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別れの時まで
『水曜の朝、午前三時』著者の長編恋愛小説。 私は手記募集で応募してきた女性に関心を持ち面接するが、彼女は女優であり、その波乱の人生に興味を持ち交際を始める。彼女には息子がいたが夫の影はなく、同じく娘を持つ私は共感を覚え密かな情事を深めていった。 しかし彼女の家に出入りするうち私は監視されていることに気づく。そして息子の父親であるかつての「恋人」が指名手配されていることを知る。 著者は2001年11月、書き下ろしの長編恋愛小説『水曜の朝、午前三時』でデビュー。1970年に大阪で開かれた万国博覧会を舞台に国籍問題で引き裂かれていく男女の恋愛をミステリアスな筆致で描いた同作品は、新人作家の第一作にもかかわらず多数の読者の支持を得て、ベストセラーとなった。 本作『別れの時まで』は、著者が10年ぶりに満を持して発表した長編恋愛小説。大人の恋愛の切なさと先が読めないミステリアスな展開に、全国の書店員さんから多数の感動コメントが集まった。 待望の電子化! -
六百六十円の事情
世の中には、いろんな人たちがいる。男と女。彼氏と彼女。親と子供。先生と生徒。そして爺ちゃんや婆ちゃんとか。その中には、「ダメ人間」と「しっかり人間」なんてのも。あるところに、年齢も性別も性格もバラバラな「ダメ」と「しっかり」な男女がいた。それぞれ“事情”を持つ彼らが描く恋愛&人生模様は、ありふれているけど、でも当人たちにとっては大切な出来事ばかりだ。そんな彼らがある日、ひとつの“糸”で結ばれる。とある掲示板に書き込まれた「カツ丼作れますか?」という一言をきっかけに。入間人間が贈る、日常系青春群像ストーリー。 -
冬の蜃気楼
美少女と中年男に弄ばれる甘美で残酷な青春。 1958年、東京郊外にある映画撮影所(著者が助監督として活動した松竹大船撮影所がモデル)から物語は始まる。主人公は大学を卒業したばかりの22歳の助監督。映画界は最盛期を過ぎたとはいえまだまだ活気に満ちている。新人女優として突然主人公の目の前に現れた16歳の美少女と大根役者の中年男をめぐってストーリーは展開する。ほとんどは、巨匠が監督する映画「一葉」の撮影現場である。当時の映画製作の現場が微細に生き生きと描写される(著者がこれほど詳細に映画製作の現場を描いたことはない)。最終の第12章のみ33年後という設定である。甘美な青春の日々とほのかなエロティシズム――、青春の苦さを見事に描いた傑作長篇小説。 -
探偵・日暮旅人の失くし物
日暮旅人(ひぐらしたびと)には不思議な力がある。音、匂い、味、感触、温度、重さ、痛み――。これら目に見えないモノを“視る”ことができるのだ。その力を使い、旅人は 『探し物探偵事務所』 を営んでいる。 保育士の山川陽子は、そんな特異体質を持つ旅人のことが気になっていた。もちろん、旅人と共に暮らす、人形のように美しい彼の娘・百代灯衣(ももしろてい)のことも。陽子は二人の生活をサポートしようと、探偵事務所に通う日々を過ごしていた。そんなある日、旅人のもとにある料理の“隠し味”を探してほしいという依頼が舞い込み―― ? 『愛』 を探す探偵・日暮旅人の物語、シリーズ第2巻登場。 -
ケセランパサラン
