村上春樹のレビュー一覧
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ネタバレ主な舞台はハリウッドなのだけど、この作品からは土地の愛を感じなかった。それは作者であるチャンドラーが、あるいは主人公であるマーロウが、その両方かがハリウッドを好きではない(むしろ嫌いに思える)からなのだろうが、それがこの作品全体の雰囲気を決定させているように思える。
読んでいて、マーロウがとても居心地が悪そうに感じ、持ち前の「タフさ」もここでは虚勢に思え、やはりこういった類の人間は慣れ親しんだ土地である種の「井の中の蛙」的に、伸び伸びと日々を送るほうが性に合っているのではないか。
この作品はどうも堅苦しく(小難しいとか格式ばっているとか、そういう意味ではなく)、迷いを感じた。しかしだからといってダメな作品かといえばそうではなく、「マーロウもの」としては必要な作品だし、むしろマーロウという男の深さを感じさせてくれた。
ただ、ほかの作品と比べるとやはりというか、読むのはつらかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ昭和61年というバブル期に勢いがあったであろう
様々な工場を村上春樹が見学し、その工場の様子を
レポートした読み物。
工場といっても普通の工場ではなく
人体模型、結婚式(工場というよりただの結婚式場)
消しゴム、小岩井農場、CD、ギャルソン、アデランスという
特徴的な様々な工場を見学しています。
CDなんて当時まだあまり浸透していなかったようで
CDとは何たるかという説明がついたりして時代を感じます。
とにかく様々な工場を通じて日本という国の現状を
村上春樹が分析していてなかなか面白いです。
個人的にはアデランスの工場が特に面白かったです。 -
Posted by ブクログ
「スガシカオ」の節しか読んでないけど(ていうよりは、スガシカオ目的で買った本やし、私の身の丈が、ぜんぜん村上春樹に追いついてなくて、他はわからなさそうで・・・)、めちゃくちゃすごい!春樹の文章表現。音楽という、しかもJポップという、抽象と具象、または、実体のないものとあるものの中間にある「音楽」について、こんなにわかりやすい言葉で説明できるなんて!自分の考えをそこにすっと乗せられるなんて!!やっぱすごい!!これまた、引用にたくさん登録したけど、春樹の考えが、ものすごく私の意見を代弁してくれているもんだから、うんうん、って思いながら、余計に力が入って読んでしまった!!もっと余裕ができて、大人の音楽が楽しめるようになったら、他の節もリラックスしながら読みたいな。(もっとこの感動を表すことのできる文章力が私もほしい・・・!)
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Posted by ブクログ
村上春樹さんの短編集です。
のちに長編『ねじまき鳥クロニクル』に登場するキャラクターの
パラレルワールド的なお話も収録されています。
奇想天外な設定や登場人物などは、
読者の想像力を操る点で言うと、言葉の彩りを操ることで美しさなどを表現する
「詩」に近いものがあるかもなぁと思いました。光の当て方によっては
そういう見え方もする文学です。
哲学的な言葉もありますが、学問としての哲学から生まれ出るような言葉や思考が
綴られている場面があって、村上春樹さんの作品には時どきそういう記述が
出てきたりするのですが、だんだん、10代のころに比べてすんなりと読み進めることが
できるようになってきていることを感じています。
人間の頭っていうのは、鍛えられるというか、なれてくるというか、してくるものですね。
でも、逆に、10代の頃のように、鮮烈にその表現や世界観に驚かせられる程度が弱くなっていますし、
わからない表現に頭をひねってみるという素晴らしい行為も、
嘆かわしいことにそれほどしなくてもよくなっています。
ただ、やっぱり村上春樹さんの作品っていうのは、
というか、すぐれた文学作品ならばどれもそうなのかもしれませんが、
ストーリーの面白さや文章自体の面白さもさることながら、
前述したように、読んでいて、正面切って頭を使う状況になること、
それも適度な負担と快楽をともなってそうなることが、
大きな魅力なんじゃないかなぁって思いますねぇ。
変化球のように見えても、
斜に構えているように見えても、
実は的をちゃんと得ているのが、すぐれた作品のように思えます。
その作品がわかりにくくても、迷宮のようでも、
根底で捉えていることは、浅はかなものじゃないし、ズレてもいない、
逆にいえば、そうやって根底で捉えられているならば、
その他の部分では何をやったっていいのかもしれない。
なんやかややっても、ちゃんと結果がついてくるような気もしますし。
物語自体が自律的に進んでいくんだよ、って言っている作家の人もいらっしゃったような気がします。
というわけで、作品の持つ輝きや力強さには根底が大事なのかなと思いました。 -
Posted by ブクログ
村上春樹さんの小説は定期的に読みたくなります。
最近、村上春樹さんは新作の長編を発表されましたよね。
『1Q84』っていう、二冊組みの長編。すごい売れてるみたい。
このあいだ札幌に行った時に、二軒の本屋になんとなく入ってみたら、
どっちの店でも売り切れでした。重版できしだいうんぬんと書かれてもいた。
読みたいなぁとは思うけど、文庫待ちかな。村上春樹さんの本は
かなり読んでいて、残るところ僅かなのかもしれないので、
新刊で買って読んでもいいんですけどね。
『海辺のカフカ』も文庫で出るのを待ったけど、あの頃に比べて
村上春樹さんの作品に触れた頻度と度合いは深まっている。
さて、今回読んだ『回転木馬のデッド・ヒート』は、短編集です。
まぁ、短編集とはいっても、村上さん曰く、これは「話の大筋は事実」だとして、
小説と呼ぶことについて、いささか抵抗がある、なんて書かれてはいるんです。
でも、「本当?」って思っちゃうような話ですよ。創作でしょ?
そういう「お断り」自体がフィクションだろうと疑って考えてしまいます。
やっぱり文章が上手い人だと思わせられます。たまに村上春樹さんの文章や文体に
接しておかないと、なにか落ち着かないというか、物足りないというか。
春樹さんの文章を読むということは、「お手」と「おかわり」の区別がつかない犬が
ご主人の上手な教え方によって、やっとそれがわかったという時に似た、
簡単な問題へのクリアな思考をもたらしてくれるようなところも、一部あります。
そして、犬に(それも雑種に)よくあるように、また「お手」と「おかわり」を
忘れて元に戻るっていう感じもあって、また教えて~っていう気持ちになったりする。
…って、僕は犬かい。
それはそれとして、それなりの満足感を与えてくれる本です。
文庫なら読んでもいいよね、って感じだったかな。