっては更に至難の業だろうけれど、)30代の今、時間をかけてじっくりと取り組み人生の折り返しに向けてゆっくりとステップダウンしていきたい。稲垣さんの本をいくつか読んで、当面の方針が見えてきた気がする。
仕事とは、会社に入ることでも、お金を稼ぐことでもなく、他人を喜ばせたり助けたりすること。人のために何かをすること。 稲垣さんのこの考えめちゃめちゃ好きだな!
とても考えさせられました。
会社の怖さ、素晴らしさ、一人の怖さ、素晴らしさなど、今まであまり考えたことがなかったので本当に読んで良かったです。
どこの国もそうかもしれないけど、日本も結構ギリギリなのかなと感じました。せめて、いつか依存的な考えから卒業出来たらなと思いました(まだ全然無理ですが)。
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快活な文章。とにかく読みやすい。
日本の会社社会への指摘も著書ならでは!!
会社に属することって確かに日本では大事なステータスだよなぁと実感。
そして、会社に捧げる人生もそうでない人生も肯定しているのは、会社の素晴らしい部分も理解している著者だからこそ。
働くことの楽しさを理解した。
仕事をするっていいなと思えた。
前向きに働くことを考えたい人におすすめ。
Posted by ブクログ
凄く興味深くて一気読み。
私も無職の経験があるし、結婚も子育てもしていない。自分の将来のことが不安であるから、稲垣さんの生き方にこれからの自分の人生を重ねるところがある。
残りの人生、私もできるだけ楽しく、後悔なく生きていきたい。
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響いた言葉がありました。それは、「今の世の中、困っている人がたくさんいる。ということは、その人たちを助けるための仕事なら、いくらでも作れる」というお言葉。本当ですよね。AIがどんなに進化しても、人は、相手が人じゃなきゃ解決できないことがたくさんあるということは、常々思っていました。それが確信になりました。ありがとう!
Posted by ブクログ
朝日新聞社を中途退社してフリーになり、それまでなじんでいた価値観と暮らし方とはガラリと変わった生活になったことによって、目から鱗がぼろぼろ落ち続けている様子を、新聞社で鍛え上げられた文章力と表現力を駆使して広く大勢の人に伝えたいという意気込みが迫ってくる面白エッセイでした。自分も21年務めた会社を辞めて地方に移住し自営業に身を転じた経験があるので、会社に勤めていた頃のなんとなく受け止めて当然だと思っていたそれまでの「一般的な」価値観や視点が、あくまで世の中に人の数だけ何億何千万とあってしかるべきそれぞれの価値観の「平均」とか「無難」のようなものであると実感したときの静かな衝撃であるとか、仕事に慣れてまずまず回せるようになって気持ちよく過ごしていたのに段々と管理職になって部下を持ちなさいと迫られ、こんなはずではなかった、と動揺するくだりとか、それでも良い査定をもらえれば喜ぶし同期がどんなポジションでどういう仕事をしているかは気になるし、という虚栄心に左右されてしまう自分の気持ちのあり方などを正直に書いているくだりとか、とても共感しながら読みました。浪人したり留年したり留学したり休学したり中退したりしたことが無かったので、会社組織を抜けて「個人」となったときの自由さと頼りなさを語ったくだりでは、まさに!っと(脳内で)膝を打ちました。賃貸契約が結べないとか新規でカードを作れないとかのエピソードは、さすがに無防備に過ぎるのではと思ったりしながらも、新聞記者という拘束時間の異様に長い職業についていたからかも、と思ったりしました。大変面白かったです。
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自分は妊娠して退職、「自立して生きていきたい」と思ってしばらくフリーランスだったけど
「扶養」システムに依存していたし、結局今は会社に依存して生きている。
今の自分にはコレが最適解で、不満に思うことや恥ずかしく思うこともない。
けれど「会社社会」への違和感や、会社に属さない生き方への憧れはまだ持っていて
著書を読んで自分の中で浮き彫りになった感じ。
子供が巣立ったらプラグを抜いてみたいけど、出来るかな。
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「老後とピアノ」「人生はどこでもドア」につ付いてこちらも読んでみたらとてもおもしろかった。
私は著者が退職した年齢まであと1年、著者の赴任地のひとつは私の出身地なので、なんとなく親近感をもって読んだ。
「人生の折り返し地点」やお金のことや仕事のことについての著者の考えにはものすごく共感した。
私自身のいまの生活、仕事、人との関わり方について考えさせられたし、この先の生き方について前向きになれたと思う。
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読んだきっかけ
還暦を過ぎ、丁度働くことを見直しているところだったので「会社を辞める」ことが、どういう意味を持つのか、興味を持った。
感想
