谷川俊太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
谷川俊太郎さんの児童向けの詩のアンソロジーですね。
絵は、広瀬弦さんが挿絵をプレゼントされています。
三十八篇の詩が、収められています。
「こころの色」
私がなにを思ってきたか
それがいまの私をつくっている
あなたがなにを考えてきたか
それがいまのあなたそのもの
世界はみんなのこころで決まる
世界はみんなのこころで変わる
あかんぼうのこころは白紙
大きくなると色にそまる
私のこころはどんな色?
きれいな色にこころをそめたい
きれいな色ならきっと幸せ
すきとおっていればもっと幸せ
「私たちの星」
はだしで踏みしめることの出来る星
土の星
夜もいい匂いでいっぱいの星
花の星
ひとしずくの露がやがて海へと育つ星
水の星
道ばたにクサイチゴがかくれている星
おいしい星
遠くから歌声の聞こえてくる星
風の星
さまざまな言葉が同じ喜びと悲しみを語る星
愛の星
「ありがとう」
空 ありがとう
今日も私の上にいてくれて
曇っていても分かるよ
宇宙へと青くひろがっているのが
花 ありがとう
今日も咲いていてくれて
明日は散ってしまうかもしれない
でも匂いも色ももう私の一部
お母さん ありがとう
私を生んでくれて
口に出すのは照れくさいから
一度っきりしか言わないけれど
でも誰だろう 何だろう
私に私をくれたのは?
限りない世界に向かって私は呟く
私 ありがとう
少し、子供さんには難しい詩もありますけれど、考えながら感じながら、読んで欲しい素敵な詩集ですね(=^・^=)
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Posted by ブクログ
キッパリした物言いで、毅然とした印象を受ける詩が多い。
「自立しろ」と背中を叩かれる気持ちだ。
詩の好きなのところは、単純な言葉で深い表現をしているのをかっこいいと思うからだ。
この詩集も、単語としては難しいものは少ないが、それらが集まってできた詩は、心に残るものがたくさんある。
まったく違う時代を生きた人の言葉なのに、「そうだよなあ」「分かる」と思わされるものがあるのはすごいことだ。
『自分の感受性くらい』や『わたしが一番きれいだったころ』ももちろん良いが、『歳月』という詩集の、夫との間の気持ちを表した詩たちが素晴らしいと感じた。
私も妻がいて子がいるが、それらの詩を読むと、痛いくらいに共感できる。
『詩』という詩の中にこんな一文がある。
> 詩人の仕事は溶けてしまうのだ
民族の血のなかに
これを発見したのはだれ?などと問われもせず ひとびとの感受性そのものとなって 息づき流れてゆく(p304)
>
詩人たちの言葉ははっきり思い出せなくても、多くの人の心に染み込んでいるものだ。 -
Posted by ブクログ
谷川俊太郎さんの詩集ですね。
2025年、発行。
2024年に逝去された後、『朝日新聞』に連載されていた谷川俊太郎さんの詩から四十七篇の詩集です。
「何事もなく」
何事もなく一日一日を過ごすのが
なんでこんなに難しいんだ
手から滑って落ちたワイングラス
高いものでも大事なものでもないが
散らばったかけらが心に刺さる
体は自然から生まれたけれど
心はいつどこから生まれたんだろう
草木と同じ犬猫と同じ私の命は
深く柔らかな生命の流れから逸れて
固くぎこちないものになってしまった
目にするすべて手にするすべてに
いつかコトバがベッド貼りついて
近づいてくるはずだったのに
かえって世界は遠ざかった
世界とか言葉とかは
毎日の地道な暮らしにそぐわない
青空のもっと上は宇宙だが
いつかそこまで行ったとしても
まだまだ先は限りないと
子どもの頃からコトバに教えられた
夕焼けに言葉を失い星空に畏れを抱く
いのちはそれだけで十分なのに
「いのち」
ある年齢を過ぎると
どこも痛くなくても
体がぎこちない
けつまずいて転んでから
それが分かり
体は自分が草木と
同じく枯れてゆくと知る
人間として
社会に参加した
忙しない「時間」は
悠久の自然の「時」に
無条件降伏する
落ち葉とともに
大地に帰りたい
変わらぬ夜空のもと
言語で意味を与えられて
人生は素の生と異なる
己が獣とも魚とも鳥とも違う
生きものなのを
出自を共にしながら
人は誇り
人は恥じる
「感謝」
目が覚める
庭の紅葉が見える
昨日を思い出す
まだ生きてるんだ
今日は昨日のつづき
だけでいいと思う
何かをする気はない
どこも痛くない
痒くもないのに感謝
いったい誰に?
神に?
世界に? 宇宙に?
分からないが
感謝の念だけは残る
谷川俊太郎さんは、生きることの素晴らしさ、生命の大切さを言葉で綴ってくださっています。
最後まで私たちに残してくださった言葉は、深く胸を篤く響きますね(=゚ω゚=) -
Posted by ブクログ
ー“ほんとうに出会った者に別れはこない”ー
世界でいちばん短い恋愛小説であり、
大人のための『絵本』でもある。
『あなたはそこに』は一編の詩である。
内容はたったの24行。
詩は有名で調べればすぐにでてくる。
けれど、ぜひこの『本』で読んで欲しい。
水彩の柔らかいタッチで描かれる絵。
色使い、色の滲みやぼかし、グラデーション。
心を震わせる美しい情景。
絵をじっと眺め本を読む。
すると、煙がくゆるところやカーテンが風にそよぐところが目に浮かび、雑踏やざわめきが耳に聞こえてくる。それは脳内で再生されて1本のショートストーリーのようになるのを感じる。
文字の位置、絵の美しさ、サイズ、余白の使い方。
全体のバランス、まとまり。
1冊の芸術的な作品に感嘆する。
短く薄い本であるが、心が満たされていく大好きな一冊である。
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Posted by ブクログ
詩人、谷川俊太郎と作家、西加奈子の詩のやり取り。
挿絵は西加奈子作。
詩の感想は難しいです。
パッと読んだ印象で、谷川俊太郎さんの詩は、あっさり簡潔な言葉でギュッと個人に集約されるイメージ、西加奈子さんの詩は割と普遍的、全体に広がっていくような詩だと感じました。
谷川俊太郎さんの詩をじっくり見ていて。
全角スペースを空けている詩はよく分かりますが、よくよく見ると半角スペースを空けている詩があって、その緻密さに感動しました。
一番最後の「すき」の詩は、分かりやすい全角スペース、最後は改行して「すき」と一言。ずっとジンと心にきているものが最後でギュッと、すき!そう!好き!って心がギューっとなります。
「うかんでる」は、スペースなく言い切りでたった四行の詩。そして驚いたのは「うちゅうのいろは?」の半角スペース。はっきりとしたスペースではないけれど、一見ギュッとして見えるけれど、よく見るとほんの少し空いている。この詩だけだと思います(よく見ないと分からないので見逃しているかも)。
この間を空けることによって、上から下まで一気に言い切る文章ではなくうっすら言葉を分ける、そんな役割をしているような気がします。目で読む時もそう、声に出して読む時もきっとそう。
こういう細かい計算がきっとたくさんあるのだろうなと思います。
西加奈子さんの絵が可愛いです。