【感想・ネタバレ】茨木のり子詩集のレビュー

あらすじ

青春を戦争の渦中に過ごした若い女性の、くやしさと、それゆえの、未来への夢。スパッと歯切れのいい言葉が断言的に出てくる、主張のある詩、論理の詩。ときには初々しく震え、またときには凛として顔を上げる。素直な表現で、人を励まし奮い立たせてくれる、「現代詩の長女」茨木のり子のエッセンス。(対談=大岡信、解説=小池昌代)

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Posted by ブクログ

たまたま地元の本屋で見つけて、名前を存じていなかったのだけれど、即購入した一冊。好きなのでずっと引き出しに入れてある。

全てがやわらかいヤスリで削られた雷のような詩

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2025年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

谷川俊太郎追悼ウィークとして、谷川俊太郎選の変わり種として何気なく手に取った。茨木のり子、教科書でも取り上げたと思うのだが記憶にない。初読として読んで、こんなに素敵な女性がいたのかと嬉しくなる。詩集自体を読んでいきたいと思った。

好きだった詩
『対話』内部からくさる桃、⭐︎もっと強く、準備する
っと強く願っていいのだ
わたしたちは 明石の鯛が食べたいと

もっと強く願っていいのだ
わたしたちは 幾種類ものジャムが
いつも食卓にあるようにと
・・・
女が欲しければ奪うのもいいのだ
男が欲しければ奪うのもいいのだ

ああ わたしたちが
もっともっと貪欲にならないかぎり
なにごとも始まりはしないのだ

『見えない配達夫』敵について、わたしが一番きれいだったとき、大学を出た奥さん、怒るときと許すとき

『鎮魂歌』⭐︎花の名、女の子のマーチ、七夕、りゅうりぇんれんの物語、
・・・
いい男だったわ お父さん
娘が捧げる一輪の花
生きている時言いたくて言えなかった言葉です
棺のまわりに誰もいなくなったとき
私はそっと近づいて父の顔に頬をよせた
氷ともちがう陶器ともちがうふしぎなつめたさ
菜の花畑のまんなかの火葬場から ビスケットを焼くような黒い煙がひとすじ昇る
ふるさとの海辺の町はへんに明るく
すべてを童話に見せてしまう
・・・

『茨木のり子詩集』首吊

『人名詩集』くりかえしのうた、兄弟、箸、居酒屋にて

『自分の感受性くらい』詩集と刺繍、自分の感受性くらい、二人の左官屋、波の音、⭐︎木の実
・・・
木の実と見えたのは
苔むした一個の髑髏である
・・・
生前
この頭を
かけがえなく いとおしいものとして
掻抱いた女が きっと居たに違いない

小さな顳顬(こめかみ)のひよめきを
じっと視ていたのはどんな母
この髪に指からませて
やさしく引き寄せたのは どんな女(ひと)
もし それが わたしだったら…
・・・
もし それが わたしだったら
に続く一行を 遂に立たせられないまま

『寸志』苦い味、⭐︎笑って、賑々しきなかの、寸志
・・・
ねえ
笑って!
あちらで
驪姫という娘のように
はればれと

『茨木のり子』(花神ブックスI) 一人は賑やか、みずうみ

『食卓に珈琲の匂い流れ』四行詩

『倚りかからず』時代おくれ、倚りかからず

『茨木のり子集 言の葉3』行方不明の時間

『歳月』本当素敵だった…
その時、夢、⭐︎部分、⭐︎夜の庭、⭐︎恋唄、一人の人、⭐︎急がなくては、なれる、⭐︎(存在)

部分
日に日に重ねてゆけば
薄れてゆくのではないかしら
それを恐れた
あなたのからだの記憶
好きだった頸すじの匂い
やわらかだった髪の毛
皮脂なめらかな頬
水泳で鍛えた厚い胸廓
兀字型のおへそ
ひんぴんとこぶらがえりを起したふくらはぎ
爪のびれば肉に喰いこむ癖あった足の親指
ああ それから
もっともっとひそやかな細部
どうしたことでしょう
それら日に夜に新たに
いつでも取りだせるほど鮮やかに
形を成してくる
あなたの部分

