中山七里のレビュー一覧
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敏腕だけれども高額報酬を要求することで知られる「悪徳」弁護士、御子柴礼司を主人公とした法廷ミステリシリーズ3作目。
本作では御子柴が少年犯罪で収容されていた少年院時代に御子柴を矯正した指導教官・稲見が被告となる。入居する老人ホームで殺人を犯し、周囲の証言も、稲見の自白もあるという中でまたしても無罪を主張する御子柴。
恩師に対する情から過去作以上に見切り発車的に着手するも、公判準備の過程で独自に捜査を続ける中で隠蔽された事実が明らかになり…という展開はこれまでと同じ。さすがに3作目ともなれば展開が読めてしまうし、作者はフェアに伏線をちりばめてくれているので真相の大枠は浮かんできてしまう。周囲の証 -
Posted by ブクログ
成田空港が物語の舞台。空港警察の署長に就任したのは、あの高頭冴子でさえ恐れる仁志村賢作!一見温厚で人当たりの良さそうに見えるが、実は人嫌い、酷薄、唯我独尊タイプ!!空港ならではの事件、違法薬物や禁止品の持ち出し、入管での殺人、ハイジャックなどが勃発し、GSの蓮見咲良の協力を得ながらも事件を解決していくというもの…。
成田空港は千葉だから、千葉県警のアマゾネス高頭冴子も登場したのはちょっと得した気分♪あと、宏龍会の山崎がちょこっと登場するサービスも嬉しかったです。でも何よりも、この仁志村のキャラがなんともハマりますよ!この作品もシリーズ化されるんだろうか?そうなったら嬉しいかも!!
私 -
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期待を裏切らない面白さ。
ワクチン接種と副反応。製薬業界との癒着。
重いテーマですが、副反応の被害者である少女たちと、その接種を勧めた産婦人科協会の女が誘拐されるという、いわば対立する両陣営の少女たちを誘拐、という謎に溢れる誘拐劇。
途中までは予想が当たりましたが、その奥の真犯人までは想像できませんでした。さすがのどんでん返しです。
犬養さんは好きなキャラクターなので、女性には得意の洞察力が働かないのは残念。
明日香は正義感あって好感が持てるキャラクターなのでしょうが、時折見せる暴走と立場を理解していない言動に、もどかしさも募ります。犬養さんの引き立て役、であれば納得の配役なのでしょうが。
次 -
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ネタバレ岬先生の出番が少なくて少しガッカリ。
でもヤンが慕ってたカミンスキーが黒幕だったなんてヤンの気持ちを考えると悲しかった。
・「ミスがあるのは仕方がない。しかしミスを放置するのは望ましくない」
・像を見上げる。二百年前に生まれ、ポーランドを愛し、数多の音楽と心臓だけを故国に残した男。その顔は微笑しているようにも、哀しんでいるようにも見える。
・ベートーヴェンを難なく弾きこなした者がショパンを弾くとたちまちアラを出し、ショパンを見事に弾ききった者は他の作曲家の曲も完璧に弾いてしまうという事実だ。言い換えればショパンを完璧に弾くピアニストは如何なる曲も完璧に弾ける。ショパンを聴くまでその才能に -
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ネタバレ2025/44
有働さゆりは収容され、御前崎が爆死。
犯人は、さゆりが保護司を務めた青年の当真では?という展開。
今回は
御前崎の爆死(描写エグくて良い)、硫酸で溶ける、電車で轢死、そして一番やばいのが生きたまま足から破砕機に入れられる。
硫酸と電車は犯人の仕業じゃなくて、事故と自殺。
本当の狙いは、破砕機に入れられた精神科医だった。
正直シリーズの中では一番微妙だった。
古手川だいすきなんだけど、有働さゆりのことになると本当に判断力失うの読んでてイライラした。
私も渡瀬みたいに顰め面して読んでたと思う(?)
古手川の今後の成長に期待。 -
Posted by ブクログ
ネタバレメッキ工場の安普譜の寮。隣の部屋の風呂場からギリッギリっぎりっ,と何かを解体している音がする。気になって眠れない神足友哉。寝不足で,あわや職場で死にそうになる。でもこのままだと、本当に事故死してしまう。
隣は徐浩然(じょはおれん)と言う中国人。交渉しても「ニホンゴワカラナイ」と言って取り合わない。
そうしていると25歳女性の腕が見つかる。
まさか隣で本当に人の遺体を解体してるのか!?
そうしているうちに、第二、第三の遺体の一部も見つかる。それらは全部,一部だけ。そして被害者は若い女だ。
徐が、腕を捨ててるのを見た。それを警察に匿名でリークするが、腕は見つからない。だがしばらくして少し離れた場所 -
Posted by ブクログ
なぜ今さらコロナ禍の話?という疑問が湧いたが、2022年から2023年にかけて連載された話を今頃になって単行本にしたかららしい。
コロナ禍で医療崩壊しかかった病院で起きた、反ワクチン団体の代表者の殺人事件。怪しい陰謀論の滑稽さ、マスコミの無責任さ、医療従事者の苦悩などをどれもサラリと描くが、そのどれもが中途半端で、ミステリとしても今ひとつ。
反ワクの滑稽さは冷静に見ればわかるのに、いまだにSNSにはその手の陰謀論を信じている人が後を絶たない。
マスコミの口先だけの正義は嘘っぱちだととっくに読者は見抜いているし、売らんかなの下世話なネタや、節操のない煽りにもうんざり。
描いていることはごもっ -
Posted by ブクログ
敏腕であるが、高額報酬を要求することから「悪辣弁護士」と揶揄される御子柴礼司を主人公に据えた法廷ミステリ長編シリーズの第二作目。一審では求刑通りの量刑で有罪判決となった妻による夫殺しの被告の弁護人を、前任者を脅迫してまで交代した御子柴。法廷では因縁のあるこちらも実力派の検事との一進一退の攻防がぐいぐいとページを捲らせる。そうは言ってもどこか被告が非協力的なところもあり当初見立て通りに形成不利に追い込まれていく御子柴。そもそもなぜ金にも名誉にもなりそうにない事件の弁護を引き受けたがったのか、そこのホワイダニットに御子柴礼司という弁護士の弁護士たる所以を詰め込んだ構成は見事。その見せ場をつくるため