稲垣えみ子のレビュー一覧
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ネタバレ飲まない人は他に楽しみやストレス解消法があるならばそれもいいと思いますが、自分はいろんな意味で飲める人生で良かったなぁとしみじみ思うことが多いです。
このタイトル、酒飲みにはグッとくると思います。絵もいい。男性でも一人飲みは入る店によって緊張される方もいると思いますが女性は更にハードルが上がる感じは確かにあると思います。稲垣さんが果敢に傷ついても(?)失敗しても一人飲みに挑んでいき、今はもうマスターと呼んであげたいようなその佇まいを獲得したことに心から敬意を表したい。
一人飲みできるようになるぞと思ってから、どのようにチャレンジしていったかコマコマと記録されており、その時の心境や状況をとてもわかり易く書いてくれているので「そうだろうなぁ」「そうなるか」とまるでその場面を見ているかのように一緒にどきどきしてしまいます。
でも「はじめに」の4ページ目に「一人飲みができるようになると人生が開けます」と書かれていて心を強くして(?)読み進めることができるでしょう。
稲垣さんのこの本を読んでわかったのは、一人飲みとは居場所をつくるということなんですね。
居場所づくりってどこを居場所にするかによっていろんな方法やアプローチの仕方が変わると思うんです。自分は一人飲みって「開拓」というイメージが強いです。自分のためだけの飲みの別ジャンルというか。確かにある意味「人生開ける」感はあると思います。
袖すり合うも他生の縁という言葉がありますが、一人飲みの場というのは全く知らない人と思いがけない空間を一緒にする楽しさがある。
本書に黄色いページが少しあり、稲垣さんの飲みのポイント簡単まとめみたいな感じです。簡単ツマミの写真もあり「ホント簡単だ!」と一人飲みはさくっと飲めればいんだよなと思わされます。
自分は、通りすがりのお姉さんから「いつか他の女の子に返してあげて」とお酒を奢ってもらったこともあり「酒場っていいなぁ」としみじみ思います。たまたま一緒に隣で飲んだ外国の旅行者と次の日に別の場所でばったりあって「ボンボヤージュ!」と別れたことも。
私もいつか「他の女の子にしてあげて」と緊張して一人飲みしている女性にお酒を奢ってあげたいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者がたまたま聴いていたラジオに出演していて、冷蔵庫を持たず、ガスを契約せずに生活していると言っていて、生活が気になったので、この本を読んでみた。
福島原発の事故から、自分にできる節電は何か?と考え、ブレーカーをこまめに消したり、様々な家電を手放していった著者の行動力には脱帽する。コンセントで繋がれた家電に囲まれて生活する様子を、点滴をたくさん刺された寝たきり老人に例えていて、何とも皮肉だなぁと感じた。
また、本の公判で著者が引用している、電通戦略十訓を見て、何とも言えない複雑な気持ちになった。
もっと使わせろ
捨てさせろ
無駄遣いさせろ
季節を忘れさせろ
贈り物をさせろ
組み合わせで買わせろ
きっかけを投じろ
流行遅れにさせろ
気安く買わせろ
混乱を作り出せ
こんな考え方のもとで広告が打たれ続けていたら、いくら物を得ても満たされないよな、と思った。そもそも、最近のiPhoneに見るように、大した進化が見られない家電も多い(家電が進歩しつくした感じがある)。
この本を読み進めていると、生きていくのに必要な物なんて大してないのかも、と感じた。死んだら物は何もあの世に持っていけないし、要らないものは手放して、少ないものを大事にして過ごしたいと感じた。物ではなくて、旅行など経験に投資したいと感じた。 -
Posted by ブクログ
震災をきっかけに電気をなるべく使わない生活にシフトした体験談とそこから感じたことが綴られている。
不便に慣れることによって今まで使っていなかった感覚が目覚める様子を捉えていて面白いし表現が上手い。
電灯をつけないようにしたら月や街灯の明るさに気づいたり、掃除機を捨てたら掃除機をかけることに対して感じていたストレスに気づいたり、冷暖房をやめたらお寺の涼しさを強く感じられるようになったり、冷蔵庫を手放すことにより欲望が減ったり、洗濯機を手放すことにより嫌いだった家事が楽しくなったり。修行僧が悟りを開いていくかのよう。
また面白いのが、著者のお父さんが家電メーカーの社員で、子供の頃から最新の家電に囲まれていたのに、今では真逆の生活を送っていること。
問題を解決したり、幸福になるためにはモノを買うことが必ずしも有効とは限らない。多少不便でも、効率が悪くても自分なりに試行錯誤しながら目の前のことに取り組むのが生きるということ。
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ネタバレタイトルに惹かれて買いました。著者は、50歳で朝日新聞を退職して、その後の時間をピアノと向き合うことにした女性。かねてから、子どものころに成し遂げられなかった「ピアノを上手に弾く」ということを、大人になった今ならちゃんと練習して成し遂げられるのではないかと目論んでおり、偶然の出会いに恵まれて、ピアノを持ってもいないのに行きつけのカフェでピアノを貸してもらい、プロの先生に教えてもらうことになったのだ。
