村上春樹のレビュー一覧

  • 村上朝日堂(新潮文庫)

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    1984年刊。『日刊アルバイトニュース』に連載された、安西水丸さんが挿絵を手掛けた村上春樹さんのエッセイ。挿絵で1ページ、エッセイで2ページの計3ページが1篇の分量です。

    村上春樹さんって、思ってたよりもずっと外向的だなあ、とこのエッセイから感じられました。アウトサイダーってほどじゃないまともな感じがしてる。なんか、とっても健康なんです。

    80年代。こういった、くだらなさと嘘と雑学と気楽さとが混ざり合った空気感の創作物で笑ったり楽しんだりする、というのがおそらく生まれでたのが80年代ですよね。僕は77年生まれなので、物心ついてから小学校を卒業するまで80年代の(でも地方の)空気にどっぷりと染まって育ちました。だから、このエッセイを読むと、当時のどこか空っぽというか、飄々としたというか、そういったすかすかなおしゃれさの、ポジショニングがとても高いところにあったような印象が甦るのです。それは都会的なのでした(まあ、村上さんはそんなおしゃれさから片足をはみ出している感じはあります)。

    今読んでみると、またそれとは別の、今だからこその違った感想も、先述の当時を想起して甦るものと並走して立ち上がってくるのでした。並走するもの、それはまず、けっこうな力業で軽業をこなしている感じがあります。書く人は、当時は当時の枠組みの窮屈さを感じていたのでしょうけれども、それでも自由闊達さがそこにはまだある。未知の荒野が眼前に広がっているなかで書いている。

    つまり、今と比べてやりにくさというものもあったのだろうけれど、別の意味で今と比べてやりやすさがあったはずで、そのやりやすさはたとえば、書いた文章が売れても密やかな空間で躍動していられる、というのではないかと思う。今と80年代の、衆目というものの違い。今ってとくに情報も文章もバイアスがかけられた状態で広まりやすいだろうから。

    今って良くも悪くも、すべてが同一空間に並べられやすい。みんなおしなべてまな板の上の魚にされやすい。1984年って、いくつもの小さなまな板が点在していて、それらはそれぞれの場所で密やかだったのではないか。サブカルの異空間がぽつぽつと別々にあったというみたいに。

    だから、それぞれ密やかで目立つことなく、異空間の仕切りで区切られていたから、『村上朝日堂』のようなある種のやりたい放題的散文(そこにはちょっとした放縦ゆえの小さな解放感がある)がエンタメとして成立していたのかもしれない。というかまあ、そのやりたい放題が当時の若さの一面なんだろうね。本書刊行時の村上春樹さんは35歳前後だし、大人として書いているのだけど、それでも今の僕が読むと「まだまだ青さがあるぞ」と読めてしまう。そして、どことなく乱暴さをうっすらとはらんでいる。それはこの時代に許されていた(あるいは抑えられていなかった)、無知のゆえの乱暴さではないか。無知というか、当時、未だ知られていないものが多すぎて、許容されざるを得なかったものや議論されずにいたものたちの自由さ(勝手さ)からくる乱暴さ。文化人の中で、武闘派でもない、たぶん穏健派に仕訳されるような少数の人たちのなかにも、そういった「腕力」が簡単に見受けられる時代だったのでしょう。いや、現在の時代性からくる価値観で眺めると、そこに「腕力」が見えるだけで、当時はとても平和的なものとして目に映っていたと思います。こういうかたちで時代の変化を体感するとは、思いもよりませんでした。

    本書のような、放縦な創作。それは、現代では抑圧がすごくてなかなか作る気にならないというか、たぶん視野の外にあるような創作論からできている。現代のこの息苦しさを認めてしまっていいのかなあ。ほどほどに放縦できるくらいが生きやすい。枠内にばかり収めようとせず、ボーダーライン上だとかグレーなところだとかを狙っていこう、と言いたくなってくるのでした。

    ……と論じてみてもまあ、これは完全に後出しじゃんけんであります。今回は言いたい放題ぽく書いてみました。

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    2023年02月17日
  • 村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた(新潮文庫)

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    読むのは2回目かな。
    相変わらず、うずまき猫は見つかりません。
    海外の暮らしの何てことない話がおもしろいです。
    村上春樹嫌いのひとには、ぜひエッセイを読んで欲しいです。

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    2023年02月17日
  • 村上T 僕の愛したTシャツたち

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    村上さんのエッセイはホッとします。
    アンチ村上春樹の人達は、エッセイを読むと印象が変わるのではないかと思います。

    面白いTシャツが、なぜ買ったのか理由づけで解説されています。くだらないですが面白いです。
    しかし、管理はどうするのでしょうかね。
    奥さまに怒られていないか心配です。

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    2023年02月17日
  • 古くて素敵なクラシック・レコードたち

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    3.0 ほとんど聴いたことないが、文の力で読ませてしまう。少しずつでも聴いてみようかなと思うエッセイ。

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    2023年02月01日
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上下)合本版(新潮文庫)

    購入済み

    世界の終わりと

    初めはわかりにくい内容だった解毒読み込むうちに、そーいうことかとわかった

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    2023年01月13日
  • 若い読者のための短編小説案内

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    村上春樹が、第三の新人と呼ばれる作家たちの短編小説についての解説する本。読んでみると、すべての作家、作品が魅力的に思えてくるから不思議。

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    2023年01月08日
  • 意味がなければスイングはない

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    音楽評でありつつ、重きは人物評にある。聴いたことのない、名前も知らなかった音楽家が過半数なわけだが、それでいて読まされる、というのは文体とか言葉選びの好みなんだろうな、とつくづく思う。

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    2023年01月05日
  • 更に、古くて素敵なクラシック・レコードたち

