津田大介のレビュー一覧
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この本をどんな本だと紹介すればよいか?
帯には「情報メンテに役立つ〈最強の羅針盤〉」とある。要約すれば、氾濫する情報とどう付き合っていけばよいかのHow to本ということか。。
しかし、私はいわゆるHow to本が大嫌いだ。何かを上手くやりたいという自分の野心を達成するために誰かの真似をするというのは好きではないからだ。How to本は横着をするための本だ。私は昔からゲームの攻略本が嫌いだった。
その意味でこの作品はHow to本ではない。私はそういう風には受け取らなかった。従って、先な挙げた帯の要約は違う。
内容はメルマガやSNSに関するQ&Aだ。とても勉強になる。しかし、勉強になるのは著者である津田さんの経験に基づく「プロ論」が一貫して描かれていることだ。津田さんの文章は素晴らしい。とても柔らかくて読みやすい。しかし、その柔らかい口調から語られるアドバイスは勇気を与えてくれるが、全て容易ではない。
大抵の人間は一歩を踏み出すことすら無理だからだ。プロの現場を知らないからだ。
しかし津田さんの柔らかい口調はそんな厳しいプロの現場を着実に生き抜いてきている強さに裏打ちされているようだ。だから読んでいて「自分も出来るのではないか」と思えてくる。
これは単なる情報本ではない。プロの矜恃と優しさが描かれている。自分もこんなプロになりたい。近づきたいと思う。たとえ現場は違っても核は同じでありたい。
そう思える好著だ。 -
Posted by ブクログ
ルポから思想まで豪華布陣だが、宮台さんの激憤しながらの筆致が鮮やか。『「ファストフードからスローフードへ」と同じく「原子力から自然エネルギーへ」も日本的に勘違いされるでしょう。〈食の共同体自治〉の問題が、食材選択の問題に短絡したように、〈エネルギーの共同体自治〉の問題が、電源選択の問題に短絡するでしょう。(略)原発災害からの学びがその程度で終わってしまうのですか。』pp.384-385. まさにそこなのだ。設計の悪い世論調査と内閣支持率に翻弄されて愚昧な二択に落とし込んではいけない。そこで一般意志2.0の登場なんだろうな。東さんと宮台さんと津田さんは全く方法論が違うけど、震災をきっかけに議論が一気に接続されてきた気がする。
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先日読んだ「反中絶の極右たち」は世界中で展開された反中絶・反ジェンダー・反LGBTQの運動について記録しているが、本書は安倍政権前後の日本での動きについて記録している。体系だった報道がない中でこのようにわかりやすく流れをまとめてくれた筆者には頭が下がる。
いわゆる「右派」はすべてつながっていて、戦時下の日本軍の加害の歴史から、ジェンダー平等(男女共同参画)、LGBTQの権利、そして性教育や中絶の権利までを否定する。そこには、自助・自己責任の名の下、女性を家事労働と再生産のみに押し込める家父長制の思想が強く現れている。
そういった動きにある意味足をすくわれ、フェミニストであるのにトランス差別を展開する人々についても、その根本要因として各団体や個人がシングルイシューのみ関心を持って取り組み、基盤となる人権や、インターセクショナリティの概念が欠如していたことを本書は指摘する。
自分自身、日本のジェンダー平等を推進したいと思っていまの仕事をしているがその組織がバックラッシュに(主体でないにしろ間接的に)加担しているような歴史を改めて認識しじゃあどうしたらいいの…と暗い気持ちにもなるが、イシューをこえたインターセクショナルな連帯は必須なのと、宗教団体とべったりの右派議員を落としていくしかないだろう。 -
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少しジェンダーを齧った気でいたが、ポリタスTVの視聴者同様、知らないことばかりの内容で衝撃だった。怒りを感じながら読まずにはいられなかった。
しっかり勉強して、情報をキャッチアップして、その情報を精査して、かつ「報道されない」事実にも心を向けないと、一部の人だけが進めたいとんでもない方向に、この国が進んでいることに気づけない。
伝統的な家族・家父長制礼賛、夫婦別姓を選択する」ことさえ叶わない、頓珍漢な少子化対策…。
未来の子どもたちに「あの令和の時代に生まれなくて良かった」と言ってもらえるように変えていかないといけないのでは、と感じる。 -
