中山七里のレビュー一覧
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少数の優秀な裁判官が、法知識だけでなく多様な分野の知識を総動員し、累積する案件を綿密に精査した上で結論を導き出す現在の司法制度が、制度的な限界を迎えつつあるという問題提起から物語は始まる。そして裁判官の視点を通して、審理へのAI導入の是非や、判決をAIに委ねることの是非について、テクノロジーと倫理の両面から掘り下げられている。司法は法律を論理的に解釈し、判例という前例を踏襲しながら進められるため、一見するとAIとの相性は極めて良いように思われる。しかし現実には、証言という対面でのやり取りや、証拠資料という紙媒体による情報伝達が主流で、極めてアナログな世界である。司法の一端に携わる立場としては、デジタル化による業務効率化を切実に望むところであり、本書はそうした現実に対し一石を投じる良書だと感じた。一方で本書は物語性よりも問題提起に重点を置いている印象が強く、エンタメとしてはイマイチだった。
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コロナ禍で世間がワクチン推奨派と反対派に大きく分かれる中、志賀倫成が副編集長をつとめる『週刊春潮』は、雑誌の売れ行きを第一に、反ワクチンキャンペーンと言われてもおかしくない方向へと舵をきっており、志賀は旧友の医師・伊達充彦から呼び出され、出版人としての良識を問われてしまう。伊達の病院では現在も己を犠牲にしてまで前線でコロナと戦っている医療従事者たちが多数いたが、反ワクチン団体から抗議活動をされるなど、ギリギリの日々を送っていた。そしてある日、〈阿神儀会〉(あかぎかい)と呼ばれる反ワクチン団体のメンバーが病院に乗り込み、ワクチンや医療機器を破壊するという抗議活動を受けるが、ワクチン保管庫の前で〈阿神儀会〉の代表が何者かに殺害されるという事件が起こる。
実際のコロナ禍に合わせて書かれた作品だけど、ここまでの抗議活動を受けた病院って本当にあったりするんだろうか。マスクもせず、ディープステートを謳い、でも実際に自分が発症したらワクチンをうってくれと懇願し、時すでに遅く持病から悪化して亡くなっていく反ワクチン団体所属のメンバーたち。そんな人たちに自業自得だと苦言を呈しながらも最善の治療を施していく医療従事者たち。本当に頭が下がる。犯人は誰?というのは一応あるけど、今回はそれよりも医療現場やジャーナリズムに焦点をあてた作品になっている。そして『夜がどれほど暗くても』の一応続編ということになるのか?主人公は『週刊春潮』副編集長の志賀で、奈々美と現在も一緒に暮らしていることに触れている。事件を受けて乗り出してくるのは警視庁捜査一課の桐島班所属の宮藤賢次と葛城公彦。ということで『スタート!』や、『静おばあちゃんにおまかせ』の話なんかもちらっと。 -
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能面検事シリーズ第三弾!
無差別殺人と爆弾魔「ロスト・ルサンチマン」
ロスト・ルサンチマンは無差別殺人の殺人犯釈放を求めて爆弾を仕掛けます。
そして、不破もその爆弾に巻き込まれてしまいます。
無差別殺人の理由。
就職氷河期で正社員になれなかった。ロストジェネレーション世代!
世の中への復讐といっても、許されるものではありません。しかし、その正当化を煽るSNS。
ある意味、今の社会を表しています。
そして、犯人を釈放するように求める爆弾魔「ロスト・ルサンチマン」
その目的は?犯人は?
という展開です。
なんとなく、展開が分かるなあって思っていたら、これドラマ化されていて、ドラマ見てました!
ありゃま...
上川さんが能面検事やってたわ!
とはいっても、楽しめました。
第三弾となって、ますます不破の仕事ぶりが恐ろしい..
部下にも上司にもなってもらいたくない(笑)
お勧めです。 -
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傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲。
キリスト教において、人を罪に導くとされる七つの悪徳をテーマに、名前が「七」にちなんだ作者さんが描く、7作のアンソロジー。
そもそも悪徳がテーマだから、どの作品も読後感は良くない。イヤミス寄り。それでも、どの作家さんもテーマにあった内容で、個性もありながら、テンポよく、あっという間に完読。
半分の作家さんが初読みだったけど、特に嫉妬は世界観も怖くて、読んでいて、引き込まれてしまった。
既存の4人の作家さんは安定。短編でもやっぱり面白い。
七つの大罪と言うと、どうしても、映画の「セブン」をイメージしてしまっていたのだけど、それに劣らないくらい、個人的には面白かった。