【感想・ネタバレ】愛と子宮に花束を ~夜のオネエサンの母娘論~のレビュー

あらすじ

「あなたのことが許せないのは、
あなたが私が愛して愛して愛してやまない娘の
身体や心を傷つけることを平気でするから」
母はそう言い続けて、最後の息を引きとった。

愛しているゆえに疎ましい――母と娘の関係は、いつの時代もこじれ気味なもの。ましてや、キャバクラや風俗、AV嬢など、「夜のオネエサン」とその母の関係は、こじれ加減に磨きがかかる。
「東京大学大学院卒、元日本経済新聞記者、キャバ嬢・AV経験あり」の著者の母は、「私はあなたが詐欺で捕まってもテロで捕まっても全力で味方するけど、AV女優になったら味方はできない」と言い続けて世を去った。
本書は、著者がそんな母を看病し、最期を看取る日々のなかで書かれたもの。自身の親子関係や、夜のオネエサンたちの家族模様を、生き生きと描き出す。
エッジが立って、キュートで、エッチで、切ない、母も父も娘も息子も必読のエッセイ26編。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

慶應と東大出て、日経の記者でAV女優もやってたっていう涼美さんの経歴が大好きです。やりたいこと、全部やって生きている感じ。

けっこう下ネタや夜の世界のことが書かれているけれど、
氏の筆力で論壇チックでしたよ。

お母さまとのコンプレックスの章が、やっぱりわたしには
かさぶた剥がすような痛みがあって、それでも向き合いたくて、
結果とてもおもしろかったです。

表紙、ご本人です。美人さんですね。

【本文より】
・それでも私たちは、自分が新しい世界に出会う度に、誰かに複雑な思いをさせていることには自覚的であるべきだ。

・「大学出てオトナになったらさ、理不尽なものに頭下げたり、礼儀としてダサい恰好したり、自分の都合より会社の都合優先したり、好みと反対のことさせられたり、そういう場面って絶対あるでしょ。」

・否定しながら愛し、愛しながら許さないというのが、母の一貫した態度であった。そして、否定し続けても愛しており、愛してはいても絶対に許していない、ということを理解するくらいの人間に私を育てあげた自信は失っていなかった。

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2022年10月26日

Posted by ブクログ

与えられることで奪われるものもあるし、満たされることで、失うものだってある。そう思わせるエッセイだった。キャバクラ嬢やAV女優、ホストなど夜の世界の人間が多く登場するが、彼らにもまた親子関係が存在するのだなと思った。

0
2022年06月12日

Posted by ブクログ

鈴木涼美さんという著者のことを一切知らずに、ただタイトルでおもしろそうだなーと読んでみた本だったのですがどストライクでした。
慶應卒で東大の修士ってすごいですね。そして日経新聞社勤務の後にAV女優て。どえらい経歴だ。

エッセイ中にはセックスとかホス狂いとかデリヘルとかそんな単語が臆面もなく散らばっているのですが、ちっとも下品だったり馬鹿っぽく感じられたりしないのは、著者の筆力と知性ゆえなんだろう。
地頭がいいと文章のテンポも良くて読みやすくてなにしろとてもおもしろい。
一種独特なんだろうけど、娘に対して依存するでもなく束縛するでもない著者の母親が素敵だ。
否定しながら愛し、愛しながら許さない。否定し続けても愛しており、愛してはいても許していない。
このスタンスには全く矛盾がないと思う。聡明で懐の深い愛し方だと思った。
そして娘にもその考え方や姿勢や愛がきちんと伝わっている。私もこんな風な母娘関係を築きたい。

他にも、オンナとしての人生や、愛についてや、夜の世界についてや、著者による目新しくて斬新で清々しい見解をたくさん発見できました。
とにかく最後まで興味深く読ませてもらえる濃ゆい一冊でした。

0
2018年03月05日

Posted by ブクログ

うまくいかなくても
利用されても
嘘をついても
愛が重くても
それがその母子

そんな
考えさせられる話の間に
愚かにも思える
夜の世界の男女模様が
深く浅く読める 面白かったです

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2017年07月08日

Posted by ブクログ

母でもなく娘でもなく愛もなく子宮もない。そんな風に遠巻きして読むと…。
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念のため述べておくが、エロ本と間違えたのではなくて、献本を戴いたものだ。自分でお願いした献本だが、もちろんエロ本と間違えたのではない。

著者を語るときには元AV女優で元日経記者、東大大学院、ということに触れないと行けないのだろうか。ヒトを肩書で見るなよなーと思いながらも、そういう肩書がついていなければ気が付かれないこともあるかもしれないので(僕もそうだ)、それはよしとしましょう。

さて、本書は、「テロをやってもかばうけど、AVに出たから味方をしない」という母と本人の、愛憎いりまじったというか母娘論、とでもいえばいいのかもしれないが、なにか見たこともないような文体で、私ってこうなの〜みたいなことが書かれていて、通常は本という50メートルプールを一気に泳ぎ切る僕に、途中で足を着かせた。というかプールから上がってしまった。

知らんがな。

本は著者との無言の対話だ。この人と対話、無理かな…しかし、今まで見聞きしてきた著者の言動から、対話可能だと思っていたんだけど…。

というわけで、一旦プールからあがった僕は、本人のブログを見に行った。

そこには、

前作が夜のお姉さんの恋バナやら女の子同士の猥雑な感じを
女の子同士特有のひたすら脇道にそれてそれてまとまらない会話を模した文体で綴ったものだったのですが

本作は夜のお姉さんの親子関係を
母親と不貞腐れた子供のぼそぼそ煮え切らない会話を模した文体で綴りました。


そもそも
その人自身の話って
ただその人自身の話ってだけでは
面白くないじゃないですか。
私はこういう人です
と言われても
知らんがなと思います。

普遍性のない個人的な話をするべきか否かという迷いを抱えながら書くくらいならば
目の前の灰皿について延々と書いていた方が
結局は自分について分かることは多いような気もするのですが、
今回の本では自分の話をかなりの枚数さいて書きました。


だと。わかっていてやっていたのか!

さて、著者のブログというビート板を手に入れて、僕は改めてプールを泳ぎきったのでした。

きっとこういう話に共感し、救われる人がいるのだろう、ということには想像が至るようになった。母親にも娘にもなったことがないが、この関係というのは本当に不気味な関係だと思う。父と息子の仲悪さはわかりやすいが、母娘というのは、ほんとキモチワリイ。

そして、著者にはなんらかのなにか(ってなんだ)を感じて、そこからのなにかは読み取りたいと思って近づいていったが、他の取材対象(?)の母子には、まだまだお近づきに慣れそうもないのであった。

結局のところ、50メートルプールは泳ぎきったが、泳ぎ切るチカラを身につけられたわけではなくて、なんとか対岸にたどり着いただけ、のような気がする。わかったような気がする、のではなくて、身につけたい。そんな焦燥感にかられる。

書いてあることがよくわからない本、というのが、当然存在する。いわゆる難しい本、にそれが多いが、この本はそうなのか? あるいは、愛か子宮があったら、もうちょっとうまく読めたのかな…。

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2022年06月01日

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