恋唄
肉体をうしなって
あなたは一層 あなたになった
純粋の原酒(モルト)になって
一層わたしを酔わしめる

恋に肉体は不要なのかもしれない
けれど今 恋いわたるこのなつかしさは
肉体を通してしか
ついに得られなかったもの

どれほど多くのひとびとが
潜って行ったことでしょう
かかる矛盾の門を
惑乱し 涙し

急がなくては
急がなくてはなりません
静かに
急がなくてはなりません
感情を整えて
あなたのもとへ
急がなくてはなりません
あなたのかたわらで眠ること
ふたたび目覚めない眠りを眠ること
それがわたくしたちの成就です
辿る目的地のある ありがたさ
ゆっくりと
急いでいます

(存在)
あなたは もしかしたら
存在しなかったのかもしれない
あなたという形をとって 何か
素敵な気がすぅっと流れてただけで

わたしも ほんとうは
存在していないのかもしれない
何か在りげに
息などしてはいるけれども

ただ透明な気と気が
触れあっただけのような
それはそれでよかったような
いきものはすべてそうして消え失せてゆくような

巻末収録の対談(茨木のり子、大岡信)、「美しい言葉を求めて」も面白かった。
(大岡)結局女性対男性というのはイデオロギーだけではとても解決できない面が非常にあると思うんです。
(茨木)まったくですね。
(大岡)男も女もたまたま一緒になった相手、あるいは恋愛している相手から影響される。それで形作られてゆく自我は、自分だけの自我ではなく、相手が入り込んできている自我ですから、そういうところでは、男と女を対立関係だけでとらえることはできない。…

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2024年12月06日

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これからの人生で茨木さんの詩をふと思い出す瞬間がたくさんあればいいなと思う。
詩をじっくり味わえる喜びを感じつつ、韓国語を自由に学べる今の環境がどんなにありがたいことか痛感した。

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2024年05月05日

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わたしが一番きれいだったとき、や、自分の感受性くらい、は知っていたけど茨木のり子さんの作品をこんなに読んだことがなかったので、そのハードルの低さに驚きました。
詩は読みやすいようで読みにくい、自分の解釈能力に自信がなかったけれど、茨木のり子さんの詩は小説を読んでいるようにさらさらと自分の中に流れてきます。
彼女の人柄について理解した上で再読したいと思いました。

0
2024年01月27日

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【その人の気圧のなかでしか 生きられぬ言葉もある】(文中より引用)

「わたしが一番きれいだったとき」等で知られる詩人の茨城のり子。同じく詩人の谷川俊太郎が、彼女の珠玉の作品を選んで編み上げた詩集です。

詩を読むのも数年ぶりだったんですが、思った以上に抵抗感がなかったのは(こう言ってしまうと言葉を生業とする人に怒られるかもしれないけれど)SNS時代の短文文化に自然と慣れているからなのかなと思いながらの読書でした。思わずハッとさせられる表現に出会うこともあり、久しぶりの体験をさせていただきました。

個々の人間に光を当てた作品に白眉なものが多い気がします☆5つ

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2023年08月03日

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普段、現代詩はほとんど読んでこなかったのですが、谷川俊太郎選出にかかる茨木のり子さんの詩集、のめり込むようにして読んでしまいました。大岡信さんとの対談もいいですね。

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2022年09月18日

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出会いは中学生だったか。
それから何度も助けられてきた。
久しぶりに読み返して…
倚りかからず 最高。

・自分の感受性くらい
・倚りかからず
・マザーテレサの瞳
・私が一番きれいだったとき
・一人のひと
・もっと強く
・言いたくない言葉
・二人の左官屋
・落ちこぼれ

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2022年09月08日

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はじめて詩集を読んだ。冒険したい世界がまたひとつ増えた。

【お気に入りメモ】
・小さな娘が思ったこと
・りゅうりぇんれんの物語
・首吊り
・言いたくない言葉
・くりかえしのうた
・自分の感受性くらい
・冷えたビール
・一人は賑やか
・総督府へ行ってくる
・なれる

