【感想・ネタバレ】不倫論のレビュー

あらすじ

話題の書き手である著者が、「不倫相手」の視点から、恋愛結婚によるモノガミー制度の歪みとしての「不倫」について考察する。

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Posted by ブクログ

ー 不倫は愚かだが、実際には不倫を恐れ糾弾し、あるいは恨むということも、実は同じくらいに愚かなことであるということは、知るに値すると思っている。

不倫に対して無条件に顔を顰める人は多いと思う。
なんせ「人倫にあらず」と書くのだ。
しかし、この本は、結婚という制度に窒息したり、苦しめられたりしている人たちへ感じ入る気分・シンパシーと愛情がたっぷり詰まっている。
つまり泥棒猫の女側に寄り添った本なので、不倫に顔を顰める人たち向きの本ではない。

少なくとも不倫を糾す論ではない。

著者の鈴木涼美さんは、元セクシー女優で、元日経記者で、芥川賞候補作家。
若い頃は、既婚男性ともお付き合いをしたと言う。
だからこそなのか、この本には婚姻について、愛について、家族と恋愛について非常に深い考察がインテリジェンスに、これでもかと言うくらいに展開されている。
非常にかっこいい不倫論で、まあ面白かった。
読んで救われる人も、実は多いのではないか、と思う。

そして、不倫をしてみたいという願望を持つ夫たちも必ず読んでおくことを薦める。
男は女以前に自分のことが好きすぎて、浮気をする資格がある者は極めて超少数なのだそうです。

わかる笑

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

最高。涼美さんの恋愛に関する考え方はとてもリアルだといつも思う。リアルだから痛いけど、ごまかして甘いより余程いいと思う。不倫に幸せはないと個人的に思うが、道ならぬとされる恋でしか息ができないときもあるのだろう、人生って。

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2024年10月19日

Posted by ブクログ

不倫には、未来がないと同時に終わりがない。
将来を共にするわけでも親や親族を巻き込んだ付き合いに発展するわけでもない関係で、意見の違いが決定的になることもなく、責任がない分お互いが相手を責めて喧嘩になることもほとんどない。
彼の面倒なところを引き受けるのは彼の姉さん女房であって、愛人は彼の靴下すら洗うことはない。

→膝パーカッションです。

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

はだかの王さまという童話がありますが、鈴木涼美はまさにあの少年で、特に夜の欲望渦巻く世界を語らせれば「王さまは裸だ!」と痛快に叫ぶのです

本作でも、不倫を取り巻く男女の偽善や欺瞞を容赦なく剥がし取る切れ味と、その根底に流れる人間の弱さや哀しさへの優しい眼差しは健在です

『結婚をはじめとする無理のある制度に窒息しそうな人たちに空気が届くことを願うと同時に、不倫に苦しめられている人たちの痛みが和らぐように祈る気持ちも全くの噓ではなくそこにある。』

P.S.
昔、小学館本社で開かれた涼美さんと中村うさぎさんの公開対談に行ったとき、一緒に写真撮ってもらいました笑


There is a fairy tale called "The Emperor’s New Clothes," and Suzumi Suzuki is just like that little boy—especially when she talks about the swirling world of nighttime desires, she boldly declares, “The emperor has no clothes!”

Even in this work, her sharpness in mercilessly stripping away the hypocrisy and deceit surrounding men and women involved in affairs remains undiminished, as does her gentle gaze at the underlying weakness and sadness of human nature.

“I sincerely hope that fresh air will reach those who feel suffocated by unreasonable systems like marriage, and it is no lie that I also truly wish for the pain of those suffering from infidelity to be eased.”

P.S.
Once, when I attended a public talk between Suzumi-san and Usagi Nakamura at the Shogakukan headquarters, I even got a photo with her—haha.

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

一つのテーマに着目して、何かをあぶり出そうという内容は興味深く。ここで取り上げられていた作品を、改めて見直してみたいと思ったし、それぞれの作品を並列に見つめ直してみたいとも思った。

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2025年01月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 なかなかパンチのあるタイトルしてるので人目を憚りながら読んだ本。不倫というと世間一般ではしてはならないものだという価値感がある一方で大人になれば多かれ少なかれ耳に入ってくる事象であり案外身近なものである。しかし、基本的にいけないことなのであまり真正面から真剣に考えたりすることはないのではないだろうか。他者はわからないが私はそうだったので本書は非常におもしろかった。多様化が推し進んだ現代社会では様々な理由で結婚に苦しんでいる人や縛られている人がわりといるような気がする。きっと結論はでないけれど愛するってどういうことなのか考えていきたい。

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2025年01月16日

Posted by ブクログ

不倫を超多角的に論じ、具体例の数多をこれでもかというくらい叩きつけていく。独身の今は不倫よりも結婚のほうが怖くなる。結局はどこまでいっても相手の気持ちを考えられるか。不倫相手の女性も、そして妻の想いも。

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

いやー、題名から想像していたものと違って、作者のセンスと経験から、不倫についてかなり深掘りをしている本です。
一言で言うと、夢中になって読んでしまう位、面白かった。途中長いなと感じたところもありましたが、家族のあり方も含めて色々と考えさせられる内容でした。

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2024年11月13日

Posted by ブクログ

身近な会話と有名人の事例、小説やドラマを例に、不倫とは、そしてそれぞれの立ち位置と相互の考えや受け止めについて考える。息をするように自然に、そして窮屈な生活の息抜きとして、痛罵され理想化される不倫とは何なのか。
後半、男は本命と遊び相手を同じ生き物だと思っていないという記述があったが、そこはお互い様では無いか。オジは人間扱いされてるか?

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

不倫について、こんなに考えた事はありませんでした。男女関係について、いろいろ考えさせられました。また、一夫一妻制は今後も続いていくだろうか?変わるならどう変わるだろうか?などの疑問が湧いてきました。

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2025年01月08日

Posted by ブクログ

鈴木涼美さんだからこその見解というか、不倫を断罪も美化もしないスタンスがかっこいい。
現実であったさまざまな不倫ゴシップから、読み継がれてきた不倫の名著、話題になったドラマや映画も振り返りつつの「不倫とはなんたるか」について、そうしたトピックやコンテンツにやや下世話ながらも興味が湧いたし、色々と思うところもあった。
目が覚めるような新たな発見や学びは少なかったけれど、不倫について深く多面的に考える機会はなかなか意義があることですね。窒息するような生活と、息継ぎとしての不倫。

そしてあとがきに書かれていた通り、鈴木涼美さんが出版までの間にご結婚されたとのことで、こりゃシンプルにめでたいです。結婚はシンプルにめでたいんよな。
人妻になった彼女の、結婚や不倫への眼差しがこれからどのように変化していくのか、あるいは変化しないのか、その点でもまた新作を読むのが楽しみ。

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2024年11月12日

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