谷川俊太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦後日本を代表する詩人は誰かと問われたならば、多くの人がこの人の名を挙げるであろう。1952年に最初の詩集『二十億光年の孤独』が出てから、昨年(2024年)11月に92歳で亡くなるまで、谷川俊太郎は常に第一線で表現活動に携わってきた。その言葉は、わかりやすく直接的であり、老若男女すべての人に訴えかける魅力にあふれている。庶民的と言っていいのかもしれない。音と戯れる心を大切にし、いたずらに深刻にならず、ひらがなで子供向けの詩をたくさん書いた。それは「大人」にとっても素晴らしく楽しい作品であった。
ありとあらゆる相当な数の作品を残しているが、この詩集は作者自身がその全キャリアを振り返って選び、岩波文庫という「殿堂」から出版された(2013年刊)。おそらく今後末永く読まれ続ける本となるだろう。今年(2025年)5月にはNHKの番組「100分で名著」でも取り上げられている。
「いろは練習」より
い 今も一生のうち
ろ 碌でなし老子を語る
は 刷毛で禿をぬる
に 似てるが憎い
ほ 佛は放っとけ
へ 屁は減らぬ
と 時計に時を盗まれる
……
「ごちそうさま」
おとうさんをたべちゃった
はなのさきっちょ
こりこりかじって
めんたまを
つるってすって
ほっぺたも
むしゃむしゃたべて
あしのほねはごりごりかんで
おとうさんおいしかったよ
おとうさんあした
わたしのうんちになるの
うれしい?
「そして」
夏になれば
また
蝉が鳴く
花火が
記憶の中で
フリーズしている
遠い国は
おぼろだが
宇宙は鼻の先
なんという恩寵
人は
死ねる
そしてという
接続詞だけを
残して -
Posted by ブクログ
ページを捲る度に、段々と死に向かっていく谷川さんの姿が見えた。その事を、ご自身で予感していたのかもしれないとさえ思った。
最後の詩「感謝」が本当に素敵で、きっと私の五本の指に入ったままこの先も消える事はないだろうと思う。私の人生も、最後に「感謝」の念だけを残して幕を閉じられたら、と身が引き締まる。
例えもう姿が見えなくなっても、谷川さんが来る日も来る日も書き留めた詩が私たちの周りにあるから少しだけ寂しくない。
私が詩に出会うきっかけとなった方。心の底から敬愛していました。どうか天国で安らかに、どうか穏やかで良い旅をと、願ってやみません。