村上春樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
聞いた話を物語(小説)にした短編集。ただ聞いた話をそのまま文章にすればいいわけではなく我慢強さというフィルターをとおして、村上氏自身のなかに溜まっていってこの物語を作ったと序文で言っている。人から聞いた話だからリアリティなのかと言えば、なんかちょっと不思議なこともあったりして、やっぱりそこは村上春樹っぽさ(視点)なのかなあとか。
個人的には「雨やどり」と「ハンティング・ナイフ」が好きでした。ハンティング・ナイフの最後はどういう意味だったんだろう。
「野球場」では「小さな灯というのはとてもいいもんです。僕は飛行機の窓から夜の地上を見下ろすたびにそう思います。小さな灯というものはなんて美しくて温かいんだろうってね」というセリフは『グレート・ギャツビー』のギャツビーが見つめる灯のシーンぽいような気もした。 -
Posted by ブクログ
村上春樹の創作観や人生観が、これほど率直な言葉で語られている本も珍しいと思う。エッセイとして気軽に読める一方で、小説を書くという営みの奥深さや、村上作品そのものへの理解を大きく広げてくれる一冊だった。
特に印象的だったのは、「小説を書くというのは鈍臭い作業である」という感覚だ。ひとつのテーマを、何度も形を変え、メタファーとして繰り返し描き続ける。効率とは真逆の営みだが、その非効率さこそが小説という表現の本質なのだろう。実際、最近読んだ『センスと哲学』とも重なる部分があり、村上作品における反復や“語り直し”の意味が少し腑に落ちた気がした。
また、「文章を書くというより、音楽を演奏している感覚だった」という言葉も非常に興味深い。村上春樹の文章は、意味以上に“リズム”で読ませる部分が確かにある。理屈で積み上げるというより、身体感覚で流れていく。その独特の読み心地の理由が、創作側の感覚として語られていたのが面白かった。
さらに、自分のオリジナリティを見つけるには「加算ではなく減算が必要」という考え方も印象に残る。情報や選択肢が溢れる現代では、何を足すかより、何を削るかの方が難しい。そして最終的には、「それをしていて楽しいか?」という極めてシンプルな問いに立ち返る。その姿勢には強い説得力があった。
個人的には、「まず本をたくさん読み、その次に世界を注意深く観察する」という話も刺さった。意味や価値を急いで判断するのではなく、まず素材として世界を見つめること。その視点は、小説を書く人だけではなく、何かを感じ取り、言葉にしようとする人間全般に通じる態度なのだと思う。
そして最後に残ったのは、「小説家は小説を書いていると同時に、小説によって自分自身も作られている」という感覚だった。作品とは単なるアウトプットではなく、その人自身を変化させていくものなのだろう。だからこそ、村上春樹の小説群を読み続けることで、こちら側の世界の見え方まで少しずつ変わっていくのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレついに青豆と天ごが巡り合う。それは不思議な話。話が一気に進んだ感じ。青豆は物語の始まりの首都高階段へ、天ゴは死にかけてる父の元へ。
空気さなぎの内容も明らかになり、登場人物が自分達の置かれた状況を自分達なりに理解し始める。それは読んでいる側も同じでなんだかよくわからない点が少しずつつながっていく感覚が、心地よい。
けども全体として何が起こっているか今ひとつわからないまま。
天ゴの母の謎。青豆の死後、今後明かされるであろう謎がまだ多いがその分期待も大きい。
レジバ、パシバ。リトルピープル。空気さなぎ。
月が二つの世界。少しずつではあるが前に進んでいる。つぎはどうなる?期待しかない。