 一人でいるとき淋しいやつが
 二人寄ったら なお淋しい
 おおぜい寄ったなら
 だ だ だ だ だっと 堕落だな

 恋人よ
 まだどこにいるのかもわからない 君
 一人でいるとき 一番賑やかなヤツで
 あってくれ

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2022年08月22日

Posted by ブクログ

かつては、茨木のり子と言えば「自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ」
に強く惹かれたけれど・・・
あらためて読み返してみたら、やっぱり印象が変わってきている。

「歳月」や「古歌」が、しみみじと良い。

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2022年07月07日

Posted by ブクログ

詩集って読むの初めてで、難しいかなって思ってたけど、読みやすかった!
その日の気分とかで感じ方が違くて、自分と向き合える素敵な本。
自分の感受性くらい っていう詩が好き

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2022年03月25日

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どの詩を読んでも心にしみる。日本語を大事にした人。当然詩人だから特に大事にしたのですね。それと同じぐらい隣国の言葉も大事にしたのですね。その事をこころしなくてはいけない。

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2021年01月26日

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美術工芸家の場合、縄文型と弥生型の2つに分かれるように、詩人には、古今和歌集型と万葉集型がいて、ほとんどがその2つに分類できる。という対談の中の茨木さんのお話が面白かった。

好きな詩
・ぎらりと光るダイヤのような日
・怒るときと許すとき
・花の名
・言いたくない言葉
・兄弟
・居酒屋にて
・知
自分の感受性くらい
・波の音
・木の実
・一人は賑やか
・さくら
・お休みどころ
・よりかからず
・笑う能力
・行方不明の時間
・なれる
・歳月
・山小屋のスタンプ
・それを選んだ
・こわがらない
・詩

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2020年06月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

抜こうと思っているわけではないのに
追いかけているわけでもないのに
人を抜いたと感じる瞬間の いわんかたなき寂しさ

父を抜いたと感じてしまった夜
私は哭いた 寝床のなかで 声をたてずに

そういう瞬間を持ってしまう自分が
おお とても 厭!
どうみたって その人より 私が
たちまさるとは真実おもえないのに

抜いたときには 確かにわかる
けれど
抜かれるときには わからないらしいのだな



一人でいるのは賑やかだ
誓って負けおしみなんかじゃない

一人でいるとき淋しいやつが
二人酔ったら なお淋しい
おおぜい寄ったなら
だ だ だ だ だっと 堕落だな




四十年前の ある晩秋
夜行で発って朝まだき
奈良駅についた
法隆寺へ行きたいのだが
まだバスも出ない
しかたなく
昨夜買った駅弁をもそもそ食べていると
その待合室に 駅長さんが近づいてきて
二、三の客にお茶をふるまってくれた

ゆるやかに流れていた時間

駅長さんの顔は忘れてしまったが
大きな薬缶と 制服と
注いでくれた熱い渋茶の味は
今でも思い出すことができる



人を愛するなんてことも何時のまにやら
覚えてしまって
臆病風はどうやら そのあたりからも
吹いてくるらしい
通らなければならないトンネルならば
さまざまな怖れを十分に味わいつくして行こう
いつか ほんとうの
勇気凛凛になれるかしら
子供のときとは まるで違った



大岡 ぼくらの同級生でも、軍の学校へ行ったのが何人かいましたね。ぼくは、死ぬのは嫌でたまらなかった。そういう意味では、戦争中、自分がなぜ死んでもいいという気持ちになれないのか、という自責の念、恥ずかしさはすごくありました。
茨木 ああ。
大岡 「お国のためならば死んでもいい」というふうなことを、少年でも顔にあらわさなきゃならないような時代でしたが、ぼくは漠然としてはいたけれど、文学とか言葉の作品、そういうものの大事さがあるっていうことをなんとなく感じていたから、まだ死にたくない、という気持ちがあったんですけど、茨木さんの場合は、女性だから、もう一つそこのところが複雑だと思うのね。
茨木 ええ。
大岡 結局女性の場合には後続部隊というか、男の連中が出で立ってゆくのを見送って、口もとまで出てくる悲しみや喜びを全部押しかくして、外には出さない、という形だったでしょう。そこからくる抑圧された思いというのが、戦後になって爆発するわけですけれど、女の人の多くは、風俗、つまりファッション的なもので戦争中の抑圧を解放する。また、恋愛もね。さまざまだと思うんですが、茨木さんの場合は、むしろ稀なケースですね。つまり、言葉というものに初めからぶつかった、という人は、あの当時まだ少なかった。
茨木 ええ、何よりもまず自分のしっかりした言葉がほしいと思った。変わってたかもしれませんね。




