谷川俊太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ一気に読むのはあまりにももったいないので、毎日ちょっとずつちょっとずつ、ゆっくり読んでいった。
好きな詩がいっぱいありすぎる。とにかく詩から広がる世界が豊かで、胸も頭もからだも全部いっぱいになってしまう。こんな風に日本語を使えるなんてすごすぎる。いったいどうやったら「万有引力とはひき合う孤独の力である」なんて出てくるんだろうな。代名詞みたいな詩だけど、やっぱり一番好きかも。でもあれも、これもとなってどうしようもない。好き。
世界に、人にそそぐ眼差しが温かいというよりは、つめたく澄んでいる。みじかい言葉に、まるごとの世界への想起を引き出す強い力がある。
「生きようとするものを岸の方へいざないながら
ひとの中に潮が満ちる ひとの中に海がある
月の呼び 月のめぐるまま ひとの中に終らない暦がある」
読んでいるといつの間にか大きな宇宙に独りで浮かんでいるような気持ちになる。身がちぎれそうな孤独と、世界の美しさがしみてくる。
また折々に読んでいきたいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「続」も、前編に劣らず非常によかった。前編と同じ編集方針となっており、全国不登校新聞社に在籍する、不登校・ひきこもりの当事者・経験者である子ども若者編集部員が、「私が話を聞きたい人に話を聞きにいく」という方針で取材を行うことにより作られている。「世のため」「人のため」ではなく、「私」が話を聞きたいというのが大原則となっている。
そのインタビュアーに答えた17名の著名人がこちら。
目次には、対談者のキーとなる一言が次のように紹介されている。確かにこれらのセンテンスがキーとなるものであるが、それ以外にも一人の読者として感動した言葉や生き方があった。
■中川翔子:ちょっとの「好き」を集めて、積み重ねていく
■ヨシタケシンスケ:遠回りしたからこそ、見えることがたくさんある
■りゅうちぇる:自分の「色」を塗り替えてもいい
■立川志の輔:他人とちがうのは、いいこと
■春名風花:いまあなたがいるそこがすべてじゃない
■あずまきよひこ:無理にでも頭を突っ込んでみると、たいがいはおもしろい
■R-指定:コンプレックスをさらけ出した方が、楽しかった
■谷川俊太郎:ミスフィットを活かす道はある
■庵野秀明:「ここ」じゃなければ、他のところに行こう
■宇多丸:自信は他人からもらおう
■田房永子:自分の「心」を大切にする
■大槻ケンヂ:「のほほん」と生きていきたい
■みうらじゅん:好きなことをいっぱいやろう
■糸井重里:できることをひとつずつ続けていく
■坂上忍:3割の共感があればいい
■椎名誠:方向が決まっている人生なんて、つまらない
■荻上チキ:人の役に立つことを生きる力にする
■対談:北斗晶×石井志昂(本書編集長) 人になんと言われようと、やりたいことをやってみる
この17人の対談者もまた、自分自身の生きづらさを乗り越えた今がある人たちであったり、生きづらさということを心で理解できる人たちであったりする。ある意味、自分なりの人生哲学をもっている凄い人たちである。
年齢は若くとも、何も考えずに自分の不安を子供に押し付けて生きている大人や、意味なくマイノリティであることを特別視するような人たちよりも、ずっとずっと物事を考える力があり、人生を闘っているのであり、生き方の哲学を確立しているように思える。
以下、自分なりに目に留まった対談者の一言など。
■中川翔子:「いちばんひどい日」を乗り越えると「そうでもない日」が来る。「そうでもない日」が続いた先に、思いがけない「死ななくてよかった」と思える日が来るはず。
■ヨシタケシンスケ:自分の意見を持たずに大学までいった。それに対し、「学校に行かない(不登校)」を自分で決めるということは凄いこと。
■りゅうちぇる:意見の違う人にあったら、その人の背景を考えるようにしている。
■立川志の輔:人生いろいろなことが起こる。学校に行かないということが、なぜそんなに大きなことなのか。大騒ぎしているのは大人。