大人への脱皮を辿り自分を回復する小説と詩。 「メチャメチャにダメな人間になってみなよ」。高校に行っていない、ちまきが淡い思いを寄せている、ちょっと世間では有名で、でも飄々としているムガさんに言われた。大人の仲間には入りたい。でも、大人は自分のことを大人として見てくれない。高校なんてダメ教師しかいないし、行く必要はない。社会人ともいえないし、社会人じゃないともいえないわたしは、ニコニコ子供らしく笑って、それですませてる。言いたいことも見つからない。寂しい気持ち。そんなわたしを、「好きだよ」ってムガさんが言うなんて、びっくらこいた。 心のなかはいつもそんなこと考えているのに、なかなかその場では言えなくて、あとで後悔する。そんな経験は、誰しも思春期のときにありませんか?その気持ちを思い出させてくれることは、あらためて大人になるってどういうことなのかを考えさせられます。それは、自分の根っこを回復すること。そんなことを感じさせてくれる短篇小説と詩篇です。 -
きみは誤解している
競輪場を舞台に綴る切ない6つの人間ドラマ 「ねえ聞いてるの? 自分のことを僕って呼ぶ人間がギャンブラーになんかなれるわけないって、あたしは言ったのよ」とマリは婚約者の青年をたしなめる。JRの勤勉な駅員として働く彼の、唯一の趣味は競輪。そんな彼が、死期の近づく父の残した当たり車券を元手に大口勝負を挑もうとする表題作。 信用組合に勤める女が、車券の一点勝負にギャンブルの真髄を見い出したきっかけを語る「遠くへ」。 十三年間定職に就かず、競輪場で儲けた金だけで生活している独りぼっちの男が、中学時代の同級生と再会したときの顛末を告白する「この退屈な人生」。 ある夜明けのくしゃみと三万円分のはずれ車券のせいで、夫婦のあいだに波風が立ちはじめた鮨職人の「女房はくれてやる」。 賭けに負けたことがない女子高生が、姉の婚約者の応援に駆り出されたのを機にこっそり通い出した競輪場で淡い恋心を抱く「うんと言ってくれ」。 同棲相手の会社の金を持ち出したという兄を追って、八年前のある出来事から車券を買わなくなった競輪ファンの弟が佐世保競輪場へ向かう「人間の屑」。 全六篇収録。 競輪場を舞台に繰り広げられる切ない人生が放つ一瞬の輝きを、透明感あふれる文章で綴った珠玉の作品集。 -
最後に咲く花
男は、ある女性から自殺幇助を頼まれた。 投資信託専用の運用会社に勤める40歳目前の永江は、離婚後、あるきっかけで、大学時代の同級生・由希と出会う。10数年ぶりの再会。季節が巡るように、お互い気になる存在に変わっていくが、由希は心肺を病んでしまう。そして永江に「これ以上苦しみたくない」と、自殺幇助を願い出る。永江には、20代の恋人・沙織がいたが、由希といる時間のなかに「かけがえのない瞬間」を見いだすようになる。そんななか、友人で建設会社副社長の波佐間が、単身山に登ったまま妻子を残して連絡を断ってしまう。彼を捜すべく山に向かった永江は、ある事に気付かされる。 -
哀愁の町に霧が降るのだ
青春小説の名作、ついに復刊! 「青春」が「絶滅危惧種」になってしまった今の時代だからこそ、読んでほしい。 東京・江戸川区小岩の中川放水路近くにあるアパート「克美荘」。 家賃はべらぼうに安いが、昼でも太陽の光が入ることのない暗く汚い六畳の部屋で、四人の男たちの共同貧乏生活がはじまった――。 アルバイトをしながら市ヶ谷の演劇学校に通う椎名誠、大学生の沢野ひとし、司法試験合格をめざし勉強中の木村晋介、親戚が経営する会社で働くサラリーマンのイサオ。 椎名誠と個性豊かな仲間たちが繰り広げる、大酒と食欲と友情と恋の日々。悲しくもバカバカしく、けれどひたむきな青春の姿を描いた傑作長編。 -
追憶の殺意
年もおしつまったある日、埼玉県岩槻市の川土手で、自動車教習所の配車係が死体で発見された。男には職場の同僚と悪質なギャンブルを行なっていた疑いが浮上する。そして年が改まったとたん、教習所の技能主任が密室状況下の建物の中で撲殺される。さらに指導員の男が自宅マンションの駐車場にカバーをかけて駐めてあった自分の車の中で殺されていた!! 自動車教習所に通う教習生と指導員――その絡み合いの中からあぶり出される複雑な人間関係。やがて捜査線上に浮かんだ容疑者には、二重三重の鉄壁なアリバイがあった……!? 『模倣の殺意』の著者・中町信が本格ミステリの王道〈密室+アリバイ破り〉に挑んだ傑作長編推理。 -