さて、実は私もほぼ同じことをしている。著者は小学生まででピアノをやめてしまって心残りだった。私の場合、子どもの頃エレクトーンを習っていたのだが、実はその頃から本当はピアノが弾きたかった。大人になった今なら、もう一度ピアノにチャレンジしたら今度こそ「上手く」弾けるのではないか、と夢想する。
私は我が子が小学生になったのを機に、家に本物のピアノを購入し、「娘と一緒に私も弾く!」「娘のレッスンのときに先生に頼んでちょっとだけ教えてもらう」ということをしている。
するとどうだろう、本当にさまざまな「気づき」が生まれるのである。
私が日々体感しているその「気づき」を、プロの文筆家である著者が言葉にしてくれている、私にとってはそのようなエッセイです。
大人になってピアノを弾く(それに挑戦する)ということがいかに素晴らしいか、いかに難しいか、いかに悩ましいか、いかに迷走するか。そのたびに、悩み、苦しみ、自分はどこへ行こうとしているんか自問自答する。だけど、どんなに下手でも、人前で弾くには緊張しても、ピアノの前に座ることは喜びである。
あぁ、分かる。心から共感します。
私も、必死で練習すればいつかはインスタやYouTubeで見るような人を魅了するような演奏ができるのではないかと夢見て練習を重ねるけど、多分、そんな日はこない。分かっているけど、でも来るような気がしてひたすら練習する。この年になってもし「そこそこに」ピアノが弾けるようになったからって、何になるのかと言えば、何にもなりはしない。家族も迷惑してるかもしれない。っていうか、夫はいつもうるさそうにしている笑。
でもピアノを弾くという行為は、なんとも奥が深いのです。
あと、正直に言うと、楽譜を読んで両手を動かし、音楽を奏でるのだから、きっと脳に良いに違いない、50を前にした今からピアノを始めてそれをライフワークにすれば、きっとぼけ防止になる!なんてことも思ったのですが、この脳との関係についても著者も書いていました。参考文献の「ピアニストの脳を科学する」も読んでみたいと思います。
私が今すごく気になっているのは、今、家族から「テレビのじゃま」「うるさい」と思われながらも練習しているけれど、それでもママが毎日ピアノ弾いていて少しは上手くなってる、くらいには思ってくれているのではないかと思うけど、もし子どもたちが独立して、夫が先に死んで(←先に死ぬ前提笑)家の中がシーンとなっても私はピアノを楽しむことができるだろうか?ということ。家の中にだれもいなくなったら、私はピアノを弾くのがさみしくて仕方がないのではないだろうか。
今からそんなこと心配してもしょうがないんだけど。 -
Posted by ブクログ
朝日新聞社を中途退社してフリーになり、それまでなじんでいた価値観と暮らし方とはガラリと変わった生活になったことによって、目から鱗がぼろぼろ落ち続けている様子を、新聞社で鍛え上げられた文章力と表現力を駆使して広く大勢の人に伝えたいという意気込みが迫ってくる面白エッセイでした。自分も21年務めた会社を辞めて地方に移住し自営業に身を転じた経験があるので、会社に勤めていた頃のなんとなく受け止めて当然だと思っていたそれまでの「一般的な」価値観や視点が、あくまで世の中に人の数だけ何億何千万とあってしかるべきそれぞれの価値観の「平均」とか「無難」のようなものであると実感したときの静かな衝撃であるとか、仕事に慣れてまずまず回せるようになって気持ちよく過ごしていたのに段々と管理職になって部下を持ちなさいと迫られ、こんなはずではなかった、と動揺するくだりとか、それでも良い査定をもらえれば喜ぶし同期がどんなポジションでどういう仕事をしているかは気になるし、という虚栄心に左右されてしまう自分の気持ちのあり方などを正直に書いているくだりとか、とても共感しながら読みました。浪人したり留年したり留学したり休学したり中退したりしたことが無かったので、会社組織を抜けて「個人」となったときの自由さと頼りなさを語ったくだりでは、まさに!っと(脳内で)膝を打ちました。賃貸契約が結べないとか新規でカードを作れないとかのエピソードは、さすがに無防備に過ぎるのではと思ったりしながらも、新聞記者という拘束時間の異様に長い職業についていたからかも、と思ったりしました。大変面白かったです。
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Posted by ブクログ
私も将来こんな旅をしてみたいな。
いつか愛犬が天寿を全うして天国へ旅立つのを見送ったら、ほんとうに自分がしたいことだけにフォーカスした旅をしようと思う。
一か所に長く滞在して、おいしいものを食べて、自分で料理もして、できれば地元の人にお料理を習ったりしたいなあ。
著者の旅は楽しいことばかりでもなくて、失敗や面倒や思ったほど上手くいかなかったこともあったようだけど、そうだよね、旅行って面白おかしいことばかりじゃなくてしんどいことや嫌になることも結構ある。
旅行についての著者の考えには、「なるほど!いままで私が漠然と感じていたことってこういうことだったんだ!」と思わされた。
もっと自分の欲望に向き合って、ほんとうに自分の好きな旅ができたらすてきだなあと思う。
いまから将来の自分の旅を妄想するだけでもけっこう楽しい。
いろんな希望や勇気をもらったとてもいい本だった。