茨木 単純にすっきりさせたい。モヤモヤや悶々をそのまま出したくないんですね。だってほかの人の作品を読むときでも、単純な言葉で深いことを言えてるものが最高と思いますもの。それから、さっきの弱さをあんまり出したくないということを、自分で分析しますと、戦後すぐのこと、当時は過去のものは全部否定的でしたよね。そういう風潮に影響されたと思うんですけど、日本の詩歌の伝統も「淋し、佗し」の連続でいかにも弱々しいという思いがわっときた。もっと強くて張りのある詩が書かれるべきであると自分なりに考えたらしいんですね。



大岡
…言葉っていうものを、自分自身に固有のものと思わない、という気持ちが、ますます強くなっていく。…言葉というのは何だろうと思う。翻訳でもむしろある種のものが伝わってしまうということが、言葉のある意味の恐ろしさを示すものではないかと思えてくる。つまり精密出なくても伝わってゆく、そしてそれは一概に否定できなくて、むしろ、しゃべっているとお互いにわかりあってしまうことがずいぶんあるという気がします。翻って考えてみると、日本語でしゃべり合っていたって、お互いにわかりあっていると言えないんじゃないか。そういう意味でいうと、言語というものは、非常にたくさんの、ぶよぶよしたものを身にまとっているんじゃないか。そういう部分でわれわれは、わかりあったり、わかりあえなくて喧嘩したりしるんじゃないかっていう気がして、だから、ぼくは言葉というものに対して、ある意味でいえば、非常に頼りないものだなっていう気がするんです。逆に言うと、そういうものであるにもかかわらず、わかりあえるところが、言葉のすごさだろうとも思っているんです。…

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2020年04月23日

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ふと読みたくなって再読しました。

自分というものを強く持って生きたいと思わせてくれる作品が多かったです。
「自分の感受性くらい」
「椅りかからず」
「通らなければ」
とても励まされます。

「言いたくない言葉」は、言語化するのが難しいときに、そっと支えになってくれるような詩でした。
無理に言語化する必要はない、声や文章に表すとその想いがかえって色褪せてしまう。
胸の内にそっとしまっておくことがあってもいいのだと思わせてくれます。

「みずうみ」は、すごく静謐さを感じ、人間の理想の心を示しているようでした。

特に好きなのは、
「ぎらりと光るダイヤのような日」
です。
この世を去る時、自分が〈本当に生きた日>があまりにも少ないことに驚くだろう。
危機感を抱くとともに、それ以上に本当に生きたーと思える日を少しでも作ろうと前向きな気持ちにさせてくれました。

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2025年06月21日

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やっと最後のページまで目を通せた。やっぱり詩となると難しいけど、茨木のり子さんの詩はスッと心に入ってきやすい気がする。大正生まれ、戦争を経験している女性。生きた時代背景が自分とは大きく異なるのに、しっかり響く詩がたくさんあった。

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2025年03月29日

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時代を映す詩にはあまり惹かれなかったけど好きな詩が十篇くらい入っていて嬉しかった。自分の芯を強く持って生きようとしている詩と、夫を亡くしてから綴っている歳月にも収録されている詩たちが特に良いと感じる。一番好きなのは以前と変わらず「自分の感受性くらい」だった。


自分の感受性くらい

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ


0
2024年12月13日

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谷川さんが選んだということで。これまで作品触れてこなかったけど、ドスンと来るものもあり。いや違うか。ジュニア向けので読んでるか?