虚ろな感覚
「飯田さん──いらっしゃいませんか? 警察のものなんですけど」相手が『飯田さん』と呼びかけたことに、志穂はぎくりとした。チェーンを掛けたままドアを開くと、相手の女は一枚の紙をドアの隙間から差し入れてきた。『中に誰かいますか? イエスならウインクを』何かあったのかと訝る志穂に、女は『殺人事件の容疑者が、この建物に逃げ込んだんです』と告げる。慌ててチェーンを外しドアを開けた志穂に、女は──。二人の女のスリリングな心理闘争を描く充実の傑作「幻の男」など、サスペンスの名手が贈る七つの巧緻な逆転劇。記憶は、感覚は、秘かにあなたを裏切るかもしれない。 -
キング
五輪代表は誰の手に? 衝撃のマラソン・サスペンス! 大学の陸上部で同級生だった三人が、オリンピック男子マラソン代表・最後の一枠選考レースに出場する。三十歳の彼らにとって、おそらくこれは五輪へのラストチャンスだった。日本最高記録を持ちながら故障に泣かされ続け、「ガラスのエース」とも称された天才ランナー・須田は、最高の練習環境に身を置いて復活を賭ける。陸連批判をして表舞台から去り、四年ぶりに走る武藤は「俺が勝つ」と豪語。そして、優勝経験がなく、“勝ち方を知らない”青山の前には、ドーピングを勧める正体不明の男が接触してきた。青山は卑劣な手段を一旦は拒むが……。スポーツ小説の名手が手がけた、ランナーたちの人生を賭した勝負を活写する、ロングセラー『チーム』の原点ともいうべき傑作長編! -
サラと魔女とハーブの庭
七月隆文さんが贈る、ハーブの香りただよう癒やしの物語が、待望の文庫化! 13歳の春休み。家でも学校でも居心地の悪さを感じていた由花は、家族のもとを離れ、田舎で薬草店を営むおばあちゃんと暮らす決心をする――誰にも言えない友達・サラとの永遠の友情を守るために。森の中に佇む古いが落ち着いたお洒落なお店、自分のために作られた手作りの部屋、魔法の本みたいな日記帳、そして、由花のための特別なハーブティー……。おばあちゃんとサラと一緒の田舎暮らしは、由花の心をふんわりと満たしていく。それは、春を迎える再生のはじまりだった。『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』や『100万回生きたきみ』など、細やかな心の機微を瑞々しく描く名手・七月隆文さんが綴る、少女達の物語がはじまります。 ※本書は2020年10月刊行の単行本『サラと魔女とハーブの庭』を文庫化したものです。 -
コロナ漂流録 2022銃弾の行方【電子特典付き】
累計1080万部突破 『チーム・バチスタの栄光』シリーズ 厚労省の変人役人 vs 中抜きハイエナ!? コロナ三部作堂々の完結! 「コロナ三部作は、現実の事象をリンクさせつつフィクションでしかできないことをやってのけた」 鈴木エイト(ジャーナリスト・作家) (あらすじ) 2022年7月、新型コロナウイルスの新規感染者数は1日10万人を超えていた。その頃、東城大学医学部付属病院のホスピス病棟とコロナ病棟の責任者を兼務する田口公平は、医師のワークライフバランスを主張し、病棟に「効果性表示食品」を導入しようとする新任の中堅医師・洲崎洋平に手を焼いていた。田口は問題解決のための禁断の一手として、厚生労働省の白鳥圭輔を東城大に召喚するが……。 (著者プロフィール) 海堂尊 1961年、千葉県生まれ。作家、医師。第4回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2006年に『チーム・バチスタの栄光』で作家デビュー。著書は「桜宮サーガ」と呼ばれるシリーズを成し、本作および『コロナ黙示録 2020災厄の襲来』『コロナ狂騒録 2021五輪の饗宴』(以上、宝島社)も連なっている。他に、キューバ革命のゲバラとカストロを描いた「ポーラースター」シリーズ、北里柴三郎と森鷗外の確執を描いた『奏鳴曲 北里と鷗外』(ともに文藝春秋)などがある。 -
