山崎雅弘のレビュー一覧
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『13歳のハードワーク』がいちばん興味深くわかりやすい内容。これを最初の章に持ってくるべきでした。本当に中学生に読んでほしいと思うなら、まず読みやすい文章から載せるのがいいと思います。「こんな難しいこと書いてるオレってすごいでしょ、みんなついてこれる?」って思ってる大人の文章から始められると読もうとする気持ちがなくなります。
中学生は小説以外の文章を読む機会が少ないし、意外とまじめなので本は常に最初から読もうとします。興味のあるところから読もうとは思いません。
そしてこれを書いているおじさんたち、子どもがいるなら精一杯育児に関わったでしょうか?中学生、高校生の息子、娘にしっかり向き合ったとい -
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第一次世界大戦後の中東地域の戦争の歴史を分かりやすい表現で、かつ複雑な宗教・歴史・政治をまとめている。中立的観点で長期間にわたる土地を巡る流血の史実を淡々と解説しており解像度が高い。混迷を極める中東の現状は歴史的に必然だったのか。どうすれば戦争を減らし、無くし、平和を実現する方向に持っていくことができるのか。繰り返し読んで理解を深めたい。
第1章 パレスチナ紛争の起源―ディアスポラからバルフォア宣言まで
第2章 アラブ諸国の独立とホロコースト―アラブ・ユダヤ紛争の恒常化
第3章 第一次中東戦争―ユダヤ人国家イスラエルの建国
第4章 第二次中東戦争―大国の思惑とアラブ民族主義の台頭
第5章 第三 -
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時事問題に対する内田樹の見解を知りたいと思ったのが本書を読む動機。作品紹介で書かれる「パワークラシー」については、権力者が強者然としてふるまう、実生活では会社の役職とか体育会系、年齢、男女、お店へのカスハラなど、至る所にある現象。「サン付け、クン呼び」みたいにいちいち拘る事象というのは、人間が関係性を序列化せずにはいられない性質から発するもので、全てはその類型だという気がする。で、そんな中での「短期的利益志向」は相性が最悪。つまり、権力は換金しやすいので、その権力にすり寄る動機がさらに高まるという図式だ。このパワークラシー、短期志向などのトレンドを踏まえた上で、時事問題を斬る。
― エーリッ -
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動乱期!混迷でも混乱でもないこのタイトルからしてザワザワする感覚を覚えます。今思えば昭和の時代の、のほほんとした世界からと比べると明らかに異なる世界に居る感覚を覚えます。あの頃はよかった…なんてノスタルジーに浸っていることも今となっては許されない気がします。
内田先生と山崎雅弘さんの対話は、この「底の抜けた国」「三流腐敗国」に生きている私たちに現実を突きつけます。見ないふりをしてきても薄々わかっていて知らないふりをしても、これを読むとやっぱりそうか…と落ち込みます。
今の日本は、沈みかけている泥舟という指摘は、政治家などの支配層の劣化(良識がない者の増加)、民度の低下(思考停止になっている国民 -
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最近、買い物してても、店員さんのレベル落ちすぎじゃない?と思うことが増えて、それは、自分が高齢になってきて若い人の未熟さが目につくようになっただけかなと思っていたが、案外、この本に書いてあるような、倫理観のレベルの低下も原因なのかもしれないと思った。
“頭を抱えるような状況であっても、手の届く範囲の問題を解決する方向で努力して、後の世代にバトンを渡す”(p213より一部抜粋)
自分にとっての“手の届く範囲の問題”はなんだろうか?
とりあえず『文句ばっかり言わず、自分が置かれた環境でできることをやっていこう』(p207)と言うのを止めよう笑!
そして、発する言葉を、自分のなかに蓄える -
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著者と同年代なのだが、確かに昔に比べて倫理観が欠落した人が増えたと思う。これは政治家や官僚、財界人に限った話でなく、まさに上から下まであらゆる階層で『底が抜けた』状況になっている。
著者が分析するように、その原因は教育にあることも間違いなくて、長年の愚民化政策がここに来て実を結んだ結果と言えよう。著者は第二次安倍政権が転機のように言うが、そんなことはない。もっと昔から、おそらく意図的に進められてきた政策なのだ。エリート層を金持ちのお仲間とそのご子息で独占し、能力とは全く無関係に金持ちしか支配層に行けなくなった。安倍元首相を始めとして有力政治家もほぼ世襲で、明らかに国政を任せられる能力がない者も -
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旧版は読んだことあった上で新版もあらためて読んだ。情報が詰まっていて読みづらいところはあるけど、中東情勢を形作る歴史に関するリファレンスとしてとても良い本だと思う。2024年8月のパレスチナ(ガザ)の状況はこの新版の書かれた時よりも悲惨なものになっていて辛い。単なるイスラエル対アラブ-パレスチナなどという簡単な形ではないイスラエルやパレスチナそれぞれの中での党派間対立、敵の敵は利益を共有する味方にもなりうる関係がこの問題を解決不能に見せている様子がこの本を通してよくわかるし、新版への後書きにも強調されている。なんとかできるだけ多くの人が平和な世界で生きられるようになってもらいたいものだけど。。
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Posted by ブクログ
第二次世界大戦では、世界各国が自国にとって戦況を有利に導くためにプロパガンダを積極的に多用した。
本書では、当時の「大日本帝国」が展開したプロパガンダを記録や証言に基づき丁寧に紐解くと同時に、
極端な解釈が今でも横行している現状を指摘し、憂慮しつつ問題提起している。
特に、「大日本帝国」と「第二次世界大戦後の日本国」、および一般概念としての「日本」の区別の重要性を説いている。
その区別が曖昧なまま、感情的に過剰反応している政治家や著名人がいることを名指しで指摘している。
個人的には、この名指しの指摘自体が形を変えた別種のプロパガンダにも見えなくもなかったため、全部を読後感そのままに鵜呑みにす -
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天王機関説事件から国体明徴運動とその後の流れまでを非常に分かりやすく整理してくれている
1935年と100年近く前の事件ではあるが、人の起こしたこと故、現代にも通じる
混乱の最中では道理よりも無理が通る
国連脱退による国際社会からの孤立、明治以降の欧州文化偏重の傾向、1920年代の軍縮
自国を守らねばならない環境下で力を失っていた軍部が国体という標語のもとに揺り戻しをかけた
結果、理論として天皇自体も認める機関説が排撃され、精神性を拠り所にした国体が推されることとなる
現代日本も経済的な弱体化やコロナ禍という混乱にかこつけて政府は無理筋を通している
社会規模でなく自身の身近な会社でも十分に起こ