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2023年10月13日

Posted by ブクログ

茨木のり子の詩集。
他社での出版よりも収められている詩の数が多いと思う。

そんな詩の中でも、他の詩集にあまりなかったと思うのがより個人的な詩。
父や連れ添った夫への詩がとても印象深かった。

とても慈悲深くそして激しさを持った女性だったんだろうなと思わされました。

前を向きたくなる良い詩がたくさんでした。

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2023年08月28日

Posted by ブクログ

 詩が何を意味するのか、どんなことを伝えたいのかが分からないというかこちらが拾いきれないものが多かった。私が言葉の意味などをあまり知らないせいもあるだろう。それでも、たまにハッとさせられるものがある。

 青春時代は戦時中だったにも関わらず、あらゆる表現を用いて、詩を書いてることから、芯の通った主張を抱えて生きていたと想像する。

 「私の感受性くらい」では、力強い言葉を並べている一方で、「一人は賑やか」では繊細な心情を表している。これらより、作者が共感性と力強さを持ち合わせており、聡明な人物だったことを思わせる。

 時間をおいてから、また読んでみたいと思う1冊であった。

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2023年04月25日

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ネタバレ

詩集を購入して読むって、難しいけど、茨木のり子さんは「自分の感受性くらい」が有名で、何度聴いても心が震えるので、一冊買っておこうと思って、文庫を買いました。心に響くものも、響かないものも、もちろんあったけど「歳月」という章は、先に亡くなった夫の不在や、体を重ねた思い出、夫の故郷(お墓)をモチーフにしていて、切なくもエロティックで素敵だった。その前までの章の、日中韓の関係や政治や社会を批判した詩との対比もよかった。
私が特に好きだと感じ、心が震えたのは「木の実」「水の星」「かの名称」。
「木の実」はミンダナオ島で、木の芽にひっかかった髑髏が、木の成長とともに上へ上へと伸びていった光景から、その男性を愛した人もいただろうと思いをはせた歌。
「水の星」は地球が地球である奇跡をうたっている。
「かの名称」は陰部をなんと呼ぶかという歌で非常に面白く、そんなテーマなのに、茨木のり子さんにかかると芸術になる!という。
詩集を一冊持っておくって、素敵なことかもしれない。

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2022年11月20日

Posted by ブクログ

 本書を読みたかったのは、作者がその生前には発表しなかった、夫への愛が綴られた『歳月』の詩が収録されていたから。

 茨木さんの詩は、自分というものをしっかり持った人が、理知的に書いた詩という印象を持っていたのだが、『歳月』に収められた作品を読むと、作者の“私性“がかなり真っ直ぐに出ていて、深い愛情と信頼で結び付いていたからこそ書ける作品だなあと、沁み沁みとなった次第。

 大岡信との対談、小池昌代さんの解説も、作者理解、作品理解を深めるのに、大変参考になる。

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2022年07月26日

Posted by ブクログ

ばかものよ、を叱咤ととるか激励ととるかは読者次第だ。
20歳を目前に読めてよかった、詩人みずからの内省のかたちをとりならがら、読者への深い愛情を感じた。
この詩が目的だったが、戦後が抱えたもどかしさが鋭い感性をもつ少女から伝わってくるようだった。

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2020年12月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

※「茨木のり子全詩集」(花神社)が在庫なしで登録できなかったので仮登録。(岩波の方に載ってないやつあるかもしれません)

・よかった編
「自分の感受性くらい」
初めて読んだ時は教科書に載ってたんじゃないかなー。言い訳を許さぬ”ばかものよ”に当時怖くなったことを思い出す。というか根性なしなので、すべて自分の責任で逃げ場がないというのは今も怖い。でも外野がどうあれ、やっぱり自分の幸せを追求するのは本質的に自分しかいないよなあと。怖いけども手放せない名句。

「マザー・テレサの瞳」
”外科手術の必要な者に繃帯を巻いて歩いただけ~”のフレーズにそうだろうなあ、と思う。だって彼女が救いたかったのはおそらく命じゃなく魂だろうから。最近闘病記とか読んだせいか、終末医療とかQOLとかいう単語が浮かぶ。しかしうっすら理解はできても、波打ち際に砂の城を築くような行為を、生涯かけて実践し続けた彼女を”静かなる狂”というのがいい得て妙だなーと思った。

「獣めく」
えっこれも茨木のり子なの?下手なエロ本よりそわそわするんですが。亡き旦那さんへの想いと思い出を綴った遺稿の1篇らしい。発表する気があったのか分からない私的な詩だからなのか、生々しいというか率直で、よっぽどぞっこんだったんだなあと違う一面を見たりもした気が。