ぼくとおれ
1972年9月8日。札幌の同じ病院で生まれた「ぼく」蒲生栄人と「おれ」仁村拓郎。ふたりは毎日〈スイッチ〉を押し、ちいさな選択を繰り返して、進学、恋愛、就職、結婚と、人生の地図を描いてきたが……。 40歳の男ふたりが辿った交わりそうで交わらない(!?)道筋を、昭和から平成へ移りゆく世相と絡め、巧みな筆致で紡ぎ出す。山本周五郎賞作家の珠玉作。(『地図とスイッチ』改題) 解説/大森 望 「ぼくがイメージするスイッチは鉄道でいうと分岐器だ。ターンアウトスイッチ。線路を分岐させ、電車の進む道を選ぶシステム。つまりスイッチを押すとは、ぼくがどの道筋を進むか決めること。それを繰り返して、自分だけの地図ができる。」(本文より) -
県警の守護神 ~警務部監察課訟務係~
新ジャンルを生んだ話題の警察小説、文庫化! この新人がデビューしたら私の立場が危なくなるんじゃないか、と思うくらい評価した。 ──今野 敏氏 異色の警察小説ながら、元警察官の私も思わず「あるある!」と感じるリアリティな描写が光る作品です。魅力ある登場人物たちが織りなす緊迫のドラマ、ぜひご覧ください! ──販売担当N 憧れの警察官に転職した元競輪選手の桐嶋千隼は、ある日、バイクの自損事故現場で轢き逃げに遭ってしまう。病院で目を覚ますと、バイクに乗っていた少年は死亡していた上、桐嶋はその責任を巡る 訴訟を起こされていた。途方に暮れる桐嶋を訪れたのは、弁護士資格を持つ異色の巡査長・荒城──通称「県警の守護神」だった。真実よりも勝利を求めるやり方に反発するも、訴訟に巻き込まれていく桐嶋。さらに調査を進めるうち、訴訟は同日に起きていた警察官発砲事案にも繋がっていき……。 警察官を護り、国民を護る。警察×民事訴訟、小説界に新風が吹く! 第二回警察小説新人賞受賞作。堂場瞬一氏との特別対談も収録。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『県警の守護神 ~警務部監察課訟務係~』 の文庫版となります。 -
宙ごはん
本屋大賞ノミネート作、待望の文庫化! 宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいて「さいこーにしあわせ」だった。 宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。 代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづける。 ──きっと、この物語はあなたの人生を支えてくれる。 文庫化にあたり、単行本の初版カバーに掲載した掌編に加え、書き下ろし掌編を収録。 解説は、作家の寺地はるなさん。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『宙ごはん』の文庫版となります。 -
ロマンシエ
