村上春樹のレビュー一覧

  • リトル・シスター

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    序盤から依頼人オーファメイの高慢ちきな態度に苛立ちを抑えられず、一体どの辺が「かわいい女」なのさ?と怪訝に思いながら読み進めると、過去作とは毛色の違うピリついた空気が飛び込んで来る。今作のマーロウはどこか投げやりで酷く自嘲的。持ち前のウィットなお喋りにも刺々しさが目立つ。プロットも入り組み過ぎていて流石に読み疲れたが、解説にある通り、著者の精神状態が如実に反映されているならば、そこに強い作家性を感じざるを得ない。村上氏の言う通り、次作への通過儀礼として今作はその出来栄え以上に特別な役割を担っているのかも。

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    2021年01月13日
  • 村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」

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    この評価3は、自己の読解力の未熟さにたいしてだ。

    元は長編SFである「オーウェルの1984」が、このように表現されたことについて、怒りも喜びも感じなく、
    ただ、薄いグレーのインクが脳内に広がって、漫然として落とし所が見つからないまま、いまも、漂っている。

    時として、漫画という表現は、他のどの手段より、読者に想像力を求めてくる。

    しばらくはこのままでいよう。

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    2020年04月17日
  • 翻訳夜話

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    柴田元幸と村上春樹の対談(フォーラム)を書き起こしたもの+カーヴァーとオースターの作品をそれぞれが訳したもの。翻訳はそのテキストが第一で、それに対する偏愛が大事なんだなと。凝った訳や綺麗な訳をしようとするよりも、その作品を誰よりも理解しているという自負と作品への愛が分かった。

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    2020年04月04日
  • 水底【みなそこ】の女

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    四作目にしてミステリー要素を全面に押し出してきたものの、前作「高い窓」以上の偶発性と力業に頼ったプロットは流石に粗目立ちする。今作の登場人物ではパットンのキャラクターがとりわけ魅力的だが、私は依頼人キングズリーの人間味が妙に愛おしく思えた。物語の舞台となる湖畔の情景描写も秀逸だが、如何にもミステリーの謎解きですよと言わんばかりの終盤の展開はやり過ぎで、物語が一気に通俗的な方向性に転じてしまった。独自の哀愁をバッサリ切り捨てた締め括り方もやや唐突。ミステリーという枠組みにまんまと絡め取られた印象が残る作品。

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    2020年04月03日
  • 風の歌を聴け

    購入済み

    ものを書くヒントには

    ものを書くヒントにはなった。内容は派手なセクシーンーンはないが恵まれた生活をしているお坊ちゃん大学生の遊びが中心、ひけらかす西洋文化の知識、若者向きの書籍としておこう。中年にはノスタジックな作品かも。風の歌を聴けのタイトルから期待したが残念、今後は試し読みしてから購入する。

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    2020年02月23日
  • 高い窓

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    前二作に比べて地味だが、ミステリー要素が強く、暴力描写もないので、落ち着いた雰囲気が新鮮。脇役に至るまで登場人物のキャラクターが濃いので、彼らと対峙するマーロウの駆け引きも殊更ウィットに富んでいる。相変わらず緻密な描写が積まれているが、人物も情景も自ずと立体的になり、一度味わうとこの文体から逃れられない。終盤は所謂ご都合主義的展開だが、収まるべく所にきちんと収束する。とある文芸評論家の方が『ハードボイルドは男性用のハーレクインロマンス』と評したようで、マーロウの振る舞いに痺れる私的には言い得て妙な気も…。

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    2022年09月06日
  • 雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―

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    普段馴染みがないような地域の旅行記

    村上春樹独特の、その都度都度の細かい描写が旅行記小説に向いていると思った。知らない土地の話だが、イメージしやすい。

    また旅行記小説を出してくれるといいなぁ

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    2020年02月20日
  • さよなら、愛しい人

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    一作目で挫折しないで大正解。何故なら、正にこんなハードボイルドが読みたかったから。タフガイだけれど、決して完全無欠ではないマーロウ。自身の恐怖心を鼓舞する人間らしさも魅力的。皮肉たっぷりの台詞回しには思わず笑みが溢れてしまう。表現が比喩的過ぎたり、説明が省略され過ぎていて、状況が把握出来ない場面も幾らかあるが、深く考えるのはそれこそ野暮なのか。組織の腐敗は現代の警察小説にも通じており、古典でルーツを探るのもまた一興。邦題を「愛しき女」から「愛しい人」に改題したのは【二人それぞれの愛情】を表すためですかね。

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    2021年01月13日
  • 村上ラヂオ2―おおきなかぶ、むずかしいアボカド―(新潮文庫)

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    エッセイだから軽く読めます。
    本屋の書棚って男性・女性作家で分かれてましたっけ?とかぼんやりと出来る本ですが、meat good-byeという発想、凄いなぁ。信頼すれども信用せずとか、やっぱり日本が生んだ最高の芸人は格が違う。
    当方、自分の生まれた時代をあんまり考えたことはないですが、唯一、長嶋茂雄の現役時代にクロスしない時代に生まれたのは日本で生きる人間として多分不幸なんだろうなと思います。