Posted by ブクログ
ようやく読んだけど、今まで宗教右派がやってきたことがあまりにもひどいというか、女性のことは子どもを産む肉袋としか思ってないんだろうし、性的マイノリティの人たちのことはとことん透明化してこの社会に存在することを無視しようとしているということだけがひたすらに伝わったし、先の戦争に関する歴史を都合よく修正して海外に触れてまわっていたりと、本当になんてことをしていたんだ…と具合が悪くなった
日本国籍の成人男性以外を人間として扱う気がまるでない
文章自体は淡々と事実を述べているけど、それだけにひどさが際立つ。ここ30年弱で日本の男女平等や子どもたちへの教育が後退していったかを流れも含めて知ることができる -
Posted by ブクログ
独身未婚中年男性の自分が読んでみました。
非常に優れた内容だと思いました。
一方で、タイトルがややミスリードな印象でした。「宗教右派」の話があまり前面に出ていなかったような気がするので、もう少し宗教団体にフォーカスした話も読んでみたいです。
どちらかというと、「伝統的家族観」を信奉する宗教団体が自らの団体を票田として右派政治勢力に食い込んできた、政治とジェンダー政策状況の日本戦後史(現在までを含む)、という感じでした。
以下、ちょっと思ったことを。
p61 ジェンダーフリーになると売春が肯定されてしまうからよろしくない、という主張について。もし、ジェンダーフリーになると売春を肯定するというのであれば、「男社会」での買春も当然批判されるべきなのですが、その点は宗教右派や保守政党はどう考えているのかな、なんて思いました。
p75 「日本文化を伝える」云々について。結局、今の日本の若者に、「日本の文化」が良いものだと思ってもらえていないことが問題のような気がしました。だいたいそういう文脈でお偉いさん方は「じゃあ愛国心教育をしよう」とか短絡的な発想をするんですが、それで押しつけたら余計逃げるに決まってるって・・・。今の日本って、国が若者を駒と思っているのに、一方的に若者に国を愛すことを求めるなんて、ジョークが過ぎます。
どんな人も、幸せに過ごせる日本社会になってほしいものです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。
気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる少数派になってる…という状況がたまに起きるようになり、うかうかと思ってることを言いづらくなりました。(例えばマイナンバーカードを持つことについてとか…)
組織の中でできる活動として、教育に関するおかしな介入や締め付けに抵抗している友人の姿を目の当たりにすると、自分も黙っていてはいけないと思うものの一個人でどんな風に「おかしいぞ!」とか「ふざけたことしてんじゃないよ」と世の中に問えばいいのか、問えるのかと無力感が正直あります。
大きな声を発することができなくても、周りがみんな朱くなっても自分が白だと思ったら白という意見を曲げない強さをせめて維持し続けたいと思います。
本書は、これからまた数年過ぎたところから本書が著された当時を振り返る、そしてその時の現実・現状を見直すという、考え続けるための一つの標となる一冊だと思います。
編集部によるあとがきにも勇気をもらいました。今後もこのような良書を出版し続けてほしいです。 -
Posted by ブクログ
一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。
例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。
詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対する挑戦というか。
個人的には反日思想の展示など不愉快だし、する必要はないと思うが、一方で表現に規制がかかる危うさには怖さを感じる。こうした規制を許せば今後、反日的なものでなくとも、政府や権力者が、言論や表現に制約をかけられる世界になっていくわけだから。
アートの世界だけでなく、科学技術なども国の意向に沿わなければ補助金がなくなり、活動できなくなってしまう模様だ。それは果たして国民にとって健全な、豊かなことなのだろうか。賛否両論のものに対して全員が自由に発言できる世界、何事にも反対意見を出して議論できる社会、多面的に物事を考えられる世の中、そうしたものを守らなければ。などと思いました。