鈴木涼美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
社会学、と言ってよいかはわからないけど、社会の一側面を見るには面白い教材。
風俗やキャバクラ、性をお金で買うおじさま達の悲哀が見える。
私はこういうお店は行かないので気持ちはよくわからないが、性はそれが犯罪でなければ多様性があった方が面白かろう、とは思う。
ただ、本質的に私はこの業界が好きになれない。
それは、女性の性を売買してるからではない。あるニーズがあって、それを満たすソリューションがあり、それをお金を出して買う人がいる。ただのビジネス。そこに良し悪しはなく、成立してるなら問題ない。
しかし、通常のビジネスは、さすがにここまで「お金」だけを中心に回っていない。依頼する/される(お金 -
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多様化する女性のライフスタイル。どれを選ぶかの自由は格段に増えたけれど、気づけば同時に選ばなかった方の人生も降り積もっていた。何を得て、何を失ったのか。
「学歴」や「結婚」や「出産」、はたまた「旦那のスペック」や「出身地」などのテーマを掲げ、対照的な人生を歩むA子とB美、2人それぞれの言い分に耳を傾ける一冊。
贅沢な悩み、と言えばそうなのかもしれない。
隣の芝は青いなんて言葉は昔からあるけれど、2019年を生きる女性は確かに昔には存在しなかったわけで。自由だからこその不自由。選べたけど選ばなかったもう一つの人生が羨ましくみえてしまうことは往々にしてある。私に限って言えば、むしろもう一つの人生 -
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「女だから」と言われて悔しくて手に取った本。
選択に迫られて選んだ方の道を生きるしかないが、選ばなかった道があるからこそ、過去のことでも悩み、時には落ち込み続けてしまう。
子育て、結婚、仕事のタイミングで悩んだり、自分にはできないことをしている人と自分を過度に比べたりしてしまうが、どんな選択をしたところでみんなそれぞれ不幸であり、それぞれの幸福がある。
社会に出て数年は、「女性だから」と言われることもなく仕事に集中してきたが、結婚してから世の中の「女」としての役割を求められることが増えてきて、生きづらさを感じるようになってきた。
出身や学歴など、変えられない過去をのろうこともある。だが、 -
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相変わらずの鈴木涼美さんも36歳。独身のままアラフォーに片足を突っ込んだゆえか、これまでとは打って変わって自虐的なコメントも多くてなんだか驚き、新鮮だった。
まわりくどい翻訳小説のような言い回しが目立つが、それでも学歴経歴に裏打ちされた切れ味鋭い文章は読んでいてスカッとする。
まったく関係ないところに自撮りがわんさか載せられてるのもイタイの分かってやってるようで逆に清々しい。
私がそうして鈴木涼美さんに憧れてやまないのは、いくら老いを嘆いて自虐的なことを書いていようが、彼女はきっとこれっぽっちも悲観していないからだ。若さの恩恵も散々受けてきて、第一線を退いたオトナの余裕をびんびんに感じる。女友 -
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気鋭の文筆家・鈴木涼美による「オンナの現代資本主義論」ということで。
エッセイではなく本当に社会学論文みたいな風情がありましたね。
女として生きているだけでそこに「お金」という価値が生まれてしまうのはたしかに得だが罪深い。
今時、キャバクラも風俗もなんてことのないお小遣い稼ぎ感覚ではじめてしまう女の子も実際多いと思うし。
深く納得させられたのはp203「高額な自尊心」。
謎な貨幣価値がまかり通るホストに毎日通う彼女たちは、支払っている代償に対してどれだけのものを得ているのか?
800万円のワインにはしかし800万円の価値があり、それを景気よく開けてするドヤ顔と言われるお礼は800万円のワイン -
Posted by ブクログ
鈴木涼美さんがこれまで出会ってきたおじさんたち。まさにおじさんメモリアルな一冊。
おじさんって本当滑稽でイタくておもろいなあなんて思っちゃいます。おじさん、っていう一種の生物だよね。
それにしてもこれだけたくさんのエピソードが書けるのすごい。
特にAV女子大生編が良かった。
人間というのはポイント制だっていう発想も好き。財力、美しさ、学力、性格、筋力、コミュ力、たしかにその総ポイント数がモテ度つながる。総ポイント数が高ければその内訳なんてどれだっていいじゃん?ってこった。
ああ、おじさんってみんなそれぞれ華々しい若かりし頃があったはずだろうにどうして等しくみんなおじさんになってしまうんだろうな -
Posted by ブクログ
母でもなく娘でもなく愛もなく子宮もない。そんな風に遠巻きして読むと…。
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念のため述べておくが、エロ本と間違えたのではなくて、献本を戴いたものだ。自分でお願いした献本だが、もちろんエロ本と間違えたのではない。
著者を語るときには元AV女優で元日経記者、東大大学院、ということに触れないと行けないのだろうか。ヒトを肩書で見るなよなーと思いながらも、そういう肩書がついていなければ気が付かれないこともあるかもしれないので(僕もそうだ)、それはよしとしましょう。
さて、本書は、「テロをやってもかばうけど、AVに出たから味方をしない」という母と本人の、愛憎いりまじったというか母娘論、と