あらすじ
虚空に詩を捧げる/形ないものにひそむ/原初よりの力を信じて(「詩の捧げ物」)。弱冠18歳でのデビューから70余年。谷川俊太郎の詩は、私たちの傍らで歌い、囁き、描き、そしてただ在り続けた。第一詩集『二十億光年の孤独』以来、第一線で活躍する谷川がくりかえし言葉にしてきた、誕生と死。若さと老い。忘却の快感。そして、この世界の手触り。長い道のりを経て結実した、珠玉の31篇を収録。(解説・斉藤壮馬)
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言葉の持つ自由さと、無力感をひしひしと感じました。もう谷川俊太郎さんの新しい著作に出会えないと思うと、頁を捲る手がゆっくりになってしまいました。
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詩をどう楽しむか?は近年の課題だった。
この詩集を読んで、その悩みを突き抜けたように感じる。
言葉で読むのだけど、そこにあるのは言葉ではない。言葉にできない、言葉にならない、何か。例えば空気、感情、見えるもの聴こえるもの。
“詩”という存在を捉えようとするけれど、言葉にしようとすると指の間からこぼれ落ちてしまうような、そんな様子も感じられる。
言葉でどれだけ伝えられるか、を考えることが多いけど、言葉で伝えられないものがあることを伝える、とか、言葉で捉えられないものの存在を認識する、ための言葉たち、という感じがして、その感覚がとても新鮮で、でもずっと探していたという気もして、
とにかく谷川俊太郎はすごいのだ。
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谷川さんの詩集を文庫の新刊で見つけて、買ってきました。『ベージュ』というタイトルは、あとがきを読むと、谷川さんのお茶目な面が伺えました。
書き手の想いがダイレクトに読み手の心に響くのが、詩だと思っています。谷川さんのこの詩集の言葉たちは、長年書いてこられてきたから、ここまでのものになったように思いました。
最初の「あさ」というひらがなだけで書かれた詩は、余白も多い分、余計にその気持ちがページの中に満たされているような感じを受けました。そして、ひらがなが多いと、なぜだかじっくり読みたくなりました。
谷川さんが、そのときに置かれた環境や年齢や感情などによって思うことが、言葉となって溢れているような感じの詩集でした。素敵な詩を遺してくださってありがとうございました。
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ベージュという色が好きだったし、何か面白そうだったので、手に取った。
谷川俊太郎さんが米寿の時に刊行された詩だそうだ。
あふれる感性と研ぎ澄まされた言葉を選ぶセンスがちりばめられていて、想像力がはばたく感じ。「あさ」「イル」「にわに木が」どれも胸にじんときた。
谷川俊太郎さんの詩っていいなといつもうっとりする。
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はじめて谷川さんの詩に触れた。
ひらがなの使い方、行を変えるタイミング
わたしにはこういうのがどういうことかを考えるのはむずかしいけど、
素敵な言葉に巡り会えた!
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谷川俊太郎さんの詩を、じっくり読むのは学生のとき以来でした。これまで短歌や俳句の本と違い、詩の味わい方が分からないというか、とっつきにくい感じで。
でも、今回は詩世界に浸っている自分がいました。特に「川の音楽」が好きです。
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先ごろ亡くなられた谷川俊太郎さんの、おそらく最新、最後の文庫本。19歳から88歳までの詩を収録。老年期の詩はなんとなくわかります。穏やかで柔らかで、少し寂しげで。時に、ひらがなで詩を書きたくなるという谷川さん。冒頭と最後に印象深い詩が収められています。詩は静けさや自然の中にあって、存在していて、詩人が言葉でそれを掬い取ろうとするが、すぐに消えてしまう。そんな詩が印象に残りました。
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幼い頃から触れてきた谷川俊太郎さんが亡くなって寂しい気持ちはあるのだが、不思議と悲しくはないのは、氏の詩では死ぬことを自然の摂理として受け入れ、死をそれ以上でも以下でもなく捉えているからだろうか。たくさんの著書を残されているからいつでも言葉に触れられるというのも勿論あると思うけれど。この本はタイトルの付け方が好きだ、ベージュ、米寿。全体を通して年齢を重ねたからこそ生まれた詩が多い印象を受ける一冊。
詩人の死
あなたはもういない
立ち去ったのではない
連れ去られたのでもない
人間をやめただけ
八月のあの炎天下
プラカードを掲げながら
国民でも人民でも市民でもなかった詩人
ただの自分でしかなかったあなた
あなたを読むことができる
否定することもできる
でももう傷つけることができない
思い出へと追いやらずに私は生き続ける
ただひとりのあなたとともに
大勢の呟きと合唱と怒声に逆らって
Posted by ブクログ
詩集というものはふだん手にとらないのだけど、子どもが学校の国語の授業で詩を書いているというので親しみたくて購入。
短い言葉にぎゅっと意味が詰まってる感じのする独特の世界。
その分余白が大きいから、意味をとろうとすると、そこには面白さも難しさもある。
「黒はこの世からの出口」とか、死者に対して「もう傷つけることができない」と表現したりとか、、、
自分が生きてても辿りつかない感性を分けてもらっている感覚。
Posted by ブクログ
生み出された時期の違う詩を1冊で味わえる贅沢。晩年の作品の方が好き。ただシンプルに身の回りを見つめる穏やかさの中にもテンポを感じられる詩。「あさ」が特に好き。