谷川俊太郎のレビュー一覧
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谷川俊太郎の詩と、美しいイラスト。
この絵本のための詩ではなく、”生きる”ということを主題として、谷川俊太郎の詩作を一部抜粋し、それにイラストを添えた作品だった。
生きることの尊さ、幸せ。そして生きていれば無視できないような不幸なこと。全部ひっくるめて見つめる谷川俊太郎は、やっぱり大きな存在だと思う。
美しく、選び抜かれていることばたち。
エリートというべき高尚な言葉ではなく、簡潔で、すぅーっと気持ちに響くことばが、生きていくことで感じうる痛みを癒してくれる気がする。
イラストもカラフルで美しい。
思わず手に取ってしまったのも、宮内ヨシオ氏の絵があったから。
さらっと一度目を通しただけなのだけど、メルヘンチックなイラストと、谷川俊太郎の詩はとても相性がいいと思う。
どのページにも、可愛らしい動物がいて、一緒に詩を楽しんでいるよう。
みんなでいることよりも、独りであることの尊さを、柔らかな言葉で教えてくれる。
世界がそれを許してくれると語りかけてもらえる。
一人になりたい、そんな人にも寄り添ってくれる絵本だと思う。 -
Posted by ブクログ
谷川俊太郎さんの詩でお勧めを各自持ち寄り紹介するという、次回の読書会。
谷川俊太郎さんの詩はいくつか有名なものをちらりほらりと知ってるぐらいで、もちろん詩集も持っていない。
と、いうことで先日、最近お気に入りの本屋さんで購入したこちら、
「自選 谷川俊太郎詩集」から吟味する。
2013年刊行のこちら、デビュー作から2012年までの詩集から、谷川さんご自身が選んだ詩が173篇入っている。
古いものから新しいものへ順番に掲載されているのだが、驚いたのは作品がまとう雰囲気や質感のバリエーション。
どちらかと言えば、
子ども向けの優しい眼差しで、
ちょっと笑ってしまうような、
もしくはきらきら瞬い明日へと前を向けるような、
カラリと晴れ渡る清々しさのあるような…、そんな明るい雰囲気の詩人だと思っていたんだが、
得体の知れないゾワゾワさせる怖い面、じめっとした陰気な雰囲気や問答無用の理不尽さを感じさせる作品もたくさんあって、その振れ幅の大きさにクラクラする。
そうは言っても、わたしの感受性では、
意味が全然わからない…。
目が滑って内容が入ってこない…。
っていう作品も正直たくさんあった。
読書会で紹介するんだから、エッジの効いたやつ選びたい!
…なんて、しょうもないモチベーションで読んでいると、やはりなかなか入ってこないのかもしれない。
とりあえず、読書会までにもう一周しよ。
さて、これを本として読んだ時、通読して一番面白かったのは、山田馨さんの解説と、1931年から2013年までの谷川俊太郎年譜。
その詩は知っていても、谷川俊太郎さんご本人のことは昨年の訃報を聞いてからもちゃんと調べたことがなかった。
戦前生まれの方だし、やはりご本人にドラマがあるので、ここを読んだ上でもう一度、その時々の詩に戻るのは絶対に面白いだろう。
周辺知識のフレームワークありきでしか芸術を解せないのはわたしの弱点だけど、そもそも、詩にせよ絵画にせよ音楽にせよ、いや、小説や映画でさえ、作品そのものだけから何かを感じ取るということは稀なのではないか?
周辺知識がなくとも作品そのものから圧倒されるなんてこともあるだろうが、最終的にはその作品を創り上げた人に興味がわいてしまうのは、ホモサピエンスの性なのでは?
そんなことを考えつつ、次こそ素直にお気に入りの詩、好きな詩を見つけようともくろむ2周目。
初読よりもっと楽しい読書になりそうだ。 -
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時間、空間を超えてさまざまな現場を自由に飛び回る、おしゃべりで“しなやかな黒猫”のようなブレイディさん。それを温かな眼差しで「言葉にしか現場のないわたしは劣等感を抱いてる」と子どものような素直さで机上で紡いだ詩で応える好々爺、谷川さん。本質に迫るアプローチもアウトプットも異なるけど、表現の奥にある魂は一緒で、その“あわい”の世に引き込まれそうになるのをもんど君の挿絵が“この世」に引き戻してくれる。「うりゃ〜なんとかなる」が個人的な座標としては好きかな…。先日、再放送で観たETV特集「ぼくは死んだ」も感動したが、谷川さんのリクエストに応えたもんど君、大変だったろうなあ。
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時代を映す詩にはあまり惹かれなかったけど好きな詩が十篇くらい入っていて嬉しかった。自分の芯を強く持って生きようとしている詩と、夫を亡くしてから綴っている歳月にも収録されている詩たちが特に良いと感じる。一番好きなのは以前と変わらず「自分の感受性くらい」だった。
自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
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先月逝去された谷川俊太郎さんと、個人的に大ファンなブレイディみかこさんの往復書簡。
ジャンルは異なれど物書きとして一流であるお二人、ただの読書好きである私との次元の違いを思い知らされました。
谷川さんはご自身で散文が苦手と仰っており、なるほどブレイディさんへのお返事もかみあっているのかいないのか凡人には判断が難しい部分もありますが、添えてある詩は当然ながら素晴らしいものでした。
タイトルにある「その世」とは谷川さんの詩によると
「この世とあの世のあわいに」あり
「騒々しいこの世と違ってその世は静かだが あの世の沈黙に与していない」そうです。
「その世のつかの間に人はこの世を忘れ 知らないあの世を懐かしむ」とのこと。
これに対する返信でブレイディさんが彼女の言葉で「その世」を表現しており、ここまで読むと私にもははぁ、なるほどあの感覚かと理解できたような気になれました。
老いや介護、音楽などお互いの暮らしを背景にやり取りされる手紙たち。
私が彼らの意図するところを全て読み解けているか自信がありませんが、何とも面白く良いものを読んだなという満足感があります。
他の作品からは窺い知れない側面を垣間見られたようで幸せでもありました。
また、谷川さんの晩年の思いや様子も少し知ることができるのですがそれは何とも切ないものでした。
特に印象に残ったのは
「この世は他人だらけである
他人ではないのは自分だけだと思うと
寂しい」
という谷川さんの詩の一部。
改めてご冥福をお祈りします。
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Posted by ブクログ
幼い頃から触れてきた谷川俊太郎さんが亡くなって寂しい気持ちはあるのだが、不思議と悲しくはないのは、氏の詩では死ぬことを自然の摂理として受け入れ、死をそれ以上でも以下でもなく捉えているからだろうか。たくさんの著書を残されているからいつでも言葉に触れられるというのも勿論あると思うけれど。この本はタイトルの付け方が好きだ、ベージュ、米寿。全体を通して年齢を重ねたからこそ生まれた詩が多い印象を受ける一冊。
詩人の死
あなたはもういない
立ち去ったのではない
連れ去られたのでもない
人間をやめただけ
八月のあの炎天下
プラカードを掲げながら
国民でも人民でも市民でもなかった詩人
ただの自分でしかなかったあなた
あなたを読むことができる
否定することもできる
でももう傷つけることができない
思い出へと追いやらずに私は生き続ける
ただひとりのあなたとともに
大勢の呟きと合唱と怒声に逆らって