著者が50歳で会社を辞める決断をした背景と、その後について、興味深く読んだ。価値観が転換するきっかけとして、地方へ飛ばされた時のことが書かれている。直売所や山歩きを通じて新しい暮らしを始め、「お金」や「働くこと」に対する価値観が大きく変わっていったことが描かれている。特に香川県での「うどん一杯」を基準にした独自の経済感覚や、「林住期」という生き方の思想が印象的だった。
この本は、第二の人生は、真剣に時間をかけて探るべきであること。会社に(お金に)依存する事をやめ、今までの価値観を手放すことで、より自由な、より自分の心に沿った、より楽しい、新しい人生の可能性が見えてくることを教えてくれた。
働くこと、お金の使い方、自分と向き合う時間について、深く考えるきっかけになった。
そして、心に残ったのは、力のない身でも勇気を出して声を上げると、自分と同じ思いを持った同志がどこにいるのかが自然に見えてくる。偉くなければ、自分のやりたいことを実現できないわけじゃない。考えようによっては、社長以上に自分の思う通りに会社を変えられることもあるんじゃないかと考え、会社の方針の枠からはみ出した仕事を勝手に作るようになって行きました。という件。著者は、頭がいいだけでなく、行動力があるなと思い、その点こそ見習いたいと感じました。
Posted by ブクログ
個人的には前半部分に共感するところが多くて、その通り、そう考えられたら身も心も軽くなるね、と思いました。実際、少し心も軽くなりました。自分の立場や能力で仕事を辞めるわけにはいかない、こう思う時点でダメかもしれないが、少しでも身軽に自由になりたいと思った。
抜粋
大きい幸せは小さな幸せを見えなくするからだ。知らず知らずのうちに、大きい幸せじゃなければ幸せを感じられない身体になってしまう。
仕事も同じである。高い給料、恵まれた立場に慣れきってしまうと、そこから離れることがどんどん難しくなる。そればかりか「もっともっと」と要求し、さらに恐ろしいのは、その境遇が少しでも損なわれることに恐怖や怒りを覚え始める。その結果どうなるか。自由な精神はどんどん失われ、恐怖と不安に人生を支配されかねない。
会社で働くということは、極論すれば、お金に人生を支配されるということでもあるのではないか。
「ない」ことの方が「ある」ことよりむしろ豊かなんじゃないかという、それまでまったく考えたこともない発想の転換を迫る場所となったのだ
欲望も思惑も恨みもすべてを捨て去った時、初めて水を与えられ生き生きと蘇り、表に出てきたのではなかろうか。
私はそれまでずっと、何かを得ることが幸せだと思ってきた。しかし、何かを捨てることこそが本当の幸せへの道なのかもしれない…・・・
Posted by ブクログ
朝日新聞の元論説委員、編集委員。辞職するまでと辞職してからのストーリーを、自己の内面、社会の姿を絡み合わせ書いている。
元記者だからか文章がとても読みやすい。文章が軽快でとても楽しい。
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今の自分にとって、非常に刺さる内容。
定年、退職というワード。
まだまだ関係ないと思っていたのに、目を背けてはいけない今からしっかり考えていこうと、思わせてくれた。
アンテナ張って、考えていきたい。
結果、定年まで働くかもしれないし、転職?退職?するかもしれないけど。
会社との関係、自分の人生、人と比較せず自分はどうしたいのか向き合っていきたい。
それには知識がないとダメだな、と痛感。
読んでよかった。
Posted by ブクログ
50歳で朝日新聞社を辞めたことに関するエッセイ
退職10年前のことから、退職して気付いたことまで書かれている。
お金や人に振り回されている金満ライフからお金がなくてもハッピーというマインドの変化は非常に興味深い。
この本を読んで会社依存度が高い人が減り、会社社会が改善されたら、世の中の仕事に対する意識も変わり、住み良い世界になりそうである。
Posted by ブクログ
会社社会日本で年金受給前に仕事を辞める。自由と引き換えに、無収入と社会から切り離された不安も襲ってくる。しかし、会社だけでなくブラック日本に対して、これでいいのかと思い大胆にも魂の退社を実行する。会社に守られていたこと、人間修行もさせてもらえたことに感謝し、自立した生き方を模索する著者に共感する。
Posted by ブクログ
実にさっぱりしていて、読んで気分がめちゃくちゃ良い。すぐに真似はできないが、稲垣さんみたいになりたい。と言いたい。
が、ここまで極端すぎるほど極端に全てを捨てて、"ないもの暮らし"は凡人にはいき着けない境地だとも思う。そんな私を横目に、「ぐちぐち言う暇あったら、一回やってみ。意外といけるもんよ。」って言われそう。日本ならやってやれなくもない。そんな気もする。
【一言感想】
こんなかっこいい女(ヒト)がおるんや。
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稲垣さん著書2冊目。会社を辞めた後の話が先だったから、どんなふうに辞められたか興味を持って読んだ。随分人にも縁にも恵まれた会社員生活をされていたのに、よく思い切られたなぁと素直に驚いた。自由な心を取り戻されてよかったな、自分もそうありたいな、という読後感。星マイナス1は、やはり辞められた後の話の方がぶっ飛んでて面白いから!
