すべての高評価レビュー
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Posted by ブクログ
シンボリックで満足感のあるエンディング。オープニングでは主人公の死んだおばさんの話から始まる。夜中に一人で熟柿に小さい穴をあけてじゅるじゅるすするという行動は、親戚中から嫌われている風変わりでドケチなおばさんのイメージを見事に象徴づけている。
ストーリー展開は、主人公の市木かおりの不遇で孤独な運命に、流されながらも自分を保ち、目的を見つけてなんとかサバイブする姿が描かれていく。後半までは感情移入できなくて、読み進めるのが辛かった。それでも、読者をちゃんと連れていくのは、人物描写の妙と、少しずつ意外な角度に跳ねる展開だろう。やがて訪れるクライマックス。予想通りの場面だが、ここでもそこに至る道のりに意外性を感じた。
最後のシーンは、かおりから土居への電話だ。かおりに好意を抱き、静かに見守る土居の誠実な人間性が透けて見える言動に惹きつけられた。あんな風に自分もありたいと思う。そして、自然にぽとりと落ちる熟柿のイメージが、かおりの未来への希望と重なる。ジーンとした余韻が残る素晴らしいエンディングでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恥ずかしながら、今まで資本主義をよく知りもせず悪いところだけを見て嫌悪感を抱いていました。
この社会で生きるのに、ざらざらとした摩擦のようなものを感じてました。
この本では
第1章に「しんどさ=追われる感覚」として
しんどさの正体について、
第2章では資本主義の構造や原理を
第3章でここまでの内容を踏まえて、じゃあ資本主義とどう生きていくか
という構成になっていて、
全体的にとても易しく、読みやすかったです。
読み進めていくうちに、私の感じていたこのザラザラの正体が言語化されていて
それだけでも大きな収穫だったのですが、
資本主義が必ずしも悪ではなく、私たちの今の豊かさは資本主義による恩恵でもあることにも気付かされました。
一番心に残っているというか衝撃だったのは、
成長が今までずっと当たり前の価値観ではなかったというところで
私は常に成長しないといけない、前に進まないと置いていかれる、という焦りが常にあったので
あ、価値観って時代によって違うし、今の常識ってだけなんだって、自分の中で成長やあらゆる物事に対しての見方や付き合い方を見直すきっかけになりました。
ちなみに、この部分を読んだ後に知人たちに
成長って当たり前じゃないんじゃないかって考えてるって伝えたら、苦い顔されました。
成長に背中を押されて、恩恵を沢山受けてきたのは私も同じなので確かにこんなこといきなり言われたら、苦い顔もするよな〜って後になって気づいたわけなんですけどね。
とはいえ、
家賃や食料、子供や老後の資金などは必要で
家族がいて私1人で生きているわけではないので
自分の理想の資本主義との距離感だけに合わせるわけにもいかないのも現実なので、
少しずつできる範囲で取り入れつつ、より生きやすくなったらいいなぁと思ってます。
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匿名
購入済み面白かったけど、「パパ活はキレイに生まれた女の賢い選択」という言葉が度肝抜かれました。パパ活出来るのも若いうちだけだし、完全に搾取されてるだけなのに、バカな選択というなら判るけど賢いはない。
パパ活して若いうちは稼げても年取ってから稼げなくなるなら全然賢くない。若いうちに身体で稼いでそれくらい稼げるのが当たり前になったとして、年取って体売れなくなったら、パパ活してなかったお金がなかった時のようには戻れなくなる話しはよく聞く。そうなったら格安で立ちんぼするのかな?
あとタイトルの「派遣」も派遣という制度が増えたからここまで日本が非正規増えた原因でこれも搾取されてるだけなのに、なんかもう全体的に痛々しいよ。でも面白かったです 笑 -
Posted by ブクログ
湊かなえの作品は3作目。これまでの作品は、内容が重すぎて、読後すごく精神的なカロリーを使ってしまい、正直ちょっと苦手意識を持ってしまっている。でも、暁星はジャストミートした。
この作品の構成のことを絶賛しているコメントを散見した。お互いを強く思い合う永瀬暁と白金星賀という2人のストーリーをノンフィクションと小説という別々のスタイルで語らせるという手法は、その縫い目を読者に委ねているという意味で秀逸だと思う。どう縫い合わせたいかは、読者がそれぞれの想いを反映するだろうし、心に残る形は変容することだろう。
永瀬暁の心の動きや行動には強く共感したし、自分を反映しながら読んだように思う。大切な人を思う気持ちを持ち続け、その想いのために人を殺めることまでしてしまう。相手を思う気持ちが、人格を分つ別の2人ではなく、自分自身に同化している感覚。特に現代では、危険な思想になり得るし、実際このキャラクターも反社会的な行動を引き起こす。ただ、どんな犠牲を払っても、こういう思いや感覚にこの命を捧げてもいいという生き方は、時代や文化を超えて普遍的だと思う。その切実さを伝えるのは、小説の使命のひとつである。 -
匿名
ネタバレ 購入済み木々さんミツヒデの関係がとても面白かったです!ヒサメさんとも犬猿の仲だったのに今ではいい感じに!ミツヒデの敬愛の深さも木々さんのそれを分かっているところも最高です。
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Posted by ブクログ
シリーズ2作目。前作に引き続き今作においても、良い意味で予想を裏切る展開となっており非常に楽しめた。
単なるミステリーでなく、勧善懲悪ヒーローもの的な、エンターテインメント性もあるため、頭を捏ねくり回さずに、純粋に物語に没頭してしまう。忙しい日々の隙間に充てる余暇として、まさに最適な作品だと思う。
作中には、人間の嫌な部分を凝縮・誇張したキャラクターが登場する。そんなキャラクターを見て、「いるよね、こういう人」と自分の体験に重ね合わせ、そんな悪どいキャラクターたちが因果応報の目に遭う様を見るのは、かつて嫌な思いをした自分を慰められるようで、ある種の爽快感すら覚える。
ストーリーの読みやすさやエンターテインメント性は勿論だが、主人公の真っ直ぐさや人生に奮闘する姿には、人間らしい生き方としての深みも感じることができる。これらの要素が物語の奥行きにも繋がっているのだろうなと思う。
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