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    2024年02月04日
  • 翻訳夜話

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    翻訳家・村上春樹と柴田元幸の対談。
    翻訳の世界も小説と同じようにセンスが求められる。村上は小説家として、柴田は文学者として翻訳を行っているが、それぞれ背景となる世界が違っているので、翻訳にもそれが現れる。翻訳に対する自分の流儀、好みの作家など翻訳に関する色々な話が紹介されていて面白かった。

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    2020年01月02日
  • 村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」

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    村上春樹は・・・
    さすがの1984。シュールに未来を予言している。資本主義の向かう方向への危惧とsynchronizeして、笑えない。

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    2020年01月01日
  • 雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―

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    面白かった。やっぱ春樹好きだわ。そこ切り取るんだーと思うところばかり。修道院のオリーブ、黴パンを食べる猫、雨、レモン、トルコの酷いエピソード。海外旅行に行きたくなる。

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    2019年12月21日
  • やがて哀しき外国語

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    筆者のアメリカ滞在記である。

    アメリカの大学で教鞭をとるために滞在している為、しっかりと現地に腰を据えてそこで感じたことなどが書かれている。

    長い期間にわたってアメリカに滞在していたわりには、現地でこういうことがあったという具体的なエピソードが少ないような気もするが、小説家になろうと思ったきっかけや、ジャズ喫茶を経営していた話など若かりし頃の村上さんのことも多く書かれていて面白かったです。

    外国に住んでいても日本語で小説が書けるのはすごいなぁと思いました。

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    2019年12月02日
  • やがて哀しき外国語

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    「やがて哀しき外国語」村上春樹。1992~1993に雑誌「本」に連載されたエッセイ集。講談社。
    村上春樹さんは1949年生まれだそうなので、この本の文章を書いている段階で40台前半だった訳ですね。
    ちなみに2019年現在、70歳くらいのはずです。

    昨年12月に読んだという記録になっています。
    ほぼ、内容は忘れています。


    (本文より)
    アメリカという国はもう完全に、都市部のエスニックと郊外の白人というふたつの社会、あるいはふたつの国に分かれてしまっている。そしてドラッグと銃という二大病根はこの国を土台からむしばみつつある。それらの問題は巨大な壁として人々の前に立ち塞がっていて、生半可な「

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    2019年11月29日
  • 大いなる眠り

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    初チャンドラー、初フィリップ・マーロウ。各セクション毎の展開に関連性があるようでなかったり、ミステリー作品の構成として腑に落ちない場面は多々あれど、キャラクターの魅力ひとつあれば作品は成立するという説得力に満ちている。マーロウとオールズの関係、ガイ将軍への敬意など、魅惑的な描写に感嘆しつつも、話の筋を追うのに精一杯で、達成感より疲労感が勝ってしまった。整合性を求めるのではなく、独特の言い回しや世界観を味わってみるのが正解だったのかもしれない。次回は"Don't think, FEEL!"の気持ちで挑戦だ。

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    2019年12月17日
  • 村上朝日堂 はいほー!(新潮文庫)

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    肩の力を抜いた緩い内容と独特な雰囲気が良い。村上春樹さんと安西水丸さんのコンビはマッチしてる。はいほー。

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    2019年09月19日
  • リトル・シスター

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    春樹版チャンドラー三作目。三作も読むと村上春樹の魅力の原点はやはりチャンドラーから来ているのだなと感じた。訳者も言っているが、内容云々ではなくマーロウ節を愉しむべきだと。内容が複雑で些か読むのに時間が掛かってしまった…まあ面白かった^^ 星三つ半。

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    2019年09月16日
  • 村上朝日堂(新潮文庫)

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    『日刊アルバイトニュース』に連載されていたエッセイ。2ページの分量という制約のなか短サイクルで生み出される創作物に凄みを感じるものの、著者が別の作品で語っていたような「物語に成らなかった物語の澱」みたいなものなのかなと思った。読み易く消化抜群だが、後味めいたものは覚えておらず。安西水丸氏との(日本独自の文化の)対談は緩くてなかなか好きだ。

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    2019年09月12日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(上)―(新潮文庫)

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    不気味で非現実的なようでいて、一線は超えない。そんな印象を受ける作品だと改めて認識した第3部。

    これまでの村上春樹作品は現実的な物語と非現実的な物語とがはっきりと分かれていたけれど、これはちょうどその中間の、線引きできない領域を狙っているように感じられる。そういう意味で新しい物語とも感じる。


    ただ、良くも悪くも村上春樹の”色”をやや薄めたように感じてしまい、これが新しい読者の獲得のためなのか、新しい村上文学の地平なのか、よく分からない…。

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    2019年09月10日
  • 雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―

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    ギリシャとトルコ、(刊行当時は治安も安定し)風光明媚で異境感もある人気観光地であるが、そこは村上春樹、ギリシャはアトス島というギリシャ正教の聖地、トルコは黒海側のクルド人地区寄りというなかなか渋いセレクト。国際化から取り残されたような、文明的にも文化的にも特殊性が残る土地柄で相当ヘビーな場所であることが伺えるが、村上氏の文章を通して見る2つの国にはなんとも愛くるしい魅力に溢れた地域に思えるから不思議だ。死ぬほど甘ったるいルクミを食べてみたくなった。

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    2019年09月06日