【感想・ネタバレ】魂の退社―会社を辞めるということ。のレビュー

あらすじ

「まっとうに会社で働く人が日本を支えている。それは本当にそうだと思う。
しかし、会社で働いていない人だって日本を支えている。
自営業の人たち、フリーランスで働く人たちは言うまでもない。
さらに、お金を稼いでいない人たち、たとえば専業主婦、仕事をやめた高齢者、何かの事情で働けない人、子どもだって、みんな日本を支えているんじゃないだろうか?
食事をつくる、掃除をする、孫と遊ぶ、何かを買う、近所の人にあいさつをする、だれかと友達になる、だれかに笑顔を見せる――世の中とは要するに「支え合い」である。
必ずしもお金が仲介しなくたって、支え合うことさえできればそこそこに生きていくことができるはずだ。
しかし会社で働いていると、そんなことは忘れてしまう。毎月給料が振り込まれることに慣れてしまうと、知らず知らずのうちに、まずお金を稼がなければ何も始められないかのように思い込み始める。
そして、高給をもらっている人間がエラいかのようにも思い始める。
だから、会社で働いていると、どうしても「もっと給料よこせ」という感覚になる。これは、どんな高給をもらっていても同じである。(中略)
しかし私は、もうその争いに意味を感じなくなってしまった」(プロローグより)
そういう著者が選択したのは、会社を辞め、電気代200円で暮らす清貧生活だった。しかし、著者はかつてないほど希望に満ちていると書く。日々が何より新しい。それは「お金」や「会社」から自由になったことで得たものだ。会社とは、お金とは、人生とは何かを問う。笑って泣けて考えさせられて最後に元気が出る本!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

響いた言葉がありました。それは、「今の世の中、困っている人がたくさんいる。ということは、その人たちを助けるための仕事なら、いくらでも作れる」というお言葉。本当ですよね。AIがどんなに進化しても、人は、相手が人じゃなきゃ解決できないことがたくさんあるということは、常々思っていました。それが確信になりました。ありがとう!

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本社会とは、「会社員にあらずんば人にあらず」の国だったのである。と、退社後に語る。この言葉を非正規社員がどんな思いで目にしているのでしょうか。

明確な退社理由が無いとのことですが、やっぱり素敵な「会社員生活」を謳歌してきたことが伺われます。たとえ、出世競争に勝てなかったとしても。

必ずしも、「お金」=「幸せ」ではない、というくだりは、その通りだと思います。お金の心配だって、どっちみち定年になったら、有無を言わず、退社するんだから、単純に10年早い定年だと思えば…。その後の生活を、「我慢する惨めな暮らし」とみなすか、「お金を使わなくても豊かな幸せな生活」とするか。ですね。→それが身の丈のあった…。

正社員における給与以外の福利厚生は、手厚いものがあります。住宅手当、家賃補助、社宅制度、持家援助、通勤費支給(新幹線も)、厚生年金。企業年金、健康保険、健康診断、育児休業、介護休業、慶弔見舞金制度、教育支援、カフェテリアプランなど。退社によって失われるのは、給与やプライドだけでなく、生活水準だということを身に沁みます。(本書では記載が少ないけど)

最後に、失業手当について。失業保険が、就職活動をしている証拠がないと支給されないと、クレームを述べているが、それは間違いではないでしょうか? 実際には、①就職する希望がなくても、活動実績さえあれば(振りをすれば)支給される。②最終的に就職しなくても、期限までは支給される。③手当の原資となる雇用保険は、全額本人負担ではなく、企業側も負担しているから仕方がないのでは。④失業時の自動配布だと、きっと、保険料が上がってしまう、かな。必ずしも効率的ではないかもしれないけど、ただで貰えるものは…。

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2022年05月15日

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