■春名風花:いじめの加害者にフォーカスする。送信機をどうにかするしかない。ただし、「加害者が悪い」と単純化してしまうのは嫌。
■あずまきよひこ:何もできないと思われているうちに、失敗しておいたほうがいい。
■R-指定:学校の外の世界の人たちと出会えて、「俺はすごく狭い世界にいたんやな」と思った。
■谷川俊太郎:自分が詩を書いて生活するなんて考えなかったし、詩人になりたいとも思っていなかった。「なぜ詩を選んだのか?」-私が詩を選んだのではない、詩が私を選んだのだ。
■庵野秀明:(学校の)勉強は、受験のためのもの。テクニック学んでいるだけ。そのテクニックを身に着けることが社会に出たときに役立つというのは方便だ。
■宇多丸:最初の一歩は、わかならいけどやっちゃってた。最初の一歩に「理不尽なジャンプ」がある。
■田房永子:親は子どもにとって権力者で支配者で独裁者でハラスメントの加害者。子どもに過干渉にならないようにするためには自分の人生を楽しむこと。
■大槻ケンヂ:世の中で善と呼ばれているものが悪であったり、悪と呼ばれているものが善であったり、価値観というものは時代、民族、国家によって変わるものであって、ゼッタイの基準はない、
■みうらじゅん:不安は今でもあるが、なんとかなっている。常識が分かった上でやる非常識が、エンターテインメント。
■糸井重里:自分たちが何ができるかって言ったら、残念ながら、今のところ、努力することだったり勉強することだったりする。
■坂上忍:何かを成し遂げようとするとき必ず孤独になる。
■椎名誠:不登校しているのは、自分に忠実な素直な人
■荻上チキ:「逃げてもいい」というが、不整備な状況では、不登校は自己責任化されてしまう。学校には、セーフティネットが必要なのに、厳しいルールを押し付けている、 -
購入済み
魂に触れる詩と絵と
大昔の詩なのにどうしてこんなにも今日、感動するのだろう。言葉といい、絵筆といい、気持ちや感情や森羅万象を表現できるプロ達が、ただ羨ましい。
上手い下手ではなくて、私も表現できたらな。詩をバレエで、刺繍で、作曲で。私の気持ちは自由にどこでも行ける。谷川俊太郎氏は無論のこと、編纂や出版社の誠意が伝わる良書。お薦めです。 -
Posted by ブクログ
谷川俊太郎さんの訳した『あしながおじさん』を読む。よく考えると、あしながおじさんを読むのはじめてだ。1967年に出版された少年少女世界の文学の初版本。装丁が美しく、いまさっき、偶然持ち込まれたもの。必然なのかな。
作家としての表現力をやしなうには、手紙を書くのがいちばんだと、孤児院から大学へ通わせてくれたあしながおじさんと一方通行の文通をするミスジルーシャアボット。実はぼくも架空の女性「詠美」へ向けた手紙を毎日書き綴っている。手紙って、ほんとに魅力的で、内面の強度を高められる。
内部の強度を鍛える。。外側だけ取り繕っても、現代の社会では、それなりにきれいなものが出来上がってしまう。学生でも、子供でも。それは、響かない。かといって、愛などと言う誰にも反論が許されない抽象的なものでもない。コピー&ペーストでつくられる安易な表現に飛び付くのは、もう卒業しよう。ぼくたちは、ホンモノを磨くためにひとりになる。ぼくは、ダメダメだ。
人生でりっぱな人格が必要になってくるのは大事件がおこったときじゃありません。いざというときにはだれだってしゃんとするものだし、大悲劇になら勇敢に面と向かうことができます。だけど、日常のみみっちいいざこざをわらいとばすってことは、これこそ根性がいるわ。
あしながおじさんとジュデイは、会ったことがないのに、生きている時間を過ごせてる。ただ居合わせた二人とは違う。死んだ時間を何千時間過ごしても意味がない。お互いに尊敬し、信頼し、協力する。それが愛する秘訣なのだと思う。
長新太さんの挿し絵も素敵だった。
世界はこんなにもおおくのものでいっぱいだ
わたしたちがみな王のようにしあわせであるべきなのはたしかなことだ
愛されるよりも愛することって、素晴らしい。過去や未来の不安に創造力を発揮させるなら、いまここに生きることを大切にしたい。いま思いを寄せることに集中したい。
あしながおじさんとのラストは、とても温かい気持ちになった。
未来の大作家ムック