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    相変わらず、発音に変な拘りが溢れているけど、日本人に読ませる本で「リジェンド」はなかろうに。

    ジュスキントをサスキンドってのも、誰だよそいつ、な感じではあるけど、Wikiには、
    > 英語読みに従ってウォルター・ススキンドなどと日本語表記されることもある。
    ですって(笑)

    ススキンド・アフター・ダーク、ってかな。

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    2022年12月24日
  • 小澤征爾さんと、音楽について話をする(新潮文庫)

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    ネタバレ

     一流の音楽家(指揮者)と小説家の対談、どちらも自身の作品を通して自分自身を曝け出す商売だ。
     音楽家は自らが歩みを人のつながりを通して語ろうとする、一方で小説家は音楽家の作品から感じ取れる意味を言語化しようとする。
     時折ふたりの語りにすれ違いを感じることができることが本著の価値なのではないだろうか。

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    2022年12月19日
  • 村上ラヂオ2―おおきなかぶ、むずかしいアボカド―(新潮文庫)

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    通勤時に読むエッセイとしては最適。とてもあっさりしている。少し物足りないが、いつでも本を閉じることができる。かといって文章の構成や読みやすさは、さすが村上さんだ!という印象。
    既に文庫版の3が出ているようなので読んでみよう。

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    2022年12月16日
  • フィリップ・マーロウの教える生き方

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    巨匠チャンドラーが生んだ私立探偵フィリップ・マーロウの至言をテーマ別にチョイス。村上春樹の翻訳で贈る珠玉の名言集が文庫化。

    そもそも単行本で出ていたことを知らなかった。
    村上訳はまだ読んでいないが、いずれ。

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    2022年11月20日
  • 辺境・近境

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    メキシコ編で村上さんが旅行する理由のようなことを書いていて面白かった。
    旅行下手な私は、旅のエッセイで満足してしまうから、旅を好む人はそんな風に考えるのかと思う。

    旅行とは疲弊すること
    どこの国に行っても疲弊するが
    メキシコの疲弊はメキシコでしか得られない種類の疲弊なのだ

    若い頃、「行き惑いかねない旅」が差し出す幻想を切実に求めていた
    年を取ればとるほど、幻想の幻想性がより明確に認識されればされるほど、我々が差し出すものの量に対して、我々が受け取るものの量はだんだん少なくなってくるわけだから。
    とはいえ、まだ見たことのないような新しい幻想だって、注意深く目を開き、しっかりと耳を澄ましていれば、まだ僕に訴えかけてくる。

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    2022年11月27日
  • 若い読者のための短編小説案内

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    はるきんの小説の読み方が垣間見れる1冊。こんな読み方があるのか、、!と授業を聞いているような感覚で読めて、なんだか新鮮な読書体験だった。

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    2022年11月19日
  • 若い読者のための短編小説案内

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    文体は(村上春樹特有の)比喩が多くてあまり好きではないが、それはさておき内容はそれなりに面白い。「作家の内なる『狂気』が作家自身を駆り立てた結果、ある種の破綻の顕われとしてできあがるもの」という小説の本質に関する見解は、かなり定まったものであるらしい(阿部公彦氏の著作にも同様の記述があったことを憶えている)。庄野潤三「静物」および丸谷才一「樹影譚」は読んでみたいと思った。

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    2022年11月01日
  • 大いなる眠り

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    なるほど、ハードボイルドとはこういうものかというのはわかった気がする。行動第一、とにかく自分から動きまくって、事件に自分から潜り込んでいく。論理的な謎解きを求める人には向いてないとも思った。
    終盤のマーロウの語りで明らかになる、大いなる眠り(死)に対する考え方にはドライさと情が同居するハードボイルドのかっこよさが表れていると思った。

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    2022年10月03日
  • 東京するめクラブ 地球のはぐれ方

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    都築響一さん本5冊目。村上春樹さんとのコラボということで、楽しみに買って帰りました。樺太旅情がいちばん面白かった。ゴールデンカムイ、熱源と樺太話にカブれていたので。

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    2022年09月18日
  • 村上朝日堂 はいほー!(新潮文庫)

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    一つ一つがかなり短いので、移動中とかちょっとした時間に最適。何気ないテーマの中にも村上春樹らしい哲学的な考察が随所に見られるところが好き。自分のフィーリングと合うエッセイを書く作家を見つけられると楽しい。他にもどんな作者がいるのか探す価値あり。

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    2022年09月04日
  • 村上朝日堂(新潮文庫)

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    人生初エッセイは、最近ハマっている村上春樹から。物語でなくとも、これといったテーマがなくとも、この人の文章はなかなか面白い。初めてエッセイというジャンルを読んだが、物語とも論説とも違って、著者の人生観に、文章を通して(直接的に登場人物を介在せず)迫れるということは、人生の先輩から色々と非日常的な物事等を学べるので非常に価値があると思った。またエッセイにもぜひチャレンジしたい。

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    2022年09月13日
  • 日出る国の工場(新潮文庫)

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    結婚式場と小岩井農場が頭に入ってきた。

    結婚式2時間半で300万か〜高いなー
    こういうものにコスパとか考えちゃいけないんだろうな
    まだ結婚は先だから分からないな

    小岩井農場。
    経済動物という言葉を初めて目にした。
    残酷だけど、現実。
    見たくない部分を見ないことは贅沢だ。

    自分も釣りをしているのだから、魚を殺して食べる
    だけど、大きい動物には情がわくのは何故だろう

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    2022年08月20日
  • 辺境・近境 写真篇

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    世界は広いということ…
    知らない場所、知らない人がたくさんあること…
    そのほとんどを知らないまま死んでいくこと…
    自分の目の届く範囲を生きるのに精一杯

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    2022年08月13日