あらすじ
「僕はやっぱり歩いてゆくだろう……すべての新しいことを知るために/そして/すべての僕の質問に自ら答えるために」(「ネロ」)。19歳でデビュー以来、70年にわたって言葉の可能性を追求し続けてきた国民的詩人。国語教科書の定番「朝のリレー」「春に」、東日本大震災で話題となった「生きる」等、豊饒かつ多彩な作品群から代表作を含め独自に編集。その軌跡をたどり、珠玉を味わう決定版詩集。(解説・小津夜景)
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Posted by ブクログ
これまでの詩集からよりすぐられた詩が収められており、谷川さんの世界観がぎゅぎゅっと凝縮されたベスト盤のような詩集。
谷川作品と言うより、詩の初心者である私にも手に取り易いのではないかと購入した。
谷川さんの訃報に接した日に読み始めた。
教科書で読んだ「朝のリレー」がとても懐かしかった。タイトルだけは知っていた「二十億光年の孤独」や「いのち」は、かなり胸に迫るものがあり、そのテーマ性は永遠不滅のものではないかなと感じた。
何気ない日常に向けられた哲学的な視点や谷川さんの死生観が美しい言葉で紡がれる。
難しい言葉は一切無く、身近な言葉が時に軽やかに、時に重厚さを伴って、まるで語り掛けて来るかのように胸に沁みて来る。
豊かな表現に、唸ったり泣いたり…。感情があらゆる方向へ傾いてしまった。
全ての詩が理解出来たわけではないが、詩を読む内に、言葉の宇宙を漂い、その深淵へといざなわれているような感覚になった。
読後、心が洗われたような気がした。
ご冥福をお祈り致します。
Posted by ブクログ
処女詩集『二十億年の孤独』から昨年(2020年)刊行された『ベージュ』までの各詩集から1~4編ずつの谷川さんの詩が105編選ばれた選詩集です。
解説は俳人の小津夜景さん。
巻末に谷川さんの年譜がついています。
ほとんどの詩集が既読でしたが、今読んでキュンとしたのはあまり理論めいた詩ではなく、素朴でひらがなの多めの詩。
2編だけ紹介させてください。
『いちねんせい』より
「あいしてる」
あいしてるって どういうかんじ?
ならんですわって うっとりみつめ
あくびもくしゃみも すてきにみえて
ぺろっとなめたく なっちゃうかんじ
あいしてるって どういうかんじ?
みせびらかして やりたいけれど
だれにもさわって ほしくなくって
どこかへしまって おきたいかんじ
あいしてるって どういうかんじ?
いちばんだいじな ぷらもをあげて
つぎにだいじな きってもあげて
おまけにまんがも つけたいかんじ
『あたしとあなた』より
「黒板」
(あなた)に
あたしを
代入すれば
この式は
解けるのだろうか
黒板の
前で
立ちすくんでいると
みんな
帰ってしまった
こんなことは
何でもない
もっと
差し迫ったことが
あるのに
思い出せない
あなたが
戻って来たので
あたしは
涙ぐんだ
Posted by ブクログ
いまの私には難解な文章もいくつかあった。が、本書を構成するおおむねは、深淵さえかるがると(軽率ということではない)ことばに連ねた「詩」だった。たれかしらの談で読んだ、「簡単に思えるでしょう。でも捻って捻って書いているんですよ」というあそびうたたちもこれに含まれる。むつかしいこと重いことがさらり(少なくとも読む側には)と活字に並んでいるから、ときにこわくなる。
老いた男性の、ちょっとかすれた声が、雲を運ぶように詩を読んでいるのが聞こえた気もした。
Posted by ブクログ
初めて詩集というものを読んでみた。
短いフレーズなのに、情景や心情が浮かぶのが面白い。日本語って美しいな〜。
最初は難解だと思って読んでいたけど、気づけば夢中で読んでた。10代で自分の中で哲学を持っているの凄いなあと思ったけど、父親が哲学者と知って納得。
Posted by ブクログ
全編読んだと言っても過言ではないほど、谷川俊太郎作品は読み漁ったけれど、いまだに新鮮な風に包まれる時がある。心身ともの体調、季節、私の状態その時々で感じることが違うんだなあ。
Posted by ブクログ
子供向けの詩や言葉遊び、絵本などは読んでいたけど、それ以外の作品に触れたのは初めてかもしれない。
詩、言葉、思い、在る事、生命、愛等々。
素直に、でも考えられて練られてそれぞれ。
言葉を紡ぐ、ということ。