鈴木涼美のレビュー一覧
-
購入済み
読むのに気力のいる本だった
息子が中学にあがり、性教育を考えると男性視点の情報では難しいと思う事が多々ある
SNSでこの本のことが流れてきて書評を見た時、長男の女性に対する理解に何かしら寄与するかと思い、つい反射的に購入した。
男より女性の生き方はある意味で難しいが、性を持ち出すと安易に楽な選択を選ぶこともできる。
でも、それを選ぶと多くの場合、後でツケがまわる。だから、安売りするな、という言葉を親の世代は言う。
でも、若い世代が持て余す感情は大人の説教なんて聞き入れない。で、大人になって、同じように若い世代に言う。
そこに使える武器があってもそれを使わないって難しいこと。男が腕力で相手を従わせる選択をなかなか選べない -
Posted by ブクログ
筆者は元AV女優で、慶應卒、東大院卒、そして日経の記者という、一見異色の経歴を持つ作家さん。人と自分を比べて卑屈になるのではなく、特殊な経歴をもてはやされても決して思い上がらず、相手を尊重しつつ自分にも自信を持つ。ごく普通で何の変哲もない人生を送った人に対しても敬意を払う、そんな筆者のサッパリとしたスタンスが心地良い。
そして、語彙力の豊かさは人としての魅力に比例するものだと思う。自分だけにしか経験出来ない物事とボンヤリとした感覚や想いを、その場その場で言葉にして記録する。刹那的な快楽の瞬間も、苦しく惨めな日々も含めて、生々しい現場と感覚を鮮明に残しておく。その繰り返しにより、言葉の一つ一つ -
Posted by ブクログ
著者のことを乱暴に表現すると、とても拗らせている人という印象。でも、何か満たされなかったり惨めな思いをすることって、自分を客観的に見つめたり、世の中を冷静に捉えることに繋がって、大事なことなんだなと実感する。そんな拗れた思いを抱いた経験こそが人を強くするんだなと実感した。
就活において自己分析と業界・企業研究は基本だけど、人生においても同様に、自分のことと他者および世の中のことを考えるのは、いろんな矛盾や理不尽や退屈やストレスに折り合いをつけて逞しく生きていく上で大事だと思った。
そして、自分のこと、世の中のことを考えるきっかけとか材料として、やはり読書はとても効果的だと実感した。
我が -
Posted by ブクログ
平成を彩った女性ファッション雑誌の特徴、分類、影響などについて熱く語られた一冊。
90年代のこの文化のど真ん中にいた著者の言葉は独特でリアルで生々しくて熱い。
単なる流行ファッション誌ということに留まらず、女子を微細なまでにカテゴライズし、生き様やアイデンティティやロールモデルを提示し、個性の余地を残しつつも「外さない」戦略的なその紙面は、平成文化史の一面として興味深い。
ファッションに限らないけど、スマホ&ネットがなかった時代は、買い物一つのインパクトが大きくてハズレるリスクもあったので、マスメディアが作るイメージや「外さない」領域が示されていていたことの影響は大きかったのだな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレp30
本当は、無意味の自由こそ最も大切にするべきことだったはずなのに、大人はそれを自ら手放してしまうのです。
p41-42
伸びるよりも咲くことを選ぶある種の人々の生き様は、自分の若さがいつか必ず喪失するものであるとは信じたくない私には、潔く思えました。彼女たちを目の前にすると、昼の光の下で男と肩を並べて、無骨なまま輝こうとする女性たちはどこか愚鈍で要領が悪いような気がしたのです。
p70
そのかわり、自分がどんなに矛盾しても罪悪感に押しつぶされたり、疑問を抱いたりはしません。不条理な東京にいるのだから、個人も不条理であるに決まっているからです。
p148
昼の職にいた時に感じた、オ -
Posted by ブクログ
著者の鈴木涼美は、慶応大学在学中にAV女優としてデビュー。その後、東大大学院に進み、日本経済新聞社に入社して新聞記者となるという異色の経歴を持つ。2016年に亡くなった母は児童文学研究家で翻訳家の灰島かり、父の鈴木晶は翻訳家で法政大学教授、エーリッヒ・フロムの『愛するということ』の訳者でもある。
「アドレッセンスというものの中を突き進んでいく若いオンナノコたちに向けて書いた」と著者が書くように、若いオンナノコが向き合うことになる性の問題について、身体の商品化の眼差しと意識化という観点を軸として、著者ならではの言葉を重ねている。
【概要】
『娼婦の本棚』では、以下の20冊の本が紹介されている -
Posted by ブクログ
ハマトラ、ニュートラの女性たちを仰ぎ見て、心をときめかししてきた世代としては、昨年の紙のJJがなくなるというニュースはものすごいショックでした。そのJJを中心とした女性誌クロニクル。1975年のJJ創刊から始まる女性誌カンブリア期は、消費文化という観点からの女性の生き方の多様性を提示し、次々と新しいロールモデルを輩出して来た時代です。でも、3年前に大学生に洋服の情報は雑誌じゃなくてインスタから得るの?と知ったかぶりなインタビューをしたら、いやインスタも見ずに、googleの画像検索という答えを聞いて、雑誌時代の終わりはなんとなく予感していました。それでも、きっとこれからも女性と社会の接点は変わ
-
Posted by ブクログ
学歴、不倫、出身地、等たくさんの切り口で、真逆な選択をした女性達の幸福と不幸が描かれている。著者の鋭い分析力と流れるような文章によって、もはや内容なんてどうでもいいからこの文章を読み続けていたいという気にすらなるが、登場する女性達が多様でありながらも、自分自身に重ね合わせたり、そういう人いるいると知人に重ね合わせることができる。
著者があとがきにも書いているが、女性の人生は抑圧され差別されてきた祖母の時代から、それを一生懸命打ち壊してきた母達の時代を経て、今は差別されながらも多くの選択の自由を与えられている。しかし選択の自由を与えられたからこそ、言い訳ができない苦しさや寂しさがあり、選択の自由