あらすじ
かつて「文春砲」の餌食になった元日本経済新聞記者にして、元AV女優(東京大学大学院及び慶應義塾大学SFC卒)の気鋭の文筆家が聞き出した、夜のオンナたちの桁外れな、ときに地に足のついた「お金の稼ぎ方&使い方」。
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Posted by ブクログ
ミクロな視点で風俗嬢たちの現実を見てみると、それはとても平凡な女の子たちのリアルな生き方だった。資本主義のスペクタクルにすっかり覆われた彼女たちの視点は時に非常に驚くが、細かい点を除けば、あとはどこにでもいる女の子。生き方とは、自分の価値や居場所をどこに設定するかであって、その選択権はすべての人々に平等に付与されているもの。体を売って生きるという生き方も世の中にはある。女の体は売れるし、若ければ若いほど、クオリティが高ければ高いほど、高額で取引される。自分の価値(値段)をすごく客観的に眺めている彼女たちはタフだなぁと思う。誰だって、自分にはお金では測れない価値があると思いたいじゃない。というか、そう思った方が楽じゃない?と思ってしまうのは、私がまだ自分の価値(値段)を知らないからなのだろうか。
Posted by ブクログ
気鋭の文筆家・鈴木涼美による「オンナの現代資本主義論」ということで。
エッセイではなく本当に社会学論文みたいな風情がありましたね。
女として生きているだけでそこに「お金」という価値が生まれてしまうのはたしかに得だが罪深い。
今時、キャバクラも風俗もなんてことのないお小遣い稼ぎ感覚ではじめてしまう女の子も実際多いと思うし。
深く納得させられたのはp203「高額な自尊心」。
謎な貨幣価値がまかり通るホストに毎日通う彼女たちは、支払っている代償に対してどれだけのものを得ているのか?
800万円のワインにはしかし800万円の価値があり、それを景気よく開けてするドヤ顔と言われるお礼は800万円のワインを開けたことのない人には経験し得ないものであって、やはり800万円使わなければ手に入らないものである。
ホストクラブに湯水のようにお金を注ぎ込んで買っているのは、自分自身の価値と居場所。
お金をどのように稼いでどのように使うか、単純なようでいて千差万別。
何にどれだけの価値があるのかは完全に人それぞれで、無駄遣いという言葉はたしかに安易に使える言葉ではない。