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面白かったー!一気に読んじゃいました。
この方、前から知ってはいた!アフロの新聞記者さん!
退職したんだーってのと、この会社に依存してことに気がついたっていう話や、無職のアフロ、独身50代っていう話が面白い!
いや、ホントにそうよね。っていう。
案外どんなんでも健康さえあればなんとでもなる!それわかるー!!!って共感と、
ケータイ電話契約のやりとりが、もうオレオレ詐欺に近いっていう話!笑
それもわかるー!!!!!
何言ってんのかさっぱりわからんが、お得お得のオンパレード。で、何がお得だったのかわからないまま疲れて帰ってくる。っていうね。
それそれ。ホントそれ。
これで電話できます、一回電話したら10円ね。30秒で次また10円かかるからね。はいおしまい。みたいなケータイ絶対この先売り出したら、めっちゃ売れると思うよ。わたしも。
Posted by ブクログ
退職後の人生について。
すでに読んだことのあるような提言が経験に裏付けされつつ述べられる。
退職後はコストのかからない生活を送る。
会社員は本人の能力や評価に下駄を履かせてもらっている。
会社がメインの人生になってしまうと退職後に人生の目標を見失う。会社員→定年というのは乱暴なギアチェンジ。
会社の外に楽しみを見つけ会社依存度を下げる(サードプレイス的な居場所の確保)。
すでに読んだことがあるということはそれだけ妥当なのだろう。
朝日新聞は福利厚生がかなり充実していて社宅から通信機器まで用意してもらえるのはすごい。お金関連の知識を退職時に総務に聞かされるまでろくに知らないのはちょっと迂闊すぎる気もしたが、多忙な業務だろうしそんなものなのかもしれない。
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50歳で朝日新聞社を退社。
正社員で働くことも難しいのに、確かにもったいないと言われちゃうよな。
ただ50歳まで頑張ってきたからできたことなのか。
会社で働くことについて、考える良いきっかけとなると思う。
Posted by ブクログ
朝日新聞に勤めて、28年の50歳に退社。
金満な生活を経て、おかねが必要にならない、精神的に満たされた生活を目指すようになる。
あることよりないことの贅沢さ
退社するまでの心情
賃貸住宅が借りられない
クレジットカードが作れない
国民年金保険 月15590円
退職金の7分の1は税金
次に就職する意志を見せないと失業保険が貰えない
日本は会社社会
会社に対する依存度を下げることが重要ということには共感できる
Posted by ブクログ
稲垣さんの語り口調が実に面白い。会社をどんな経緯で辞めたのか、辞めてからも希望も元気もいっぱいで暮らしている様を見るとこんな暮らしもあるのだと人生の手段や考え方が一つ増えた気がする。
Posted by ブクログ
アフロヘアで有名?らしい著者が、朝日新聞社を退職するまでの経緯と、退職後の自身の変化について語られている。いい子として育ち一流大学を出て一流会社に勤め、世間から見ると何不自由なく順風満帆な人生に見えるが、男性社会の中で不条理に感じる処遇の変化を感じつつ、そんなときカラオケで被ったアフロのカツラ姿を見て、自身が変化することに向けた一歩を感じる。退職して初めて知る会社社会の現実。会社という組織に所属していたら守られている社会に気づくが、この依存から抜け出すことによる自由、規範に縛られない生き方があるんだという発見。著者は、こうした依存しない人々との繋がりに、活動の場を見いだそうと踏み出している。これまでの大多数の日本人のあり方への同感でもあり決別宣言でもある。
Posted by ブクログ
会社辞めたい!と言い続けたいま、逃げとかネガティブな感情ではなく、よっしゃ辞めたろ!とポジティブな気持ちで辞めれそうな気がする。金銭的な準備はしっかりしよう。
Posted by ブクログ
これまた今の私にドンピシャな題材。
フリーランスになるつもりはないけど、ほんとフリーランスに厳しい社会だよな。インボイスとか。
背中を押してもらえるような、がんばろうと思える本でした。
Posted by ブクログ
私も著者と同世代で既に2回会社を辞めました。だけどすぐに次の会社に再就職。なかなか無職にはなれなかった。我々民間人はみんな日本という国が元締めのネズミ講の被害者なのですね。その仕組みは人口が増えているうちはうまく隠せていたのに減少に転じた途端あっけなく破綻。今や自民党政府は振り込め詐欺も真っ青になるくらいに嘘と不当権力を連発して国民を見ぐるみ剥がそうと必死。さらには夢よもう一度と国力増強の名目で戦争まで起こそうとしている有様。会社を辞めるのももちろんだけど日本から逃げ出すのも必要なのでは。魂の脱国です。