乙女な心を持つ美術系男子のラブコメディ! 有名政治家を父に持つ遠明寺美智之輔は、子どもの頃から絵を描くことが好きな乙女な男の子。恋愛対象が同性の美智之輔は、同級生の高瀬君に憧れていたが、思いを告げることもないまま、日本の美大を卒業後、憧れのパリへ留学していた。 ある日、アルバイト先のカフェで美智之輔は、ぼさぼさのおかっぱ髪でベース形の顔が目を惹く羽生光晴という女性と出会う。凄まじい勢いでパソコンのキーボードを打つ彼女は、偶然にも美智之輔が愛読している超人気ハードボイルド小説の作者。訳あって歴史あるリトグラフ工房idemに匿われているという。 過去にはピカソなどの有名アーティストが作品を生み出してきたプレス機の並ぶその工房で、リトグラフの奥深さに感動した美智之輔は、光晴をサポートしつつ、リトグラフ制作を行うことになるが、ある大きな転機が訪れる。 ※本書は過去に単行本版として配信された『ロマンシエ』の文庫版です。 -
退職刑事1
かつては硬骨の刑事、今や恍惚の刑事になりかかった父親が、捜査一課の現職刑事である息子の家を頻々と訪れる。五人いる息子のうち、唯一同じ職業を選んだ末っ子から現場の匂いを感じ取りたいのだろう。その息子が目下捜査中の事件について話を始めると、父親はあれこれと突っ込みを入れ、あげく真相を引き出してしまうのだった……。記念すべき第一作「写真うつりのよい女」をはじめ、推理の過程が秀逸な「ジャケット背広スーツ」など、七編を収録。国産の《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第一集。/【収録作】「写真うつりのよい女」/「妻妾同居」/「狂い小町」/「ジャケット背広スーツ」/「昨日の敵」/「理想的犯人像」/「壜づめの密室」/あとがき=都筑道夫/解説=法月綸太郎 -
黒いハンカチ
住宅地の高台に建つA女学院――クリイム色の壁に赤い屋根の建物があって、その下に小さな部屋が出来ていた。屋根裏と云った方がいいそこがニシ・アズマ女史のお気に入りの場所だった。ちっぽけな窓から遠くの海を眺め、時には絵を描いたりもしたが、じつは誰にも妨げられずに午睡ができるからだった。だが、好事魔多し。そんな彼女の愉しみを破るような事件が相次ぐ。そしてニシ先生が太い赤縁のロイド眼鏡を掛けると、名探偵に変身するのだ。飄飄とした筆致が光る短編の名手の連作推理。/【収録作】「指輪」/「眼鏡」/「黒いハンカチ」/「蛇」/「十二号」/「靴」/「スクェア・ダンス」/「赤い自転車」/「手袋」/「シルク・ハット」/「時計」/「犬」/あとがき/解説=新保博久 -
薔薇の女
フィリップ・モリスをひとつ――紙幣と共に差し出された名刺が、映画女優を夢みるシルヴィーに運命の訪れを告げていた。ささやかな贅沢で祝したその夜更け、自室の扉を叩く音に応じた彼女に賦与された未来は、あろうことか首なし屍体となって薔薇の散り敷く血の海に横たわることだった……。そして翌週には両腕を失った第二の、翌々週には両脚を奪われた第三の犠牲者が。明らかに同一犯人と見做される状況にも拘らず、生前の被害者たちに殺害されるに足る共通項を探しあぐね混乱するパリ警視庁。事件を統べる糸〈ドミニク・フランス〉を紡ぎ出してみせる矢吹駆の、鮮やぐ現象学的推理が織り成す、真相という名の意匠とは?/解説=山路龍天 -
太陽の棘
この著者にしか描けない、沖縄と美術の物語! 終戦後の沖縄。米軍の若き軍医・エドワードはある日、沖縄の画家たちが暮らす集落――ニシムイ美術村に行きつく。 警戒心を抱く画家たちだったが、自らもアートを愛するエドは、言葉、文化、何よりも立場の壁を越え、彼らと交流を深める。 だがそんな美しい日々に影が忍び寄る――。 実話をもとにした感動作! 「原田マハ氏は、小説家の優れた才能と人間的な温かさにより、どんなに善意の人間であっても、理解できない事柄があることを明らかにした。私は日本人が書いた沖縄をテーマとする小説で『太陽の棘』がいちばん好きだ。」 ――佐藤優(解説より) -