総評
正直よく分からない詩もあった。昔読んでて懐かしい詩もあった。激しい詩も優しい詩も色々ごちゃまぜで、全部は消化しきれない感がある。でもその分読み直すごとに発見がありそうというかその時の自分に引っかかる詩があると思うので、今いいなと思った詩だけでも心にとめて、また時間をおいて読みたいと思う。

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2020年05月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

子どもの頃、茨木のり子さんの詩を教科書で学んで以来、30年あまりずーっと「詩集」を読みたいと思ってたのが今日実現した。

『六月』
どこかに美しい人と人との力はないか
同じ時代をともに生きる
したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となって たちあらわれる(p52)
この凛とした感じが好きだ。

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2020年06月06日

Posted by ブクログ

久しぶりに「谷川俊太郎選、茨木のり子詩集」を
じっくりと時間をかけて読む。
「自分の感受性くらい」を初めて読んだ時の衝撃は
今でも忘れられない。後ろ頭をガンと殴られたようだった。

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

分かりやすい言葉で、ガツンとくる最後の言葉。
この詩を読むたびに、いらいらする気持ちやうまくいかないことを、知らないうちに他人や時代のせいにしてしまっている事に気付かされる。
代表作 「わたしが一番きれいだったとき」や、
「倚りかからず」など、背中を鼓舞してくれるような詩が有名だが、寄り添ってくれるような詩もある。おそらく一回読んだだけでは、詩の奥底にある彼女の本当の言葉に触れる事はできない。
何度も読む事をお勧めする。

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2025年05月17日

Posted by ブクログ

あまり詩に触れてきたことがなく、ただ今年亡くなった谷川俊太郎選集だったので、読んではみたが、わかるような、わからないような感じでしたが、なんか最後まで一気に読んでしまいました。

いくばくかの無償の愛をしかと受けとめられる人もあり
たくさんの人に愛されながらまだ不満顔のやつもあり
誰からも愛された記憶皆無で尚昂然と生きる者もある
(「居酒屋にて」より抜粋)
確かにその通りだなと、ただ感心するばかりでした。

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2024年12月19日

Posted by ブクログ

読書会課題図書

〈青春を戦争の渦中に過ごした若い女性の、くやしさと、それゆえの、未来への夢。スパッと歯切れのいい言葉が断言的に出てくる、主張のある詩、論理の詩。ときには初々しく震え、またときには凛として顔を上げる。素直な表現で、人を励まし奮い立たせてくれる、「現代詩の長女」茨木のり子のエッセンス〉とある

彼女の詩時々目にし、心に残っていたものが何編かあった
今回この文庫本を改めて読んでみて
「Y」という箱にひっそりと残されていた詩に驚いた
こんな詩を書いていた方なんだと
「断定的だ」という先入観が払しょくされたような……
夫を亡くした喪失とそれゆえの愛が濃密だった
谷川俊太郎さんの選が良かったのかなあ

心に響く言葉にたくさん出会った

読書会では、大絶賛派とイマイチ派に分かれ楽しかった

≪ 目をつぶり 目を見開いて 言葉紡ぐ ≫

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2024年02月22日

Posted by ブクログ

あまりにも勇猛で私には痛いので、パラパラと読んだ。時折ハッとさせられる詩が。
お尻を叩いてもらいたい時にまたこちらに伺いますね。

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2023年11月05日

Posted by ブクログ

人生で初めて買って読んだ詩集。歯切れのよいさばさばした爽快さ、戦前戦後には恐らく珍しくも新しい、視野というかスケールが大きな女性といったイメージ。一方で裕福な家庭、知識人という面も伺える。詩集初心者としてはちょっとハードル高かった感じがした、

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2023年05月31日

Posted by ブクログ

いいな、というものもあったけれど、全体の中のごく一部でした。ただ、その一部への印象がとても強い。
韓国?の人への見方があまりないもので、りゅうれんれんのくだりはかなり衝撃を受けました。
日本人なら、発見された時点でヒーロー扱いだったはず。国が違う事で受ける印象が違うというのはただただ、悲しい。
著者は、戦時中が青春だった頃だというのをずっと悔いていたのかなと思う。大抵のことは、そんなこと悔やんでも〜と思うところだけれど、他責で無くされたという想いは死ぬまで消えないものなのかもしれない。

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2022年07月06日

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