谷川俊太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これまでの詩集からよりすぐられた詩が収められており、谷川さんの世界観がぎゅぎゅっと凝縮されたベスト盤のような詩集。
谷川作品と言うより、詩の初心者である私にも手に取り易いのではないかと購入した。
谷川さんの訃報に接した日に読み始めた。
教科書で読んだ「朝のリレー」がとても懐かしかった。タイトルだけは知っていた「二十億光年の孤独」や「いのち」は、かなり胸に迫るものがあり、そのテーマ性は永遠不滅のものではないかなと感じた。
何気ない日常に向けられた哲学的な視点や谷川さんの死生観が美しい言葉で紡がれる。
難しい言葉は一切無く、身近な言葉が時に軽やかに、時に重厚さを伴って、まるで語り掛けて来るかのように胸に沁みて来る。
豊かな表現に、唸ったり泣いたり…。感情があらゆる方向へ傾いてしまった。
全ての詩が理解出来たわけではないが、詩を読む内に、言葉の宇宙を漂い、その深淵へといざなわれているような感覚になった。
読後、心が洗われたような気がした。
ご冥福をお祈り致します。 -
Posted by ブクログ
谷川俊太郎さんの詩集ですね。
2018年発行。
今月の13日に亡くなられました。慎んでご冥福をお祈り申し上げます。
『聴くと聞こえる』
on Listning 1950―2017
「物音」
明け方 どこかで
物音がする
まどろみながら耳が
聞いている
目覚めてしまいたくない
物音を運んでくる空気は生暖かく
一日の光はまだまぶたに隠れている
どこかで なにか
物音がする
いま在る何かがたてている音
かすかな音
ここに世界が在ると証ししている
匂いのように漂う
どんな音もおろそかにしない
世界の静けさを信じきって
「きいている」
あさ ことりがうたうとき
きいている もりが
ひる かわがうたうとき
きいている おひさまが
よる うみがうたうとき
きいている ほしが
いつか きみがうたうとき
きいている きみをすきになるひとが
きょう ちきゅうがささやくとき
きいている うちゅうが
あす みんながだまりこむとき
きいている かみさまが
ねこのひげの さきっちょで
きみのおへその おくで
「生きとし生けるものはみな」
雪にしるした足あとは
いのちのしるしけものみち
しるべもなしに踏み迷う
生きとし生けるものはみな
息をひそめて立ちつくす
闇へとつづくわかれみち
あしたを知らず夢を見る
生きとし生けるものはみな
夜のしじまに輝いて
はるかにめぐる星のみち
よりそいながらそむきあう
生きとし生けるものはみな
子どもたちを愛し、自然を愛し、命を愛した、ロマンあふれる詩情豊かな歌声が響きます。
音楽や音、静寂、沈黙を語られたエッセイも寄せられた贈り物です。
谷川俊太郎さんの、詩やエッセイ、絵本、翻訳本などの遺された事物は、永遠に輝き、人々に未来を指し示されると思います。