鈴木涼美のレビュー一覧

  • 娼婦の本棚

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    週刊SPAの冒頭で切れ味鋭すぎなコラムを書かれていた方の読書本。自分は読書家ではないのもあり大体の書籍は未知のものだったので興味を持てた。ただ紹介された本の内容よりも本と関連した著者の人生と考え方の方が面白かった。

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    2024年08月25日
  • 私の身体を生きる

    購入済み

    読むのに気力のいる本だった

    息子が中学にあがり、性教育を考えると男性視点の情報では難しいと思う事が多々ある
    SNSでこの本のことが流れてきて書評を見た時、長男の女性に対する理解に何かしら寄与するかと思い、つい反射的に購入した。

    男より女性の生き方はある意味で難しいが、性を持ち出すと安易に楽な選択を選ぶこともできる。
    でも、それを選ぶと多くの場合、後でツケがまわる。だから、安売りするな、という言葉を親の世代は言う。
    でも、若い世代が持て余す感情は大人の説教なんて聞き入れない。で、大人になって、同じように若い世代に言う。
    そこに使える武器があってもそれを使わないって難しいこと。男が腕力で相手を従わせる選択をなかなか選べない

    #タメになる

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    2024年08月04日
  • YUKARI

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    歌舞伎町でキャバ嬢をしていた、そして間もなく結婚によって水揚げされる思しき女性による、書簡体小説。相手からの返事などはなく、ただ彼女から一方的に複数の男性に宛てられているのが斬新で、私はけっこうこの主人公が好きかもしれない。
    源氏物語がテーマでもあるようで、各手紙の冒頭には源氏物語の和歌が配されているのだが、ストーリーそのものに絡んでいるわけではないみたい。ただ、こんなふうに多情で気まぐれで思わせぶりで適度にポエミーな様子の人は、いつの時代にもいるのだなと思った。

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    2024年03月27日
  • トラディション

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    読後、生きることとは何かと考えさせられる。受け入れてくれる場所があることか。人に必要だと思われることか。淡々とした文章とホストクラブの形骸化した居場所が静かに流れていくようだった。主人公がこの後ここから出てどう生きていくのかなど本を閉じた後も登場人物が脳内で動き続けている。

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    2024年02月01日
  • 娼婦の本棚

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    筆者は元AV女優で、慶應卒、東大院卒、そして日経の記者という、一見異色の経歴を持つ作家さん。人と自分を比べて卑屈になるのではなく、特殊な経歴をもてはやされても決して思い上がらず、相手を尊重しつつ自分にも自信を持つ。ごく普通で何の変哲もない人生を送った人に対しても敬意を払う、そんな筆者のサッパリとしたスタンスが心地良い。

    そして、語彙力の豊かさは人としての魅力に比例するものだと思う。自分だけにしか経験出来ない物事とボンヤリとした感覚や想いを、その場その場で言葉にして記録する。刹那的な快楽の瞬間も、苦しく惨めな日々も含めて、生々しい現場と感覚を鮮明に残しておく。その繰り返しにより、言葉の一つ一つ

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    2023年08月21日
  • ニッポンのおじさん

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    ずーっとニヤニヤしながら読んだ。著者と同世代だと、時代の空気感をかなり楽しめると思う。風俗店の店名みたいな言葉遊びの秀逸さが好きです。
    『プレイリスト』とされる本文中の注釈の【パパ活女子大生】が的確過ぎる。と思う。

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    2023年08月13日
  • 娼婦の本棚

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    著者のことを乱暴に表現すると、とても拗らせている人という印象。でも、何か満たされなかったり惨めな思いをすることって、自分を客観的に見つめたり、世の中を冷静に捉えることに繋がって、大事なことなんだなと実感する。そんな拗れた思いを抱いた経験こそが人を強くするんだなと実感した。

    就活において自己分析と業界・企業研究は基本だけど、人生においても同様に、自分のことと他者および世の中のことを考えるのは、いろんな矛盾や理不尽や退屈やストレスに折り合いをつけて逞しく生きていく上で大事だと思った。

    そして、自分のこと、世の中のことを考えるきっかけとか材料として、やはり読書はとても効果的だと実感した。

    我が

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    2023年07月14日
  • JJとその時代~女のコは雑誌に何を夢見たのか~

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    平成を彩った女性ファッション雑誌の特徴、分類、影響などについて熱く語られた一冊。
    90年代のこの文化のど真ん中にいた著者の言葉は独特でリアルで生々しくて熱い。

    単なる流行ファッション誌ということに留まらず、女子を微細なまでにカテゴライズし、生き様やアイデンティティやロールモデルを提示し、個性の余地を残しつつも「外さない」戦略的なその紙面は、平成文化史の一面として興味深い。

    ファッションに限らないけど、スマホ&ネットがなかった時代は、買い物一つのインパクトが大きくてハズレるリスクもあったので、マスメディアが作るイメージや「外さない」領域が示されていていたことの影響は大きかったのだな。

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    2023年04月26日
  • 8cmヒールのニュースショー

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    鈴木涼美さんはギフテッドは読んでいたが、小説でなく、今回はコラムでした。 めちゃくちゃ面白かった!鈴木さんの選ぶ言葉がまず好き。日本経済新聞の社員であった経歴からニュースの切り取り方はお手のものであろうが、そこに彼女ならでは
    8センチヒールの姿勢、目線から、8センチヒールの踏みつけを行ってくれてます。
    彼女の振り幅の広さに教養の持つ気高さを感じられる。すっかり虜にされてしまいました。

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    2023年02月06日
  • 娼婦の本棚

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    感想文風エッセイのようなもの。あ~、わかるわかる、とそれなりの年代の女性なら思う所が多いのではないかと思う。この方の書き方なのか、一文が長い。その点は、読みやすいにくいが出るかもしれない。巷の文は短いんだな、と思えた。