れんげ野原のまんなかで
新人司書の文子がこの春から所属されたのは、のどかな秋葉図書館。ススキ野原のど真ん中に建つこの図書館は利用者もまばら、暇なことこのうえない。しかし最近妙な闖入者が現れた。小学生が閉館後も居残るために、あの手この手で図書館員たちの裏をかこうとしているらしい。いったいなぜ? 文子はかねてよりその博識ぶりを崇拝している先輩司書・能勢の力を借りて、小学生たちの企みをつきとめようとするが……。季節の折々に、小さな図書館を訪れる人たちがもたらすささやかな謎の数々。すべての本好き、図書館好きに捧げる、やさしいミステリ。/解説=大崎梢 -
煙の殺意
問答無用の面白さ、騙される快感!泡坂ミステリのエッセンスが詰まった名作品集。困っているときには、ことさら身なりに気を配り、紳士の心でいなければならない、という近衛真澄の教えを守り、服装を整えて多武の山公園へ赴いた島津亮彦。折よく近衛に会い、2人で鍋を囲んだが……知る人ぞ知る逸品「紳士の園」や、加奈江と毬子の往復書簡で語られる南の島のシンデレラストーリー「閏の花嫁」、大火災の実況中継にかじりつく警部と心惹かれる屍体に高揚する鑑識官コンビの殺人現場リポート「煙の殺意」など、騙しの美学に彩られた8編を収録。/収録作=「赤の追想」「椛山訪雪図」「紳士の園」「閏の花嫁」「煙の殺意」「狐の面」「歯と胴」「開橋式次第」 -
ぬいぐるみ警部の帰還
殺人現場にぽつんと遺されたぬいぐるみ。そのぬいぐるみは、いったい何を語る? イケメン警部・音無美紀の密かな楽しみは、ぬいぐるみを愛でること。遺されたぬいぐるみから優れた洞察力で、事件解決の手がかりを発見する――。そして、男勝りの言動の一方で音無にぞっこんの則竹女史。さらに実はミステリおたくの江角刑事や、若手の桂島刑事など、個性派キャラクターが脇を固める連作短編集。「お弁当ぐるぐる」(『赤い糸の呻き』所収)で初登場した、音無&則竹コンビが遭遇した不可能犯罪の数々。〈ぬいぐるみ警部〉シリーズ、記念すべき第1弾。解説=霞 流一 -
ヴァン・ショーをあなたに
下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル。変人シェフの三舟さんと彼を慕う志村さんの二人の料理人、ソムリエの金子さんとギャルソンの僕・高築の4人で、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむ絶品料理を提供している小さな店だ。シェフお得意のヴァン・ショーの秘密とは? ブイヤベース・ファンの女性客の正体は? 本格的なフランスパンの店を始めようと、はりきっていた女性パン職人は、なぜ突然姿を消したのか? シェフのフランス修行時代のエピソードから、客の視点で語られる物語まで、全7編をご賞味あれ。/解説=大矢博子 -
第三閲覧室
誠和学園大学図書館の第三閲覧室は、大学の正式な施設でありながら、内実は学長の稀覯本コレクションを収めた個人的な書庫と化していた。その室内で有毒ガスを吸い込んだ死体が発見される。事件の背景にあるのは学内の複雑な人間関係か、それとも膨大な数の稀覯本か? 図書館運営主任に嫌疑がかけられるなか、彼の無実を確信する古書店主が事件の調査に乗り出す。第三閲覧室周辺で目撃された謎の女性や奇妙なダイイング・メッセージなど、事件には不可解な点が散見されて……。本に関するさまざまな情報のなかに緻密な企みを埋め込んだ、紀田ミステリを代表する傑作長編本格推理。
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