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    2023年01月21日
  • 娼婦の本棚

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    ネタバレ

    p30
    本当は、無意味の自由こそ最も大切にするべきことだったはずなのに、大人はそれを自ら手放してしまうのです。

    p41-42
    伸びるよりも咲くことを選ぶある種の人々の生き様は、自分の若さがいつか必ず喪失するものであるとは信じたくない私には、潔く思えました。彼女たちを目の前にすると、昼の光の下で男と肩を並べて、無骨なまま輝こうとする女性たちはどこか愚鈍で要領が悪いような気がしたのです。

    p70
    そのかわり、自分がどんなに矛盾しても罪悪感に押しつぶされたり、疑問を抱いたりはしません。不条理な東京にいるのだから、個人も不条理であるに決まっているからです。

    p148
     昼の職にいた時に感じた、オ

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    2022年10月16日
  • 娼婦の本棚

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    著者の鈴木涼美は、慶応大学在学中にAV女優としてデビュー。その後、東大大学院に進み、日本経済新聞社に入社して新聞記者となるという異色の経歴を持つ。2016年に亡くなった母は児童文学研究家で翻訳家の灰島かり、父の鈴木晶は翻訳家で法政大学教授、エーリッヒ・フロムの『愛するということ』の訳者でもある。

    「アドレッセンスというものの中を突き進んでいく若いオンナノコたちに向けて書いた」と著者が書くように、若いオンナノコが向き合うことになる性の問題について、身体の商品化の眼差しと意識化という観点を軸として、著者ならではの言葉を重ねている。

    【概要】
    『娼婦の本棚』では、以下の20冊の本が紹介されている

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    2022年08月15日
  • 娼婦の本棚

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    キャバクラ嬢、AV女優、新聞記者など興味深い経歴を持つ作家 鈴木涼美によるブックガイド。本の紹介というよりは、著者の半生が綴られています。様々なポイントで著者のそばにはいつも「本」や「言葉」があり、なにかしらの道しるべになっていたことが分かります。「娼婦の本棚」という刺激的なタイトルを冠していますが、いたって真面目です。個人的には連載時の「夜を生き抜く言葉たち」の方が本作の内容に合っていると感じました。ちょうど本書を読んでいるときに芥川賞の候補として名前が出ていました。

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    2022年08月05日
  • 愛と子宮に花束を ~夜のオネエサンの母娘論~

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    与えられることで奪われるものもあるし、満たされることで、失うものだってある。そう思わせるエッセイだった。キャバクラ嬢やAV女優、ホストなど夜の世界の人間が多く登場するが、彼らにもまた親子関係が存在するのだなと思った。

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    2022年06月12日
  • ニッポンのおじさん

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    私から見るとおじさんと言えるのは、ビートたけし、麻生太郎、村上春樹、石原慎太郎、田中康夫、安倍晋三、堀江貴文、菅義偉だが、それぞれを的確に捉えていたと感じる.文章化するよりしゃべりで聞いた方が良いのではと思った.まえがきの「おじさん」の定義づけが面白かった.

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    2022年05月10日
  • JJとその時代~女のコは雑誌に何を夢見たのか~

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    なぜJJは休刊したのか。
    この問いに対する筆者の回答は説得力があった。

    デジタルで紙が打ちのめされたとは短絡的思考で、
    デジタルで社会が変わり雑誌が求められなくなったとするのが適切か。

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    2022年05月04日
  • JJとその時代~女のコは雑誌に何を夢見たのか~

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    ハマトラ、ニュートラの女性たちを仰ぎ見て、心をときめかししてきた世代としては、昨年の紙のJJがなくなるというニュースはものすごいショックでした。そのJJを中心とした女性誌クロニクル。1975年のJJ創刊から始まる女性誌カンブリア期は、消費文化という観点からの女性の生き方の多様性を提示し、次々と新しいロールモデルを輩出して来た時代です。でも、3年前に大学生に洋服の情報は雑誌じゃなくてインスタから得るの?と知ったかぶりなインタビューをしたら、いやインスタも見ずに、googleの画像検索という答えを聞いて、雑誌時代の終わりはなんとなく予感していました。それでも、きっとこれからも女性と社会の接点は変わ

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    2022年02月20日
  • ニッポンのおじさん

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    新聞記者とAV女優という2つの経歴を持つだけでただ者でない感がある。

    露悪を気取るが、常人以上の教養、地頭の良さと人生経験に裏付けられた批評は強い説得力を持つ。

    系統は違うがブレイディみかこともある種共通するものを感じる。

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    2021年08月07日
  • ニッポンのおじさん

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    独特な文章に慣れるまで時間がかかったけど、これからもスケベ心を内に秘め、人としてまっとうに生きていきたいと思った。

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    2021年05月30日
  • すべてを手に入れたってしあわせなわけじゃない

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    学歴、不倫、出身地、等たくさんの切り口で、真逆な選択をした女性達の幸福と不幸が描かれている。著者の鋭い分析力と流れるような文章によって、もはや内容なんてどうでもいいからこの文章を読み続けていたいという気にすらなるが、登場する女性達が多様でありながらも、自分自身に重ね合わせたり、そういう人いるいると知人に重ね合わせることができる。
    著者があとがきにも書いているが、女性の人生は抑圧され差別されてきた祖母の時代から、それを一生懸命打ち壊してきた母達の時代を経て、今は差別されながらも多くの選択の自由を与えられている。しかし選択の自由を与えられたからこそ、言い訳ができない苦しさや寂しさがあり、選択の自由

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    2020年06月25日